信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

どこまで高く翔べるか。イーグルアイ・岩佐亮佑、今年は勝負の年。

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「スーパーバンタム級、最弱のチャンピオンです。」

2018年3月1日、当時IBFスーパーバンタム級チャンピオンだった岩佐亮佑(セレス)は、初防衛戦でエルネスト・サウロン(フィリピン)をほぼフルマークの完勝の後、こう答えました。

明らかな実力差。サウロンは役不足ではありましたが、初防衛戦の選択試合としては強敵を避け、適度な強さの相手を選んだともいえます。その相手に、圧勝ながらも倒しきれず。

その事を反省した言葉だったのですが、この発言は非常に耳に残るものでした。

試合前、元3階級制覇王者の長谷川穂積氏から、「上手い岩佐ではなく強い岩佐を見たい」と激励を受けていた岩佐。上手い岩佐は見せられましたが、強い岩佐は持ち越し。きっと悔しかったのでしょう、自虐ともとれる勝利者のインタビュー。

そしてそこから2年近く経った2019年12月7日、暫定ながら見事世界王者に返り咲いた岩佐亮佑。

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強豪だらけのスーパーバンタム級で、何度かの挫折を経験しながらも、今より更に輝ける場所を求めるイーグルアイ、岩佐亮佑のキャリアを振り返ってみたいと思います。

もともとプロ志望だったスーパーホープ。

中学2年生の頃にセレスジムでボクシングをはじめた岩佐。もともとプロ志望でしたが、セレス小林会長からの勧めでボクシング強豪校で有名な習志野高校に入学、高校3冠を達成します。

高校卒業後、セレスジムからB級でプロデビュー。

その後は連戦連勝、日本タイトルの挑戦者決定戦をTKOでクリアすると、伝説として語り継がれることとなる、山中慎介(帝拳)との日本バンタム級タイトルマッチに臨みます。

飛ぶ鳥を落とす勢いの岩佐亮佑、当時8戦全勝(6KO)

キャリア初期こそ停滞していたものの、この頃にはゴッドレフトの片鱗を覗かせていた山中慎介、当時15戦13勝(9KO)2分。

最強挑戦者を迎えるチャンピオン・カーニバルは、名勝負が多いのも事実。しかしてこのファイトは、期待以上のものでした。

序盤からサウスポースタンスから繰り出される右ジャブ、そして左ストレートが両者ともにヒットし、ヒートアップ。岩佐のカウンターが光ります。若干岩佐のペースのように思います。

中盤は互角、後半に入っても互角に近かったと思います。

そして9Rの終盤、山中の左ストレートが岩佐にヒット。ゴングに救われた形となった岩佐でしたが、最終10R、山中の左ストレートが岩佐を襲います。そして山中のラッシュで、岩佐が腰を落としたところで陣営がタオル投入。同時にレフェリーがストップ。

岩佐にとって、非常に痛い敗戦でした。そして山中は、この試合でステップアップ、次戦の世界タイトルマッチを制し、その後は12度防衛する、名王者となります。

挫折を経験した岩佐でしたが、この後出直しを誓い、山中の返上した王座を決定戦で獲得。

2度の防衛の後返上し、世界に狙いを定めてOPBF王座にアタック。

OPBF東洋太平洋バンタム級王者、椎野大輝(三迫)とのタイトルマッチを制し、初防衛のあとIBF挑戦者決定戦への出場が決まったため、返上。

IBF挑戦者決定戦は対戦相手の負傷で流れ、当時のIBFバンタム級王者、ランディ・カバジェロ(アメリカ)も負傷のため、暫定王座決定戦のチャンスを得ます。

相手はリー・ハスキンス(イギリス)、会場はイギリス。

完全アウェーの世界戦、岩佐は初の海外戦。対するハスキンスは英国を出て闘った経験もあり、経験値としては一枚上手。サウスポースタンスの右手を下げた状態から、スウェーを多用する技巧派。

ただ、あまり怖さは感じません。体重は後ろ足荷重で、かわして打つのですがリーチも岩佐の方が長いと思われます。現地のオッズではハスキンス有利だったと思いますが、岩佐にも充分チャンスはある、と思われた一戦。

