信太のボクシングカフェ

信太のボクシングカフェ

ボクシングが大好きです。大好きなボクシングのおもしろさを、たくさんの皆さんに伝えたくてブログを始めました。アマチュアボクシングを教えてるので、練習方法や基本なども書いていきます。

wowow DAZN

成長を続けるKOダイナマイト、内山高志。耐え忍んだ先にあったもの。Part3

ALWAYS EVOLVING

常に成長し続ける内山高志。毎試合、圧勝しているように見えますが、一試合一試合成長をしている証だと思います。

内山高志の足跡を振り返るブログ、今回は最終回です。

↓Part1、Part2はこちら

boxingcafe.hatenablog.com

boxingcafe.hatenablog.com

2012.5.6七度目の防衛戦

ハイデル・パーラ(ベネズエラ)

元WBA世界フライ級王者、ロレンソ・パーラの実弟であるハイデル・パーラは無敗の挑戦者。兄ゆずりのキレイなボクシングをする選手です。ステップを軽やかに踏み、ジャブがまっすぐに伸びます。パンチも多彩。

しかし、序盤でパーラの距離を見切った内山がボディを打ち始めると、パーラはかなり警戒。

それでも勇気をもってパンチを振るってくるパーラでしたが、4Rには内山得意のジャブがパンバン当たり、終盤には左ボディーを効かせ、ラッシュする場面も。内山高志は、バスケス戦でもそうでしたが、規格外のハードパンチャーながら、強弱をつけて連打もできるのです。

そして5R、完全に狙っている内山。左ボディーはローブローをとられるも、再開後、接近戦から左ボディ!!パーラはボディを嫌がって両手でしっかりガードをするも、そのガードをすり抜けて、ヒット!!ちょっとパーラの体が浮く程の衝撃のボディ、もんどりうって倒れたパーラは立てないどころかリングの上を転げ回る。

内山の5RKO勝利

衝撃的なKO勝利。ここまで負傷判定の1戦を除いて全ての世界戦でKO勝利。こんなにも安定感のある王者が、ここ最近いたでしょうか。

今は井上尚弥という怪物がいて、私の感覚もこの頃から麻痺していますが、はっきり言って内山の安定感というのは本当に飛び抜けていました。

2013.12.31八度目の防衛戦

金子大樹(横浜光)

金子大樹は畑山隆則(横浜光)に憧れ、ボクシングを始めたそうです。畑山と同じ横浜光ジムに所属し、新人王戦で判定敗けするも、その後日本王座を獲得。その獲得戦と4度の防衛戦は、全てKO勝ちというパンチャー。

国内最強をしっかりと証明した上で、内山の牙城を崩しにかかります。

チャレンジャー、金子はプレッシャーをかけながら前に出ます。しかしどの挑戦者もそうですが、内山のジャブがなかなか中に入らせてくれません。

内山のジャブはノーモーションで最短距離で飛んでくる、しかもかたいジャブ。金子はプレッシャーをかけつつも、手数が少なくなってしまう時もありました。

3Rに入るとなりふりかまわず強引に距離を詰めようとする金子。ジャブをしっかり外して入る、ということができないので、作戦としては間違っていなさそう。

4R、内山の右スイング、金子の右フック、双方ともにヒットする場面があり、徐々にヒートアップ。

緊張感のあるラウンドが続く中ですが、5Rに入ると金子は鼻から出血、見た目のダメージはやはり金子の方が上です。ペースもここまでおそらく内山。

6Rに入ると金子の左目が腫れ上がってきます。内山のパンチは力強いだけでなく、正確です。金子は徐々にダメージを溜め込んでいってしまいます。

8R、どんどん腫れが大きくなってくる金子ですが、諦めない。金子のパンチも時折ヒットしますが、内山は後続打を許さず、決してペースを渡しません。このあたりがさすがです。

後半以降、目に見えて金子の被弾が増えてきます。フィジカルが強い金子ですが、このまま内山の強打を浴び続けるとおそらく危ない。

完全に内山優勢で進んだ10R、残りは30秒ほど。

バランスを崩して下がった内山に、金子の追撃の右フックがヒット!!!

なんと!!ここで金子が内山からダウンを奪う!!

内山は効いています!金子はチャンスですが、残り時間が少なく、詰めきれません。

続く11R、大逆転を狙って前に出る金子!しかし!!内山は左フックで応戦、今度は金子がピンチに。この時の冷静さ、ものすごいです。

最終ラウンド、ダメージはありありと見えつつも、前進を止めない金子。そこに内山は容赦なくジャブ、ワンツーを突き刺します。

そして試合は判定へ。

内山の12R判定勝利

内山、実はここに来て初めて12Rを闘う。。。その事実だけでもものすごいですね。金子、非常に頑張りました。多少もらっても、という気持ちでしっかりと踏み込んで強打を振っていきましたが、内山の方が1枚上手。金子がほぼ捨て身の戦法をとったので、試合自体は非常にスリリングでおもしろい試合内容でした!

