信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【プレビュー】ロマチェンコ、復帰の相手はジャーメイン・オルティス!アンダーカードには五輪組が勢揃い。

アメリカ時間で10/29、日本時間では10/30は注目試合が盛りだくさん。

アメリカで最も話題をさらっているのは、もしかするとShowtimeがPPV放送するジェイク・ポールvsアンデウソン・シウバというイロモノボクシングマッチかもしれません。が、最も多くみられるのはこの試合ではないでしょう。

それは、このYoutuberの登場するエンターテイメントは、PPVだから、という理由です。(ちなみにこのアンダーカードでアントニオ・ニエベスが登場しますね。)

 

DAZNではジョジョ・ディアスvsウィリアム・セペダ、そしてESPN+ではワシル・ロマチェンコvsジャーメイン・オルティスがありますが、この中で最も勝負論があるのはディアスvsセペダであり、ロマチェンコの注目度は如何程なのでしょうか。

メインイベントこそディアスvsセペダの方が興味深いですが、極上のプロスペクトたちが次々と登場するアンダーカードを含めるとロマチェンコvsオルティスに軍配が上がりそうな感じがしますが、これはあくまでも私の個人的な興味。

ともあれ、本日はいよいよリング復帰、ワシル・ロマチェンコvsジャーメイン・オルティスをメインに据えた、トップランク興行のプレビュー記事です。

↓予想通りPVを集められなかった(笑)ディアスvsセペダはこちら

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10/29(日本時間10/30)アメリカ・ニューヨーク

ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)16勝(11KO)2敗

vs

ジャーメイン・オルティス(アメリカ)16勝(8KO)無敗1分

ロマチェンコのニックネームは、「ロマ」とか「マトリックス」とか、「ハイテク」。

このうち「ハイテク」というのは、ハイ・テクノロジーの略であり、まるで精密機械のように、狙ったところにパンチを当て、その後の動きも含めてよく言い当てているニックネームだと思います。

ただ、個人的にはこの「ハイテク」は「ハイ・テクニック」という意味も備えているように思え、現代ボクシングのテクニックを超えるものを未来から持ってきてくれた、というふうに捉えています。

ワシル・ロマチェンコについて、ここで長々と書く必要はないでしょうから、今回スポットを当てるのは対戦相手、ジャーメイン・オルティスのこと。

 

このジャーメイン・オルティスのニックネームは「テクニシャン」と言い、ということは私の上記の考えからいくと、ニックネームの時点で負けています。

オルティスは確かな技術を持っており、非常に穴の少ない、隙の少ないボクサーではあるものの、取り立てて飛び抜けて優れたものを持っているように見えないボクサーでもあります。

トップランクのプロスペクトらしく、キャリア初期は非常に大切に育てられたボクサーで、実際の勝負をし始めたのは2021年頃からのことだと思います。

同じくプロスペクトのジョセフ・アドルノ(アメリカ)とぶつかったのはその頃で、このプロスペクト対決はその後のキャリアに光が差すか、影を落とすかで重要な一戦だったはず。

 

この試合で、オルティスは2Rと7Rにダウンを喫するも、そのほかのほとんどのラウンドを支配し、結果はドロー。アドルノのハードパンチにより、本来勝てる試合をドローに持っていかれた、という印象ですね。

その後は2連勝ですが、前戦で元世界王者のジャメル・ヘリング(アメリカ)を判定で退けているのがキャリア最大の勝利。

しかし、この時のヘリングは往年の力を残しておらず、後半には非常に疲れてしまっていましたから、もうシャクール戦で燃え尽きてしまっていた、と捉えるのが普通でしょう。

ともあれ、ジャーメイン・オルティスは、期待の通りにジャメル・ヘリングとの技巧派対決を乗り越え、ロマチェンコ戦を掴んだ、といえます。

 

ここまでのパフォーマンス、実績を勘案すると、当然ロマチェンコ優位。それも、圧倒的に。

しかし、ロマチェンコにも不安がないわけではないのも、また事実。

前戦から10ヶ月というブランクは、ただの10ヶ月ではありません。

肉体的な部分においても、精神的な部分においても、大きなディスアドバンテージを被ったことは想像に難くありません。

そして、オルティスにとっては過去最高の大一番であり、ヘリング戦よりももっとモチベーションは高いはずで、こういう時にこそ、ボクサーというのは真価を発揮します。

王座を失ってさえ、追われる立場にあるワシル・ロマチェンコ。今回もしっかりと退け、同じトップランク所属の4団体統一王者、デビン・ヘイニー戦を手繰り寄せてもらいたい。

 

ロベイシー・ラミレス(キューバ)10勝(6KO)1敗

vs

ホセ・マティアス・ロメロ(アルゼンチン)26勝(9KO)2敗

いよいよ頭角を表してきた、ロベイシー・ラミレス。2012年のロンドン五輪、2016年のリオ五輪を連覇したアマキャリアは実績として群を抜いていますね。

今をときめくシャクール・スティーブンソン、ムロジョン・アフマダリエフも撃破しています。

このセミファイナル、当初はラミレスの相手は元世界王者のジェシー・マグダレノ(アメリカ)と発表されました。しかし10月上旬、マグダレノが怪我で撤退、ホセ・マティアス・ロメロは代役です。

これは非常に残念なことですね。

エイブラハム・ノバ(アメリカ)とのプロスペクト対決を5RTKO、圧倒的な力で勝ち残ったラミレスは、ここからグッとそのキャリアを進展させることができたはずなのですが。

 

そうはいっても、ロメロの2敗は「サルサ・アリ」ミシェル・リベラ、そしてイサック「ピットブル」クルスに喫したもののみ。それは両方とも、ライト級以上のウェイトでの試合です。

ラミレスは現在フェザー級を主戦場としており、ロメロも前戦では126lbsというフェザー級リミットで戦っていることから、今戦もフェザー級戦となるはずです。

そこから2階級も重いライト級で、リベラとクルスを相手にしながらも10Rを戦い抜いたホセ・マティアス・ロメロ。

そのロメロを相手に、ラミレスがどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、非常に楽しみです。

そのほかのアンダーカード!

この興行には、トップランクのプロスペクトたちが揃い踏みです。ロマチェンコに興味のあるファンたちにプロスペクトたちを見てもらいたい、ということなのか、それとも人気プロスペクトたちのついでにロマチェンコvsオルティスを見てもらいたいのか。

 

出てくる順番はよくわかりませんが、おそらくメインに近い位置で出てくると思われるのはニコ・アリ・ウォルシュ(アメリカ)。モハメド・アリの孫、ということで有名なこのボクサーは、6勝(5KO)無敗と比較的順調なキャリアを歩んでいます。

何のアマ実績もないボクサーとしては、着々と力をつけているように感じますね。今回は5勝(1KO)2敗という戦績を持つビリー・ワグナー(アメリカ)と初の6回戦に臨みます。

このアリ・ウォルシュを特殊な例とすると、ロマチェンコ、ラミレスといった五輪連覇を果たしたボクサーたちのアンダーカードに相応しい、元オリンピアンボクサーたちが大集結しているのが今回のアンダーカードの面白いところ。

東京五輪で銀メダルを獲得したデューク・ラガン(アメリカ)、リチャード・トーレスJr(アメリカ)をはじめ、トロイ・イズリー(アメリカ)、そしてデランテ「タイガー」ジョンソン(アメリカ))も登場。

東京五輪に出場したボクサーたちは、まだプロキャリアにして1年と少しくらいのもので、当然キャリアの形成時期を出てはいませんが、このキャリア序盤の戦いというのも必見に値するものだと思っています。

WOWOWがどこから放送してくれるのか、というか、試合順がどうなのか、はよくわかりませんが、3試合だとするとニコ・アリ→ロベイシー・ラミレス→ロマチェンコ、ということかもしれませんし、2試合だとラミレス→ロマチェンコ、となりそうですね。

 

【放送・配信】

ということで、この興行はWOWOWオンデマンドで生配信です。

日時は日本時間で10/30(日)11:00〜、その翌日、10/31(月)21:00〜のレギュラー放送でも放送される予定です。生配信は、オンデマンドのみなのでご注意くださいね。

↓WOWOWはこちら!

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【プレビュー】寺地拳四朗vs京口紘人!ジョナゴンvs岩田翔吉!ライトフライの祭典、ライブボクシング!

さて、このブログをアップする予定なのは10/26(水)。(予定どおりアップされているかどうかは知りません笑。)

つまり、もう一週間を切っているのです。

2022年というのは日本ボクシング界の転換期ともいえる年で、4月にはゲンナディ・ゴロフキンvs村田諒太という日本初のミドル級世界タイトルの統一戦、続く6月にはこれもまた日本初となる3団体の王座統一戦で、井上尚弥とノニト・ドネアがぶつかりました。

それらレジェンドの来日に勝るとも劣らないのが、このAmazonプライムビデオpresents、「LIVE BOXING」。待望されてきた日本人同士のビッグマッチが、この舞台で叶うというのは本当に奇跡に近いのではないか、と思ってしまいます。このことは、長くプロボクシングを見てきた人こそ感じることかもしれません。

しかもこの今回のライブボクシング、メインイベントの寺地拳四朗vs京口紘人は、これまでの第一弾、第二弾に比べて「勝負論」については勝っているというビッグマッチ。これは両者を詳しく知らないファンでも楽しめる、好試合です。

ということで今回は、11/1ライブボクシングのプレビュー記事、第一弾は、リングマガジン王者、京口紘人と、リングマガジンランキング1位の寺地拳四朗が雌雄を決する王座統一戦、そして同じくライトフライ級での戴冠を狙う岩田翔吉が、WBO王者であるジョナサン・ゴンサレスに挑む一戦をプレビューです。

 

 


11/1(火)ライブボクシング

WBAスーパー・WBC世界ライトフライ級王座統一戦

寺地拳四朗(BMB)19勝(11KO)1敗

vs

京口紘人(ワタナベ)16勝(11KO)無敗

メインイベントは寺地拳四朗vs京口紘人、日本のボクシングファンなら誰もが楽しみにする試合であり、多くのファンは少し複雑な気持ちでこの試合を見るのではないか、とも思います。

両者が強さを証明した、というこのタイミングでの激突は、嬉しくもあり、またその反面、本当にやっていいのか、という思いにも囚われてしまいます。

寺地拳四朗

寺地拳四朗は2014年にプロデビュー。わずか5戦目でWBC世界ライトフライ級ユース王座を獲得、続く6戦目で堀川謙一(当時SFマキ)を降し、日本ライトフライ級王座を獲得しています。

その後、OPBF王座を獲得して順当にステップアップした拳四朗が世界王座を獲得したのは2017年の事でした。

前年、木村悠(当時帝拳)から王座を奪っていたガニガン・ロペス(メキシコ)を相手に2-0の判定勝利を挙げ、WBC世界ライトフライい級王者に。初防衛戦では元王者、ペドロ・ゲバラ(メキシコ)をこちらも2-0の判定で退け、薄氷の防衛。

 

しかしこのあと、2度目の防衛戦以降は盤石で、世界挑戦時から取り組んでいた三迫ジムでのトレーニングが実を結び、抜群の距離感をもってリングの上を支配、ヒット&アウェイとカウンターというボクシングを築き上げていきます。

2度目の防衛戦でヒルベルト・ペドラサ(パナマ)を4Rで仕留めると、続く3度目の防衛戦は前王者となったガニガン・ロペス戦。そのロペスをまさかの2RKO、続く4度目の防衛戦でも元王者ミラン・メリンド(フィリピン)を7RTKO。5度目の防衛戦ではタフなサウル・フアレス(メキシコ)を仕留めきれませんでしたが、ほぼフルマークの判定勝利。

6度目の防衛戦ではジョナサン・タコニン(フィリピン)、7度目の防衛戦ではランディ・ペタルコリン(フィリピン)をそれぞれ4RTKOで切って落とし、負ける姿が想像できないボクサーへと成長、明確に「具志堅用高の13度防衛の記録を抜く」と公言し始めましたし、その記録はきっとこの拳四朗によってとうとう塗り替えられるのだろう、とも思っていました。

幾度も防衛を重ねてきた拳四朗でしたが、「世界タイトルの防衛」という重圧を感じていない素振りで、ファンとしてみている分には疲弊していないようにも感じていました。世界タイトルの防衛戦というのは、強豪との対戦となり、そのプレッシャーから防衛を重ねれば重ねるほど疲弊していく印象でしたが、それが全く感じない、不思議な王者でしたね。

 

7度目の防衛戦では、本来当時のIBF王者、フェリックス・アルバラード(ニカラグア)との統一戦が組まれるも、アルバラードの病気によりキャンセル、代役としてペタルコリンがリングに上がりましたが、長期防衛だけではなく統一戦へと進むレールも敷かれていました。

しかし好事魔多し、とはこのことで、世の中がコロナショックに入ってから、拳四朗は器物損壊騒動を起こし、それが週刊誌にリークされたことで8度目の防衛戦は延期に。

仕切り直して2021年4月に行われた久田哲也(ハラダ)との防衛戦では、本来の動きとはかけ離れてはいたもののほぼ完封の大差判定勝利。しかし同年9月に行われた矢吹正道(緑)との9度目の防衛戦で、10RTKO負けを喫して王座陥落してしまいました。

 

この日の拳四朗は、決して悪いパフォーマンスではなかったものの、矢吹の出色のパフォーマンスが光りました。序盤、ジャブを主体とした拳四朗が、いつものボクシングでポイントを取れなかった、ということも大きかったと思います。

ともあれ、一点突破という作戦を敢行した矢吹は素晴らしかったですね。

この敗戦からダイレクトリマッチの権利をもぎ取った拳四朗は、2022年3月、3RKOで矢吹にリベンジ。これは、これまでに見られなかった拳四朗の「覚悟」を感じた、これまでのベストバウトにも見えました。この試合で見せたのは、ファイトスタイルの変化だけではないはずです。

↓拳四朗vs矢吹1の観戦記

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↓拳四朗vs矢吹2の観戦記

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京口紘人

対して京口紘人は、2016年のプロデビュー以降6連続KO勝利でOPBF東洋太平洋王座を獲得。初防衛戦で初の判定勝利、ここで12Rを経験出来たことは大きかったのでしょう、その後、尊敬する辰吉丈一郎と同じくわずか8戦目でホセ・アルグメド(メキシコ)を降してIBF世界ミニマム級王座を獲得しました。

その王座を2度防衛ののち、2018年にヘッキー・ブドラー(南アフリカ)を倒し、WBAスーパー世界ライトフライ級王座を獲得。これはマカオでの戦いでしたね。世界2階級制覇を成し遂げるとともに、同年に敗れている先輩王者、田口良一(当時ワタナベ)の仇討ちにも成功しました。

その後、2度目の防衛戦では久田哲也(ハラダ)に効かされる場面も見受けられましたがしっかりと勝利。3度目の防衛戦は自身のコロナ罹患により直前になってキャンセル等、時勢に翻弄もされますが、この状況でも自らの行動でチャンスをつかみ取ります。

 

それは、自身のYoutubeチャンネルで発信することによる知名度のアップ、そして、DAZNとの契約とチーム・レイノソへの加入でした。

チーム・レイノソ(チーム・カネロ)へ加入した京口は、2021年3月、アメリカのリングに登場。ファン・フランシス・エストラーダ(メキシコ)vsローマン・ゴンサレス(ニカラグア)という軽量級最注目のアンダーカードであり、ここで非常に変わった勝ち方をして注目を集めます。

低身長のアクセル・アラゴン・ベガ(メキシコ)を相手にインファイト対決を挑み、序盤の互角の展開から抜け出そうかという5R、京口の「石頭」によりベガが右手を負傷、そのままTKO勝利。WBA王座の3度目の防衛に成功しました。

マカオ(中立国)での獲得、アメリカ(中立国、ややメキシコより)での防衛と段階を踏んだ京口は、とうとう完全アウェー、メキシコの地での防衛戦を選択。

4度目の防衛戦は、WBAレギュラー王者でもあったエステバン・ベルムデス(メキシコ)との団体内王座統一戦でした。

初めての高地での試合、完全アウェーという場所で、強いフィジカルとハート、そしてノンストップ連打を見せた京口は、ベルムデス贔屓の観客やレフェリーにも負けず、8RTKO勝利。敵地の洗礼を浴びながらも、それをねじ伏せたこの試合は、ベストバウトではなかったかもしれませんが、これまでのベストウィンだったかもしれません。

↓観戦記

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オッズ

海外ブックメーカーを調べると、やや京口が優位。

例えばbet365では、京口が-175、拳四朗が+137。若干ですが京口勝利に賭けるファンが多いようです。(※京口に175ドル賭けて京口が勝てば100ドルが手に入る。また、拳四朗に100ドル賭けて拳四朗が勝てば137ドルが手に入る、という表記です。)

だいたい試合が近くなるともう少し詰まりますが、どこも似たようなものですね。

ぶっちゃけこの試合については、ドロー(+2000)に賭けるのもアリではないか、とも思ってしまいます。(つまりドローに100ドル賭けて、もしドローになれば2000ドルもらえます。)

なんとなく、国内のボクシングファン、もしくはトレーナーや現役選手の間では拳四朗優位の声が多いような気もしますが、これはここ2戦、DAZNというプラットフォームでアメリカ、メキシコを転戦した京口の知名度と、日本国内でのみ戦っっている拳四朗との知名度の差、というのもありそうです。