しかし、この日の岩佐は慣れない海外の地のせいなのか、世界初挑戦の重圧なのか、序盤からハスキンスのペースで試合が進みます。

地元の声援を糧に、ペースを掌握したハスキンスは、6R、ついには岩佐を捉え、連打をまとめたところでレフェリーストップ。

後の世界王者、と早くから期待された岩佐でしたが、世界初挑戦に失敗。

完敗とも言える内容の敗けだったので、未来にも暗雲が立ち込めます。

その後、階級アップして再起した岩佐は、幸運にもまたもチャンスに恵まれます。

IBF世界スーパーバンタム級挑戦者決定戦、ルイス・ロサ(アメリカ)との一戦。この試合は、アメリカで開催されることになりました。ハスキンス戦以来の海外の試合。嫌な記憶も蘇る中、ここに勝てば世界再挑戦が可能となる重要な一戦。時のチャンピオンは、怪物・ジョナサン・グスマン。同年の大晦日に小國以戴(角海老宝石)の挑戦を受ける事が決まっていました。

そして、前日計量でルイス・ロサが体重超過。岩佐陣営は試合を拒否し、闘わずして指名挑戦権を得ることになりました。

折角この日に併せて調整をしてきましたが、体重超過した相手と闘うのは危険が伴います。先日も同じようにWBCのバンタム級での挑戦者決定戦で、ルイス・ネリ(メキシコ)が体重超過しましたが、対戦相手のエマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)には挑戦権は与えられず。

そう思うとIBFはWBCよりもしっかりした団体に感じますね。毎回、指名挑戦者を決めるのにも好感が持てます。

そして2016年の大晦日、小國以戴がジョナサン・グスマンをアップセットで破ったことにより、岩佐のターゲットは小國になりました

岩佐は調整試合を1戦はさんだ後、2017年9月13日、小國に挑戦します。

小國は非常にユニークなボクサーで、インテリジェンスの高いボクサー。VADYジムから

プロデビュー、OPBF東洋太平洋王座を奪り、和気慎吾(古口=当時)にその王座を明け渡すものの、見事復活し日本王座を獲得。

怪物王者、ジョナサン・グスマン(当時の戦績22勝全KO1無効試合)との死闘をダウンを奪って文句なしの判定勝利で制し、世界チャンピオンとなった試合は感動を呼びました。

12Rを集中力を切らすことなく、ハードパンチのグスマンを攻略した小國。小國の持てる全てプラスαを注ぎ込み、強者に立ち向かった素晴らしい12R、私も感動させてもらいました。

なので勿論、今回もどちらを応援するかは非常に迷います。

小國は試合前から冗談とも本気ともとれますが「サウスポーが苦手」を公言、パンチ力やセンスには岩佐に分があろうかと思いますが、小國にはグスマンを攻略できるほどのインテリジェンス。小國がどのような仕掛けをもって闘うのか、により、試合展開も決まってきそうな感じがしていました。

そしてゴングが鳴ります。

開始早々、意外にも距離を詰める小國。奇襲。やはり少し変えてきた。

しかし岩佐はカウンターを合わせ、ダウンシーンを演出。続く2Rにも2度のダウンを追加。既に岩佐の圧勝ムード。

中盤、小國が攻勢に出ます。いつもと違い、ここで無理に打ち合わない岩佐。強引に打って出てもらってしまう、山中戦やハスキンス戦の轍をふまないようにしたのは流石。

最終的に6R、ドクターストップにより岩佐のTKO勝ち。岩佐亮佑、IBF世界スーパーバンタム級タイトルを獲得!早くから将来を嘱望されたサウスポーでしたが、紆余曲折を経て見事世界チャンピオンになりました!

 

しかし、岩佐の試練はまだ続きます

初防衛戦、冒頭のエルネスト・サウロンに勝利するも攻めきれず。

2度目の防衛戦では、予想優位ながらもテレンス・ジョン・ドヘニー(オーストラリア)に判定敗け。虎の子のタイトルを早々に失います。

この試合は両者ともに明確なラウンドが少なく、判定泣かせともいえる一戦でした。ドヘニーは「The Power」というニックネームながら、ファイターではなくどちらかというとボクサータイプ。岩佐は終盤、見せ場をつくったものの、倒しきれず。判定は微妙なものでしたが、3-0でドヘニーでした。

キレのあるパンチ、相手の攻撃を見切ってカウンターを打てる「イーグル・アイ」。もう一つ岩佐に必要なものは、被弾を恐れず攻め切るハート。ドヘニー戦も後半、(ポイントがドヘニーについていたので)もっと攻め切る事ができれば結果は違っていたかもしれません。

