信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

前進し続ける村田諒太が目指すのは、歴史的ビッグマッチ。〜Part2〜

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WBA世界ミドル級チャンピオン、村田諒太のキャリアを振り返っているブログのPart2です。

強いフィジカルとパンチングパワーを全面に押し出してファイトする村田は、創業期以来、帝拳ジムに伝わる帝拳魂の持ち主だと思います。

かつて先代会長、本田明が好んだスタイル。

大場政夫、浜田剛史といった日本中を熱狂させた王者たちの志を継ぐ村田でしたが、世界初挑戦は惜しくも失敗。

しかし、物議を呼ぶ判定はWBA会長も疑問を呈し、サスペンドを受けたジャッジもいました。

そしてダイレクトリターンマッチという形で、2017.10.22にセットされました。

前回のブログはこちら↓

boxingcafe.hatenablog.com

村田諒太、歴史的戴冠。

季節外れの台風が関東に迫った2017年10月22日。

前回と同様、村田の前には拳四朗(当時)と比嘉大吾の試合が。

難敵・元王者のペドロ・ゲバラ(メキシコ)を辛くも退けた拳四朗と、トマ・マソン(フランス)を比嘉らしい試合運びでKOし、リング上で井岡一翔との対戦を呼びかけた比嘉大吾。

そして村田の試合が始まります。

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前回、手数が少なすぎた村田。そして、前回と同じ試合運びでは前回と同じ結果にならないであろうエンダム。それぞれの思惑はあろうかと思いますが、おそらく前回よりも距離が近くなるという予想。

エンダムは村田のパワーに対抗しきれていなかったことから、村田へKO奪取の期待が高まります。

1R開始のゴング。

1Rの前半、またも手数の少ない村田。少し不安になります。しかし、エンダムも前回ほど足を使わないので距離は詰まり、村田のパンチも届く距離。

1Rの中盤以降、徐々に手数が出てくる村田。

そしてエンダムはというと、前回と違って3R目くらいから早くも足元がおぼつかない。前回よりもスタンスが狭く、前試合の後半、スタミナがなくなった時のような足取りになります。

手の内がわかり、エンダムにそんなに怖さはない。村田は前に前に出て、思い切りパンチを振るいます。

エンダムは足がなく、前回ほど打って離れてができないので、かなり苦しい展開です。

どんどん打つパンチにも力がなくなっていくエンダム。ポイントもおそらく村田につき、いよいよ後がなくなってきた7R、もっと攻めろと送りだされます。

前回よりもブロック重視でディフェンスしていたエンダムでしたが、ガードの上からでも村田のパンチは効くようです。村田はかまわずガードの上からいかにも重そうな右を叩きつけます。エンダムは足を使って逃げながら、力のない左右を出しますが、村田のブロックに阻まれます。

そして万策尽きた7R終了後、エンダムは棄権。

村田諒太、WBA世界ミドル級王者に!

↑こちらの動画は、セミファイナルの比嘉の試合も入っています。

竹原慎二以来、日本人では2人目のミドル級王者!そしてオリンピック金メダリストから初の日本人世界王者!どちらも素晴らしい快挙です!!

世界一ではない世界王者

初めて世界王者となった村田でしたが、その王座は“レギュラー”王座。二番目の王座です。

WBAスーパー王者、WBC、IBFの3団体の統一王者であるゲンナディー・ゴロフキン(カザフスタン)こそが、世界中が認めるミドル級の王者でした。(この試合の一ヶ月前、カネロ・アルバレスと引き分け防衛)

第二王者である村田は世界的知名度も低く、どんなに日本中で世界ミドル級王座、ともてはやされても、何ともしっくりこないファンもいたでしょうし、むしろ大のボクシングフリークである村田本人が「上がいる」という状況は誰よりもよくわかっていたことでしょう。

 

リング上のインタビューでも、まだ上がいる、という発言が出ます。

本物を求める村田の、素晴らしい心意気です。

しかし、どの団体であれ、「世界ミドル級王者」という肩書を獲得したことで、おそらく金メダリスト、村田諒太の最低限の使命は果たしたものだと思います。

そして村田は、エマヌエーレ・ブランダムラ(イタリア)との初防衛戦を難なくこなし、次戦はラスベガスでの防衛戦に決まりました。

番狂わせ

これに圧勝して統一王者のゴロフキンに挑む、という試金石の試合。

ラスベガスへのお披露目。(過去、村田はノンタイトル戦でラスベガスのリングには上がってはいるものの、覚えている人は少ないでしょう。)