気持ちの勝負

拳四朗は矢吹第二戦でインファイトを見せました。しかし、当然のごとく元々の戦法はヒットアンドアウェイ。今回はどちらでいくのか、といえば、場面場面で切り替えるだろう、というのが一般的な見方であり、アウトボクシングで様子を見てからどうするか決めるのでしょう。

京口は極上のファイターではあるものの、実はボクシングもできる器用さを持っています。ただ、今回は得意分野で勝負すると思うので、先手を仕掛けるのは京口だと思われます。

とか、展開うんぬんは色々と思うところもありますし、もっとあるのですが、この一戦は詰まるところ技術の勝負ではなく、ハートの部分の勝負だと思っています。

例えば拳四朗がアウトボックスで京口を上回ったとしても、京口は上回られたまま最終ラウンドのゴングを聞くのではなく、どこかでその身を投げ売ってチャージするでしょう。

そして、例えば京口のプレッシャーが拳四朗のボクシングを上回ったとすれば、拳四朗は己の持てる全てをかけて京口に特攻するでしょう。

 

拳四朗vs矢吹の第一戦のように、両者の意地とか覚悟とかプライドとか、そういったもの全部がぶつかる展開となる可能性は、非常に大きいと思っています。

もしそうならなければ、最後までともにクリーンヒットを許さず、どちらが勝ったのかわからない試合であり、やっぱり下手すればドローもあり得るくらいだと思っています。

あ、そういえば今回は途中採点はあるのでしょうか?これによっても展開はちょっと変わってきそうな感じもしますね。

まあ、楽しみで、楽しみで、本当に楽しみで、それでいてもうこの試合をやってしまうのか、という物悲しさを感じつつ、11/1は現地で楽しみたいと思います。

 

WBO世界ライトフライ級タイトルマッチ

ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)26勝(14KO)3敗1分

vs

岩田翔吉(帝拳)9勝(6KO)無敗

そしてこのメインがあって、このセミファイナルというのはまた非常に趣深い。

この日、4つあるライトフライ級のうち、3つのタイトルが日本に集まります。

この勝者が拳四朗vs京口の勝者に挑戦する、云々はまた次の話であり、今言及することではないと思うのですが、この試合の並びを見ると当然その夢は膨らみます。

そしてそれは、我々にとって岩田翔吉であってほしい、とも思います。

 

ただ、このジョナサン・ゴンサレスというボクサーは強敵です。

プロデビューは2011年4月、初黒星は2014年に行われたWBAの地域タイトル戦で、元世界王者のジョバンニ・セグラ(メキシコ)に挑戦しての4RKO負け。

その後は勝ち続けたゴンサレスは、地域タイトルをコレクトしていきますが、2016年3月、ジョバート・アルバレス(フィリピン)に6RKO負けを喫して地域タイトル近辺で停滞、世界初挑戦を叶えたのは2019年のWBO世界フライ級タイトルマッチでした。

この試合で評価の高い田中恒成(畑中)からダウンを奪う大健闘をみせるも7RTKO負けで王座獲得ならず。

ここで、フライ級では王座を獲れないと自覚したのか、5年ぶりにライトフライ級へ転級、地域タイトルをとって2021年にエルウィン・ソト(メキシコ)の持つWBO世界ライトフライ級タイトルへの挑戦へとこぎ着けました。

この試合で稀代のアウトボクシングを展開したゴンサレスは、絶対不利の下馬評を覆して判定勝利、デビューから10年目にして世界タイトルを初戴冠。初防衛戦は2022年6月、マーク・アンソニー・バリガ(フィリピン)を判定で退け、初防衛に成功しています。

 

そして今回2度目の来日、2度目の防衛戦に臨みます。

対して岩田翔吉は、2018年にアメリカでプロデビュー。その後、7戦目で日本ライトフライ級王座決定戦を勝ち、日本王座を初戴冠、初防衛戦は初回TKO勝利で飾り、2022年7月にはOPBF東洋太平洋ライトフライ級王者、堀川謙一(三迫)との王座統一戦で判定勝利を挙げて今回の一戦。

↓堀川vs岩田の王座統一戦

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岩田にとって、ジョナサン・ゴンサレスとの相性は決して悪くはないのではないか、と思います。大きくキャリアで上回るゴンサレスの武器は徹底したアウトボクシングであり、その道程で放つカウンターでもあります。

大きく回るゴンサレスを捕まえるには、ジリジリとプレッシャーをかけるよりも、一瞬のスピードで、閃きで踏み込んだ方が捕まえやすいと思われます。

そして岩田翔吉には、その踏み込みのスピード、思い切りの良さという武器があり、そこからつなげるコンビネーションも非常にパワフル。

このパワーというのもゴンサレス攻略の武器であり、ジョナサン・ゴンサレスはお世辞にも打たれ強いとは言えません。これまで3つの敗北はすべてストップ負けであるということも事実であり、これは岩田にとって大きなアドバンテージとなるのではないでしょうか。

 

岩田は得意の飛び込みアッパーでインサイドに入り、そこから強打のラッシュにつなげたいところですが、その入るタイミング、ポジショニングを考え、ゴンサレスの左カウンターに注意して試合を進めなければいけません。

そして、何よりも警戒すべきはゴンサレスのキャリアであり、田中恒成戦よりも一段階強いジョナサン・ゴンサレスが出てくると思って間違いはないでしょう。

ジョナサン・ゴンサレスは強敵ですが、五分以上に岩田の勝利の可能性がある、と個人的には思っています。ライトフライ級、(一瞬だけ)日本人3人目の王者となってくれることを期待しましょう。

 

放送・配信

長くなってしまうので第一弾はここまでですが、この興行はAmazonプライムビデオで生配信してくれます。

配信日時は11/1(火)17:30〜のライブ配信で、上記の2試合のほかに中谷潤人vsフランシスコ・ロドリゲスJr、そして吉野修一郎vs中谷正義という至高の4戦を配信です。

これは見るしかありません。

ちなみに、アメリカではこの「クアドラプル・ヘッダー」をESPN+が配信予定。

そして、ヨーロッパ圏ではDAZNが生配信となっています。

前回(井上vsドネア2はESPN)、前々回(GGGvs村田はDAZN)と日本の映像は美しい、と各国で評判になったAmazonプライムビデオの中継。第三弾もきっと世界のボクシングマニアたちが期待をしてくれていることでしょう。

この試合を経て、世界的な名声を手に入れるのはどちらのボクサーか。

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↓アンダーカードのプレビュー記事!

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↓これまでに日本で行われた王座統一戦!

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【プレビュー】元王者ジョセフ・ディアスvs26勝勝23KO無敗ウィリアム・セペダ!GBPonDAZN!!

世界中のボクシングファンが期待する世界ウェルター級の統一戦、エロール・スペンスJr(アメリカ)vsテレンス・クロフォード(アメリカ)の一戦はどうやら雲行きが怪しいらしい。

当初11/19という具体的な日程が出ていたこの一戦は、今月の頭だったか2/4とされて暗雲がたちこめたあと、結局、12/10にクロフォードはデビッド・アバネシヤン(ロシア)と戦うと発表されました。

アバネシヤンは11/19に予定していたヨーロッパ王座の防衛戦をキャンセル、クロフォードの地元であるオマハに乗り込むそうです。

 

結局、現代ボクシング最高の対決は実現しないのかもしれません。

これはこのボクシング競技の悪いところですね。。。もう、一旦忘れましょう。

このスーパーファイトがなくても、私達ボクシングファンには年末までの楽しみがたくさんあります。

10月最終週末には、ロマチェンコのリング復帰もありますし、今回プレビューを書くこの一戦もあります。

ということで今回のブログでは、個人的に超楽しみにしているジョセフ・ディアスvsウィリアム・セペダ、DAZN興行のプレビュー記事です。

 

10/29(日本時間10/30)アメリカ・カリフォルニア

ジョセフ・ディアス(アメリカ)32勝(15KO)2敗1分

vs

ウィリアム・セペダ(メキシコ)26勝(23KO)無敗

たぶん、日本での注目度は薄いのでしょう。

同日に行われるワシル・ロマチェンコvsジャーメイン・オルティスの方が(日本においては)注目度が高いのはわかりますし、個人的にも楽しみです。

但し、このロマチェンコvsオルティスというのは、おそらく実力差のあるマッチメイクと言ってもよく、ロマチェンコが万全であればロマチェンコの勝利は固いであろう、という試合。

つまりはロマチェンコの出来がどうか、というところから、そこにオルティスがどうつけこんでいけるか、という試合であり、結局の所はロマチェンコのパフォーマンスに注視すべき試合です。

しかし、このディアスvsセペダは違います。

 

ジョセフ・ディアス、通称「ジョジョ」は元IBF世界スーパーフェザー級王者。非常にアグレッシブなファイトスタイルを持つボクサーで、フィジカルが強い。

一発一発をしっかりと撃ち抜くタイプのボクサーで、そのパワーパンチは非常に強力に見えますが、意外とKO率は高くありません。パワーレスには全く見えませんが、KO率が50%以下というのはちょっと意外です。

アグレッシブで常にエキサイティングな試合を見せてくれるから七日、非常に人気が高いボクサーですね。

2012年にプロデビューしたジョジョ・ディアスは、2018年に世界初挑戦。当時ディアスが挑んだ世界王者は、WBC世界フェザー級王者、ゲイリー・ラッセルJr(アメリカ)でした。

ディアスのプレッシャーはラッセルには通じなかった、といえばそれまでなのですが、安定王者ラッセルが陥落するまでの間、つまりは防衛戦で戦った相手で最も手を焼いたのはこのディアスだったはずです。

初黒星から再起したディアスは、2020年1月にIBF世界スーパーフェザー級王者、テビン・ファーマー(アメリカ)に挑戦します。

ファーマーはラッセルと似た、いやともすればラッセル以上に安全運転に徹するボクサータイプだっただけに、おそらくディアスはファーマーを攻略できないだろう、と思っていました。

しかし蓋を開けてみれば、常にプレスをかけ続けたディアスは、ファーマーをタフファイトに引き込み、見事な判定勝利。これは殊勲の勝利でした。

 

人気のあるボクサーが世界王者となってこれから、という初防衛戦。このジョジョ・ディアスは秤の上で王座を失うという失態を犯し、変則タイトルマッチとして開催されたシャフカッツ・ラヒモフ(タジキスタン)との防衛戦でドロー、タイトルは剥奪。

この一戦で、ディアスは途中で減量を諦めていますが、これは「自分の健康が一番大事」というプロらしからぬ発言。それはそうなんですが、だったらこの階級で戦うな、ということになりますね。

ともあれ、ライト級に転級したディアスは、早々にチャンスをもらいます。

ハビエル・フォルトゥナ(ドミニカ共和国)とのWBC世界ライト級暫定王座決定戦です。

その人気からか優遇されるディアスは、このフォルトゥナとの一戦に勝利、暫定王座を手に入れますが、続く正規王者との統一戦でデビン・ヘイニー(アメリカ)に敗れ、無冠に。そもそもこの時、ディアスvsフォルトゥナに暫定王座をかけられたのもあまり納得のいくものではありませんでしたが。

 

そしてこの2敗目から約10ヶ月の時を経て、この度復帰戦がウィリアム・セペダ戦。

ウィリアム・セペダは26戦全勝、26歳の若きプロスペクトで、そのKO率は驚きの88%強というものです。

セペダは2015年にプロデビュー、メキシコでじっくりとキャリアを積み重ねてきました。

前戦では元王者、レネ・アルバラード(ニカラグア)に判定勝利を収めてはいるものの、それまで元王者等の大きく名前のあるボクサーを破った経験はありません。

このセペダのKO率というのは素晴らしいもので、「一体どんなパワーパンチャーなのか」と期待するところなのですが、このセペダは連打型のファイター。

一発一発が優れている、というよりも、コンビネーション、とさえもいうことが出来ない連打が武器。

これはそう、まさしく「連打」であり、とにかく打って打って打ちまくる、というのがセペダの戦い方です。とにかく手が止まりません。

 

歩きながら、動きながらでもパンチを出していき、相手のパンチが自分の顔面に被弾しようとも手を出し続けるノンストップ連打。

面白いくらいに止まらないセペダの手数に根負けして、もしくは手が出なくなってしまって、レフェリーが割って入るというパターンが多いような気がします。

パワーパンチを持つディアスと、止まらない連打を持つセペダ。

この対決は、非常にエキサイティングな試合になることが確定されているような一戦で、試合は序盤から打ち合いとなるでしょう。

その中で大切なのは距離であり、共に前に出て戦うファイタータイプだからこそ距離が詰まりやすく、ゼロ距離になる前にどちらが先に、どちらが多く、パンチをコネクトできるか、という勝負であり、また、おそらく多くのパンチの交換があることから、タフネスも試される試合でもあります。

海外のオッズを調べると、ほぼ互角ながらもほんの少しだけセペダが優位、という、何とも予想のつきづらいものになっています。戦績というものが素晴らしいから、セペダの評価が高いのでしょうか。それとも、ディアスの評価が低いのでしょうか。

 

セペダはまだ未知の部分が多いため、予想がつきづらいのかもしれませんが、現状で予想をするとしたならばディアスの勝利の方が堅い気がしますが。

大激闘が確約され、勝敗は読みづらい。これは一見の価値あり、ですね。

↓ディアスvsラヒモフの観戦記

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アレクシス・ロチャ(アメリカ)20勝(13KO)1敗

vs

ヘスス・ペレス(メキシコ)24勝(18KO)3敗

セミファイナルにはウェルター級のプロスペクト、アレクシス・ロチャが登場です。パワフルなコンビネーションを持つロチャは、2022年7月の前戦では非常にディフェンシブな戦いをするルイス・アルベルト・ベロン(アルゼンチン)に判定勝利を挙げています。

しかし、その前は3連続KO勝利、その中には当時無敗のブレア・コブス(アメリカ)も含まれています。

初黒星は2020年10月のことで、無敗のプロスペクト対決となったラシディ・エリス(アメリカ)戦での判定負けを喫していますが、上記の通り復調していると思って良いでしょう。

ちなみにこのロチャは、2019年4月に坂井祥紀(現在横浜光)にも勝利しているボクサーです。

対戦相手はヘスス・ペレス。ヘスス・ペレスという名前でBoxRecを検索すると、山のようにボクサーが出てくるほど一般的な名前のペレスは、本名がヘスス・アントニオ・ペレス・カンポスと言うようです。

これまでの3敗は全てプロスペクト相手に喫しており、好戦績、好KO率を誇っていますが、試合自体が約3年ぶり。ここはロチャに快勝してほしいところですね。

 

放送・配信

その他のアンダーカードは、IBF女子フライ級タイトルマッチ、レオネラ・パオラ・ユディカ(アルゼンチン)vsアレリー・ムシーニョ(メキシコ)、そして日本のボクシングファンにも大いに興味が湧く試合としては、スーパーバンタム級の無敗プロスペクト対決、ヘクター・バルデス(アメリカ)vs マックス・オルネラス(アメリカ)というのもありますね。バルデスが15勝(8KO)無敗、オルネラスが15勝(5KO)無敗1分、どちらもメキシコ系アメリカ人ですが、この試合のAサイドはGBP所属のバルデスです。

このGBP興行はDAZNが生配信、日程は日本時間で10/30(日)10:00〜となっています。

大激闘必至、好試合必至となるジョジョvsセペダ、お見逃しなく。

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【プレビュー】ライブ配信決定!和氣慎吾vs中川麦茶、鈴木雅弘vs近藤哲哉、重田裕紀vs坂井祥紀!!

10/20(木)のDANGAN興行に続いて、10/22(土)のA-SIGN&DANGANもBoxingRaiseで生配信。これはありがたい!

