アメリカ時間で10/29、日本時間では10/30は注目試合が盛りだくさん。
アメリカで最も話題をさらっているのは、もしかするとShowtimeがPPV放送するジェイク・ポールvsアンデウソン・シウバというイロモノボクシングマッチかもしれません。が、最も多くみられるのはこの試合ではないでしょう。
それは、このYoutuberの登場するエンターテイメントは、PPVだから、という理由です。(ちなみにこのアンダーカードでアントニオ・ニエベスが登場しますね。)
DAZNではジョジョ・ディアスvsウィリアム・セペダ、そしてESPN+ではワシル・ロマチェンコvsジャーメイン・オルティスがありますが、この中で最も勝負論があるのはディアスvsセペダであり、ロマチェンコの注目度は如何程なのでしょうか。
メインイベントこそディアスvsセペダの方が興味深いですが、極上のプロスペクトたちが次々と登場するアンダーカードを含めるとロマチェンコvsオルティスに軍配が上がりそうな感じがしますが、これはあくまでも私の個人的な興味。
ともあれ、本日はいよいよリング復帰、ワシル・ロマチェンコvsジャーメイン・オルティスをメインに据えた、トップランク興行のプレビュー記事です。
↓予想通りPVを集められなかった(笑)ディアスvsセペダはこちら
10/29(日本時間10/30)アメリカ・ニューヨーク
ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)16勝(11KO)2敗
vs
ジャーメイン・オルティス(アメリカ)16勝(8KO)無敗1分
ロマチェンコのニックネームは、「ロマ」とか「マトリックス」とか、「ハイテク」。
このうち「ハイテク」というのは、ハイ・テクノロジーの略であり、まるで精密機械のように、狙ったところにパンチを当て、その後の動きも含めてよく言い当てているニックネームだと思います。
ただ、個人的にはこの「ハイテク」は「ハイ・テクニック」という意味も備えているように思え、現代ボクシングのテクニックを超えるものを未来から持ってきてくれた、というふうに捉えています。
ワシル・ロマチェンコについて、ここで長々と書く必要はないでしょうから、今回スポットを当てるのは対戦相手、ジャーメイン・オルティスのこと。
このジャーメイン・オルティスのニックネームは「テクニシャン」と言い、ということは私の上記の考えからいくと、ニックネームの時点で負けています。
オルティスは確かな技術を持っており、非常に穴の少ない、隙の少ないボクサーではあるものの、取り立てて飛び抜けて優れたものを持っているように見えないボクサーでもあります。
トップランクのプロスペクトらしく、キャリア初期は非常に大切に育てられたボクサーで、実際の勝負をし始めたのは2021年頃からのことだと思います。
同じくプロスペクトのジョセフ・アドルノ(アメリカ)とぶつかったのはその頃で、このプロスペクト対決はその後のキャリアに光が差すか、影を落とすかで重要な一戦だったはず。
この試合で、オルティスは2Rと7Rにダウンを喫するも、そのほかのほとんどのラウンドを支配し、結果はドロー。アドルノのハードパンチにより、本来勝てる試合をドローに持っていかれた、という印象ですね。
その後は2連勝ですが、前戦で元世界王者のジャメル・ヘリング(アメリカ)を判定で退けているのがキャリア最大の勝利。
しかし、この時のヘリングは往年の力を残しておらず、後半には非常に疲れてしまっていましたから、もうシャクール戦で燃え尽きてしまっていた、と捉えるのが普通でしょう。
ともあれ、ジャーメイン・オルティスは、期待の通りにジャメル・ヘリングとの技巧派対決を乗り越え、ロマチェンコ戦を掴んだ、といえます。
ここまでのパフォーマンス、実績を勘案すると、当然ロマチェンコ優位。それも、圧倒的に。
しかし、ロマチェンコにも不安がないわけではないのも、また事実。
前戦から10ヶ月というブランクは、ただの10ヶ月ではありません。
肉体的な部分においても、精神的な部分においても、大きなディスアドバンテージを被ったことは想像に難くありません。
