8戦目で世界最速(当時)で2階級制覇を達成!その後!
井上尚弥の軌跡について振り返っているブログです!今回はそのPart2です!
Part1はこちらへどうぞ!
ということで、圧倒的なパワーで当時世界最速の戦績で2階級制覇を達成した井上尚弥!
ただ、その代償も大きく、ナルバエス戦で負傷した右拳の状態は悪く、右拳にメスを入れました。そして2015年の9月になってようやく右拳を練習で使うようになったそうです。
そしてようやく迎えた初防衛戦。
ナルバエス戦から、もう1年が経過していました。
ちなみにこの年、結婚。
2015.12.29 ワルリト・パレナス(フィリピン)2RTKO
初防衛戦はもう圧巻のひとこと。2R、パレナスのガードの上から右ストレートを叩き込み、効かせる。その後連打でダウンを奪います。その後は立ち上がってきたパレナスに左フックを効かせてダウンを追加、レフェリーストップ。
これは重量級のボクシングです。ガードしてても効かされる、かといって速すぎてかわせない、どうしたらいいんでしょうか???
不安定期間!
初防衛戦を圧勝で飾った井上尚弥、次戦は5月にダビド・カルモナ。この頃、スパーリングでは、スパーリングパートナーの腕をガードの上から打ち込み、骨折させたとか。。。パートナーなんて絶対やりたくないですね。。。
ちなみにパートナーには普段の倍額払って来てもらっていた、なんて話もあります。
今回も余裕のKO勝利が期待される井上尚弥のV2戦!
2016.5.8ダビド・カルモナ(メキシコ)12R判定
1R目の動きは調子の良さを感じさせるものでした。また今回もすぐ終わるな。。。
しかし、2R目、少しペースダウン。理由は、またも右拳の負傷。
5Rに見せ場をつくり、最終12Rにはダウンを奪ってラッシュをかけるも、終了ゴング。
期待された圧勝KOはなりませんでしたが、格の違いを見せつけた一戦となりました。
ただ、いちファンとしては前々回のナルバエス戦、前回のパレナス戦のような圧勝を期待していたので、この判定勝利は期待していたものではありませんでした。圧倒しながらKOを逃す、残念な一戦。
2016.9.4ペッチバンボーン・ゴーキャットジム(タイ)10RKO
そして迎えたV3戦。今回も勿論井上の圧勝予想。というのも、ペッチバンボーンは未知の強豪でもなく、日本のリングにも何度か上がっている選手。ファンは知っているんです、ペッチバンボーンがさして打たれ強くないことも、ハードパンチャーでもないことも。
強すぎるがゆえの周りの過剰な期待。(私も含めて)
10RにKOしたものの、普段の出来からは程遠く、前戦も含めて歯痒く思ったファンも多かったと思います。
超一流の技術を持ち、階級を飛び越えたハードパンチ、スピードも一級品。そして抜群の距離感。
それでもなお、多い故障(今回の防衛戦では試合2週間前に腰痛を発症、試合中にまたも拳を痛める)がゆえ、大いに安定感を欠く。
この試合後、父・真吾トレーナーはリングにも上がらずさっさと帰宅。
試合中に腰痛が再発していたことを尚弥が言えず、試合の不甲斐なさに怒って帰ってしまったそうです。親子関係、トレーナーと教え子という関係に亀裂が入ってしまった井上家。井上家にとって最大のピンチを迎えます。
完全無欠の人間などいません。このエピソードは、父子の関係性を語る上で、また
井上尚弥の強さを考察する上では欠かせません。
父に心配をかけたくない息子と、腰痛は完治した、という息子の言葉を信じた父。
互いが互いに、配慮と尊敬を持って接していることが感じ取れます。
その後、しっかりと胸の内を分かち合った父子は、また改めてスタートを切ります。
この試合後、井上尚弥はアメリカ視察。少し距離を置いてから話し合いをしたことも、タイミング的にはよかったかもしれません。(以前から決められていたことですが、結果的に大橋会長のファインプレー)
モンスター無双!!