↓10/20のDANGANプレビュー

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さらに10/23(日)にはDAZN、sakanaさんのYoutubeチャンネルでもライブ配信のボクシング興行があり、10/25(火)にはフェニックスバトルが生配信。これは全部視聴できる気がしません。

10/30(日)にも多くのライブ配信が控えている状況で、11/1(火)にはいよいよアマゾンプライムビデオプレゼンツ、ライブボクシング。

怒涛です。

ということで今回のブログでは、和氣慎吾vs中川麦茶をメインに据えた、A-SIGN&DANGAN興行のプレビュー記事です。

 


10/22(土)A-SIGN&DANGAN

フェザー級8回戦

和氣慎吾(FLARE山上)28勝(20KO)7敗2分

vs

中川麦茶(一力)24勝(14KO)9敗2分

メインイベントは、和氣慎吾の登場です。

2013年に小國以載(現・角海老宝石)を降しOPBF東洋太平洋王座を獲得、挑戦者決定戦を勝って2016年の大晦日に当時のIBF王者。ジョナタン・グスマン(ドミニカ共和国)に挑戦してからもう6年が過ぎようとしています。

その後も久我勇作(当時ワタナベ)を倒し、日本王座を獲得する等、敗れはするもののコンスタントにその地位を築いてきた和氣でしたが、2019年にノンタイトル戦でジュンリエル・ラモナル(フィリピン)にまさかの敗戦、そこから再起するも井上拓真(大橋)に敗れ、世界戦線からは大きな後退を余儀なくされました。

2022年6月、水谷直人(KG大和)を7RTKOで再起しますが、この試合ではやや不調を思わせるようなボクシング。不調というか慎重という言葉の方がしっくりくるかもしれません。

 

この時の勝利者インタビューで、「世界王者になる」と宣言したものの、その再起ロードはまだまだ茨の道が続きます。

今回の一戦でも、「これに勝てば大きく道が拓ける」という試合ではなく、「良いパフォーマンスを見せて望みをつなぐ」もしくは、「勝って当然の試合」のはずであり、そういうところにこそ魔物が潜んでいます。

対戦相手の中川麦茶、こちらは元日本ランカーで、実力者。

2019年にフィリピンでWBCの地域王座に挑むも惜敗し、引退。それから2年8ヶ月後、一力ジムへの移籍を経て、再起しています。

再起戦で赤穂亮(横浜光)を大いに苦しめますが、判定負けを喫し、続く再起2戦目でも二瓶竜弥(DANGAN郡山)に判定負けを喫しています。

 

当然、実績で上回るのは和氣慎吾。ただ、それは中川も承知でしょうから、和氣の嫌がることを次々とやってくるでしょう。それを意に介さず、和氣が本来のスピード、キレで圧倒するようなら復調したと言って良いでしょうし、未来は明るいかもしれません。

しかし、試合巧者とも言える中川のボクシングに巻き込まれてしまえば、思わぬ苦戦、それが飛び抜ければ敗戦となる可能性もゼロではありません。

水谷戦は、躍動感に欠けた感じがした和氣慎吾というボクサー。かつての輝きを取り戻し、是非良い勝ち方をしてもらいたいものです。

 

スーパーライト級8回戦

鈴木雅弘(角海老宝石)7勝(4KO)1敗

vs

近藤哲哉(横田スポーツ)6勝(4KO)6敗

セミファイナルには、元日本王者、鈴木雅弘が登場です。

2018年にプロデビュー、2021年には永田大士(三迫)を降し日本スーパーライト級王座を獲得、返上して「適正階級」であるライト級で挑戦者決定戦に出場。

この挑戦者決定戦を何とか勝利した鈴木は、吉野修一郎(三迫)が返上した王座を巡って宇津木秀(ワタナベ)と激突しました。

五分五分かと思われた一戦は、意外にも宇津木が一方的にインサイドから打ちまくり、鈴木は9RTKO負けで初黒星。

今回はそこからの復帰戦となりますが、スーパーライト級に戦場を戻しての再起となります。

↓鈴木vs宇津木の日本タイトルマッチ!

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近藤は6勝6敗と、白星と黒星が同数のボクサーながらも、戦ってきた相手は格上の強豪ばかり。ここ数戦の4連敗という内容も、元日本スーパーライト級王者永田大士、同級ユース王者の湯場海樹(ワタナベ)、大橋ホープの安達陸虎(大橋)、前日本ウェルター級暫定王者小畑武尊(ダッシュ東保)という戦歴。

ライト〜ウェルターで戦う近藤は、生粋の「アンダードッグ」扱いではあるものの、どこかで大物食いを果たしそうなボクサーでもあります。

鈴木としてはぐいぐいと攻めてくる近藤に対して、そのセンスを存分に活かしたカウンター、そして和製カネロとの呼び声も高いプレッシャーボクシングで対抗していくのでしょう。

非常にエキサイティングな試合となることは請け合いです。

鈴木は序盤で倒せれば穴が見えないかもしれませんが、後半に行けば集中力が切れ、雑になる傾向があるボクサー。近藤としては前半耐えて、後半勝負に持っていきたいところですね。

ただ、序盤の鈴木はめちゃくちゃ強い。壮絶なノックアウト劇が生まれる予感がします。

 

日本ウェルター級挑戦者決定戦

重田裕紀(ワタナベ)8勝(5KO)2敗1分

vs

坂井祥紀(横浜光)26勝(14KO)13敗2分

セミセミに挑戦者決定戦。先日、見事な防衛を果たした小原佳太(三迫)への挑戦権を賭けた一線となります。

2020年8月31日、メキシコ帰りのプロボクサーとして話題になった坂井祥紀の、日本初戦の相手を務めたのは重田裕紀。そこから2年と2ヶ月ぶりの再戦となります。

重田は2017年の全日本新人王決定戦で安達陸虎(大橋)に勝利し、全日本新人王に。

そこで獲得したランキングを徐々に上げていきますが、一桁に乗ったところで坂井との一戦を受け、判定負け。ランキングは二桁にダウン。

 

しかし、この坂井戦での敗戦からは2連続KO勝利を記録、前戦では元日本王者、矢田良太(当時グリーンツダ)を破った出田裕一(三迫)に初回TKO勝利であっという間にランキング上位に。

坂井戦での敗戦で何かを掴んだのか、非常に好調です。

対して坂井は、出田戦後、のちの暫定王者、小畑武尊(ダッシュ東保)に勝利して小原佳太の持つ日本タイトルに挑戦。ここを僅差の判定で落とし、メキシコでの再起戦をクリアしてアジア2冠の豊嶋亮太(帝拳)に挑戦します。

これは完敗と言って良い内容であり、これまでの重厚なキャリアから、その殻を破れない、という感じがしました。

再戦とはいうものの、当時から比べて伸び代があったのは重田の方であり、そして重田は間違いなく伸びています。

日本に来る前、すでにボクシングが完成されていた坂井は、その上積みがなされた状態の重田にもう一度勝てるかどうか。

キャリアの違い、一度勝っている、という観点からすれば、当然坂井の優位は頷けるものではありますが、今回の一戦は坂井にとっても背水の陣で臨まなければいけない戦いではないでしょうか。

坂井には是非、何かしらのタイトルを獲ってほしいと思っているので、ここで良いパフォーマンスを期待したいものです。

 

 

↓観戦記

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放送・配信

さて、前述の通り、この興行はBoxingRaiseで生配信。

日程は、10/22(土)17:50〜となっています。

上記の3試合に6試合を加えた全9試合で行われます。

今契約すれば、10/20(木)のDANGAN興行も含めて、月額980円で見れるチャンス。絶対契約しておいた方が良いです。

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【プレビュー】ライブ配信決定、堤聖也vs大嶋剣心の日本バンタム級TM!セミには同級挑戦者決定戦!

めちゃくちゃ嬉しいニュース!

10/20に開催されるDANGAN興行が、BoxingRaise久々の生配信!!

以前、DANGANの古川代表のインタビュー記事で、生配信は通常の撮影して録画配信するよりも数十倍のコストがかかる、と。

ZAIKOのPPVとかで全然良かったんですが、今回の生配信はBoxingRaise月額980円の範囲の中であり、追加料金が必要ない、とのことです。

選手へ激励賞を出すみたいに、何だったらBoxingRaiseさんにお布施をしたい。

(そして10/22のA-SIGN&DANGANも生配信してくれるらしい!)

ということで今回は、10/20(木)に行われる、DANGAN、日本のバンタム級戦線の今後を占う興行のプレビュー記事です。

 


10/20(木)DANGAN

日本バンタム級タイトルマッチ

堤聖也(角海老宝石)6勝(5KO)無敗2分

vs

大嶋剣心(帝拳)7勝(3KO)2敗1分

かつて「呪われたバンタム」と呼ばれた階級は、なかなか決まらなかった王座をやっとの思いで澤田京介(当時JBスポーツ)が獲ったのが2022年2月の話。

この時、5R0分27秒の負傷判定で王者は澤田、となったのですが、3Rに既にバッティングで血まみれ状態、続く4Rにもバッティングがあり、5R早々にストップ。

 

4Rが終了しなければ試合として成立しなかった一戦は、何とか5Rの開始に漕ぎ着け、そこでのストップとなって試合成立、このことは新王者となった澤田にとっては幸運なことであり、敗れた挑戦者、大嶋剣心にとっては本当に不幸なことでした。

これは、「この試合で何としても日本バンタム級王者を決めなければならない」という、周りの意志を感じた試合でもあり、これまでの「呪われた」経緯さえなければ、3Rか4Rのバッティングでの負傷判定ドローが妥当ではなかったか、と今でも思っています。

↓観戦記

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この時の「新王者誕生」について、ここで呪いが解けたと思えなかったのが個人的な感想。

序盤からハイペースで飛ばした両者、また久々の試合ということもあって、前のめりになってしまったことでバッティングは必然だったのかもしれませんが、何とも後味は良くない結末ではありました。

しかしその後、澤田は指名挑戦権を持つ堤聖也を迎えた一戦で、8RTKO負け、王座から陥落。ここでようやく、バンタムの呪いは晴れたと言って良いでしょう。

↓観戦記

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長く勝ち星に恵まれなかった堤は、この2022年6月に行われた日本タイトルマッチがなんと3年ぶりの白星。

決まっては流れる試合、中嶋一輝(大橋)、比嘉大吾(志成)という格上との2連戦での2連続ドロー、困難が巻き起こる雌伏の時を経て、なぜかトップランカーになった堤は、呪われていたようで祝福されていたのかもしれず、アンラッキーに思えてラッキーなのかもしれない不思議な王者。

ただ、そんなものは捉え方次第なのでしょう。この時、諦めなかったから、前向きに捉えられていたからこそ迎えられたであろうチャンスを、一発でものにした日本バンタム級王者、堤聖也は、非常にインテリジェンス、ボクシングIQに優れるハードパンチャー。

対して大嶋剣心は、前戦で不運にも負傷判定負けを喫し、2度目の日本タイトルアタック。

澤田京介とは4Rまで全くの五角の争いであり、確かな実力を持っています。

まさに「帝拳の正統派」というイメージのボクサーであり、日本ボクシング界の王道をいくボクシングをする、という選手だと認識しています。

 

ただし、この戦いはスタイルの戦いではないようにも思います。

二人は友人同士であり、大嶋がタイトルへ挑戦したときには堤は大嶋を応援し、堤がタイトルへ挑戦したときには大嶋が堤を応援していた、と。

そして新王者になった堤聖也は、選択防衛戦の相手として7位の大嶋剣心を指名しました。そして、大嶋剣心はそれを受けました。

お互いに、「友」を蹴落とさなければ登っていけない状況を作り出した、とも言えます。

試されるのは双方の覚悟であり、これから勝者が進むのは、友の思いを背負っていち早く登っていくことでしょう。

どちらの「修羅の道を突き進む覚悟」がより上なのか。

ボクシングファンとしては、純粋にどちらが強いのか、を楽しめる素晴らしいマッチアップでもあり、またボクシングという競技の切なさ、儚さを感じられる試合。

いずれにしろ、両者にとって怪我なく、そして無事にリングを降りられることを願い、歴史に残る好試合となることを心から期待しています。

 

日本バンタム級挑戦者決定戦

南出仁(セレス)6勝(5KO)2敗

vs

与那覇勇気(真正)12勝(8KO)3敗1分

そして、セミファイナルにはその日本バンタム級王者に挑む、挑戦者が決定するエリミネーター。

メインにタイトル戦、そのセミで挑戦者決定戦、という興行は、海外では比較的よく見かける気もしますが、日本では(組みやすいはずなのに)意外と少ないのが現状。この興行のマッチアップは素晴らしいですね、さすがDANGAN。

さて、南出仁は2018年にB級デビュー、2019年にGOD`S LEFTバンタム級トーナメントで中嶋一輝(大橋)に初回KO負けで初黒星、その後再起戦で石井渡士也(REBOOT.IBA)に5RTKO負けで連敗を喫しています。

その後ノンタイトル戦で2連続KO勝利、じわじわとランキングを上げてきて今回の挑戦者決定戦に出場することになっています。しっかりとしたアマ経験、確かな技術を持つ南出の最大の武器は、その左ストレート。特にオーソドックスを相手にしたときに不意に出るノーモーションの左は、オーソドックスのボクサーにとって非常に厄介ではないかと思います。

対して与那覇は2013年のプロデビューですが、2016年に長嶺克則(当時マナベ)に2RTKOで敗れた後、引退。3年後の2019年10月にリング復帰を果たします。

 

その再起ロードは、復帰戦こそドローとなりましたが、その後は5連勝。復帰後は、リング上を自在に動き、パンチのアングルは閃きに溢れている、華のあるボクシングを展開しています。

これは非常に予想が難しい戦いになるのではないでしょうか。

与那覇のように、変則的にパンチを振るうボクサーを倒すのは、いつでも内側からパンチを打てるボクサーであり、それもサウスポーということもあって南出はその要件を満たしています。

しかし、ディフェンスよりもオフェンスを重視しているであろう南出に、あの与那覇の変則アッパーは非常に効果的であり、しかも南出は打たれて強い、とは言えません。

そして、両者のアグレッシブネスを考えると、これは瞬きすら許されない、KO決着必至の戦いになるのではないかと思います。

このセミファイナルも超注目です。

 

スーパーフライ級8回戦

飯村樹輝弥(角海老宝石)vsエスネス・ドミンゴ(フィリピン)

ソンブレロをかぶって入場もお馴染みの、飯村樹輝弥。チーム・カネロの一員であり、メキシコでのトレーニングも非常に実になっていることを伺わせます。

2021年に6回戦デビューした飯村は、2戦目で元トップアマ対決。川崎智輝(サンライズ)を判定で退けると、2021年12月には元日本王者、奥本貴之(グリーンツダ)を攻略。

敵地で元日本王者を破る、という殊勲を挙げた飯村は、3勝(1KO)無敗という戦績で、はっきり言って対戦相手探しに難航する状態になってしまっているのでしょう。

今回の相手は、キャリア初の外国人ボクサーが相手で、エスネット・ドミンゴは16勝(8KO)2敗という好戦績と「ハードヒッター」という愛称を持っているボクサーです。

 

ちなみに、ボクシングモバイルにはWBOアジアパシフィック・フェザー級15位とありますが、これは流石に間違いで、オフィシャルのHPを確認するとスーパーフライ級の15位にその名前を見つけました。

これまで、フィリピンの他、ベトナムや南アフリカでも戦っていますね。ちなみに前戦は2022年5月、南アフリカでの一戦で、判定負けを喫しています。

どんなボクサーが出てくるのかは楽しみですが、ここは飯村にスカッと勝ってもらいたいですね。

放送・配信

冒頭にもお伝えした通り、この興行はBoxingRaiseが生配信してくれます。

日程は10/20(木)17:50〜です!

しかも追加料金なし、とのことなので、BoxingRaiseに常に加入している人は0円で、加入していない人は980円/月でみれます。加入していない人は是非この機会に加入して、1ヶ月は同額で見られますので、過去の試合を漁ってみてください。

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【プレビュー】デオンテイ・ワイルダー復帰興行の最注目はアントニオ・ラッセルvsエマニュエル・ロドリゲス!

いよいよ迫る、10/16。

この日は、クラレッサ・シールズvsサバンナ・マーシャルのイギリス興行をはじめ、ヘイニーvsカンボソスのライト級4団体統一戦、デオンテイ・ワイルダーvsロバート・ヘレニウス、そして国内でもKNOCK OUT BOXING興行のライブ配信があり、ボクシングファンにとって非常に忙しい日になりそうです。

WOWOWくらいしかなかった頃は考えられない程、生配信が増えた現在、ボクシングファンとしても観る興行を選ばなければ行けない時代となっていますね。

さて、今回のプレビュー記事はワイルダーvsヘレニウス。アメリカではFOXのPPVで視聴できるこの興行は、日本ではなんとWOWOWとU-NEXTでの配信、とプラットフォームまで選べます。

多くのボクシングファンはWOWOWと契約していると思いますが、単発ならばややU-NEXTの方がお得か、というところですが、個人的にはこういうバッティングは避けてもらいたいところ。

まあ、そんなこんなでプレビュー記事。

 

10/15(日本時間10/16)アメリカ・ニューヨーク

デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)42勝(41KO)2敗1分

vs

ロバート・ヘレニウス(フィンランド)31勝(20KO)3敗

タイソン・フューリーに2連敗するも、まだまだ人気の高い元王者、デオンテイ・ワイルダー。

42勝中41KOという破格の強打を誇る「アメリカの」王者が、人気が出ないわけがありません。

2敗、1分ともにタイソン・フューリーに喫したものであり、ワイルダーにとってフューリーは鬼門そのものです。

フューリー戦の前はルイス・オルティス戦になるので、今回の一戦で実に約3年ぶりのKO勝利なるか、というところです。

対戦相手のロバート・ヘレニウスは直近の試合でアダム・コウナッキとの2連戦で2連勝しています。

この2連戦については、元々コウナッキのステップアップファイトのはずでした。2020年3月、当時20勝(15KO)無敗という戦績だったコウナッキが、中堅どころのヘレニウスを倒して、世界戦線へ躍り出る、という筋書きだったはずです。

しかし蓋を開けてみれば、ヘレニウスが4RTKO勝利。ダイレクトリマッチでもヘレニウスはコウナッキを6RTKO勝利で降し、このチャンスを手繰り寄せました。

 

このコウナッキは、その2連敗からの復帰戦でも敗戦しており、3連敗しています。

ヘレニウスは世界のトップボクサーではありませんが、アップセットを起こしたこともあるボクサーであり、実力的には侮れないことも事実。

しかし、今回の一戦のキモはデオンテイ・ワイルダーの復活の狼煙であり、超豪快に倒してワイルダーここに在り、を見せつけるための一戦のはずです。

2連続KO負け、という屈辱を味わったワイルダーが、果たしてどのようなボクサーになって帰ってくるのか、それを楽しみにしたいと思います。

 

