信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

中谷潤人の歩んできた日本人ボクサーとしての王道。

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コロナ禍により、中谷潤人の世界戦も延期。

昨年2019年は新たな日本人世界チャンピオンが生まれない一年でした。

村田や岩佐が世界チャンピオンに返り咲いた(岩佐は暫定)、という事はありましたが、新しいチャンピオンは生まれていないのです。

そして2020年、最初の世界戦は、田中教仁が鬼門のタイでノックアウト・CPフレッシュマートに挑んだ一戦でした。この試合、田中のパンチングパワーに期待はありましたが、王者ノックアウトの牙城は崩せず。ノックアウトは体が強く、田中は、おそらく慣れない暑さもあってか押し負ける場面が目立ちました。

認定団体が増え、階級が増えてタイトルの価値が下がったとしても、やはり世界チャンピオンというのは格別です。そのタイトルを手中に収めることが、ボクサーの当面の夢だと思います。

その夢の最も近くにいる日本人のボクサーは、中谷潤人。

元々4月4日に世界タイトルマッチが組まれましたが、コロナ禍により延期。

このコロナ騒動が落ち着けば、日本ボクシング界最大のホープは、いよいよ世界タイトルに挑む事になるでしょう。

そのスーパーホープ、中谷潤人のキャリアを振り返っていきたいと思います!

プロ叩き上げのスーパーホープ

最近のトップボクサーは、世界的にみても元トップアマが多いと思います。日本でも例外ではなく、デビュー以来連戦連勝して世界に挑むボクサーのほとんどがアマで実績を残してデビューしているような気がします。

しかし、中谷潤人は、キッズボクシングの大会であるU-15大会で優勝(連覇)するものの、高校◯冠、国際大会◯メダル等の、いわゆるトップアマではありません。

中谷は、中学卒業後、高校へ進学せず、アメリカへボクシング留学したそうです。

若干15歳、ものすごい決断。ご両親も普通の尺度で計ると「高校ぐらいは・・・」となってしまいますが、息子の夢を応援したのですね。

単身渡ったアメリカで、ルディ・エルナンデスの指導を受けます。

2016年東日本フライ級新人王として、全日本新人王決定戦に出場。この時の相手が、ハードパンチが売りの矢吹正道(薬師寺=当時)。8戦全勝(7KO)東日本のMVP中谷と、3戦全勝(全KO)西日本MVPの矢吹。2016年全日本新人王決定戦の中でも、大きな話題を集めた1戦となりました。

私が中谷の映像を見たのは東日本新人王の決勝からです。ジャブがすごくいい選手。ストレートがキレイに打てる選手。攻防のバランスがとてもいい。カウンターがとれる。文章にすると最強ですね。。。実際東日本新人王の決勝でも1RKOの圧勝。

試合は中谷が先に攻め、打ち終わりに矢吹が打ち込む展開。時折危ないタイミングもあるものの、前半は互角に見えました。後半に入ると、矢吹はこれまで経験した事のないラウンドだったためか、動きがかなり荒くなってしまいます。中谷にも疲れは見えるものの、元々基本がしっかりした選手なのでブレが少ない。結果、後半を制した中谷が判定勝利。

この試合で中谷が証明したものは、体の線の細さや、優しそうな顔立ちからは全く想像できないようなファイティング・スピリット。上手いだけではなく、強打者相手に打ち合う勇気を見せ、最後まで相手を倒そうという強い気持ちを見せてくれました。

ちなみに矢吹は次戦で日本ライトフライ級王座に挑戦予定です。

ホープ同士の対決を制し、その後も連勝街道を突き進みます。

同世代のルーキー達を次々と撃破。全日本新人王からステップアップ。

そして迎えた13戦目、この年から定められた日本ユース王座。その日本ユース・フライ級王座決定戦(のトーナメント決勝)で、ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)と激突します。

24歳以下で争われる王座で、2017年にスタート。この年は初代王座決定戦としてトーナメント形式で行われました。準決勝から若い才能がぶつかり合い、熱戦が繰り広げられたトーナメントの決勝戦。中谷と阿久井の1戦は、大注目の1戦でした。

ユーリ阿久井政悟は、顔がユーリ・アルバチャコフに似ているから、という理由でこのリングネームになったそうなのですが、所属ジムが岡山にある倉敷守安ジム。私は香川県の生まれで、地元にいる時は世界タイトルにも挑戦したウルフ時光という選手がいて、隣県の私も非常に興奮していました。

その倉敷守安ジムから、久々に上を狙える選手が出てきたことで、非常に注目していた選手。これもどちらを応援するのか非常に迷う1戦でした。

ちなみに阿久井は15年のライトフライ級全日本新人王。奇しくも全日本新人王同士の対決。

阿久井は12戦11勝(7KO)1分という戦績。7つのKOのうち6つが1RKOという速攻型の強打者でした。前半のKO決着だと阿久井、後半までいくとKOか判定で中谷、という予想です。

そしてゴングが鳴ります。

阿久井はいつものように攻めていきます。中谷は最初こそ距離をとるそぶりを見せますが、2R目からは打撃戦の展開。前半KOが多い阿久井相手に、危険な距離では?と思いましたが、中谷は気持ちも強く、ショートレンジでのパンチも非常に上手い。

相手の距離で打ち合っても打ち負けない技術と体力、その中でも距離をつくって放つストレート。徐々に削られた阿久井は、手数がでなくなり、最後は防戦一方となり、レフェリーストップ。