 

2014.12.31九度目の防衛戦

イスラエル・ペレス(アルゼンチン)

9度目の防衛戦は、アルゼンチンのイスラエル・ペレス

この頃にはビッグマッチの噂もちらほらと。マイキー・ガルシアとの一戦が組まれそうになりましたが、頓挫。そんなこともあって、内山は一年ぶりのリング。

ペレスは非常にやりにくいボクサーで、KO敗けは一度もなし。そして内山はブランク有り。とはいえ、内山の圧倒的有利予想の一戦でした。

大きなパンチを振り回すロペス、自分の距離よりもつまるとより距離を潰してきます。この距離の潰し方、大振りのパンチは迫力があり、怖い選手です。

しかし、中盤にはその大振りのパンチを見切り、内山はボディを中心にペレスを攻め立てます。8R、9Rとロープに詰めてコンビネーション見舞う場面もあり、優位に試合をすすめていく内山。またもダイナマイトの爆発が間近に迫ったかにみえましたが、ペレスは10R開始のゴングに応じられず。

9R終了TKO

唐突にペレスが試合を投げたようにも見えましたが、このまま続けてもワンサイドになり、勝ち目も薄かったですね。ガードの上からでも内山のパワーを感じ、諦めたようです。

2015.5.6十度目の防衛戦

ジョムトーン・チュワタナ(タイ)

ムエタイで200戦以上のキャリアを誇り、14歳でラジャダムナンの王者となったジョムトーン。その後、国際式(ボクシング)のリングでも圧倒的な強さを誇り、2戦目でタイのナショナル王座、4戦目でOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王座を獲得。

この前戦のOPBF王座の防衛戦で、金子大樹を完全にシャットアウトしたジョムトーン。しかもこの金子戦では、一ヶ月前にムエタイのトーナメント(67kg)に出場、かなりの減量苦で体調が最悪の中でした。その金子戦では嘔吐してまでウェイトをつくり、なんとかクリア。その状態の中で、あの金子に何もさせなかった。。。

独特なリズムのサウスポースタンスから繰り出されるジョムトーンの左ストレートに金子は対応しきれず、完敗。ポイント差以上に差がついた試合でした。

そんな「天才」ともいわれ、超強敵の全勝挑戦者ジョムトーンと、若く勢いのあるチャレンジャーを迎える内山。

はっきりいって非常に危険。内山本人も警戒心を隠しません。若く勢いのあるチャレンジャーにやられるベテランという構図は、今も昔も健在。今回はもしや。。。という雰囲気も流れます。

果たしてゴングが鳴り、内山もスロースターターですがどうやらジョムトーンもそうかもしれない、と思いました。そうなると、内山にとってはやりやすい。

最初はゆっくりのペースで様子見のジャブから始めます。様子見のジャブのところから、内山が突然スピーディーなワンツー!これがジョムトーンにクリーンヒット!ジョムトーン効いたか??その後内山はジョムトーンをロープに詰めてコンビネーションをお見舞いします。

なんとかやりすごすジョムトーンですが、初回からかなりのプレッシャーに晒されます。

そして2R、少し回復したジョムトーン、こちらも踏み込んでのワンツーを打ち込みます。幾つかの攻防のあと、内山はまたもスピーディーなワンツーをジョムトーンにヒット!腰を落とし、一拍おいてからリングに大の字に倒れるジョムトーン!!!レフェリーはカウントをはじめるも、立てない!!

f:id:boxingcafe:20200409155208p:plain

f:id:boxingcafe:20200409155211p:plain

内山の2RKO勝利

なんとなんと、圧巻のKO劇。危険な挑戦者、ジョムトーンを一切寄せ付けず、完璧な勝利でした。

そしてこの後、次回の防衛戦はビッグマッチ、アメリカ進出を念頭に交渉していくということを陣営が明言。どんどん期待は高まります!

2015.12.31十一度目の防衛戦

オリバー・フローレス(ニカラグア)

しかし、結局はテレビ局にしばられた日本のボクシング界。2011年以降開催されている大晦日興行に穴を空けられないと11度目の防衛戦も日本で行われる事になりました。

しかし、この試合の前、この防衛戦を怪我なく乗り切れば来年の春にはアメリカでニコラス・ウォータースとの対戦が実現されるとの話が。既に交渉が始まっており、これまで陣営が懸念してきた内山のハードパンチャーであるがゆえの怪我(右拳、左肘)も手術をし、完治。

いよいよこの試合に勝てば夢が叶うという大切な一戦。

オリバー・フローレスは上体が柔らかい、中南米特有のリズムを持った選手でした。内山のジャブがいつもより当たりにくい。ただ、フローレスは柔らかい印象のぶん、怖さは少なそうな選手。

様子見段階のラウンドが1R、2Rと過ぎていく中、少しずつペースが上がってきた3R目。

ダッキングして力みのない左ボディを決めると、フローレスは左を出しながらダウン!