ケイレブ・プラント(アメリカ)21勝(12KO)1敗

vs

アンソニー・ディレル(アメリカ)34勝(25KO)2敗2分

メインイベントはデオンテイ・ワイルダーの復帰戦ですが、セミファイナルはケイレブ・プラントの復帰戦です。

プラントは2021年、サウル「カネロ」アルバレスとの世界スーパーミドル級4団体統一戦に臨み、11RTKO負け。特に序盤、非常に上手く戦いましたが、後半にカネロの圧力に屈してしまいましたね。

プラントは変わらずスーパーミドル級で戦うようですが、復帰戦の相手がアンソニー・ディレルというのは非常に強気。というか、(当たり前のことかもしれませんが)本気中の本気で、しかも最短距離でタイトルへのカムバックを狙っていると言えます。

 

ディレルは前戦、マルコス・エルナンデスを4Rで仕留める会心の勝利。

その前がカイロン・デービスとドロー、その前はデビッド・ベナビデスに9RKO負けと冴えませんでしたが、前戦で復活したような印象さえあります。

元IBF世界スーパーミドル級王者、ケイレブ・プラントと、元WBC世界スーパーミドル級王者、アンソニー・ディレル。

共に過去、王座を勝ち取ったこのスーパーミドル級で戦うこの一戦は、次期世界王者の決定戦と言っても良いマッチアップでしょう。(カネロ次第ですが。)

これは実力伯仲ではないでしょうか。非常に楽しみな一戦です。

 

フランク・サンチェス(キューバ)20勝(13KO)無敗

vs

カルロス・ネグロン(プエルトリコ)25勝(20KO)3敗

ちょうど1年前、エフェ・アジャグバ(ナイジェリア)とのプロスペクト対決に勝利したフランク・サンチェス。現在リングマガジンランキングでもトップ10入りを果たす「キューバン・フラッシュ」はカルロス・ネグロンを相手に10回戦を戦います。

名のある相手との対戦経験はまだないネグロンが相手ということで、これは調整試合と言っても良いレベルかもしれませんね。

ただ、キューバ出身のサンチェスが、ヘビー級で超人気のワイルダーのアンダーカードに出場、というのは非常に夢のあることで、多くの人が見るであろうこのアンダーカードでインパクトを残せば、この先につながっていくのかもしれません。

とにかくここは、サンチェスの豪快な勝ちっぷりに期待したいところです。

 

ゲイリー・アントニオ・ラッセル(アメリカ)19勝(12KO)無敗

vs

エマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)20勝(13KO)2敗

そして、プラントvsディレルに負けず劣らず、というか、我々日本のボクシングファンが最も注目しているのは、この試合。

ワイルダーは勝って当たり前、スーパーミドル級という階級は日本から見ると別の世界の出来事に思えるためかもしれません。

2019年に井上尚弥に完膚なきまでに倒された後、決まった挑戦者決定戦は対戦相手(ネリ)の体重超過により行われず、まるでその原因がロドリゲスにあったかのように挑戦権ももらえず(ドネアが挑戦)、久々に上がったリングでは判定を盗まれ(暫定王座決定戦・ガバリョ戦)、そこから9ヶ月後に上がったリングでは1R、バッティングによるノーコンテスト(ラッセル戦)。

 

2022年3月、格下相手に初回KO勝利で久々の勝利の味を噛み締め、今回のリング。

対戦相手は2021年8月、初回のバッティングでノーコンテストとなった因縁の相手、ゲイリー・アントニオ・ラッセルです。

カウンターを主武器とするエマニュエル・ロドリゲスのスキルは非常に優れています。反面、フィジカル面で強いとは言えず、おそらくハートもガラスなのだろう、と推察されます。

それは、井上戦をみても明らかで、もっと言えばマロニー戦でも押される場面、ちょっと弱気になる場面も目立ちました。マロニー戦での苦戦は、おそらくスキルに勝るロドリゲスに対して、ハートの強いマロニーがその差を埋めた、という内容だと思われます。

ガバリョ戦ではアウトボクシングに徹し、確かにスキルはあるものの一切前で戦おうとしなかったロドリゲス、あそこまでパンチを当てていればもう少しアグレッシブに攻めてもよさそうなものでしたが。

自身の打たれ脆さを自覚している感じのボクシングは、劣勢を跳ね返せる力がないのではないか、と思います。

さて、かつての絶対王者ゲイリー・ラッセルJrの弟であり、パーフェクトレコードを継続中のゲイリー・アントワン・ラッセルの兄であるアントニオ・ラッセル。

 

ボクシング一家で最も冴えないとも言えるアントニオですが、当然ハイレベルでまとまっている良い選手です。

しかし、取り立てて何が優れている、と言い切れない部分もあるのも事実であり、これは兄弟と比べてしまうからでしょうね。

前戦はアレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)に辛勝、ここで元世界王者に勝って大きく飛躍したいというところでしょう。

初戦は、アントニオが踏み込んだところにロドリゲスがカウンターを取りに行って、バッティングが起きました。初回から躊躇なくカウンターを取りに行くスタイルのロドリゲスですから、サウスポーのアントニオ相手にはバッティングは起こりやすい、とも言えるでしょう。

 

なので、規定のラウンドが終了しさえすれば、負傷判定となる可能性も大きい一戦。

つまりは序盤から勝負であり、ロドリゲスにとっても序盤を取られてしまうと(特攻ができない分)苦しい展開になってしまう恐れがあります。

初回〜4Rあたりが見どころ、両者のペース争いがどのような形になるのか、これに注目してみたいと思います。

↓ラッセルvs

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その他のアンダーカードも注目!

PPVファイトは上記の4試合(第1試合がラッセルvsロドリゲス)ですが、アメリカではその他にも無料放送があるはずです。

これはFOXのテレビ中継なのか、Youtube等での配信があるのかはわかりませんが、FOX SPORTSのYoutubeチャンネルはチェックしてみても良いかもしれませんね。

下記は、個人的に注目するアンダーカード。

ミシェル・リベラ(ドミニカ共和国)23勝(14KO)無敗

vs

ジェリー・ペレス(アメリカ)14勝(11KO)1敗

この興行のアンダーカードに登場するのが「サルサ・アリ」ことミシェル・リベラ。

前戦でジョセフ・アドルノ(アメリカ)との無敗対決を制したリベラは、モハメド・アリを模したスタイル(見た目の話)のボクサーで、中間距離を得意とするストレートパンチャーです。

素晴らしいステップワークとジャブ、ストレートをもち、コンビネーションもカウンターも良い、非常にバランスの取れたボクサーファイターで、アグレッシブネスも持っています。

 

ややパワーレスに見えることもありますが、おそらくカウンターを取ってこそ活きるボクサーなのでしょう。

ジェリー・ペレスは2021年4月にアメリカのプロスペクト、フランク・マーティン(アメリカ)との無敗対決に7RTKOで敗れてはいるものの、再起戦では無敗のエリック・ランサスJr(ニカラグア)に5RKO勝利、続いてプロスペクト対決を迎えます。

ペレスはヒスパニック系アメリカ人、その名前と要望の通りのメキシカンスタイルを持つボクサーです。唯一の黒星であるマーティン戦は距離を支配され、マーティンの強打を浴びてしまいましたが、そこから学び、今回はリベラを捕まえられるか、がキーとなりそうです。

対してリベラは普段通りのボクシングで中間距離か寄せ付けず、時に速いコンビネーションで攻め込み、更にペレスには右を打ちながら右足を出して踏み込む癖(?)がありそうなので、そこにカウンターを合わせられれば、KO勝ちが見えてきそうです。

こちらも非常に楽しみな一戦です。

 

【放送・配信】

アメリカではFOX PPVで放映されるこの興行は、日本ではWOWOWとU-NEXTが生中継。

FOXのPPVが74.99ドル(約10,800円)ということを考えると非常にリーズナブル。

U-NEXTでの放映は10/16(日)AM9:30〜(開演が10:00〜とのこと)、

そしてWOWOWは同日AM11:00頃〜という記載があります。

ということはPPVファイトのオープニングを飾る、ゲイリー・アントニオ・ラッセルvsエマニュエル・ロドリゲスについてはWOWOWで放送されない可能性もありますね。。。

それか、その1試合だけ録画で流すのでしょうか。

この辺りはよくわかりませんが、おそらくラッセルvsロドリゲスは日本時間で10:00〜だと思うので、リアルタイムで見たい人はU-NEXTに加入しておいたほうが良さそうですね。

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【プレビュー】再掲、シールズvsマーシャル!メイヤーvsバウムガードナー!女子ボクシングW統一戦!

本来、9/10(日本時間9/11)に行われる予定だった女子ボクシング興行。

興行を目前に控えた9/8、英国の象徴であるエリザベス2世女王陛下がご逝去されました。

そのため、このボクシング興行も延期となり、約1ヶ月超の延期を経て、ラインナップに変更がなく10/15に開催されることになりました。

10/7(日本時間10/8)に行われる予定だったクリス・ユーバンクJr.vsコナー・ベンの一戦はベンに薬物陽性反応が出て延期。ボクシング人気の高いUKですが、この流れは業界的には非常に向かい風でしょうね。

さて、今回のプレビュー記事は10/15に行われる女子ボクシング興行のプレビュー記事ですが、今回は再掲という形になります。前回悲惨なほどのPV数を叩き出した(笑)興行ですが、きっと面白い興行になるはずですので是非予習をしてみてください。

↓英国ボクシング界のGreate Of All Timeについてまとめた記事

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8月、日本ではQueen'sCrestという、女子ボクシングの2つの世界タイトル戦を含む5つのタイトル戦を含んだ興行がボクシングの聖地・後楽園ホールで開催され、人気を博しました。

この興行は、女子ボクサーのみが登場した興行で、山中竜也の妹である山中菫(ともに真正)の初戴冠、そしてウェイトオーバーした相手を完璧にアウトボックスした晝田瑞希(三迫)の初戴冠、岩川美花(姫路木下)、黒木優子(YuKOフィットネス)の返り咲きと多くのドラマを生み、話題となった興行となりました。

そして、今週末、世界ではよりスケールアップした女子ボクシング興行が行われます。

近年、飛躍的に向上している女子ボクシングのテクニック。1R2分という短い時間だからこそ、KO決着こそ少ないものの、展開は非常に早い。

 

今回のイギリス興行では、2つの世界統一戦が実現、その他にも五輪メダリスト、オリンピアンが揃い踏みです。

英国Boxxerというプロモーションがトップランクとともに仕掛けるこの興行は、同様の形態で続いていくならば、女子ボクシング界の未来を切り開くものかもしれません。

ということで今回は、イギリスはロンドン、O2アリーナで開催されるBoxxer興行のプレビュー記事。

10/15(日本時間10/16)イギリス・ロンドン

世界女子ミドル級4団体統一タイトルマッチ

クラレッサ・シールズ(アメリカ)12勝(2KO)無敗

vs

サバンナ・マーシャル(イギリス)12勝(10KO)無敗

2012年のロンドン五輪、2016年のリオ五輪を連覇したクラレッサ・シールズは、2016年に鳴り物入りでプロデビュー。

その期待に違わず、プロわずか4戦目でWBC世界女子スーパーミドル級タイトルを獲得しています。(この時、IBF女子同級王座も決定戦とかけられ、いきなり2冠王者に)

このタイトルを初防衛後、WBC、IBFのミドル級王座を獲得、初防衛とともにWBC王座も獲得します。

 

デビュー9戦目、2019年4月にWBO王座も獲得、ミドル級の4団体統一王者となったシールズは、翌戦、WBOとWBCのスーパーウェルター級王座も獲得します。その後にはスーパーウェルター級のWBA、IBF王座も獲得してスーパーウェルター級でも4団体統一王者となり、本来であればあり得ない「2階級同時・4団体制覇」を成し遂げています。(しかもその後、総合格闘技にも挑戦。)

統一後、、ミドル級王座はWBO王座を返上し(それをサバンナ・マーシャルが獲得)、スーパーウェルター級王座はすべて返上したシールズの現在の冠は世界女子ミドル級3冠統一王者。

そのキャリアで掛けられたタイトルは、随分乱暴にも思いますが、当然強さは本物で、これまで苦戦というものすら味わっていない絶対王者。

たった12戦で3階級制覇、そのうち2階級で4団体統一を成し遂げる、などということは正気の沙汰ではありませんね。

そんな絶対王者に挑むのが英国期待のサバンナ・マーシャルです。

 

これまで、シールズの牙城を崩せるボクサーはいませんでしたし、崩せそうなボクサーもいませんでした。ほぼ門前払いのように敗北していった、12人のボクサーたち。

しかし、このサバンナ・マーシャルこそが打倒シールズの最右翼。2020年10月にWBO世界女子ミドル級王座を獲得し、現在までに3度の防衛を記録しています。しかも現在8連続ノックアウト勝利中。

アマ時代、シールズの実績には遠く及ばないものの、シールズ撃破の経験のあるマーシャル。

ちなみにシールズのアマ戦績は77勝(19KO・RSC)1敗という驚異的なものですが、この1敗こそがこのサバンナ・マーシャルによってつけられたもの。

 

まあ何せこのKO率。この通りに非常にパワーのあるノックアウトパンチャーで、182cmという長身から打ち下ろす右ストレートは破壊力抜群で、女子ボクシングならもしっかりと倒し切る力があるのが持ち味です。

アマ経験のあるマーシャルは、当然技術もありますが、技術においてはシールズの方が1枚上手でしょう。

しかしアマよりもグローブが薄くなり、ヘッドギアもなくなったプロのリング、このことはマーシャルにやや優位に働くという見方も強いはずです。そして、イギリス開催というマーシャルにとってはホームでの試合。

海外のプレビュー記事を読むと、「判定でシールズ、KOでマーシャル」と至極当然のような予想が目につきます。

両者を詳しく見ているわけではありませんが、絶対王者、クラレッサ・シールズを攻略できるのは、もしかしたらこのサバンナ・マーシャルが最後かもしれません。

ただ、戦歴、対戦相手の質としては随分とシールズが上回る事は言うまでもありません。プロキャリアだけでなく、アマキャリアにおいてもそうでしょう。

オッズが非常に拮抗しているのは、マーシャルへの期待の現れ、ということだと思いますが、とにかくこの50-50の頂上決戦は興味深い。

 

世界女子スーパーフェザー級3団体統一統一戦

ミカエラ・メイヤー(アメリカ)17勝(5KO)無敗

vs

アリシア・バウムガードナー(アメリカ)12勝(7KO)1敗

IBF、WBOの世界女子王座を保持するミカエラ・メイヤーと、WBC王者のアリシア・バウムガードナーが激突します。実質女子スーパーフェザー級の頂上決戦と言える一戦ですね。

アマ時代から米国大会において数々の成績を残してきた元アマエリート、ミカエラ・メイヤー。世界選手権で銅メダルを獲得、リオ五輪ではオリンピック出場を果たしています。

2017年、トップランクと契約してプロデビューしたメイヤーは、2020年10月、WBO世界女子スーパーフェザー級タイトルを獲得。この一戦は、井上尚弥vsジェイソン・マロニーのアンダーカードとして行われました。

2021年6月の初防衛戦も井上尚弥vsマイケル・ダスマリナスのアンダーカードに登場、なので我々はこのボクサーをよく見ているはずですね。同年11月、IBF王座を吸収して2冠王者となり、2冠の初防衛戦をクリアしてこの統一戦に臨みます。

 

対戦相手のWBC王者、アリシア・バウムガードナーは、アマではメイヤーほどの実績はないものの、The Bombという愛称を持つ強打者です。

メイヤーと同じく2017年のプロデビュー、同年に行われた4戦目までは、キャリアの浅い相手ながらもプロデビュー以来4連続初回KO勝利を記録しています。デビュー7戦目でスプリット判定で初黒星を喫していますが、その後は連戦して連勝、2021年にWBC王者テリ・ハーパー(イギリス)に挑み、敵地で戴冠。

この試合はおそらくバウムガードナーのベストバウト、初回から優勢に試合を進め、4R、ハーパーが出てくるところに右カウンターを振り切ります。

ここで体が硬直してしまったのを即座にレフェリーが救い出したことが話題となりましたね。

↓動画を見つけました!

 

このタイトルの初防衛戦は2022年4月、体重超過した挑戦者に対してフルマークの判定勝利。

アメリカ人同士が、イギリスで戦う、という3団体王座統一戦とはなっていますが、このように「女子ボクシング」というカテゴリーで注目試合をまとめるのが狙いだったのかもしれませんね。

オッズは当然ながら実績に勝るメイヤーが優位、とはでているものの、そこまでの差はないようです。

アンダーカード

その他のアンダーカードにも、女子ボクシング界の注目ホープたちが次々と登場する、世界版Queen's Crest。

東京五輪、女子ミドル級の金メダリストであるローレン・プライス(イギリス)をはじめ、東京五輪、女子フェザー級銅メダリストのカリス・アーティングストール(イギリス)も登場。このアーティングストールは、東京五輪の準決勝で入江聖奈をスプリットまで追い詰めたボクサーですね。アーティングストールは非常にハートの強い、ファイタータイプのボクサーでしたが、プロではどのような戦いを見せてくれるのか。

 

そしてキャロライン・デュボア(イギリス)というボクサーも登場、あのダニエル・デュボア(イギリス)の妹です。これまでユース・オリンピックで優勝等の経験を持つ元アマチュアエリートです。

イギリスだけではなく、アメリカからも東京五輪に出場したオリンピアンが参戦、フライ級で出場したジニー・フックス(アメリカ)が登場します。

と、いうように、女子ボクシングの「これから」を集めたようなラインナップ、これは注目興行ですね!