矢吹戦に続き、ユーリ阿久井政悟との無敗対決も制し、ホープの中でも一歩抜きん出た存在になりました。

ユーリ阿久井政悟は、この後世界ランカーに敗北するも、昨年、中谷が王座を返上したがために日本フライ級王座決定戦に出場、またも1RKOで見事勝利し、日本フライ級チャンピオンとなります。初防衛戦は予定されていましたが、コロナ禍により、延期。

 

ユース王座を獲得、その後日本王座へのステップアップ。

その後、外国人選手を相手にキャリアを積み、世界ランカーにも負傷判定ながら勝利を飾り、世界ランクもゲット。そしていよいよ日本フライ級王座への挑戦権をかけて、小坂駿(真正)との挑戦者決定戦に出場します。ボクシング一家の次男との一戦をフルマークに近いユナニマスで勝利し、日本フライ級王座への挑戦権を獲得します。

当初は黒田雅之(川崎新田)に挑戦予定でしたが、黒田が世界挑戦のため返上。

望月直樹(横浜光)との王座決定戦となりました。

早々にジャブで距離を支配した中谷。ワンツーを巧打する場面もあります。望月は必死に距離をつめ、ボディを連打。ちょっとやりにくそうな中谷ですが、技術的には一枚上手、多彩なパンチをヒットして終始優勢に試合を進めます。

後半に入っても、中谷のジャブ、ストレートが生き、時折出すアッパーもヒット、望月に付け入る隙を与えません。ストップも時間の問題か、となった9R、アッパーがクリーンヒットしたところでレフェリーがストップ。中谷潤人、日本王座獲得!!う〜ん、強い!!

リーチの長さ、真っ直ぐ伸びるジャブ、そしてストレート。フックやアッパーを距離に応じて使い分け、時に打ち合いも辞さない。キレイなボクシングもできますし、相手を下がらせるために荒くパンチを振るう場面もある。極めつけは、皆大嫌い(と思われる)長身サウスポー。

完璧なボクサーですね。。。

ちなみに私のイメージでは、やりにくい長身サウスポーと闘う場合、相手選手からすると攻めきれず、凡戦になってしまうことも多いと思うのですが、中谷が好戦的なため、凡戦になりにくい、とも思っています。やはり試合がおもしろいボクサーというのは非常に魅力的です。

そしてこれまで、ボクサーとして着実に成長しながら、東日本新人王→全日本新人王→日本ユース王者→日本王者と、一段ずつステップアップしてきた中谷。これは今後、新たな「王道」として、叩き上げの選手たちが挑むべき道のりのように思います。

そして、日本王座を獲得後、迎えたのは日本でもおなじみ、ミラン・メリンド(フィリピン)との1戦。

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既に以前に世界ランクを取得していた中谷、このタイミングで危険な相手を選ばずとも世界には行けたと思います。世界ランクに入った選手は、調整試合をはさみつつ、来るべき時を待つ、というのも一つの手段だからです。

しかし、このメリンド戦で強さをしっかりと見せつけた中谷は、その実力に誰も疑問符をつけられることなく、ボクシングファン皆が納得する形で世界に羽ばたいて行くことができます。

元世界王者のメリンドでしたが、以前よりはやはり衰えてはいます。しかし、ほんの2年前に八重樫をKOし、田口と激闘を繰り広げたメリンド。拳四朗にはTKO敗けでしたが、相性もあり、また倒されての敗けではない(カットによるストップ敗け)ので、まだまだ怖さがあります。

しかし、そのメリンド相手に、中谷は完璧なボクシングを披露していきます。

メリンドのパンチはことごとく空を切り、中谷のパンチはメリンドに突き刺さる。

メリンドは何度もロープを背負わされ、打ち返す時には既に中谷はそこにいない。

メリンド目線で見ると、絶望的なラウンドが続き、ついには6Rにレフェリーストップ。

この展開で「ノーマス」しなかったメリンドを讃えても良い位、中谷は最高のボクシングをしてみせました。

中谷の勝利を疑ってはいませんでしたが、まさかここまでとは。。。驚愕です。

次戦はいよいよ世界タイトルマッチ。

前WBO世界フライ級チャンピオンである田中恒成(畑中)が4階級制覇を目指し王座を返上。中谷はその王座決定戦に出場することになりました。

個人的には決定戦ではなく、チャンピオンに挑んで欲しかったな、と思いましたが、メジャー4団体全てでランク入りしていた中谷、ここを足がかりにフライ級の更なる強者と闘ってもらいたいと思います。

対戦相手のジーメル・マグラモ(フィリピン)は25戦24勝(20KO)1敗という強豪です。映像を見ると、手数がとにかく多い。多くのフィリピン人ボクサーのようにブンブン振り回したり、驚異的な踏み込みをする迫力あるタイプではないものの、ちゃんとジャブを打って、ストレートも真っすぐ伸び、距離をつめて強烈なボディーを叩き込む。

ファイタータイプで、距離を詰めてからの止まらない連打が恐ろしいです。

スピードはある方ではないので、中谷としては中間距離で相手のストレートをはずしながら闘いたいところです。

カテゴリ: Giemel-magramo - ASIAN BOXING

はやくコロナ禍が落ち着いて、この試合が挙行されることを願っています!そして久々に新たな日本人王者の誕生を楽しみにしています!!

19連勝中プロボクサー・中谷潤人の店「とん丸」名物トンテキランチ…弟が店長&両親手伝う : スポーツ報知

↑行きたいですが私の住んでる所からは遠いので未だ機会なし。

 

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