カウント途中でフローレスの状態をみたレフェリーはそのままストップを宣言!!

内山の3RTKO勝利

全くダメージのないまま11度目の防衛に成功した内山高志!!さあ、次はアメリカだ!!!

 

2016.4.27十二度目の防衛戦

ジェスレル・コラレス(パナマ)

と、誰もが思っていましたが、交渉は決裂。厳密にいうとウォータースはファイトマネーを釣り上げた事により難航、かわりにハビエル・フォルトゥナとの統一戦(当時内山はスーパー王者、フォルトゥナが正規王者)という話も出てきました。しかし、その話も結局まとまらず。フォルトゥナは日本で闘うなら、と法外なファイトマネーを要求し、アメリカでの対戦を希望。しかし日本のテレビ局側、ワタナベジムでは今後のこと(具志堅の13度防衛記録超え)も踏まえて日本開催を希望。

「ビッグマッチを、できればラスベガスで」という内山の希望は、この時点でも一切叶わない形となってしまいました。

これまで男子の世界王者がいなかったワタナベジムで、初めての世界チャンピオン。

そしてここまで11度の防衛を記録。(うち、9KO)

そんな素晴らしい王者を持ってしても、色々なしがらみを抜け出せません。

我々ファンは残念に思い、内山自身は失望したことでしょう。

きっとそのモチベーションの低下が、悲劇を生みました。

初回のゴング。コラレスはかなり速い。内山が今まで闘ってきたチャレンジャーの中で1番速いんじゃないか、と思う位です。実際、内山は速い相手があまり得意ではありません。4度目の防衛戦で対戦した

終盤、コラレスの右フックがヒット!内山効いているか??しっかりとガードを固めてしのぐ内山。

そして2R、コラレスのカウンターがヒット!内山がダウン!かなり効いている!!時間は残り半分もある!かなりやばい状況、クリンチに行く内山の足に力が入っていない。クリンチに行って倒れた内山、またもダウンを取られる。なんとか生き残ってくれ!

荒々しくパンチを振るうコラレス!少し回復してきた内山でしたが、残り1秒でダウンを奪われ、3ノックダウンのルールによりKO敗け。。。

内山の2RTKO敗け

内山は素早い相手は元々あまり得意にはしていないと思います。これまでも5度目の防衛戦で闘ったファレナスなんかは、(ハンドスピードというよりは体全体のスピードが)速く、苦戦しそうになりました。(結果は偶然のバッティングによる負傷判定)しかも、加齢とともに衰えるのは反射神経。どんどんとスピードのある相手は苦手になっていくのだと思います。(これは実体験)

加えて、モチベーションの低下というのは大きな要因だったでしょう。

そうは言っても、当時の私は内山の勝利を信じて疑わなかった。会場の隅っ子の方で観戦したこの試合は、ほとんど一言も発することができず、ただただ落ち込んで家路についた思い出があります。

2016.12.31

ジェスレル・コラレス(パナマ)

ーーーー引退か、現役復帰かーーーー

私個人の意見としては、このまま辞めてもらっても良い、と思っていました。

充分に功績を残した名王者。コラレスとは相性も悪く、どうせ復帰するなら別の相手と、とも思います。一度こうして負けた事で、いろいろなしがらみもなくなり、もしかしたらアメリカでも試合を組みやすくなるのでは??

後輩王者も育ち、ワタナベジム唯一の世界王者でもなくなっている内山、大きなチャンスのように思いました。

しかし内山が選択したのは、コラレスへの雪辱戦。

おそらく、勝てないだろう。

なので、大晦日興行という家族を持つ身が1人で行くには大変行きづらい興行でしたが、内山高志の最後の勇姿を見るために上京。

結果は慎重に闘いすぎた内山、僅差の判定負け。

 

いつの時代も、王者の去り際は寂しいものです。

内山は、王者になって尚、成長し続け、世界タイトルを11連続防衛(うち9KO)という記録を成し遂げました。日本から出なかった、ではなく、出られなかった名王者。

WBAからは様々な表彰を受けましたが、日本ボクシング界でのMVPは2015年の一度のみ。

タイミングが悪かったといえばそれまでのことですが、もっともっと活躍できたはずのボクサーでした。

マイキー・ガルシアとの対戦はみたかったですし、ウォータースとも見たかった。

井上尚弥が現在までの日本ボクシング界の集大成だとします。そうすれば、井上がラスベガスで猛威を振るったあと、その礎を築いたともいえる「過去の日本人ボクサー」を世界のボクシングファンが振り返る機会ができないでしょうか。

そうすれば、きっと気づいてもらえるはずです。2010年代、こんなにも素晴らしい日本人ボクサーがいた事を。

そして我々はずっと覚えています。世界的激戦区のスーパーフェザー級に、当時階級最強と信じて疑わなかった、名王者がいた事を。

内山高志の世界戦集↓ 

view raw

 

プライバシーポリシー お問い合わせ