相手はロブ・ブラント(アメリカ)。

ブラントは、事前情報でスピードが武器のボクサーファイター。

アマチュア時代に全米選手権を制するなど大変優秀なボクサーで、前年、WBSSスーパーミドル級トーナメントに出場。一回戦敗退し、評価を落とした感があります。

しかし、相手はライトヘビー級で二度、世界王者に輝いたユルゲン・ブリーマー(ドイツ)。ブリーマーは既にその時39歳だったがために、ロートルと見られる向きもあったのか。。。

いずれにしろ、ロブ・ブラントの評価はあまり高くなかったと思います。もちろん村田優位の予想で、アンダードッグといってもいいブラント。

2018年10月20日、村田の2度目の防衛戦のゴングが鳴ります。

ここで、ブラントはおそらくキャリア最高のボクシングをしてみせました。

村田の届かない距離でパンチを振るい、猪突猛進の村田をいなす。先に打ち、そして手数も多く、更にスピーディー。村田を懐に入れません。

手だけでなく足も速く、村田が前進して打てば動いて、そのうち終わりに自分の連打をコネクト。

村田はこれまでと同じように、前半は手数が少ないです。亀のようにガードをかためる村田をあざ笑うかのように、ブラントはスピーディーなコンビネーションをまとめていきます。

村田の強固なガードも、数を浴びると心もとない。

ブラントのパンチを浴び続けた村田は、どんどん上体が上がってきます。

いつもよりも腰が高い。

スタミナに難がある、と思われたブラントでしたが、自分のペースで気持ちよく動いているので最終ラウンドまで問題なかったのでしょう。

対する村田は、スタミナも十分かと思われましたが、打ち込まれすぎてスタミナを削り、むしろまいっていそう。

かなり分の悪い展開ですが、村田の一発に望みをたくして応援。

しかし。。。次々と打ち込まれる村田。むしろよく倒れない、と思う程。

村田諒太、大差判定負けにより王座陥落。

非常にショッキングなニュースが日本中を駆け巡ります。

しかもこの負け方は、村田諒太の「ストロングスタイル」(ガードを固めて前進し、パンチを打ち込むとてもマッチョなスタイル)が、世界の一流、どころか一流よりも下にいる選手にすら通用しないことを示してしまったような内容。

リベンジ

およそ完敗という結果ながら、村田本人には悔いが残った試合らしく、現役続行を宣言。

私から見ると、村田は調子は悪くは見えなかったですし、ブラントとは相性の面でいっても良くはない、と思っていました。再起するのであれば、ブラントはとりあえず避け、タイトルうんぬんではなく歴史に名を刻むために、むしろ打ち合ってくれて相性が良さそうなゴロフキン(この頃はアルバレスとの再戦で敗北し、無冠。少し衰えた感は否めない。)戦を目指した方が良いのでは、、、と。

対するブラントは、おそらくあの村田戦は最高の出来栄え。再戦するとしても、あれ以上の出来は難しいでしょう。ブラントは、あの展開の中、村田の一発をもらってぐらついた場面もありました。しかし、強靭なハートも持っていて、怯まず自分のボクシングを完遂できた所も勝因のひとつ。もしブラントが油断していれば、勝負はわかりません。

ただ、ブラントの初防衛戦。カサン・バイサングロフ(ロシア)という無敗の挑戦者との一戦では、村田戦同様にスピーディーで豊富な手数、足もよく動きます。完全に村田戦の自分をものにしたようです。11RでTKO勝利。気を抜くどころか、村田戦で自信をつけ、化けたのかもしれません。非常に怖い存在になっていました。

2019年7月12日、大阪府立体育館にて、ブラントとの再戦が決定しました。

最後の花道となるのか、それともまだボクサーでいられるのか。

これまでの相手は、敗けた試合も含めて村田のための試合でした。

この試合は、おそらくはじめての村田不利、という試合。

 