↓ミドル級金メダリスト、ローレン・プライスの決勝戦

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↓入江聖奈vsアーティングストール!

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【放送・配信】

この興行は、英国ではSky Sportsが生中継、米国ではESPNが生中継です。

そして、日本では、、、FITE.TVでの配信があります!

放送カードはおそらく興行のすべて、全10試合(!!)。

金額は1,600円のPPVなので、超お得です笑。

上記のアンダーカード出場の注目女子ボクサーも、全て見れますね。

放送日時は日本時間10/16(日)AM3:30〜となっています。

↓FITE.TVのPPVリストはこちらから

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イギリスのボクシングブランドは、FLY、RDXを取り扱っています。

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【プレビュー】デビン・ヘイニーvsジョージ・カンボソス2。カンボソスは己を捨てて、臨めるか。

日本時間10/16は、注目興行だらけ!

ミカエラ・メイヤーvsアリシア・バウムガードナー、クラレッサ・シールズvsサバンナ・マーシャルをダブルメインとするイギリス興行。同じくイギリス興行のリアム・パロvsブロック・ジャービスの方が楽しみだ、という人は流石に少ないでしょうね。

FOXのPPVファイトはデオンテイ・ワイルダーvsロバート・ヘレニウスをメインに据え、カレブ・プラントvsアンソニー・ディレルという注目ファイトをセミファイナルに従え、ゲイリー・アントニオ・ラッセルvs我らがエマニュエル・ロドリゲスという注目再戦もあり、非常に豪華な興行となっています。

この「さすがPPVファイト」の興行の裏で、あまりにも注目を集めていないであろう4団体統一タイトルマッチ。

今回のブログでは、4団体統一戦にも関わらず、世界的な注目が低いデビン・ヘイニーvsジョージ・カンボソスJrをプレビューです。

 

10/16(日本時間同日)オーストラリア

世界ライト級4団体統一タイトルマッチ

デビン・ヘイニー(アメリカ)28勝(15KO)無敗

vs

ジョージ・カンボソスJr(オーストラリア)20勝(10KO)1敗

個人的に「ドリーム」デビン・ヘイニーは、Not-Undisputedチャンプです。

ヘイニーのそのポテンシャル、負けないボクシングは評価されて然るべきではあるものの、ジャーボンタ・デービス、ワシル・ロマチェンコ等々まだまだライバルたちは多い。

2022年6月、オーストラリアで行われた、当時の3団体統一王者、ジョージ・カンボソスJrとの4団体統一戦は安全運転に徹して判定勝利、それは当たり前とも言える結果でした。

↓観戦記

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↓現在のライト級トップ戦線

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今回、立場を変えての再戦となりますが、この4ヶ月でカンボソスの実力が大きく変わっているとは考えづらく、あとは戦い方、というところ。

カンボソスは素晴らしいカウンターを持ち、非常に強いハートを持っているものの、前回はヘイニーの距離で遊ばれてしまった感が強い。とにかく先に動き、強引に突っ込んででもヘイニーの距離を潰さなければ、勝ち目はゼロに近いでしょう。

戦略面を練り直し、被弾覚悟でヘイニーに攻め入ることができるか、というのがカンボソスの課題。しかし、実は前戦、12Rを戦っての判定は118-110×1、116-112×2という内容であって、完敗のわりにはポイント差はさほど開いていない印象でもありました。

 

つまり、カンボソスの勝利への道は、このオーストラリアという、ヘイニーにとっての「どアウェー」の地の利点をどこまで活かせるか。

カンボソスが隙間なく攻め込むことができれば、もしかすると当たっていなくてもカンボソスにポイントが流れることも考えられます。(勿論、決して良いことではありません。)

但し、攻め入ればヘイニーのカウンターをもらい、逆にポイント差は開いてしまうかもしれません。

そして、前回の戦いでカンボソスを完全に見きっていたヘイニーにとっては、今戦はかなりイージーな戦いとも言えますので、以前に比べて狙ってくることも考えられます。

ともあれ、失うものが何もなくなったカンボソス、このラストチャンスにどのように賭けてくるのか楽しみです。初戦と同じような展開になる(=カンボソスが無策で臨む)というのであれば、カンボソスは世界から注目されなくなってしまうでしょう。

それでも、カンボソスが特攻精神を持って、12Rを闘うつもりなく初回からいけば、奇跡が起こるかもしれません。なのでカンボソスにとっては、これまでの21戦(それにはビッグアップセットとなったテオフィモ・ロペス戦も勿論含まれます)という成功体験を捨てて闘う必要があると思います。

カンボソスがどのような戦略を選択するのか。その点が非常に楽しみな一戦です。

 

 

ジェイソン・マロニー(オーストラリア)24勝(19KO)2敗

vs

ナワポーン・カイカンハ(タイ)56勝(46KO)1敗1分

セミファイナルには、前回と同じく「メイヘム」ジェイソン・マロニーが登場です。

井上尚弥(大橋)に果敢に挑んだマロニーは、日本のボクシングファンでも有名でしょう。

これまでの2敗は、同日にアメリカ、デオンテイ・ワイルダーのアンダーカードで登場のエマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)の持つIBFタイトルに挑んだ試合(接戦での判定負け)と、皆さんもよく知る井上尚弥(大橋)との一戦のみ。

運動量が多く、高いガードポジションを保持しながらも前後左右へよく動き、相手を混乱(=メイヘム)させるムーブから、オーセンティックなコンビネーションを放つスタイルのボクサーです。

井上尚弥がバンタム級王座を返上しさえすれば決定戦に出られる位置までこぎつけているマロニー、3度目の世界タイトル戦はもう目前であり、ここで落とすわけにはいきません。

対戦相手のナワポーンは、ナワポーン・ポーチョークチャイ、又はナワポーン・ソールンビサイという名前でリングに上がっています。

 

スリヤン・ソールンビサイ(タイ)の実弟で、前戦ではコンパヤック・ポープラムック(タイ)、その前にはマイク・タワッチャイ(タイ)と、日本でもおなじみのタイ人ボクサーを退けています。

2009年プロデビュー(シーサケット・ソールンビサイとドロー)していますが、まだ31歳と意外と若いですね。

これまでの敗戦は2017年の世界挑戦、ファン・エルナンデス(メキシコ)戦のみであり、年齢的にもまだ力を有している、と思って良いでしょう。

しかし、マロニーにはここは快勝で次につなげてもらいたいものですし、前戦のアストン・パリクテ(フィリピン)戦を見た限りでいうと、心配はいらなそうですね。

 

アンドリュー・マロニー(オーストラリア)24勝(16KO)2敗

vs

ノルベルト・ヒメネス(ドミニカ共和国)31勝(16KO)9敗6分

双子の兄、ジェイソンと同日のリング登場のアンドリュー・マロニー。

これまでの2敗はジョシュア・フランコ(アメリカ)からの2敗ですが、現在は井岡一翔(志成)にご執心で、度々対戦要求をしています。ジェイソンとは違い、一度はWBA世界スーパーフライ級王座を手にしています。(暫定を獲得後、正規王者に昇格、初防衛戦でブランコに敗北)

フランコ戦後はフローイラン・サルダール(フィリピン)に完勝、その後も2連勝して再起3連勝中です。

対戦相手のノルベルト・ヒメネス、こちらは戦績に惑わされてはいけないボクサー。

9敗していますが、そのほとんどはキャリア初期に喫したもので、2011年のプロデビュー戦から4連敗→初勝利を挙げたあとに3連敗、1勝1引き分けを挟んでまた敗戦、というキャリアでスタートしています。

 

その後は負けることなく勝ち続け、世界初挑戦は2014年12月末、河野公平(当時ワタナベ)を相手にドローで世界王座獲得ならず。2度目のチャンスは2019年で、カリド・ヤファイ(イギリス)に判定負けを喫しています。

2021年12月にはドニー・ニエテス(フィリピン)と引き分け、前戦は井岡一翔(現・志成)に挑戦経験もあるキービン・ララ(ニカラグア)に判定勝利を挙げています。

こちらも結構危険な相手で、マロニー兄弟は決して守りに入るマッチメイクはしないようで、やはり非常に好感が持てますね。

ジェイソン、アンドリュー、どちらも難敵と言える相手ではありますが、ここに勝って世界王者への道のりを一歩進めてもらいたいものです。

 

【放送・配信】

この他のアンダーカードには、前回同様ヘビー級のプロスペクト、ニュージーランドのヘミ・アヒオ(19勝14KO無敗)が登場します。

ちなみにセミファイナルはおそらくIBF世界女子スーパーバンタム級タイトルマッチ、チェルネカ・ジョンソン(オーストラリア)vsスージー・ラマダン(オーストラリア)だと思われます。

ボブ・アラムとルー・ディベラが共同プロモートするこのオーストラリア興行は、アメリカではESPNが生中継、日本ではFITE.TVがPPV生配信です。

 

カンボソスvsヘイニーの第一戦は、確かWOWOWが中継してくれたと思いますが、第二戦はWOWOWではなし。期待度の低さが現れていることだと思います。

この興行の放送は日本時間で10/16(日)AM9:00〜、基本的にはアメリカの土曜日夜の時間にあわせているので、メインは日本時間でお昼過ぎくらいでしょう。

メルボルンでも日曜の昼間、明るい時間に行われる興行ですね。

ただし、FITE.TVのリストは途中でなくなったり、逆に復活したりもするのでPPV購入は前日夜、もしくは当日にしたほうが良いです。

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【プレビュー】小原佳太vs小畑武尊!西田凌佑vsペレシオ!週末〜来週の国内ボクシング興行!!

週末のボクシング興行は、海外ではPBC興行とマッチルーム興行があり、充実しています。

国内に目を向けると、大阪での1興行のみとやや寂しめ。まあ、東の聖地後楽園ホールでは、土日のボクシング興行はほとんどないので致し方ありませんが。

ということで、今回のブログは今週末から来週のウィークデイにかけての国内興行をプレビュー。

日曜日には西田凌佑登場の六島ジム興行、そして来週の火曜日にはダイヤモンドグローブです。

 

10/9(日)You will be the Champion

WBOアジアパシフィック・バンタム級タイトルマッチ

西田凌佑(六島)5勝(1KO)無敗

vs

アルジュム・ペレシオ(フィリピン)11勝(6KO)1敗

プロたった5戦でバンタム級の世界ランキングに名を連ねる西田。

2020年に大森将平(当時Woz)、2021年に比嘉大吾(志成)をアップセットで降したことで一気に知名度をアップ、初防衛戦では大橋哲朗(真正)を退けています。

今回、2度目の防衛戦の相手はアルジュム・ペレシオ。

ペレシオの映像を見ると、プルカウンターを得意とするボクサーで、一発が当たってからの詰めは素晴らしいものを持っています。力強いカウンターを常に準備しているため、相手は容易に攻められず、やや「待ち」のボクサーであるペレシオにプレッシャーをかけられるという展開が目立ちます。

これまでの6つのKO勝利は全て初回KO。パンチはあると思いますが、慎重派、構えのガードポジションもしっかりしており、強引に振ってくるタイプのフィリピン人ではないと思います。

 

技術勝負をさせれば、その距離感、したたかさにおいて西田が上回るはずです。序盤、特にペレシオのパンチを貰わないという戦い方を完遂した方が良さそうですね。

このペレシオは良いボクサーですが、さすがにここは西田が優位。ここを快勝して、来年、再来年あたりは勝負の年になるかもしれません。

 

【放送・配信】

セミファイナルには山﨑海斗(六島)がタイ人ボクサーとの対戦。前戦で竹嶋宏心(3150ファイト)で降し、日本ランキングを獲得した山崎にとって、この試合は調整試合の域を出ないでしょう。相手は2勝(2KO)無敗という戦績ですが、対戦相手の質としては言わずもがな。

ここは問題なく勝利を収めることが必須、という戦いです。

尚、セミセミには六島ジム期待のホープ、アマ2冠の井上彪(たける)がプロデビュー戦に臨みます。

この興行はBoxingRaiseで録画配信。当日の深夜にはアップされると思うので、情報遮断して視聴、というのもアリだと思います。

10/11(火)ダイヤモンドグローブ

日本ウェルター級王座統一戦

小原佳太(三迫)25勝(22KO)4敗1分

vs

小畑武尊(ダッシュ東保)12勝(5KO)5敗1分

 

2020年、永野祐樹(当時帝拳)を倒し、日本王者となった小原の3度目の防衛戦。

これまでの配線は、プロデビュー戦でまさかの敗戦を喫した一敗と、モスクワで挑んだ世界戦での一敗、アルビン・ラガンベイに喫したまさかの敗戦と、クドラティーリョ・アブドカホロフとの世界王座への挑戦権をかけた一戦という4つ。

打たれ脆い、とは思いませんが、一発当たれば形成がひっくり返ってしまうのが、中量級以上では大いにあり得ることという典型であり、アップセットも起こりやすいのかもしれません。

小原のボクシングは非常に完成度が高く、隙の少ないボクシングであるがために、それを崩すことは容易ではありません。

しかし、「ボクサー然」としているボクサーよりも、今回のチャレンジャーはもしかすると奇跡を起こせるかもしれないボクサー。

 

小畑武尊は大分県別府市にあるダッシュ東保ジムという地方ジム所属のボクサー。

2017年には西軍代表決定戦を勝ち残り、全日本新人王決定戦に出場しています。その後、主に九州地方で戦い続けた小畑の名が売れたのは、2020年の坂井祥紀(横浜光)戦。

メキシコ帰り、既に王者クラスの力のある坂井を相手に奮闘し、結果は判定負け。しかし、おそらくこの試合は坂井がストップ勝ちをして然るべきマッチアップだと思われていたので、ここで「想像以上」の力を見せた小畑は、コアなボクシングファンに認知されたのではないでしょうか。

さらに、続く一戦では大橋ジムのホープ、安達陸虎をまさかの初回KO。下馬評を大きく覆すアップセット勝利で、全国にその名を轟かせました。

 

坂井戦も含めて、実力を認知された小畑は、国内の中堅選手と言われる近藤哲哉(横田スポーツ)、木村文佑(JM加古川)を連続撃破。そして2022年、永野祐樹(帝拳)との日本ウェルター級王座決定戦で、またもアップセットの5RTKO勝利を挙げます。

初回からアングルを効かせたパンチをよく出す小畑が終始永野を圧倒した、という試合は、小畑の素晴らしいジャブと戦略が光った試合でした。

↓観戦記

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そもそもこの暫定王座戦は、本来、4月に小原佳太vs永野祐樹のタイトル戦を予定していましたが、小原の怪我で中止。その代わり、挑戦者決定戦を勝っていた永野と、当時上位ランカーであった小畑との間に組まれた決定戦でした。

オール・オア・ナッシング。文字通り永野から全てを奪った小畑が、日本の絶対王者、小原へ挑みます。

現状はもちろん、小原が優位だと思います。パワー、テクニックもそうですが、戦い方の幅は小原に分があり、キャリアも大きく違います。

それでも、「何かを起こすかも」と思わせてくれる小畑というボクサーは、非常に魅力的なボクサーですね。

完全敵地、後楽園ホール。

九州のボクサーの魂が、王道を歩いてきた王者に、どのように通用するのか、はたまたしないのか。これは非常に興味深い一戦です。

 

日本ライト級挑戦者決定戦

仲里周麿(オキナワ)11勝(7KO)2敗3分

vs

鯉渕健(横浜光)8勝(7KO)5敗1分

激アツな日本ライト級の挑戦者決定戦は、KO決着濃厚。

オールドファンにはお馴染みの仲里繁の息子、周磨。2021年8月に吉野修一郎(三迫)のもつ日本タイトルにアタックするも、及ばず6RTKO負け。再起戦では保田克也(大橋)とのランカー対決を制し、再浮上して日本タイトルを狙います。

鯉渕は前戦でライジングスター、向山太尊(ハッピーBox)を破ってランカーとなったばかりのボクサー。変則的な向山のボクシングに正攻法で対抗、非常に真面目そうに見えるボクシングで4RTKO勝利。そこからこの挑戦者決定戦の話を蹴らなかったことから、出場の機会を得ました。

地力では仲里が優位か、と思う一戦ではあるものの、鯉渕はここに勝てば大きく道が拓けます。仲里は、かつて分の良い引き分けを演じた木村吉光(志成)がWBOアジアパシフィックタイトルを獲得したことで、モチベーションが上がったのか、焦りになってしまったのかで今回のパフォーマンスも変わってくるかもしれません。全く気にしていなければそれでも良し。

 

勝者の標的は現在の日本ライト級王者、宇津木秀(ワタナベ)ですが、11/17に行われるタイトルマッチでジロリアン陸(フラッシュ赤羽)に変わる可能性はゼロではありません。

どのように当たる事になっても面白いですが、個人的には宇津木vs仲里が見てみたいので、今回は仲里を、11月は宇津木を応援したいと思います。

アンダーカード!

