信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

世紀を超えて。100年前のボクシングと、今のボクシング。

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最近購入した書籍。ボクシングファンでも有名な、百田尚樹氏の新刊です。

ベアナックル時代のヘビー級の世界王者から、モハメド・アリの事までが書かれている書籍で、時代ごとに追っていっているので非常に読みやすく、読み応えもあります。

地上最強の男―世界ヘビー級チャンピオン列伝―

地上最強の男―世界ヘビー級チャンピオン列伝―

  • 作者:百田尚樹
  • 発売日: 2020/07/03
  • メディア: Kindle版
 

 

さて、この本を読んでいるとボクシング、それも近代化されたボクシングには100年以上の歴史があるのだと 改めて認識します。

我々が生で見られるのは、その一部に過ぎません。

今回は、100年前のボクシングと現在のボクシングを比較してみたいと思います。

100年前のボクシングを取り巻く環境

1920年、NYSAC(NewYork State Athletic Commission)が設立。

そして翌1921年には現在のWBAの前身となるNBA(National Boxing Association)が設立、両団体ともに「チャンピオン」の認定を始めます。

それまでのチャンピオンはピープルズチャンプ、人々が認めた王者だったのですが、統括団体というものができたのがこの頃。今から約100年前のことでした。

ちなみに渡辺勇次郎によって日本にボクシングが持ち込まれたのもこの頃、日本拳闘倶楽部(日倶)の設立が1921年となっています。

boxingcafe.hatenablog.com

日本に正式に統括団体であるJBC(日本ボクシングコミッション)が誕生するのは、戦後、1952年の頃なので、まだ先の話ですね。

100年前のヘビー級王者

ちょうど100年前、世界ヘビー級王者と認められていたボクサーは、ジャック・デンプシー。「はじめの一歩」で有名になり、日本人では知らない人も少ないのではないかと思われる伝説の拳豪。

デンプシーロールというウィービングとフックを併せた強打を主武器に、世界王者へと昇り詰めました。

その頃のボクサーはというと、後ろ足荷重で、アップライトスタイルが基本だったそうです。そこへデンプシーはある種の技術革命、クラウチングスタイルを取り入れた、というのが歴史的な価値ですね。

アップライトのボクサーとばかり戦っていて、急にクラウチングのボクサーが来たら、まあまず距離感は狂います。対してデンプシーは、対戦相手はアップライトの選手ばかりなので、距離感が狂うこともありません。

デンプシーは1919年にジェス・ウィラードという選手を破り、世界タイトルを手にします。

 

このウィラードの前の世界王者はジャック・ジョンソンという世界王者です。このジャック・ジョンソンこそが黒人初の世界王者で、アメリカ国民から大きな反感を買っていたという歴史的背景があります。ジョンソンがいかにして悪役となったかは、冒頭の百田氏の書籍に譲るとして、そのジョンソンを倒し、一躍ヒーローとなったジェス・ウィラード

国民的英雄のウィラードを完膚なきまでに叩きのめしたデンプシーでしたが、獰猛で残酷な倒し方をしたものですから、この試合は「トレドの惨劇」と呼ばれ、更にデンプシーはアンチヒーローとして認識されてしまいます。

当時はダウンを奪ったあと、ニュートラルコーナーに行くというルールがなかったそうなんですが、カウントを数えられているウィラードの横、というかもう後ろ位に立って、立ち上がったそばからパンチを浴びせ続けています。まあ、そういうルールがなければこうなりますよね。。。

ともあれ、ウィラードを破り世界王者となったデンプシーは、その後NBA、NYSAC双方から王者と認められ、この王座を1926年まで保持することになります。

このデンプシーの伝説的な試合のもう一つには、1921年に開催されたジョルジュ・カルパンティエ戦があります。

この試合はできたばかりの統括団体NBAから初めての世界王者の認定を受けています。

カルパンティエはフランスのボクサーながら、「蘭の男」と呼ばれるような美男子で、ボクシングも華麗で非常に人気があったそうです。

 

カルパンティエにとってはアウェーのアメリカでのタイトルマッチでありながら、デンプシーよりもカルパンティエを応援する観客の方が多かったとのこと。

試合は、2Rに拳を痛めてしまったカルパンティエに対し、デンプシーが襲いかかり、4RKOにてデンプシーが王座を防衛。この勝利により、アンチヒーローだったはずのデンプシーは見事観客の心を掴み、国民的英雄という称号を手に入れました。

現在のヘビー級との比較

この試合のゲート収入は、ボクシング興行史上初めて100万ドルを突破(178万ドル超だったそうです)。ちなみにこの時のファイトマネーはデンプシーが30万ドル、カルパンティエは20万ドル。この他、この試合を撮影した映画の興行収益の25%を受け取る権利もあったそうです。

では、現代のヘビー級のメガマッチはどうか、というと。。。

boxingcafe.hatenablog.com

最新のヘビー級ビッグマッチといえば、ワイルダーvsフューリー2。

デオンテイ・ワイルダーとタイソン・フューリーの再戦のファイトマネーはそれぞれが500万ドル。(PPVのボーナスは除く)100年前とは桁違いではありますが、今の価値に換算するとどうなんでしょうか。

ネットで見つけたThe Inflation Calculatorという計算ソフトで計算してみました。

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1920年の30万ドルを今(2019年)に換算すると389万ドル。

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1920年の20万ドルを今(2019年)に換算すると259万ドル。

このソフトの信憑性は正直よくわかりませんが、デンプシーのファイトマネーは今の貨幣価値で換算すると389万ドル、カルパンティエのファイトマネーは259万ドル、だそうです。

ワイルダーとフューリーの初戦がそれぞれ400万ドル、300万ドルだったことを考えるとやはりヘビー級王者の価値は相対的に見てもそんなに変わらない、とも言えますね。

変わったのはヘビー級ボクサーのサイズです。

ジャック・デンプシーは身長185cm、この試合の当日の体重は188lbs(約85.3kg)、対するカルパンティエは身長182cm、体重175lbs(約79.4kg)。

デオンテイ・ワイルダーは身長201cm、この試合の前日計量の体重は231lbs(約104.7kg)、タイソン・フューリーは身長206cm、体重273lbs(約123.8kg)。

圧倒的に大きいですね。映像を見た感じでも、ワイルダーvsフューリーの方がリングが小さく感じます。

肉体が大きくなり、技術が進歩したのは100年前と比べると明白。そして今、この時もおそらく少しずつ、ボクシングは進化していっているのでしょう。

いつの時代も人々が熱狂できるボクシング。これからの100年もその先も、ボクシングの灯火を絶やさず、ずっとずっと価値を落とすことなく続いていくことを願っています。

 

そしてこれからも

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ちなみにこれまでの100記事の中で、よく読まれた記事のベスト3は以下です。もし読まれていない方は是非読んであげて下さいm(_ _)m

第3位 1990年代のMVPを勝手に選定!

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第2位 井上尚弥のキャリアを振り返り!

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第1位 ウェルター級に挑んだ日本人ボクサーを振り返り!

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最後に、改めまして自己紹介です。
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