信太のボクシングカフェ

信太のボクシングカフェ

ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

偉大なフィリピーノ・ボクサー。パッキャオ、ドネア、そしてカシメロ。

※当ブログでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含みます。ご了承ください。

かつて、戦後のフィリピンと日本を取り持ったのはボクシングでした。

ボクシングと大東亜 東洋選手権と戦後アジア外交

ボクシングと大東亜 東洋選手権と戦後アジア外交

  • 作者:乗松 優
  • 発売日: 2016/06/22
  • メディア: 単行本
 

フィリピンでのボクシングは今でもバスケットボールと並ぶ国民的スポーツで、幼い頃からグローブを握ったボクサーたちは、厳しい練習に耐え、巨額の富を築かんと拳を握りしめます。

現代、最大のボクシングアイコンといえばマニー・パッキャオ。しかしそのマニー・パッキャオ以前にも、パンチョ・ビラ、フラッシュ・エロルデといった英雄たちがフィリピンのボクシング界を彩ってきました。

boxingcafe.hatenablog.com

今回はフィリピン人ボクサーの現役選手、そしてその出世試合をピックアップしていきたいと思います。

エロルデを継ぐ者。第二のフィリピーノ・フラッシュ

ノニト・ドネア

2019年、井上尚弥との激闘で話題となったノニト・ドネア。既に全盛期は過ぎたとの見方が強い中で、若く、速いPFPランカーに善戦した試合は、世界中でも大きな注目を集めました。そんなドネアが、まだビッグネームではなかった頃にその評価を大きく上げた試合。

それがビック・ダルチニアン戦。ダルチニアンは当時28戦全勝(22KO)を誇るIBF世界フライ級王者。7度の防衛のうち、6つはKO防衛(残り一つは負傷判定。その相手はノニトの兄、グレン・ドネア)という圧倒的な力を示していました。対するドネアは17勝(10KO)1敗。世界初挑戦。

当然、下馬評は圧倒的にダルチニアン有利。しかしゴングがなると、24歳のドネアは試合巧者ぶりを発揮し、ダルチニアンを寄せつけませんでした。

カウンターパンチャーであるドネアに対し、ダルチニアンはいつものようにダイナミックなパンチを繰り出せません。

そして5R、井上尚弥もそのタイミングを参考にした、ということでも有名なあの左フックがダルチニアンに炸裂、レフェリーがストップ。

 

圧倒的な強さを誇る王者を、圧倒的な力でストップする。ダルチニアンがこの後も世界のトップとして活躍し続けた所を見ると、ドネアの強さはより際立ちます。

ドネアはこのタイトルを皮切りに、現在まで5階級制覇。次戦はバンタム級でノルディー・ウーバーリとのWBC世界バンタム級タイトルマッチが既定路線。日本びいきのドネア、もう一花咲かせてもらいたいですね。

更なるアップセットをめざすモンスターハンター

ジョンリエル・カシメロ

キャリア初期はアジアで闘っていた選手。出世試合は、前戦のゾラニ・テテ戦。

それまでにWBO世界ライトフライ級の暫定王座を決定戦で獲得、その王座は1-2の判定負けで陥落し、IBF同級王座をこちらも王座決定戦で獲得。その王座は体重超過で剥奪。

IBF世界フライ級王座は、アムナット・ルエンロンを再戦でKO、その後、WBOバンタム級暫定王座を獲得。正規王座との統一戦でテテと対戦し、番狂わせの勝利で団体内統一を成し遂げました。

次戦では井上尚弥との対戦が決定していましたが、コロナ禍で延期になってしまったカシメロ。コロナ流行が始まった時、既にアメリカ入りしていたカシメロは、そのままアメリカでトレーニングを積み続けているそうです。

怖さは、一発のパンチ力。スイング系のパンチはスピードもあり、カシメロ陣営はテテ戦のように一発で試合を決めようという腹でしょう。

テテ戦で自信をつけたのは怖いかもしれませんが、なかなか井上尚弥が負ける姿は想像できません。ただ、カシメロは、格上相手にアップセットを起こしやすい選手ではあると思いますので、注意が必要。

9月か10月開催という噂のバンタム級3団体王座統一戦。もしアメリカでの現地観戦が叶わなくても、楽しみである事は間違いないです。

 