その他のアンダーカードでは、フライ級8回戦でランカー対決。中嶋憂輝(角海老宝石)vs永田丈晶(協栄)も大注目です。

前戦、中嶋は素晴らしいパフォーマンスで森青葉(泉北)を4RTKOに仕留めており、これがなんと2年以上ぶりの勝利。2戦連続ドロー、決まった試合が流れる、等々のことを経験し、ひとまわり大きくなった気もしますね。

対して永田は前戦で関西ホープ峯佑輔(六島)を敵地大阪で撃破。その前にも川崎智輝(サンライズ)を敵地で撃破しており、非常に勝負強さとハートの強さを感じるボクサーですね。

これは非常に難しい、50−50の一戦となりそうな気がします。

 

その他、渡来美響(みきょう/三迫)、山口仁也(三迫)がプロ2戦目に臨む一戦もありますが、共にフィリピン人ボクサーが相手です。それなりのキャリアのある相手ではありますが、二人にとっては脅威とならないはず。共に勝利して、A級昇格を果たしてもらいたいものです。

【放送・配信】

この興行は、フジテレビで後日録画放送、FODでも後日録画配信。

ただ、このフジボクシング興行は、当日、FODプレミアムで生配信してくれます。

FODプレミアムに加入していれば、見逃し配信機能もついているので、時間に遅れても後ほど見ることも可能です。

配信日時は10/11(火)18:00頃からだと思うので、刮目してみましょう。ちなみに、FODプレミアムの公式サイトに情報が上がるのは、前日だそうです。それまでリストになくても焦らないように。(焦って何度も連絡してしまった過去持ち笑)

FODプレミアム

 

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【プレビュー】受け継がれるライバル対決!クリス・ユーバンクJr.vsコナー・ベン!!

「ライバル」というのは、強いボクサー同士が同じ階級、または近い階級あたりにいて、快進撃を続けていたりすると生まれるものであると認識しています。

だからこそ、このライバル対決というのは非常の盛り上がるし、双方の思惑がある分、決まりづらいというのもまた現状。

テレンス・クロフォードvsエロール・スペンスというのは現代において最たる例で、合意に達したけどまだお金の面(報酬ではなく、イベントのお金??)でもめているとか。

そんな中、まさかの方向から実現したライバル対決。

そもそもここにライバル関係が発生していたことすらも認識していませんでした。

まさかの父親同士のライバル対決を、階級の壁を越えて実現させたイギリスボクシング界、これはファンの期待に応えたのか、それともただの茶番劇か。

今回のブログでは、イギリスでは大いに盛り上がっている、クリス・ユーバンクJr.vsコナー・ベンのプレビュー記事。

↓サイズ差は結構ある。

 

10/8(日本時間10/9)イギリス・ロンドン

クリス・ユーバンクJr(イギリス)32勝(23KO)2敗

vs

コナー・ベン(イギリス)21勝(14KO)無敗

157lbs(ミドル級のリミット160lbsよりも3lbs軽い)のキャッチウェイトで行われる12Rのノンタイトル戦。何のタイトルもかけられない、かけようもないこの試合が12回戦で、しかもマッチルーム興行のメインイベントで行われるには理由があります。

若いファンは知らなくても無理はありませんが、両者の父親はともにイギリスで絶大な人気を誇ったボクサーであり、ライバル関係にありました。

ユーバンクJrの父、クリス・ユーバンクSrはWBO世界ミドル級、スーパーミドル級の2階級を制覇した名王者。このミドル級王座を、コナー・ベンの父であるナイジェル・ベンに9RTKO勝利で獲得しています。

このタイトルを3度防衛した後に返上、WBO世界スーパーミドル級タイトルを獲得し、このタイトルは14度もの防衛に成功します。

 

ナイジェル・ベンは、ユーバンクSrにタイトルを奪われてからスーパーミドル級へ転級、WBC世界スーパーミドル級王座を獲得。このタイトルは9度の防衛に成功しています。

両者2度目の激突は、ユーバンクSrの8度目の防衛戦、そしてベンの4度目の防衛戦のとき。王座統一戦として戦ったこの試合は、1-1の3者3様のドロー。

こう考えると、もう1戦あっても良さそうなものでしたが、結局3戦目は行われず、両者は引退してしまいました。

そこから時を経て2022年。じつに両者の2戦目からは19年の月日が経とうとしています。これはこれで非常にドラマティックなのですが、息子たちは父たちの偉業に、今はまだ遠く及びません。

それでも、やはりこの父親世代から続くライバル対決は、興味を唆るストーリーです。

 

クリス・ユーバンクJr

2011年にプロデビューしたクリス・ユーバンクJrは、2014年、ビリー・ジョー・サンダース(イギリス)に1-2のスプリットで惜敗し初黒星。その後、WBA世界ミドル級暫定王座を獲得しています。

2つ目の敗戦は2018年2月、WBSSのシーズン1のときで、ジョージ・グローブス(イギリス)に判定負け。このあともWBA世界ミドル級暫定王座を再戴冠していますが、これはWBAの王座削減施行により消滅しています。

キャリアでは、ここ最近だけでもジェームズ・デゲール(イギリス)、マット・コロボフ(ロシア)、リアム・ウィリアムズ(イギリス)といった元世界王者、世界挑戦経験者を退けており、まだまだ衰えのみえない33歳。年齢的にはプライムタイムに入っているところでしょう。

 

コナー・ベン

「ダーク・デストロイヤー」と呼ばれたナイジェルの息子、コナーのニックネームは「デストロイヤー」。2016年にプロデビューし、ここまで印象的な倒しっぷりを量産している26歳です。

前戦ではクリス・バン・ハーデン(南アフリカ)、その前はクリス・アルジェリ(アメリカ)をきっちりと仕留めています。

そのパワーは破格ですが、ここ最近の映像を見るとさらに上体が発達しており、これは今回の契約ウェイトにあわせて体をでかくした、ということなのかもしれません。

私には速攻型のパンチャーに思えますが、非常に獰猛な面があり、見ていて非常にスカッとするボクサーですね。

ただ今戦ではベンは前半我慢、おそらくスタミナに難の出てくるであろうユーバンクJrを削り、後半勝負というのが妥当な作戦となってくるはず。

いつものように早期決着を狙って前半出ていくと、そこを凌がれて後半グダグダになる展開も考えられます。

 

キャッチウェイト!

テクニシャンタイプのユーバンクJr、パワーファイターのベン。

この両者の一戦のキモは、間違いなくこの契約ウェイトにあります。

157lbsの契約ウェイトは、ミドル級よりも3lbs軽いウェイトですが、ユーバンクJrはこのウェイトで戦ったことはないのではないでしょうか。

しかも現在はスーパーミドル級を主戦場としており、ミドル級(160lbs)ですら2016年に卒業しています。

なので、ユーバンクJrはこのウェイトをコンディションを維持しながら作れるかどうか、というのがまず鍵。

そして対してベンは、147lbsを上限とするウェルター級が主戦場のボクサー。今回は階級のくくりでいえばスーパーウェルター級超、10lbsの増量を余技なくされる、という状態です。

 

ウェルター級のボクサーが、スーパーミドル級のボクサーと戦う、なんていうことは通常全く考えられないことですが、ここで折衷案をとっての契約ウェイト。やや短絡的にも思いますが、双方勝ち目がある、と考えてここに落ち着いたのでしょう。事故が起こらないことを願うのみ、ですね。

両者の不安材料

互いに未知のウェイトであるからこそ、両者の不安材料があります。

これはそのままウェイトのことなのですが、ユーバンクJrについては過度な減量による脱水症状や体調不良、スタミナ難が起こりえます。

ベンについては、増量ということなのでコンディションということでいうと問題なさそうですが、スーパーミドル級を主戦場とするボクサーの打撃を受けて、どうかというところ。

ベンについてはかなりビルドアップされていますが、それが実際に動ける筋肉なのかはわかりません。フェイス・オフの画像を見る限り、ユーバンクの方がかなりでかい。

 

しかし、考えれば考えるほど、ユーバンクJrにとってメリットの少ない試合ではないかな、と思ってしまいます。

格闘技の大原則として、「体の大きな方が勝つ」というのがあります。

そう考えると、これまでのキャリアも含めてユーバンクJrが優位、と考えるのが妥当(オッズは調べていませんが)なような気がして、だとすればユーバンクJrが勝って当然ともとれるマッチアップではないか、とも思います。

しかし前述のとおり、かなり危険な減量をせざるを得ないユーバンクJrの状況、ユーバンクが勝っても株は上がらず、ベンが勝てばきっと「デストロイヤー」だと称賛されることとなる試合(この場合、ベンの判定勝利は考慮していません。)。

個人的にはベンに勝ってほしいですし、ベンが勝てばすごい、となる反面で、ユーバンクは何でこの試合をやったんだ、となる。

ユーバンクが勝てばやっぱりな、とか、ベンは何でこの試合をやったんだ、とかになる。

どっちに転んでも超微妙、しかし、やはりオールドファンとしてはこの結末を確かめないわけにいかないでしょう。。。(楽しみだ、とは言えません。)

 

【放送・配信】

アンダーカードにはフェリックス・キャッシュ(イギリス)vsコナー・コイル(アイルランド)の無敗対決。WBAインターコンチネンタル・ミドル級王座決定戦があります。

その他にも、クリス・ユーバンク・ジュニアのいとこであるハーレム・ユーバンク(イギリス)の登場もありますね。

五輪金メダリストのガラル・ヤファイ(イギリス)はゴハン・ロドリゲス・ガルシア(メキシコ)との10回戦、WBCインターナショナルフライ級のタイトルがかかります。わずか3戦目でのタイトル戴冠なるか、というところですね。

リンドン・アーサー(イギリス)も出場しますが、相手は17勝17敗という選手なので、ここは調整試合ですね。

さて、この興行はDAZNで生配信、日時は日本時間で10/9(日)AM3:00〜です。

おそらくメインは同日のAM7:00前後にスタートすると思われます。

注目の一戦、DAZNで見届けましょう!

↓DAZNはこちらから

 

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【プレビュー】セバスチャン・フンドラのアンダーにスーパーフライ、マルティネスvsアンカハス!

ここ最近としては稀有な、「視聴できる新たな興行がない」週末を乗り切り、ここからは平常運転。いや、秋のビッグマッチに向けて異常運転に進んでいきたいものです。

まずは10/8(日本時間10/9)、セバスチャン・フンドラvsカルロス・オカンポ。

イギリスではコナー・ベンvsクリス・ユーバンクJrが非常に盛り上がっているようですが、個人的興味はフンドラ。

アンダーカードも非常に魅力的なカードが揃い、Showtimeで放映する3カードだけでなく、素晴らしいマッチアップが揃います。

ということで今回のブログでは、フンドラvsオカンポをメインに据えた、PBC興行のプレビュー記事です。

 

10/8(日本時間10/9)アメリカ・カリフォルニア

WBC世界スーパーウェルター級暫定タイトルマッチ

セバスチャン・フンドラ(アメリカ)19勝(13KO)無敗1分

vs

カルロス・オカンポ(メキシコ)34勝(22KO)1敗

身長約2m、「タワーリング・インフェルノ」セバスチャン・フンドラ。

ヘビー級並みの高身長により目立ったフンドラは、2016年にプロデビュー、一つの引き分けを挟んで19連勝をマークしています。

特にここ数戦の活躍は顕著であり、好戦績を誇っていたハビブ・アフメッド(ガーナ)、世界挑戦経験もあるホルヘ・コタ(メキシコ)、当時無敗のセルジオ・ガルシア(スペイン)を撃破、2022年4月には非常に評価の高いエリクソン・ルビン(アメリカ)とのWBC世界スーパーウェルター級暫定王座決定戦に臨みます。

 

↓観戦記

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ダウン応酬の素晴らしい試合となったこのフンドラvsルビン。

両者ともに良いところが出て、意地を見せたこの戦いは、ルビン陣営が9R終了後に棄権、フンドラのRTD勝利が決まっています。

非常に長いリーチを持つフンドラですが、接近戦を好みます。

この試合を見て、なかなか理に適っているのかな、と思ったところは、フンドラが近い距離でのアッパーカットを多用したこと。

とにかく何発もアッパーを打ち込み、やや上体を立てて相手から顔を遠くしておけば、リスクを少なくしてアッパーを打つことができます。京口紘人(ワタナベ)のように、前に入り込んで打つようなコンパクトなアッパーカットではなく、上体を立てて顔を上げて、カウンターのフックに対してはスウェーで対応する、というこのアッパーは、フンドラの大きな武器になりえます。

 

打ち下ろすストレートとともに、フンドラの強烈な攻撃です。

このフンドラは前に出ての戦いが得意、というか好きなのでしょうが、そこでの武器を着々と身に着けている印象です。もっと距離をとれば、とか、ジャブとストレートを遠い距離で打って、ステップワークで相手を近づかせないように、とか、普通に考えたらアウトボクシングをさせてしまいそうなものですが、このインファイトを選択し、またそれが許されているということが素晴らしいな、と感じます。

フンドラはヒスパニック系のアメリカ人であり、やはりある種のマチズモを継承しているボクサーなのでしょう。

さて、対戦相手のカルロス・オカンポ。

35戦というキャリアがありますが、若干26歳のメキシカンです。

 

このボクサーは非常に体が強く、バランスが非常に良いボクサー。178cmの身長で185cmのリーチという恵まれた体躯を持ち、強打を連打で出せる体幹の強さも有しています。

シントゥーラ(体の振り)からオーバーハンドを狙う、というタイプのメキシカンではなく、しっかりジャブをついて距離を詰め、左右のボディから上に返すという比較的オーセンティックな香りのするファイター。

そしてそのパンチは非常に力強く、めちゃくちゃ良いボクサーです。

唯一の敗戦は2018年6月、IBF世界ウェルター級王者だったエロール・スペンスJr(アメリカ)に挑戦したときのもの。結果は初回KOでの敗戦ですが、スペンス相手にもしっかりと距離を詰めて連打を放つことができていました。

ただ、ラウンド終了間際、スペンスの左ボディが鳩尾に突き刺さり、テンカウント。

このオカンポは、執拗にボディを狙う傾向がありますが(前戦のKO勝利もボディ)、この時の自分が倒された経験からきているものかもしれません。

 

そして、このスペンスに負けた時と今のオカンポを比べると、階級を上げたことで体はビルドアップされ、非常にパワーを感じます。押されたときの力も、押したときの力も、当時とは段違いのように感じますね。

事実、スペンス戦以降(は、スーパーウェルター級以上のウェイトで戦っています)、12戦して全勝9KO。パワーアップ、タイミング、そしておそらくボディへの集中打が効いていると思うのですが、数字に表れています。

フンドラは大きい分、ボディは打ちやすいはず。あとはフンドラのアッパーに気を付けていけば、もしくはそのアッパーに対してボディカウンターを取れれば、勝機はありそうな気がします。

しかし、やはりフンドラに頑張ってもらいたい。できれば、オカンポのボディをもらわない絶妙な距離で戦ってもらいたいものですが、そうもいかないのでしょう。

おそらくルビン戦同様に打撃戦となると思われる今回の一戦、これは非常に楽しみですね。

 

WBC世界ミドル級暫定王座決定戦

カルロス・アダメス(ドミニカ共和国)21勝(16KO)1敗

vs

ファン・マシアス・モンティエル(メキシコ)23勝(23KO)5敗2分

BoxRecを見ると、暫定王座戦となっていました。これはジャモール・チャーロ(アメリカ)逮捕による暫定王座設置なのかもしれませんね。

ともあれ、アダメスにとっては2度目の世界挑戦となります。

アダメスの唯一の敗戦は、2019年11月のパトリック・ティシエイラ(ブラジル)戦であり、この時はWBO世界スーパーウェルター級の暫定王座戦でした。

 

非常に反応が良く、ややディフェンシブな戦い方に見えるアダメスですが、そのパンチには非常にキレがあり、パワーも十分。相手の攻撃に対して常に備えるアダメスのボクシングは、徹底的にリスクを排除したボクシング、といえると思います。

まだ28歳、さほどダメージを負った経験もないでしょうから、これから長く活躍するボクサーだと思っています。

対してファン・マシアス・モンティエル、こちらはかなり緩めのファイティングポーズから、様々なアングルでパンチを放っていくパンチャー。

その構えは、ガードポジションにグローブを置いていないため、被弾は多め、それでも相手にとってはよくわからない軌道でハードパンチが飛んでくるので、非常に厄介な相手といって良いでしょう。

こういうボクサーに対しては、相手を俯瞰して見れる距離で戦ったほうが良いと思いますが、モンティエルはガンガン近づいてきます。

アダメスも下がりまくるボクサーではなく、前でかわすことも多いボクサーですから、距離が詰まることは避けられないかもしれません。

 

アダメスは、完全に距離をとって塩に徹するか、もしくはインサイドでの外側からのパンチに気を付けて戦うかが肝要であり、中途半端なポジションで戦ってはモンティエルが戦いやすくなってしまうでしょう。

どちらがどのように距離間を支配するのか、こちらも非常に興味深い試合ですね。

IBF世界スーパーフライ級タイトルマッチ

フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)14勝(8KO)無敗

vs

ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)33勝(22KO)2敗2分

2022年2月、安泰王者だったアンカハスを降し、世界初戴冠を果たしたフェルナンド・マルティネス。

その初防衛戦で、前王者となったアンカハスを迎えることになりました。

ただ、このダイレクトリマッチについては批判も多いことでしょう。

というのも、前戦の内容は、マルティネスの完全実力勝利。

安定王者アンカハスの穴をついて「攻略」したのではなく、真正面から正面衝突、旺盛な手数と素晴らしいアングルをもって的確なパンチを当て続けた末の判定勝利。

王者としての矜持を持ったアンカハスは、なんとか堪えしのぎ、最終12ラウンズのゴングを聞いた、というイメージです。

当時、「非常に強い王者が誕生した」という旨を記しました。

↓観戦記

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もしかすると、「勝てば統一戦」と先を見据えてしまったアンカハスには、若干の油断があったのかもしれません。それを加味しても、このマルティネスは強い。

新米王者で実績もまだないからか、そのほかの王者たちの対抗馬としては上がってきませんが、もう時間の問題でしょう。

決して衰えを見せたわけでもないアンカハスに完勝したフェルナンド・マルティネス。

これは予想ではなく勘ですが、アンカハスは前戦の悪夢を逃れきれないままこの一戦を迎え、今度こそストップ負けを喫してしまうのではないか。。。と思っています。

ただしそれは、マルティネス側に油断がない、という場合に限りますが。

再戦は、一度負けた方が気持ちの上ではやりやすく、勝ったほうがやりづらい。

それでも、非常にまじめな雰囲気のするマルティネスは、ここに勝ってこそ道が開けるというものですから、万全に仕上げてくるでしょう。

 

スーパーフライ級は、井岡一翔(志成)を筆頭に、日本でも大激戦区。

今後のスーパーフライの盛り上がりにも期待したい。

放送・配信

この興行は、アメリカでは上記3試合をShowtimeが生中継。

10/3(月)現在、日本での中継の予定はありません。ただ、以前、フンドラvsルビンはFITE.TVがやってくれたので、もしかすると可能性はあるかもしれません。

やってくれると良いですね。

ちなみに、この3試合のほか、アンダーカードにはエギディウス・カバラウスカス(リトアニア)vsマイカル・フォックス(アメリカ)なんてのもありますね。そしてセバスチャン・フンドラの妹、ガブリエル・フンドラも登場です。

↓見たい方は直前までFITEのリストをチェック!

