アマエリートと、プロ叩き上げ。
現役の王者は、世界王者を除くと50-50という結果でした。
そして今年は、主にオリンピック出場を逃したアマエリートたちがプロ転向する年でもあります。本来であれば、東京オリンピック後にもアマエリートのプロ転向が多くなるはずなのですが、今回はそのあたりは不透明。
今回のブログでは、近々プロ転向を表明したアマエリートと呼ばれるボクサーたちをピックアップしていきたいと思います。
中垣龍汰朗(日章学園→東農大中退→大橋ジム)
アマ8冠の20歳。高校時代から国際大会でも活躍したアマエリートです。
オリンピックを目指しますが叶わず、東農大を中退してプロ転向。
詳しい話は本人のYoutubeに預けます。
↑中学時代、重岡優大に敗北を喫した事で本気でボクシングに取り組むようになったとのこと。その後、中学時代に4度優勝経験があるそうです。
↑高校時代は8冠。ものすごい記録です。周りからみると順風満帆でも、悩みも苦しみもある。
このように本人が自分のアマチュアキャリアを振り返る映像は非常に貴重だと思います。要チェックです。(ちなみにもう一本、大学編がありましたが上手く貼れませんでした。)
8/24にデビュー戦、堀井翔平(トコナメ)との1戦が決まっています。
松本圭佑(みなと総合→東農大中退→大橋ジム)
U-15大会で前人未到の5連覇、高校時代に選抜を連覇、国際大会にも出場しました。
父は日本・OPBF東洋太平洋フェザー級の元王者で、大橋ジムトレーナーの松本好二。世界挑戦経験もある父の夢を継ぎ、プロボクサーとなりました。
中垣と同様にオリンピックの夢を断たれ、プロ転向。「ミライモンスター」という番組でずっと密着されているボクサーなので、もう説明不要ですね。松本も中垣と同日、8/24にデビュー戦、三宅寛典(ビッグアーム)戦が決まっています。
幼い頃から期待をされますが、ここまで順風満帆とはいえません。かつてのライバル、中垣とともに次世代の大橋ジムを引っ張る存在になれるでしょうか。お父さんの頃から見ている身としては感慨深い。。。
↑中垣と松本のプロテスト映像
木村蓮太郎(飛龍→東洋大→駿河男児)
全日本、国体(2度)を制してアマ3冠。2019年には東洋大ボクシング部のキャプテンとして、同大学初の関東大学リーグ優勝、全日本大学王座決定戦優勝の立役者となりました。
オリンピック予選は自身の怪我により不参加、卒業後郷里の静岡に戻り、地方ジムから世界を目指します。
10戦以内に世界王者となると目標を掲げており、駿河男児ジムもエディ賞受賞経験のある高橋トレーナー(元ワタナベジム)を迎え、サポート体制も万全。
↑所属ジムの駿河男児ジムのYoutubeで徹底的に追いかけています。
日本フェザー級王者、佐川遼を相手にプロテストを受験、三迫ジムと駿河男児ジムは提携関係にあるようで、三迫ジムのプロモートで試合を行っていくようです。地方ジム特有の試合枯れもなさそうですね。
デビュー戦は7/22、東祐也(畠山)との一戦が組まれています。
但馬ミツロ(享栄→中央大→福井県体育協会→緑)
重量級にあるまじきスピードを持つハードパンチャー、ミツロ。アマ5冠、国籍の関係で東京オリンピックは露と消え、日本ジム所属選手初の重量級世界王者を目指します。
キャリア初期を日本のヘビー級で戦い、その後は本場アメリカで適正階級であるクルーザー級で世界タイトルを目指すと語っています。
緑ジムはかつてオケロ・ピーターが所属したジムで、ヘビー級での世界挑戦を実現したジムでもあります。そのピーターが専属トレーナーになる、ということなのでこちらもサポート体制はしっかりしています。
ただ、やはり実戦練習ともなると相手がいないので、練習だけでも国外に出ていかなければいけない事もあるかもしれません。険しい道のりですが、是非是非夢を見させてもらいたいですね。
藤田健児、村田昴、嶋田淳也、金子虎旦。
4人一気に帝拳ジム所属とのニュースが。
東京オリンピック予選を兼ねた昨年の全日本選手権、決勝で堤駿斗と激闘を繰り広げた事も記憶に新しい藤田。インターハイや全日本でも優勝経験があり、世界選手権への出場経験もあるアマエリートです。
藤田も、昨年の全日本選手権で堤に敗れた事から東京オリンピックへの道を断たれ、プロ転向を決断したようです。
村田昴もインターハイ、全日本を制した経験を持つアマエリート。前述の全日本選手権では準決勝で堤に敗れます。
島田淳也、金子虎旦については藤田、村田ほど華やかなアマ戦歴ではないにしろ、それぞれ駒澤大学、日本大学のポイントゲッターとして活躍した日本アマトップレベルのボクサーです。
この4人のうち、藤田、嶋田、金子はみなフェザー級でキャリアをスタートさせるとのこと、ジム内でのライバル争いも熾烈を極めます。是非切磋琢磨して高めあってもらいたいですね。
アマエリートは、世界へ辿り着けるか
現在、日本人世界王者は6人。その全員が、アマチュアで実績を残しプロ入りしたボクサーです。現在は世界タイトルを返上し、井岡一翔への挑戦を目論む3階級制覇王者田中恒成も、井上尚弥の弟で前WBC世界バンタム級王者の井上拓真も、勿論アマエリート。
幼年期からボクシングに打ち込んだ者、高校からスタートして実績を積み上げた者、それぞれではありますが、アマエリート→プロ転向という流れは、最短距離で世界王者までの道のりをかけあがっていけるルートです。
しかし、その道は決して平坦ではなく、強豪を倒して這い上がらなければ頂点に届かないのはアマエリートだろうがプロ叩き上げだろうが一緒です。
プロボクシングにはたくさんの選手がいて、その経歴もそれぞれ。それぞれのボクサーのバックボーンを知り、試合を観る事が最もボクシングを楽しめる方法だと思っています。
既にデビュー戦が決まっている木村蓮太郎、中垣龍汰朗、松本圭佑については、相手が日本人。多くのアマエリートはおよそ外国人選手を招聘し、デビュー戦を行う事が多いですが、今回のコロナ禍で日本人対決となったのでしょう。
アマエリートのボクサーには、アマで培った技術、+αを存分に発揮してもらいたいと思いますし、相手となったボクサーには、プロで叩き上げてきた生き様を見せてもらいたいです。要するに、どっちもがんばれ。
全てのボクサーを応援しつつ、楽しんで観たいですね。