2016.12.30河野公平(ワタナベ)6RTKO
元WBA世界スーパーフライ級王者、河野公平。これまでに2度同王座を獲得し、2度目の王座は3度防衛した「タフボーイ」。
河野の試合は感情移入できて、感動します。なぜなら彼はおそらくセンスもある方ではなく、パンチもある方ではなく、スピードもある方ではない、ボクサーとしては、いわゆる凡人だからです。
ただ、並々ならぬ努力ができました。人の何倍もの努力に努力を重ね、世界チャンピオンになった、努力の天才だと思います。
2016年8月にWBA王座を陥落した河野の次戦が井上尚弥への挑戦だときいたときは、複雑な気持ちでした。井上の出来次第ではありますが、きっと倒される。
実際試合は6RでTKO。ただ、河野も意地を見せました。
序盤から井上優勢の中、河野はがむしゃらに前進。気持ちで前に出て、パンチを出します。細かく、とにかく手数を出す河野。的確に急所に、力強いパンチをめりこませる井上。主導権は井上が握ってはいますが、河野は愚直に前にでます。
そして5R、河野の細かい連打が井上を捉えます。
この5Rを、河野のラウンドにしているジャッジいますが、これ以降、ノニト・ドネアと闘うまでの約3年、実は井上は1ポイントたりとも相手に与えていないんです。モンスター。。。
その次の6Rで試合は決します。
井上は久々に怪我なく、会心の勝利。
敗れた河野は惨敗ながらも見せ場をつくり、会場を沸かせました。
2017.5.21リカルド・ロドリゲス(アメリカ)3RKO
次の挑戦者はメキシコ生まれ、アメリカ国籍を持つリカルド・ロドリゲス。初回から力の差は歴然。井上尚弥はサウスポーにスイッチしたり、アッパー、フックで攻めてやりたい放題。随分余裕を持って闘っていました。
この頃になるともう安定感が違います。バンテージ職人、ニックさんのバンテージもなじみ、拳の怪我もなくなって、非常に良い状態。
2017.9.10アントニオ・ニエベス(アメリカ)6R終了TKO
モンスターがはじめてアメリカに上陸。場所はカリフォルニア州、スタブハブ・センター。この日のメインイベントはシーサケット・ソールンビサイvsローマン・ゴンサレスの再戦。
ローマン・ゴンサレスは前戦でシーサケットにきわどい判定敗けを喫し、そのリターンマッチでした。ここでもしロマゴンが勝っていれば、次に井上尚弥との統一戦が実現したかもしれない。。。しかし、4Rに痛烈なKOでシーサケットが勝利。前々から待望されていた、ロマゴンvs井上という幻のカードは、ついに消滅。
さて、井上はというと、アメリカデビューながら変に緊張することもなく積極的に攻め、既にビビって逃げに徹するニエベスを追い回します。
5Rにダウンを奪い、為す術なしのニエベスは6R終了とともにギブアップ。KOアーティストとしてのインパクトは残せませんでしたが、総合力の高さを本場のファンに示した1戦でした。
2017.12.30ヨアン・ボワイヨ(フランス)3RTKO
さて、ローマン・ゴンサレスとの統一戦も消滅し、いよいよ相手のいなくなってきた井上尚弥。減量苦も相まって、階級を更にあげることになります。
スーパーフライ級最後の相手は、フランスのヨワン・ボワイヨ。大橋会長がフェイスブックで見つけてきた相手だったそうです。
ナルバエスを衝撃的なノックアウトで破り、圧倒的なパワーを見せた井上には、なかなか挑戦者が現れません。ここまでの防衛戦、すごく対戦者選びに苦労をしています。誰も闘いたくないから。
この段階を更に突き抜けると、今度はこぞって対戦したいというボクサーが現れるのですが、この時はまだそこまでの「世界的な知名度」や、「ファイトマネー」ではなかったのでしょう。
防衛戦で井上が下した挑戦者たちも、初防衛戦のダビド・カルモナは井上と判定まで闘ったことを誇りにしていますし、ニエベスも後々、俺は6Rまで持った、みたいな発言をしていました。(実際は逃げ回ってファイトしなかっただけですが。。。)それほど、井上は圧倒的なのです。
そんな中、フランスの勇者が井上に挑戦します。しかし無名の勇者は、もちろん井上の敵ではありませんでした。
3階制覇への挑戦!
2018.5.25ジェイミー・マクドネル(イギリス)1RTKO
ジェイミー・マクドネル。WBA世界バンタム級チャンピオンで、当時は10年間無敗。IBF王座を返上したのちに獲得したWBA王座をここまでで5度防衛中。アクティブな王者ではありませんが、リボリオ・ソリス、亀田和毅といった難敵も退けている、実力のある、堅実な王者でした。
175cmという長身ですから、減量はかなりきつかったんだと推察されます。
公開練習の時とうってかわって、げっそりとした状態で計量会場にあらわれ、翌日の試合では12kgの増量。
決して状態としてはよくなかったとは思いますが、たとえ絶好調であったとしても、井上との実力差は歴然だったでしょう。
戦前は、マクドネルは長身で、かつ基本のしっかりした堅実なボクサーなので、ある程度のやりづらさはあるだろう、判定までいくのかも、という予想もちらほらあったと思います。井上にとっては、バンタム級に階級をあげて、テストマッチをはさまずにいきなりの世界タイトルマッチだったので、「階級の壁」に阻まれる可能性もあったと思います。
ゴングがなると、井上はマクドネルに早速プレッシャーをかけます。サークリングするマクドネル。やはり少し距離が遠い。
しかし、どっしりとした構えで、プレッシャーをかけながら、距離をつめた井上の左フックでマクドネルがよろめく。効いたとみるや、距離を詰めて連打。の中の左ボディー!マクドネルはたまらずダウン!!
辛くも立ち上がったマクドネルに、反撃する力がないとみるや、猛然とラッシュ!!
レフェリーストップ!!秒殺です。
相手は減量失敗しているので、おそらくスタミナがなく、常識的にいうと短期決戦をしかけるべきなのはマクドネルの方です。
しかし、井上尚弥は待つことをまったくせず、(前日計量でマクドネルが大きく遅刻したことが、井上を怒らせていたようですが)飛ばしに飛ばし、あっという間に3階級を制してしまいました。
Jamie McDonell Vs Naoya Inoue Full Fight HD English 25/05/2018
この、ラッシュをしかける嗅覚というのはものすごいものがあって、これまでの試合でもそうでしたが、この後の試合についても、行くべき時に躊躇なく行けることも、井上の強さの秘訣だと思います。
ちなみにこの日も私は現地観戦していたのですが、前座の試合から序盤のKOが続き、弟の拓真も2RKO勝ち、セミファイナルではWBC世界ライトフライ級王者の拳四朗(現在・寺地拳四朗)も元王者のガニガン・ロペスを強烈な右ボディストレートで鮮烈KO。強烈なインパクトを残しましたが、全て井上尚弥が持っていくという。。。
テレビ放映のための調整時間が多く、ほとんどが待ち時間でした。。。
そして、試合終了後の勝利者インタビュー。この試合の前からにわかに情報が飛び交っていた、バンタム級でのWBSS(World Boxing Super Series)の開催と、その出場を明言したところで、井上の物語は第三章へとすすんでいきます!
Part3へ続く