 

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【プレビュー】週末の国内興行!ダイナミックグローブは帝拳ホープ勢揃い、沖縄興行にも注目!

今週末は、もう10月!

2022年も残すところあと3ヶ月ですね。12R制のボクシングでいうと、踏ん張りどころです。

さて、週末10/1〜10/2の土日は、海外では注目試合がありません!

いや、ないわけではないんですが、観る術がなさそうです。

ちなみに海外の注目試合は、みんなだいすきルイス・ネリ(メキシコ牛)が、ダビ・カルモナ(ヘスス・ルイス・ガルシアから急遽変更)とのスーパーバンタム級10回戦。メキシコ、ネリの地元ティファナで行われます。

まあ、これはネリの調整試合ですね。

なので、今回のブログでは週末の国内戦のプレビュー。

 


10/1(土)ダイナミックグローブ

日本スーパーフェザー級挑戦者決定戦

波田大和(帝拳)12勝(11KO)1敗

vs

原優奈(真正)11勝(6KO)2敗1分

2015年プロデビューの波田大和。プロ4戦目、初めて日本人ボクサーを相手にした橋本拓也(当時ワイルドビート)戦でまさかの4RTKO負けを喫するも、その後は順調に白星を重ねてきました。

草野慎吾(三迫)、大保龍球(神奈川渥美)を退け、2020年には日本ユース・スーパーフェザー級タイトルを獲得し、その後も竹嶋宏心(当時松田)、最新の試合で齊藤陽二(角海老宝石)を相手に安定的なパフォーマンスで現在9連勝中。

帝拳ジムにおいて、ネクストチャンプといえばこの波田だと思います。

鍛えられた下半身は非常に安定感があり、隆々とした上半身で強い連打を繰り出すことができるボクサーで、帝拳ボクサーらしく攻防のバランスも非常に良い。いわゆる万能型のサウスポー、だとは思いますが、攻撃力が桁外れに強いのも特徴です。

対戦相手の原も同じく2015年のプロデビュー、2018年には西日本新人王に輝いています。(西軍代表決定戦で英洸貴に敗戦)

 

英戦後は負けなしの5連勝、ここで戦った相手も高須賀千春(フォーラムスポーツ)、福田星河(エディタウンゼント)、飯見嵐(ワタナベ)となかなかの強豪揃いで、特に前戦となった飯見戦は完璧なパフォーマンスで3RTKO勝利。

非常にシャープなジャブをいくつも出せる上、フック、アッパーなどリードのアングルが多彩。相手の入り際に合わせるカウンターも得意で、そこからの詰めも素晴らしいものを持っています。

176cmと比較的長身の部類のため、波田と比べてしまうとやや体躯の厚みは薄め。

ここは波田は距離を詰めて、フィジカルで押していくという展開になろうかと思いますが、入り際は波田にとっても危険なタイミングになり得ます。

これまでのキャリアは波田の方が上、というふうにも思いますので、波田優位は否めませんが、原も非常にセンスを感じるボクサーでもあります。

どちらがスタイルを貫けるか、という勝負であり、初回から目が離せません。

 

フェザー級8回戦

中野幹士(帝拳)6勝(5KO)無敗

vs

ロレンツ・ラドラダ(フィリピン)11勝(3KO)3敗1分

セミファイナルには「鉄の拳」中野幹士が登場です。相手のフィリピン人は既にプロ15戦を経験しており、好戦績の持ち主ですね。

さすがにこのあたりのキャリア形成期において、相手のフィリピン人ボクサーを調べてみよう、という気にはなりませんので、ここは問題なくストップ勝利を期待しています。

その他にも、この興行は帝拳ホープたちがこぞって登場です。

 

フェザー級8回戦には「フジチェンコ」こと藤田健児(帝拳)。本家ロマチェンコも月末に復帰ですね。ロマばりの多角的なボクシングを見せてくれると思います。

バンタム級6回戦に村田昴(帝拳)。ラスベガスデビューの村田のプロ3戦目、3連続KO勝利なるか。長谷川穂積氏もホールに現れるかも。。。?

スーパーフェザー級6回戦に齋藤麗王(帝拳)、フェザー級6回戦の金子虎旦(帝拳)、110lbs契約6回戦に高見享介(帝拳)が登場し、それぞれプロ2戦目。皆6回戦デビューなので、この勝利(ほぼ確)でA級昇格となりますね。

【放送・配信】

この興行は、ダイナミックグローブ、ですので日テレジータスです。

しかし、この興行も生放送ではありません。。。9月もそうでしたね。。

放送日は、10/4(火)18:00〜のディレイ放送となっています。

ちなみに現地に行かれる方は、かなり早い展開が予想されますので、ご注意ください。

 

10/2(日)西部・中日本新人王対抗戦

沖縄県、石川多目的ドームで、西部日本新人王(九州、沖縄地域)と中日本新人王(東海地方)が激突、ここに勝利したボクサーが西日本新人王との雌雄を決し、西軍代表として全日本新人王決定戦のリングに上がります。

なので、この試合は東日本新人王トーナメントでいうと準決勝にあたる一戦。

BoxingRaiseの10月のスケジュールがまだ出ていませんが、おそらくこの興行はBoxingRaiseで録画配信してくれるはずです。

10/2(日)沖縄から世界へMUGEN挑

58.0kg契約8回戦

リドワン・オイコラ(ナイジェリア)9勝(5KO)1敗1分

vs

福永輝(沖縄ワールドリング)9勝(6KO)3敗

 

 

9月4日、当時日本フェザー級2位だった(まだ9月なので、10月にどうなるかわかりません。)渡部大介は、地元北海道でリドワン・オイコラというボクサーと対戦。

これは渡部が勝って然るべきマッチアップだったはずですが、蓋を開けてみればこのオイコラの判定勝利。

試合映像はおそらく出回っていないと思うので、この時代においては非常に謎のボクサーとも言えますね。

ボビー・オロゴンが連れてきたこのリドワン・オイコラというボクサーは、平仲ボクシングスクールで練習もしていたとか。

日本にチャンスを求め、アフリカから来日した、という話を聞けば応援もしたくなってしまいますが、今回の相手は福永輝。

前戦は石井渡士也(REBOOT.IBA)、その前はドミニク謙心(リングサイドフィットネス)、その前は木村蓮太郎(駿河男児)戦。

 

文字通り魂が溢れるファイトで観客を魅了してくれるボクサー、というかボクサーというよりも戦士に近い。

さて、典型的なボクサースタイル(らしい)というオイコラに対しては、福永がガンガンプレスをかけて追いかける、という展開になるのでしょうが、渡部もアウトボックスされたオイコラを相手に福永はどこまで攻め入れるか。

福永はサウスポー、木村にアウトボックスされた経験がありますが、オーソドックスのドミニク謙心にはしっかりとプレスをかけ、3RTKO勝利で決着をつけています。

この辺りのことが参考になりそうですね。

前述の西部・中日本新人王の対抗戦が録画配信されるようでしたら、この興行もBoxing Raiseが録画配信してくれることと思います。

これは情報遮断して観る価値あり、ですね!(BoxingRaiseのスケジュールはそれぞれで確認してください。)

 

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【プレビュー】ジョー・ジョイスvsジョセフ・パーカー!暫定王座は、ウシクへの挑戦権!

9月の第4週、ウィークデイの栗原慶太vs千葉開は非常に楽しみですね。

その他、週末にはシャクール・スティーブンソンも登場し、見ようによっては非常に豪華、とも言えるかもしれません。

ただ、このシャクールについては現地時間の金曜日の興行であり、トップランク興行が仕掛ける興行としては中規模興行という部類でしょう。

vsコンセイサン、というのは確かに楽しみなのですが、いわゆる勝負論がある対決ではない、とも思ってしまいます。

そして、週末に予定されていたリー・ウッドvsマウリシオ・ララは延期。

大激闘必至のこの一戦がなくなったことで、私の個人的超注目試合は、この試合にスライドしました。ジョー・ジョイスvsジョセフ・パーカーです。

破竹の快進撃を続ける「オールドルーキー」ジョイスが、いよいよ元世界王者に挑むという一戦。これは非常に難しい試合ではないでしょうか。

90%以上のKO率を誇るジョイスが元世界王者を乗り越えるのか、それとも未だ力を残す元王者、パーカーが勝って世界線戦復帰を果たすのか。

ということで今回のブログは、ジョイスvsパーカーのプレビュー記事です。

 


9/24(日本時間9/25)イギリス・マンチェスター

WBO世界ヘビー級暫定王座決定戦

ジョー・ジョイス(イギリス)14勝(13KO)無敗

vs

ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)30勝(21KO)2敗

「Juggernaut」(ジャガーノート、ジャガナート)。止めることのできない巨大な力、圧倒的破壊力、という意味を持つ単語。

このジャガーノートというニックネームをもつジョー・ジョイスは、遅れてきたスーパールーキー。

KO率からはパワフルに振り回すパンチャーをイメージさせますが、ジョイスのボクシングは素晴らしいステップワークから素晴らしいジャブを突き、ストレート、フックへとつなげるオーセンティックなもので、およそパワーがあるようには見えません。

しかし、築いてきたノックアウトの山は、相手に届く最短の軌道で出る彼のパンチこそが、まさに「ジャガーノート」だということを物語っています。

ボクシングを始めたのは非常に遅く、22歳の時。

陸上競技を諦めてボクシングに転向したジョイスは、26歳で国際大会に出場し始め、数々のタイトルを獲得。30歳で出場したリオ五輪では、スーパーヘビー級で銀メダルを獲得するという偉業を成し遂げます。

そして、翌2017年10月、32歳でプロデビュー。

 

4戦目でコモンウェルスのタイトルを獲得し、2019年には一度はデオンテイ・ワイルダーを相手に判定まで粘った元WBC王者、バーメイン・スタイバーン(カナダ)を6Rで撃破。

同年、10戦目にしてようやく判定での勝利(ブライアント・ジェニングス戦)を挙げ、2020年11月には英国人ライバル対決へと臨みます。

ヨーロッパ圏において非常に多くのタイトルがかかったこの一戦の相手は、現在のWBAレギュラー世界ヘビー級王者、「ダイナマイト」ダニエル・デュボア。

若く、危険な王者を相手に見事なボクシングを展開し、デュボアは目が腫れに腫れ、続行不可能となってTKO勝利。ひとまわりも下の若きダイナマイトに完勝、という試合は、大きく評価を高めた試合でもありました。

↓ジョイスvsデュボアの観戦記
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その後、カルロス・タカム(カメルーン)、クリスチャン・ハマー(ルーマニア)を退け、とうとう(暫定ながら)世界王座へ王手をかけます。

さて、その対戦相手は、全くもって勝利を約束された相手ではありません。

過去一番の強敵、といって差し支えはないでしょう。

ジョセフ・パーカーもアマチュアボクシングからのキャリアで、世界選手権への出場経験もあるようです。

お国柄、体躯に恵まれたパーカーはおそらくラグビーもやっていたと思われますが、パーカーが選んだのはボクシングだったようです。

ロンドン五輪に出場できなかったことから2012年にプロデビュー、その後は連戦して連勝。太平洋圏のヘビー級タイトルを総ナメにし、我々日本人にとっても身近であるOPBF東洋太平洋タイトルも獲得しています。

英国、米国という潮流から外れているパーカーでしたが、2016年5月にカルロス・タカム(カメルーン)を撃破、そして同年12月にはWBO世界ヘビー級王座決定戦へと出場します。

 

当時、王座は空位でした。その前年、長期政権を築いていたウラディミール・クリチコ(ウクライナ)がタイソン・フューリー(イギリス)に敗北して政権交代、しかし新たな王であるフューリーはメンタルヘルスの問題もあってその王座を放棄、まるで願いを叶えたドラゴンボールのように王座は世界各地へと散らばった、という時期でした。

そこへタイミングよくチャンスが回ってきたパーカーの相手は、のちの世界統一ヘビー級王者、アンディ・ルイス(アメリカ)。このルイスに2-0のマジョリティ判定で勝利したパーカーは、ニュージーランドで初めてヘビー級の世界王者となりました。

その後、2度の防衛を果たしたあと、当時無敗のWBAスーパー・IBF世界統一ヘビー級王者だったアンソニー・ジョシュア(イギリス)に敗れ、無冠に。

復帰戦となった4ヶ月後のディリアン・ホワイト(イギリス)戦でも判定負けを喫し、初黒星からの連敗を経験しています。ただし、このホワイト戦は不運なダウンにも見舞われ、決定的に「敗北した」という内容でもありませんでした。あ、ジョシュア戦は完敗中の完敗です。

その後、6連勝して迎えるのが今回の一戦。前戦、前々戦はデレック・チゾラ(イギリス)戦であり、薄氷の勝利ではありつつも、何とかサバイブしています。

 

さて、このジョセフ・パーカーは、フィジカルの強さとタフさを併せ持った、基本的にはファイタータイプ寄りのボクサー。もちろん脚を使ったボクシングもできますが、今回のジョイス戦ではグイグイと前進するということが予想されます。

ジョイスは鋭いジャブとステップワークで迎え撃つ、という展開になると思われます。

これまで、ダウンを喫することはあってもKO負けは一度もない、ジョセフ・パーカー。アンソニー・ジョシュアのパーフェクトレコードをストップしたのも彼でした。

そして、もう一つの敗戦であるホワイト戦では、序盤に不運なダウンを取られながらも、後半に大きく巻き返し、あわや逆転KO勝利か、というところまでホワイトを追い詰めました。

未だ、力を保持していると思われるジョセフ・パーカーに対して、37歳のプロスペクト、ジョー・ジョイスは勝てるのか。そしてもしくは、このパーカーを倒せるのか。

ちなみにパーカーは30歳です。ヘビー級という階級を考えると、ここからがプライムタイム。

まあ、これは非常に楽しみですね。

ジョセフ・パーカーというボクサーは、オセアニア圏のボクサーのため、日本人にとっても仲間意識が発生してくるボクサー。

 

どちらも応援したい、という気持ちもあるのですが、個人的にジョー・ジョイスをスポンサードしている英国ボクシングブランド「FLY」にもっともっと有名になってもらわなければいけないので、ジョー・ジョイスを応援します。

37歳で初戴冠、というのも夢がありますし、ボクシング競技開始22歳というのも非常に夢があることです。

この勝者は、オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)への挑戦権を得ることになりますね。

今後のヘビー級は、ワイルダーvsアンディ・ルイス、vsウシクだとか、タイソン・フューリーvsアンソニー・ジョシュアだとか囁かれていますが、誰がどう当たっても楽しみな試合ばかりですね。

「相性」というものが多分に作用しそうなこのヘビー級戦線、今後も楽しみに見ていきたいと思います。

 

WBC・IBF・WBO女子世界フェザー級王座統一戦

アマンダ・セラノ(プエルトリコ)42勝(30KO)2敗1分

vs

サラ・マフード(デンマーク)11勝(3KO)無敗

女子ボクシング史上最大の戦い、と言われたケイティ・テイラーvsアマンダ・セラノの一戦から5ヶ月弱。

セラノが早くもリングに帰ってきます。

女子ボクシング界の「The Super Fight」は、事前の盛り上がりからその試合内容、試合後の両者の姿、どれをとってもパーフェクトなイベントだったと思います。

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この試合を経験したアマンダ・セラノは、1年くらい放心して休んでも良いくらいのものですが、週末に元々保持していたWBC、WBO王座の防衛戦、ではなく、なんとIBF王者であるサラ・マフードとの統一戦。