オールタイムPFPinASIA

マニー・パッキャオ

フィリピンの最も偉大な英雄、パッキャオ。日本人でも、ボクシングに興味のある人で知らない人はいないでしょう。興味のない人でも名前は聞いたことがあるかもしれません。

マニー・パッキャオは数え切れない程の番狂わせを起こし、その度にアメリカでスターになっていきました。アメリカで誰も知らないようなボクサーが、衝撃的な倒し方をして、時に敗けつつも気迫溢れるファイトで観客を魅了し、ついには(興行的な意味でも)世界のトップに立つ。こんなにも劇的なボクサーは、およそ知りません。

そのパッキャオの番狂わせのキャリアをスタートさせたといえるのは、この試合。

レーノホノロ・レドワバ戦

南アフリカのレドワバ。5度の防衛に成功し、スピード、パワー、テクニック、非常にバランスが良く素晴らしいボクサー。国際的な評価も高く、当時階級(スーパーバンタム)最強と目されていたレドワバ。この日は完全にAサイドでの登場でした。

対するマニー・パッキャオは代役での登場。タイトルマッチへ挑む事が決まったのは、試合の2週間前のことでした。

ゴングが鳴ると、パッキャオはガンガン前に出ます。そのスピード溢れる攻撃に、歴戦の雄レドワバもたじろぎ、ついていけません。

そして2Rにダウンを奪ったパッキャオ、その後も攻め続け、6Rに2度のダウンを奪い、完勝。

フライ級に続いて、2階級制覇を成し遂げたパッキャオの伝説の始まりの1戦となりました。

マルコ・アントニオ・バレラ戦

バレラは基本に忠実なボクサーで、この頃、そしてこの後も数々のライバルと激闘を繰り広げる、非常に人気のボクサー。私も大好きでした。

パッキャオがレドワバと闘った頃、ナジーム・ハメドに初黒星をつけ、終生のライバル、エリック・モラレスにリベンジ。ジョニー・タピアを退け、前戦ではケビン・ケリーを倒していました。

パッキャオはというと、評価の高かったレドワバを倒し2階級制覇したものの、まだアメリカでは無名。もちろん、バレラが主役、パッキャオは噛ませ犬としての登場でした。

初回が始まると、パッキャオはまたもガンガン攻めていきます。しかし足がひっかかり、スリップをした所を不運なダウン宣告。

早くもポイント不利となりましたが、パッキャオはその後も攻撃の手を全くゆるめません。攻撃的スタイルのバレラの手数が少なくなるほどの波状攻撃。

3Rにダウンを奪い、その後11Rにもダウンを追加、立ち上がったところを攻め立て、レフェリーストップによるTKO勝利をあげます。

 

この頃のパッキャオのスピードは群を抜いています。踏み込みのスピードも、パンチスピードも速く、パワーもある。圧勝といってもいい内容でしたが、当時、誰がこんな結果を予想したでしょう。

バレラに勝った、だけでなく完膚なきまでに叩きのめしたという表現が正しい、パッキャオはこの番狂わせで一気に評価を高め、後々のビッグマッチへとつなげていきます。

その後、エリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケス等のメキシコ人ライバルたちとの死闘、オスカー・デ・ラ・ホーヤ、リッキー・ハットン、ミゲール・コット、ティモシー・ブラッドリー、キース・サーマン。。。何よりもフロイド・メイウェザーJr。枚挙に暇がない程のビッグマッチを経験していきます。

そして今も戦い続けるパックマン。この選手以上の選手が、フィリピンから、いやアジアから現れる事は想像できないですね。

 

まだまだいる、世界トップクラスのフィリピン人ボクサー

その他にも、現役のフィリピン人ボクサーでは、日本のリングで何度も闘ったマーロン・タパレスや、フライ級時、階級最強の名をほしいままにしていたドニー・ニエテス、ライバル対決がなかなか実現しないジェルウィン・アンカハス等、それぞれの階級トップレベルの選手たちがたくさんいます。

そして、レイマート・ガバリョ、マーク・マグサヨ等の若く、無敗のプロスペクト、前戦で負けはしましたがジャック・テポラやロメロ・デュノ等の好選手も控えています。

フィリピン人ボクサーの全体に言えるのは、自国にこもることなく、完全アウェーで力を証明できる事だと思います。完全アウェーだからこそ、アップセットが注目を浴び、評価が高まるのも一つ。

フィリピン人ボクサーにはアップセットはつきもの、そういう視点で見ていけば、次のスーパースター誕生の瞬間を見る事もできるかもしれませんね。

 

 

プライバシーポリシー お問い合わせ