不利予想は、前戦が何かミスをして敗けた試合、ということではなく、完敗だったと物語っています。

私の目にも勝ち目は薄い、予想は同様の展開で判定負け、というどうにか外れてほしい予想。

果たしてゴング。

ゴングと同時に両者中央へ歩みでます。村田はいつもどおりまずは様子見。ブラントは。。。前回よりも打ち気にはやって前に出てきます。距離が、近い。

これは、しめた!!と思いました。ブラントは初防衛戦を圧勝で飾り、村田をも倒せると過信しているかもしれません。

ブラントは動きもよく、前回同様にスピードある手数で打ち込み、打ったあとにすぐサークリング。しかし、村田も前回よりも手数が多く、前回のように上体が浮くこともありません。

しかし、ブラントのスピードと手数は勿論脅威です。

1Rの中盤に入ると、ブラントのサークリングが距離をとるステップに変わります。

そして打ち合えば、やはりフィジカルとパワーは村田の方が上。

このペースでは絶対に12Rもたないだろう、というペースで進む試合。

2Rも前に出る村田。追いかける村田の足さばきが、前回と違います。相手のサークリングする方向へ、行き先をなくすかのように距離を詰めれています。

これまでとは明らかに違う村田、ガードで固まることがありません。その分、打ち込まれない。

ガードして、マウスピースが見えるほど口を開けて笑うこともしません。

ただガードを固めて前に出るといういつものスタイルではなく、しっかりパンチを出しながら軽やかに前進できています。集中力も、申し分ない。

そして村田の渾身の右がヒット!ぐらつくブラント、追撃打でクリンチに。

逃がさない村田、追いかけて、追いかけて、追いかけてパンチを振るいます!そして連打の中で、ブラントがダウン!

押すようなパンチでのダウンでしたが、それまでのパンチで効いています。立ち上がるブラントでしたが、その後も村田の攻撃は鳴り止みません。

連打につぐ連打!会場に詰めかけたファンも、テレビの前のファンも、そして陣営、村田自身も「早く止めろ!」と思っていた連打は、最後に村田の右フックがクリーンヒットしたところでストップ!

村田諒太、2RTKOで王座奪還!!!

 

こんな試合内容になるなんて、誰が想像し得たでしょうか。

絶対に村田が勝つ!と心から思っていた人は、正直少なかったのではないかと思います。

しかし、村田は大変困難な仕事をやってのけました。

誰よりも自らの力を信じた村田諒太、会心の勝利。この試合は、現時点での村田のベストバウトだと思っています。

2度目の王座の初防衛戦として、ブラントとの第3戦という噂もありましたが、結局はスティーブン・バトラー(カナダ)という新鋭に決定。

バトラーも良い選手でしたが、ブラント戦で一皮向けた感のある村田の敵ではありませんでした。(5RTKOで初防衛)

村田諒太は、何か憑き物がとれたような雰囲気で、思い切って攻めることができています。今の村田なら、たとえ誰が相手であろうとも、良い勝負ができると信じています。

日本人ボクサー史上、かつてないビッグマッチへ

そんな村田諒太が望む相手は、サウル“カネロ”アルバレス。リング・マガジンのPFPランキングで1位、本物の世界一のボクサーです。

パワー、テクニック、ディフェンス技術、どれをとっても一級品のボクサー。個人的にはドーピング疑惑が払拭されていないので、PFP1位といわれると疑問に思ってしまいますが、強さは本物です。

カネロは、もうミドル級では戦わないでしょう。

しかし村田は、先日のWOWOWの特番で「カネロがやってくれるなら、体重は問わない」とまで発言しています。

体の小さい我々日本人がミドル級の王者になる、歴史を見てもなかなか稀有なことです。

それは日本ミドル級のランキングをみてもわかります。

そのミドル級において、一定以上のことを証明してくれた村田には、まだまだ夢を見させてもらえそうです。

既に二度、ミドル級王者になった村田には、あとは自由に、自分の追い求める通りに進んでいってもらいたい。私の希望はゴロフキン戦ですが、村田がカネロとやりたい、というのであれば全力で応援したいと思います。

実際、カネロ戦が決まりかけるも、村田がまだまだ世界的知名度が低いため、カネロが「楽な相手を選んだ」という批判を受けたと聞きます。(結果、流れた)非常に悔しいですね。

カネロ戦でも、ゴロフキン戦でも、はたまたWBO王者のアンドレーデとの統一戦でもいい。日本に、「村田諒太あり」というところを、その魂を、世界に見せつけてほしい。

コロナが収束した暁には、そんな日があることを夢見ています。

 

 

 

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