そして、オルティスにとっては過去最高の大一番であり、ヘリング戦よりももっとモチベーションは高いはずで、こういう時にこそ、ボクサーというのは真価を発揮します。
王座を失ってさえ、追われる立場にあるワシル・ロマチェンコ。今回もしっかりと退け、同じトップランク所属の4団体統一王者、デビン・ヘイニー戦を手繰り寄せてもらいたい。
ロベイシー・ラミレス(キューバ)10勝(6KO)1敗
vs
ホセ・マティアス・ロメロ(アルゼンチン)26勝(9KO)2敗
いよいよ頭角を表してきた、ロベイシー・ラミレス。2012年のロンドン五輪、2016年のリオ五輪を連覇したアマキャリアは実績として群を抜いていますね。
今をときめくシャクール・スティーブンソン、ムロジョン・アフマダリエフも撃破しています。
このセミファイナル、当初はラミレスの相手は元世界王者のジェシー・マグダレノ(アメリカ)と発表されました。しかし10月上旬、マグダレノが怪我で撤退、ホセ・マティアス・ロメロは代役です。
これは非常に残念なことですね。
エイブラハム・ノバ(アメリカ)とのプロスペクト対決を5RTKO、圧倒的な力で勝ち残ったラミレスは、ここからグッとそのキャリアを進展させることができたはずなのですが。
そうはいっても、ロメロの2敗は「サルサ・アリ」ミシェル・リベラ、そしてイサック「ピットブル」クルスに喫したもののみ。それは両方とも、ライト級以上のウェイトでの試合です。
ラミレスは現在フェザー級を主戦場としており、ロメロも前戦では126lbsというフェザー級リミットで戦っていることから、今戦もフェザー級戦となるはずです。
そこから2階級も重いライト級で、リベラとクルスを相手にしながらも10Rを戦い抜いたホセ・マティアス・ロメロ。
そのロメロを相手に、ラミレスがどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、非常に楽しみです。
そのほかのアンダーカード!
この興行には、トップランクのプロスペクトたちが揃い踏みです。ロマチェンコに興味のあるファンたちにプロスペクトたちを見てもらいたい、ということなのか、それとも人気プロスペクトたちのついでにロマチェンコvsオルティスを見てもらいたいのか。
出てくる順番はよくわかりませんが、おそらくメインに近い位置で出てくると思われるのはニコ・アリ・ウォルシュ(アメリカ)。モハメド・アリの孫、ということで有名なこのボクサーは、6勝(5KO)無敗と比較的順調なキャリアを歩んでいます。
何のアマ実績もないボクサーとしては、着々と力をつけているように感じますね。今回は5勝(1KO)2敗という戦績を持つビリー・ワグナー(アメリカ)と初の6回戦に臨みます。
このアリ・ウォルシュを特殊な例とすると、ロマチェンコ、ラミレスといった五輪連覇を果たしたボクサーたちのアンダーカードに相応しい、元オリンピアンボクサーたちが大集結しているのが今回のアンダーカードの面白いところ。
東京五輪で銀メダルを獲得したデューク・ラガン(アメリカ)、リチャード・トーレスJr(アメリカ)をはじめ、トロイ・イズリー(アメリカ)、そしてデランテ「タイガー」ジョンソン(アメリカ))も登場。
東京五輪に出場したボクサーたちは、まだプロキャリアにして1年と少しくらいのもので、当然キャリアの形成時期を出てはいませんが、このキャリア序盤の戦いというのも必見に値するものだと思っています。
WOWOWがどこから放送してくれるのか、というか、試合順がどうなのか、はよくわかりませんが、3試合だとするとニコ・アリ→ロベイシー・ラミレス→ロマチェンコ、ということかもしれませんし、2試合だとラミレス→ロマチェンコ、となりそうですね。
【放送・配信】
ということで、この興行はWOWOWオンデマンドで生配信です。
日時は日本時間で10/30(日)11:00〜、その翌日、10/31(月)21:00〜のレギュラー放送でも放送される予定です。生配信は、オンデマンドのみなのでご注意くださいね。
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