ようやく見れました、今週のトップランク興行!オーストラリアの誇る元トップアマ、モロニー兄弟の試合が連続でありましたが、その試合のセミファイナル、メインの試合を振り返ってみたいと思います。
6/23(日本時間6/24)
セミファイナル フェザー級10回戦
ジェイソン・サンチェスvsクリストファー・ディアス
サンチェス15勝(8KO)1敗とディアス25勝(16KO)2敗。ここは勿論ディアスに頑張って欲しい。
様子見の1R、スピードはどちらも速いです。ステップも良い。
2Rからディアスがプレッシャーをかけ始めます。サンチェスはサークリングしながら、時に足を止めて打ち合い、連打をまとめるシーンも作ります。
4Rに入るとサンチェスが明らかに手数を増やし、前に出始めます。しかしディアスもさすが、低いガードからカウンターを狙い、サンチェスの前進をストップ。
サンチェスもディアスも、スピード溢れるオーソドックス、オフェンス技術もディフェンス技術もあります。スタイル的には似ているボクサーファイターですが、大きく違うのはガードを高く上げるサンチェス、低めのガードから伸びのあるパンチを放っていくディアス。タイミングはディアスの方が優れているように見えます。
ディアスは相手にとって非常に嫌なタイミングで素早い左を出します。対してサンチェス、中盤には攻撃がややワンパターンになってきます。左をついて前に出て、右→左→右。意外性が皆無。
終盤に入ってもサンチェスはものすごく手数が出ます。しかしクリーンヒット奪うには至らず。ディアスはピンポイントでよく伸びるジャブが何度もサンチェスにヒット、攻勢を印象づけます。
中差の差がついた判定はディアス。妥当な判定に思えます。
WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ
アンドリュー・モロニーvsジョシュア・フランコ
いよいよ世界タイトルマッチも再開。
どちらもアップガードのスタイル。モロニーはアップライト、フランコは猫背で構えます。
好戦的な両者、お互いのパンチが当たる距離でのボクシング。ディフェンスはガードが主なので、これは手数の多い打ち合いになりそうです。
モロニーの方がややストレートパンチャー寄りで、フランコの方がややフッカー寄り、という感じでしょうか。両者ともにスピードはそれほどなく、先程のサンチェスvsディアス戦の方が上の階級ですが、スピードがあるように感じます。
序盤はモロニーの上体がやや固いか、とも思いますが、上手く足を使ってヒットを稼ぎます。しかし、両者ともにディフェンスもよく、クリーンヒットはまだまだ稀。
4R、両者ともにようやくスピードが出てきてペースアップ。モロニーのコンビネーションが上手です。フランコは接近戦でやや粗さが目立ちます。
続く5R、フランコがスタンスを広くとり、体を振りながらプレッシャーをかけはじめました。左フックが巧いですね。このラウンドはフランコが攻め込む場面をつくります。
6R、スピードはあまり感じない(というか全体的にパンチの引きが遅い)フランコですが、とにかく手数をよく出します。コンビネーションというよりも連打という感じで、色々なパンチを一定のリズムで出していくフランコ。打たれたら必ず打ち返すフランコ。これは判定は有利にでそう。
7R、モロニーは下がりながらコンビネーションを打ち、フランコは前に出ながら手数で押していく。どちらもガードがしっかりしているので、クリーンヒットは少なめ、ガードの上を打ち合うという打撃戦。KO決着はなさそうな展開です。
8R、9Rは足を使って回るモロニーと前に出るフランコという展開は相変わらず。フランコの方が当てカンがいいのか、フランコのクリーンヒットが徐々に上回ってきた印象です。両者ともに体の軸がぶれない綺麗なボクシングをしますが、スピードもパワーもさほど感じません。
10R、とにかくフランコは手が止まりません。若干疲れも見えますが、モロニーを攻め立てモロニーはついに左目付近をカット。鮮血をしたたらせます。
11R、攻め立てられたモロニーはダウン!このまま決められるか、フランコ。モロニーは効いているというより疲れている感じですが、足をつかって周ってこれ以上の攻勢を許しません。
そして最終ラウンド、倒す気マンマンのフランコでしたが、モロニーを捕まえきれず、規定の12Rが終了。