前戦で敗れたセラノですが、互角の戦いはどちらが勝ってもおかしくありませんでしたし、決して評価を落とす内容でもありませんでした。

燃え尽きてしまうのではないか、というレベルのものすごい10ラウンズを戦った両者、それを見た観客、そして視聴した我々、みんなが勝者というような試合。

しかし思った以上に早くリングに戻ってきたセラノは、心の底からファイターです。

女子ボクシングというカテゴリーの中で、史上最高のマッチアップであり、史上最高のファイトとなった前戦を経て、どのような戦いを見せてくれるのか、非常に楽しみです。

 

【放送・配信】

さて、この興行はイギリスではBTスポーツが生中継。そしてアメリカではESPNが前日のシャクールvsコンセイサンに続いて生中継とのことです。

しかし日本では、残念ながらこの放送はありません。

私はESPNで視聴しますので、観戦記をお待ち下さい。

ちなみに日本ではこの9/24(日)、ボクシングファンのほとんどが注目していないエキシビジョンがありますね。ABEMA.TV、そしてU-NEXTで生中継されるRIZINというイベントです。

鍛え上げられたフロイド・メイウェザーJrが観れるなら良いとは思うのですが、メイウェザーは残念ながらトレーニングはしていなさそうです。叙々苑食いまくっているみたいです。

おそらくメイウェザーは、たった3Rなのでのらりくらりとやるのでしょう。

ということで、お腹タプタプ(たぶん)メイウェザーの緩慢な動きでも良いから見てみたい、という方はPPVを購入してください。Youtuber兼格闘家、朝倉未来氏とのエキシビジョンマッチです。

↓ABEMA

AbemaTV

↓U-NEXT

U-NEXT

 

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円安がエグい。

元々超少ない利益が、ゼロになっていることに気づいてしまいました笑。

さすがに赤字になりそうなので、少し落ち着いたら値上げをしようと思います。

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【プレビュー】あしたのジョーメモリアル、栗原慶太vs千葉開!あしたはきっと、なにかある。

3150FIGHT SURVIVAL、坂晃典vs奈良井翼の日本フェザー級タイトルマッチは、史上稀に見る大激闘でした。ここ最近は国内戦で大激闘が起こるたびに「これこそ国内FOTY」と思ってしまうわけですが、この一戦はそれらすら上回る、手に汗握る対決でした。

「これぞFOTY」の試合、というのは基本的に大激闘で、両者が心配になるというのがつきものではありますが、この試合はより心配になりましたし、より先が見えない試合でしたね。

万が一、見逃したという方はABEMAプレミアムに加入すれば観れるはずです。

↓観戦記

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そして翌日にはカネロvsGGGの第3戦、こちらは「名勝負」とは言えませんが、36ラウンズにわたり戦い抜いたふたりの友情の美しさは琴線に触れます。

GGGのスッキリとした顔が印象的で、ボクシングという競技の儚さを感じられる「作品」となっていると思います。

↓観戦記

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さて、ということで週が変わり、次の興行へ。

余韻に浸る間もなく次が来てしまうのも、年間通してイベントが行われているボクシング競技の醍醐味です。

ということで今回は、9/22(木)に開催されるA-SIGN.Bee、一力ジム&横浜光ジムの共同開催興行のプレビュー記事です。

 

9/22(木)あしたのジョーメモリアル2022

OPBF東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ

栗原慶太(一力)16勝(14KO)6敗1分

vs

千葉開(横浜光)14勝(8KO)3敗

「あしたのジョーメモリアル2022」と題された興行のメインイベントは、かつて矢吹丈(丹下拳闘)も所持したOPBF東洋太平洋バンタム級のタイトルマッチ。

なんてぴったりな笑。

矢吹丈の肩書としては、「元OPBF東洋太平洋王者」ですが、栗原には是非世界タイトルも獲得してほしい。

一撃必倒の威力を持つ左右を武器に、KOの山を築いている栗原慶太。

2018年にOPBF王者となりますが、2度目の防衛戦で井上拓真(大橋)に負傷判定負けでタイトルを失います。

しかし、その再起戦で井上の同門、中嶋一輝(大橋)を驚愕の3RTKO、改めてその強打をアピールするとともにOPBF王者に返り咲き。

 

あまりのパンチの強さからなのか、挑戦者が現れず、王座再戴冠後の初戦は元世界王者、小国以載(角海老宝石)とのスーパーバンタム級でのノンタイトル戦となり、これが負傷ドローに終わっています。続けていれば確実に好試合となった一戦の中断は、非常に残念でしたね。

ともあれ、元々栗原の希望は王座の防衛戦。

ここに来てとうとう挑戦者が現れ、2度目のタイトルの初防衛戦の相手は千葉開。

千葉は、井上拓真が王座返上後、OPBF東洋太平洋王座決定戦に出場、中嶋一輝に判定負けを喫して王座獲得ならず。今回、2度目の王座戦です。

中嶋戦後、ホープ高山涼深(ワタナベ)との一戦にも敗北し2連敗、2022年5月に鶴海高士(石田)を破り再起に成功しています。

とはいえ、強打者である中嶋一輝、高山涼深とフルラウンド戦ったという経験は、同じく強打者である栗原戦では大いに活きるのではないか、とも思います。

 

これまで3敗している千葉ですが、そのうちKO負けは一つ。2018年1月のブライアン・ロベターニャ(フィリピン)戦であり、これはアンダードッグに思い切り噛みつかれてしまったような試合でした。

ここからブランクに入った千葉でしたが、現在では強打者に怯まないハートの強さを堅持しているボクサーです。

当然、実績に勝る栗原が優位という予想で間違いないでしょう。

栗原も、井上戦での敗戦から、より頭脳を使ったボクシングを展開するようになっており、その強打も相まって国内での対戦相手を探すのが困難な状況。

本家、矢吹丈も挫折といえば1度や2度ではありませんでした。ともに1度だけではない挫折を味わったボクサー同士が激突するOPBF東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ。

栗原のKO勝利に期待したいですが、千葉を倒すのはかなり難易度の高いミッションかもしれません。

 

どうでも良い話

ちなみに、矢吹丈の東洋タイトルの初防衛戦はピナン・サラワク(シンガポール)。シンガポールってなかなか今は見ない国ですが、当時は多くいたのでしょうかね。

初回、老獪なピナン・サラワクを初回から荒々しく攻め立てますが、2Rに入るとカウンターを浴びて矢吹はダウン。しかしこれも矢吹の作戦のうちで、チャンスと見て攻め立てるサラワクに対してカウンターを浴びせてラッシュ。

ロープダウンを奪い、立ち上がったサラワクに対してラッシュを仕掛けると、サラワク陣営はタオル投入でギブアップという内容。

戦前、2RKO予告をしていた矢吹は、その予告どおり、2RTKOで東洋3位のサラワクを退けました。

と、ちょっと気になったので調べてみました笑。

矢吹ほど破天荒ではないにしろ、倒す力を持っている、という点において、栗原というボクサーは矢吹と同様に魅力的なボクサーですね。

 

64.0kg契約8回戦

近藤明広(一力)34勝(19KO)10敗2分

vs

柳達也(伴流)18勝(7KO)7敗2分

栗原慶太の同門であり、OPBF東洋太平洋スーパーライト級王者である近藤明広、今回は防衛戦ではなくノンタイトル戦のようです。

柳は日本スーパーライト級6位、OPBFではライト級の14位、ということで、ランキング的には何とかなりそうな感じがしますが。。。

ともあれ、世界挑戦経験のある近藤明広は2022年6月に麻生興一(三迫)を2RTKOで降し、日本ライト級、WBOアジアパシフィックライト級タイトルに続き、3つ目のタイトルを獲得しました。

技巧派と呼ばれる近藤ですが、ハートも非常に強い。

更に、非常によく頭を使っているボクシングをしていると思われるので、年齢の影響を受けにくく、まだ向上していけるボクサーなのかもしれない、と期待しています。

 

スーパーライト級という壁は非常に高いですが、またアジア圏を出て闘う近藤の姿が見たい。

さて、今回の対戦相手、柳とは2019年11月に対戦経験があります。結果は近藤の判定勝利であり、そこからの対戦相手の質、実績ともに近藤が上回っているため、当然ここも近藤優位の予想が成り立つという一戦です。

それでも、柳の胸にも期するものがあるはずです。

ここで柳が近藤に勝利すれば、3年前のリベンジを果たす事にもなる、ということに加え、ランキングのアップも見込めるはずです。

対して近藤としては「勝つべき試合」であり、モチベーションの違いは明白でしょう。

ベテラン同士の一戦、どのような試合となるか、非常に楽しみです。

 

【放送・配信】

ちなみに、この興行の第一試合に出場する女子ボクサーに、一力ジムの「白木ようこ」という名前のボクサーがいます。

これは本名なのか、リングネームなのかはわかりませんが、この興行には運命的な出場です。これは楽しみですね。

生配信がありそうですが、現在のところ確定情報は出ておらず、「Youtube」もしくは「ツイキャス」だそうです。確定したら私もツイートしたいと思います。

↓でもありそうで良かった!

 

 

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【プレビュー】3150FIGHT!瞬き厳禁、日本Fe級TM・坂晃典vs奈良井翼はKO決着必至!!

ウィークデイの楽しみ、フェニックスバトルが終わりました。

ここ数年、有難いことにボクシング配信は一気に増加、さまざまなプラットフォームで見れるようになりましたね。

その分、全てをチェックすることは非常に難しい現状。

仕事せずに、ボクシングのトレーニングもせずに、試合視聴だけに集中すれば全てをチェックできるのでしょうが、さすがにそういうわけにはいきません笑。

ということでフェニックスバトルはメイン→セミ→セミセミ。。。と見たわけで、ある程度そんなふうに区切って見ていこうかと思っている今日この頃。

↓観戦記

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1日が48時間あれば良いのに。

それは置いておいて、ウィークデイの興行が終われば次に来るのはウィークエンド興行。

今週末は、9/18(日)にカネロvsGGGという注目興行がありますが、DAZN PPVという悪きプラットフォームのせいで海外では否定的な意見も散見されます。我々は日本に住んでいて良かったですね。

↓プレビュー記事

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そして国内では、前興行が非常に盛り上がった3150FIGHT興行、その下部興行という位置付けのようですが、3150FIGHT SURVIVALという興行。

メインな日本スーパーフェザー級タイトルマッチ、これは超注目です。

ということで今回は、週末に迫った3150FIGHT SURVIVAL興行、その観戦記です。

 

9/17(土)3150FIGHT SURVIVAL

日本スーパーフェザー級タイトルマッチ

坂晃典(仲里)21勝(18KO)6敗

vs

奈良井翼(RK蒲田)8勝(7KO)1敗

2012年にプロデビューした坂は、同年の新人王トーナメントに参戦。圧倒的な強さで勝ち上がりますが、全日本新人王決定戦でのちの世界王者、伊藤雅雪(当時伴流)に判定負け。

その後、2014年には連敗を喫する等の挫折を経験しますが、2017年4月、林翔太(当時畑中)を3RTKOで屠り、日本フェザー級タイトルを獲得しました。

しかし、この初防衛戦で大橋健典(角海老宝石)に敗北、これはラウンド残り10秒の拍子木をラウンド終了のゴングと勘違いしてコーナーに戻ろうとした坂に、大橋が回り込んでフックを決め、試合を決めてしまったという珍事件。当時話題にもなりましたね。

そこからの復帰戦で現在のOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王者、力石政法(緑)に2RTKOで再起した坂は、2019年4月にジョー・ノイナイ(フィリピン)に敗れるも、同年12月には圧倒的な下馬評不利を覆して末吉大(帝拳)を6RTKOで破って日本スーパーフェザー級王座を獲得、日本タイトル2階級制覇。

 

初防衛戦では50戦という莫大なキャリアの中で、KO負けが一度もなかった渡邉卓也(DANGAN AOKI)を6RTKO、メキメキと評価を高めていきました。

しかし、そこから11ヶ月後に行われたOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王座決定戦では、木村吉光(志成)に3RTKO負け。

この試合に日本タイトルはかかっていなかったため、指名挑戦者である中川兼玄(角海老宝石)を迎える予定でしたが、中川の怪我により流れ、結局奈良井という挑戦者を迎えての防衛戦となりました。

決して順風満帆とは言えないキャリアの中で、勝っても負けてもド派手な勝負師。この坂の試合にハズレはないでしょう。

そして挑戦者、奈良井翼も、勝っても負けてもド派手な試合ができる稀有なボクサー。

2019年にプロデビューした奈良井はスーパーバンタム級での新人王戦トーナメントにエントリーするも、減量失敗によりトーナメントを途中棄権。

 

その後、2階級あげてスーパーフェザー級の同トーナメントに出場します。

これが非常に賢明な判断だったようで、スーパーフェザー級に上がっても奈良井の強打は衰えず、全日本新人王決定戦も含むトーナメント全てをノックアウト勝利して全日本新人王に駆け上がりました。

輝く未来が見え始めた奈良井が次にチャレンジしたのは、日本フェザー級ユース王座。

この王座の決定戦を亀田京之助(ハラダ)と争いますが、まさかの2RKO負け。この試合は、短時間ではありましたが、共に倒せるパワーを持っている同士の非常に高度なカウンター合戦でもあり、よりリラックスして戦えていたのが(地の利のある)亀田だった、という印象ですね。

 

これは非常に残念な敗戦でしたが、再起戦では日本王座への挑戦者決定戦の出場経験もある日本ランカー、長谷川慎之介(ワールドスポーツ)を2RTKOで降し、今回の一戦を手繰り寄せました。

非常にダイナミックなパンチャーである奈良井。前述の通り、このボクサーの試合にもハズレはありません。

さて、両者の戦績を合わせると、29勝(25KO)7敗(5KO)となります。

勝っても負けても、ものすごいKO率です。

これはつまり、KO決着必至の戦いといって良いでしょう。

共に好戦的で、自分のパンチに自信をもち、失礼ながらディフェンス面にやや難がある、という印象。両者ともに一発で試合を終わらせられるボクサー同士、もしかすると決着は序盤なのかもしれません。

始まる前に必ずトイレに行っておいた方が良いし、ラウンド中の瞬きは厳禁です。

 

OPBF東洋太平洋女子ミニマム級タイトルマッチ

千本瑞規(ワタナベ)4勝(1KO)無敗

vs

パク・ヘス(韓国)6勝(1KO)8敗3分

千本瑞規、このボクサーのボクシングは非常に美しい。

比較的どっしりとした構えから、鋭いジャブを飛ばしてはコンビネーション、カウンターへとつなげるボクシングは、私のようなオールドファンの好むところ。

前戦、長井香織(真正)戦では、長井の仕掛ける接近戦にやや付き合ってしまった、という感じもしましたが、特に前半はそのジャブで長井をストップ、入り際にカウンターを合わせるという素晴らしいボクシングを展開していました。

2018年プロデビューの千本は、なかなか試合数に恵まれませんが、2021年のプロ3戦目で現在の世界王者、黒木優子(YuKOフィットネス)を破ってOPBF王座を戴冠。

 

前戦の長井戦が初防衛戦、今回は2度目の防衛戦となります。

プロでは5戦目ながらも、アマ実績は十分。

このパク・ヘスというボクサーがどのようなボクサーか調べてはいないものの(2019年に来日、現在の世界王者・小澤瑶生に敗北)、ここは力の差を示したい一戦のはずです。

アンダーカード!

セミセミには、先日格闘家の皇治選手とのボクシングエキシビジョンで大いにファンの反感を買った福重浩輝(KWORLD3)がカムバックしたベジータ石川(折尾)と対戦。

カムバック、というほどのブランクでもない(前戦は2022年の4月29日)ベジータですが、大変申し訳ないことに、どうしてもネタボクサーという色が濃いように思えますね。

尚、個人的には62.0kg契約4回戦であるこの試合がセミセミであることこそが、この3150FIGHTがネタに走っているのではないか、と思われる一因であると思われます。亀田興毅会長には頑張ってほしいですが、これを嫌がるオールドファンは多いのではないか、と思ってしまいます。

 

オールドファンは何があってもついてくるだろうから、新規ファンを獲得するために云々、という考えであれば否定はしませんが、長くボクシングを見てきた身としては寂しい限り。

その前には56.0kg契約8回戦で元日本王者、「ゾンビ」田村亮一( JBスポーツ)が登場。

日本スーパーバンタム級1位、この次には最強挑戦者決定戦の予定がある田村は、絶対に負けられない戦いです。

対戦相手の横川聡也(ミツキ)は現在日本フェザー級16位、勝てばアップセット。

この試合が本来、セミセミであるべきでしょう。

他、「対人恐怖症ボクサー」として話題の小川椋也(天熊丸木)がKWORLD3ジムからの刺客、森本竜馬と、2021年の西軍代表として全日本新人王決定戦のリングに上がった(判定負け)伊集院嵐(SFマキ)がベイリー・アーロン・テオ(陽光アダチ)と対戦。

他にKORLD3のボクサーがそれぞれ4回戦を戦う、全8試合の興行となっています。

 

【放送・配信】

この興行は、AMEMA.TVで生配信。

日時は、9/17(土)15:00〜配信開始のようです。

リアルタイムで見れない方、見逃し配信、追っかけ再生をしたい方はABEMAプレミアムに登録すれば可能です。

私は仕事で見れませんし、おそらくピックアップして試合を視聴するので、そう考えた時にABEMAプレミアムは非常に便利。

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