ただ、チャンスと思って攻めると雑になって相手のカウンターをもらう、というのも常ですので、そこの見極めも必要です。持っている能力が互角なら、このあたりの戦況を見る力、ポイントをピックアップする力も必要かと思います。

これまでの試合で、いくつか省略した試合もあるのですが、岩佐の試合は戦況をひっくり返すような試合は記憶にありません。私が見た試合の中では、なので、見ていないだけかもしれませんが。

背水の岩佐、最後のチャンス

ドヘニー戦を僅差の判定で落としましたが、再起戦でチャンスをつかむことができた岩佐。またもIBF王座の挑戦者決定戦に出場します。

ドヘニー戦の判定は物議を醸していたとのことなので、順当といえば順当かもしれません。

相手はセサール・フアレス(メキシコ)。場所はアメリカ

ここは踏ん張ってほしい、が、なかなか難しい相手。ガンガン攻め込んでくるファイターのフアレス、岩佐は距離をとって闘いたい。でもそうすると調子にのって攻めてきそうなフアレス。。。さばけるか、岩佐。

岩佐は自身3度目の挑戦者決定戦でようやく開催。運がいいのか悪いのか。

このフアレス相手に、岩佐は中盤以降打ち合いに転じ、見事に打ち勝っての勝利。大きいパンチを振りぬくフアレス、コツコツと速いパンチをあてる岩佐。フィジカルの強さと迫力で押し込まれる場面はあるものの、クリーンヒットは岩佐の方が上かと思います。10R終了負傷判定ながら、勝利をものにしました。

この時岩佐は、ひらきなおって相手と打ち合う等、以前にみられなかった(または出せなかった)強さと、戦況をみて途中で作戦を変更するというインテリジェンス、そして勇気を見せてくれました。

世界王者になってからはじめた(とどこかで言っていたと思います)フィジカルの成果も出て、ドヘニーに負けたことで課題が見え、一歩ステップアップした気がします。

そして王者返り咲きへアタック

ドヘニーはダニエル・ローマン(アメリカ)との統一戦に敗れ、現在の王者はローマン。しかしそのローマンも負傷し、暫定王座決定戦が設けられることとなりました。

場所はまたもアメリカ、相手は元WBOバンタム級王者のマーロン・タパレス(フィリピン)。大森将平(Woz)を2度にわたり痛烈にKOした、ハードパンチャー。

正直ちょっと分が悪いと思っていました。ローマンの方が相性的に合うんじゃないかと思っていました。

しかし、蓋を開けてみると岩佐は、フアレス戦の勝利がフロックでなかったことを証明します。前半、幸運なダウンシーンもあったことで、気持ちにも余裕を持てたのか、前に出てくるタパレスに譲らず、打ち返します。

私が岩佐に求めていたものは、すべて揃っていました。

互角以上に渡り合った結果の11R、見事な左ストレートがカウンターとなってタパレスを捉えます。タフな試合展開にタパレスは疲れ、下がりながら打ったタパレスの右ジャブをはずしたあと、踏み込んでの左ストレート!!!タパレスの体が流れたところを見逃さなかったのか、反射的に打ったのか。素晴らしい一撃でした。

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「上手くて強い岩佐亮佑」を見せてくれました!

まだまだ続く、岩佐の物語

IBF世界スーパーバンタム級王者に、暫定ながら返り咲いた岩佐。精神的にも、肉体的にも、そしてボクシング脳というところでも敗戦を糧に大きく成長したと思われる岩佐。正規王者との統一戦が待たれます。

標的は、ダニエル・ローマンと一進一退の攻防を繰り広げた上、ローマンを下したムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)に変わりました。

生真面目なボクシングをする、日本人との対戦も多くなじみ深いローマンを応援していましたが、結果は残念。しかし、これで岩佐を気兼ねなく応援できます。

アフマダリエフも手数の多いファイタータイプ、しかしどちらかというと怖さは少ない選手。ウズベキスタンの選手らしく、技術も高いですが、今の岩佐ならやってくれると思います。

まだまだここで終わりじゃない。

もしアフマダリエフ戦が実現すれば、統一王座戦。

勝って統一王座となり、激戦のスーパーバンタムで確かな足跡を残してもらいたい。

岩佐には、それができるだけのセンスも、フィジカルも、ハートもあるはずですから。

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