全体的にフランコの方が体もパンチも強く、クリーンヒットも多かったです。
3-0の小差判定でフランコの勝利、両者死力を尽くした一戦だったと思います。しかし、激戦区のスーパーフライ級、最も与し易い王者と思われても仕方ないですね。
6/25(日本時間6/26)
セミファイナル スーパーフェザー級10回戦
エイブラハム・ノバvsアベリー・スパロウ
18戦全勝14KOというノバ。スパロウも10勝(3KO)1敗と好戦績ですが、如何に。
ノバは長いリーチを活かし、ジャブ、左フックを放って闘います。手数は少ない方。対するスパロウは声を発しながらノバを攻めます。しかし、ステップで外され、なかなか当たりません。
ラウンドが進んでも展開は変わりません。ノバは非常にハンドスピードが速いですが、手数が少ない。スパロウは手数こそ多いものの、なかなか当たる距離まで近づけません。
4Rに入ると若干手数が増えてきたノバ、ボディも織り交ぜたコンビネーションがスパロウにヒットします。
しかしノバはディフェンスがいいですね。左手をだらりと下げ、基本的にバックステップでジャブ、ストレートを外し、距離が詰まったら完璧なタイミングでガードをあげます。完全に見切られているスパロウ。
後半似に入るとノバがプレッシャーをかけ始めます。スパロウは疲れたのかやや雑になっている感じもします。8R、右からチャンスを作ったノバ、スパロウを攻めます。
全体的にノバは余裕を持って闘い、ほとんどクリーンヒットももらっていないのでそのポテンシャルの高さを示しました。
しかし、試合内容はおもしろい試合とは程遠い内容でしたね。
メインイベント バンタム級10回戦
ジェイソン・モロニーvsレオナルド・バエス
前IBF世界バンタム級王者、エマニュエル・ロドリゲスと互角の勝負を演じたモロニー。2日前の試合では双子の弟、アンドリューの敗戦を目の当たりにして、状態はどうか。
モロニーは弟と同じくアップガードスタイル、アンドリューよりもスピードがあり、よく動く印象です。
まっすぐに伸びるジャブ、返しの右、左も速く、弟以上に良いボクサーですね。
バエスはガードを固め、頭を振って前に出てくるファイタータイプ。しかしちょっと線が細い印象です。
ストレートの距離だとモロニーがバエスのパンチを貰わずにワンツーを当て、バエスはフックの距離になると思いっきり振ってきます。大振りのパンチですが、当たれば怖い。ただ、大きく弧を描いて飛んでくるテレフォンパンチなので、モロニーにかわされ、逆にコンパクトなフック、アッパーをコネクトされます。
ジェイソン・モロニー、弟と違い気が強いですね。メキシカンファイターバエス相手に一歩も退かず、逆に前に出て体ごと押し込んでいく場面も作ります。接近戦でも巧い。3R、バエスは右目上をカット。
遠い距離でも、中間距離でも、接近戦でもモロニーのパンチは当たり、バエスのパンチは空を切ります。モロニー、強し。
バエスも意地を見せ、4R終盤からチャージ。5Rには足を使うモロニーを攻め、下がらせることに成功します。しかしそれもつかの間、残り1分のところでバエスはボディを効かされます。
その後もバエスは思い切り振って、モロニーにかわされてコンパクトなパンチを当てられるという展開。バエスも思い切りボディーを打って当てますが、どちらかというと自分の方がボディ効いてる。。。
7Rもまたボディを効かされたバエス。このラウンド終了時に棄権、モロニーの7R終了TKO勝利となりました。
バエスは途中からかなりボディ効いていましたからね。メキシカンは総じてボディが弱いというのは真実でしょう。
ともあれ、無事にモロニーが勝利。試合後は井上、カシメロの勝者との対戦を呼びかけたそうです。
アンドリューと比べ、よりプロに馴染んでいるように感じました。アンドリューはまだタッチボクシング的というか、中間距離のみで闘いたがり、パワーレスというか。しかしジェイソンはパワーパンチをいくつも放ち、近い距離でもダッキング、ウィービングで避けまくり、相手の弱点と思われるボディーを叩きまくり、接近戦でも強さを発揮しました。
アンドリューはボクシングは巧いですが、これ以上の結果を残すなら技術ではないところに問題がありそうです。
ジェイソンの次戦、いきなり井上vsカシメロの勝者とはならないでしょうが、楽しみな選手です。