7月に入り、日本国内にもボクシング興行が帰ってきました!
後楽園ホールにボクシングが戻ってきた7/16の興行は、世界を嘱望された井上浩樹(大橋)が永田大士(三迫)に敗れ、波乱の幕開けとなりました。
三迫ジムは日本王者が現在6人同時在籍という偉業を成し遂げています。(新記録だそうです)
そして、今週も国内のボクシングでは注目試合がありますので、ピックアップしていきたいと思います。
7/22(水)ダイヤモンドグローブ
チャンピオン・カーニバル 日本スーパーフライ級タイトルマッチ
王者 中川健太(三迫)22戦18勝(12KO)3敗1分
vs
挑戦者 ユータ松尾(ワールドスポーツ)21戦15勝(8KO)4敗2分
中川は2016年に木村隼人(ワタナベ)との決定戦を制して戴冠。しかし初防衛戦で高校の同級生でともにボクシング部を創部した船井龍一(ワタナベ)に王座を明け渡します。
その後三迫ジムに移籍、2019年12月に奥本貴之(グリーンツダ)に挑戦し、見事戴冠。
サウスポースタンスの高いガードポジションから必殺の左を繰り出すパンチャーです。やや身体の硬さが気になりますが、バランスのとれた良いボクサーにみえます。
その左強打に頼らず、また違ったボクシングを見せた前戦の奥本戦。足を使ったり、細かいパンチをポンポンとはなったりと、大差判定勝利を得た前戦では、引き出しの多さも見せました。これは三迫ジム移籍の効能なのかもしれません。
日本王者が6人もいる三迫ジム、早くもその一角を崩させるわけにはいきません。
しかし、対するユータ松尾も国内トップレベルのスーパーフライ。
2017年には、世界挑戦経験もある元日本王者、黒田雅之(川崎新田)との暫定王座決定戦では判定で涙をのみましたが、その後のタフなマッチメイクを勝ち抜き、挑戦者決定戦を勝ち抜いて前王者である奥本貴之に挑戦。その挑戦も0-2の判定で実らず。
そして昨年、またも挑戦者決定戦に出場、ベテラン久高寛之(仲里)とドローながら勝者扱いで日本タイトル3度目の挑戦へとこぎつけました。右構えのファイタータイプで、国内トップレベルの選手誰とやっても良い勝負をする、というイメージがあります。
距離を詰めたい松尾に対し、ジャブをつき、左を狙うであろう中川。KO敗けが一度もない松尾をKOできるようであれば大きな飛躍になるかもしれません。
松尾にとっては、3度目の正直が実るか否か。距離を詰め、乱打戦に持っていくことが勝機と思えます。
前回の王者時代、初防衛に失敗した中川も、今度こそはと気合充分でしょう。意地と意地のぶつかり合い、非常に楽しみな1戦です。
↓スーパーフライ級、世界のトップ戦線
そしてこの日の前座では、アマエリート・木村蓮太郎(駿河男児)のデビュー戦も。
60kg契約 6回戦
東祐也(畠山)9戦5勝(1KO)3敗1分
vs
木村蓮太朗(駿河男児)デビュー戦
注目のアマエリート、木村蓮太朗のデビュー戦。相手は、北海道畠山ジムの東祐也。
畠山ジムといえば!
この「無敵の二人」 という小説は、元日本ライトフライ級王者、畠山昌人(現畠山ジム会長)の実話を元に書かれた小説です。機会があれば是非読んでみて下さい。感動します。
ちなみに著者の中村航氏はこちらも有名。
話が逸れてしまいましたが、このアマエリートのデビュー戦を受けるその心意気が素晴らしいです。北海道という場所柄、なかなか試合の機会に恵まれずに不憫な思いをしているかもしれませんが、アマエリートを喰ってやろうという意気込みを感じます。
今はコロナショックで海外から選手を呼びづらいということもあるでしょうが、デビュー戦の相手が見つけられないというのは今後のキャリアにも関わってくる事ですので、木村陣営としても相手が見つかって良かったですね。
プロ叩き上げの東、20歳で9戦のキャリアというのはなかなか凄い事です。 その意地を見せられるか。それとも木村がその思いごとぶった切ってしまうのか。コチラも要注目です。
※7/26(日)AM3:30〜フジテレビにて関東ローカル放映
7/25(土)
OPBF東洋太平洋ライトフライ級王座決定戦
冨田大樹(ミツキ)15戦14勝(5KO)1敗
vs
堀川謙一(三迫)57戦40勝(13KO)16敗1分
22歳の冨田と、40歳の堀川。本来であれば3月に開催されていたはずのこの1戦は、試合の3日前にコロナショックの影響により延期に。そこから4ヶ月、いよいよ開催されることとなりました。
前戦でWBOアジア・パシフィック王座決定戦に出場、見事タイトル初戴冠を果たした冨田。そのタイトルは返上し、大ベテラン・堀川との統一戦に臨みます。
前戦、堀川は保持していた日本王座の防衛戦で高橋悠斗(K&W)に破れ無冠になりましたが、現役最多、57戦を誇るキャリアは疑いようはなく、未だに大きな衰えは感じさせません。
とはいえ、若さと勢いのある冨田、前戦では気迫、根性といったメンタルの部分でも成長を感じさせました。
若さと勢いが勝るのか、ベテランが意地を見せるのか。若手vsベテランという構図も、観戦意欲をそそりますね。
7/26(日)
日本ライトフライ級王座決定戦
矢吹正道(緑)13戦10勝(10KO)3敗
vs
佐藤剛(角海老宝石)12戦10勝(5KO)1敗1分
勝ち星全てがKOという矢吹。かなりハードなマッチメイクを乗り越え、昨年の王座挑戦者決定戦でアマエリートの実力者、芝力人(RK蒲田)を4度倒すという衝撃のKO勝利。
その後、コロナショックでタイトル戦の延期につぐ延期、更には王者、高橋悠斗の引退とまたされましたが、いよいよ王座決定戦として試合が決定しました。
切れ味するどいカウンターパンチャー、突き刺すようなジャブも秀逸なジャバーでもあります。そしてチャンスとみるやその爆発力は凄まじく、早くから将来を嘱望されていました。
いよいよタイトルを獲得し、その勢いのまま世界へと駆け上がっていけるのか。
対する佐藤は、3戦目までは1勝1敗1分ながら、その後9連勝して今回の王座決定戦へ臨みます。サウスポーのファイタータイプ。映像を見る限りでは、かなり手数が出るタイプのファイター。
矢吹は、佐藤の射程距離に入る前にジャブを突き、芝戦のようにジャブをビシビシ決めたいところでしょう。懐に入ってしまえばむしろ安全圏になるかもしれない佐藤は、リーチの長い矢吹の左をかいくぐりたいところです。
矢吹にとっても、手数の多い佐藤のパンチ一つ一つにカウンターを狙うわけにはいかないでしょうから、ジャブが生命線になってきそうです。そこから狙いすましたカウンターを打つのが理想でしょう。佐藤が距離を詰めようとする瞬間に注目です。
ただ、スピード、パワー(というかパンチのキレ)、テクニック、そしてこれまで闘ってきた相手の質(=キャリア)、どれをとっても矢吹の方が上回っている感じがするので、佐藤としては強引さ、そして徹底した矢吹対策が必要になってくると思います。乱打戦に巻き込めばあるいは、という展開も予想できますが、佐藤のこれまでの相手とは格が違うといっても過言ではない矢吹。
この試合は少ないながらも有観客試合として行われるようです。
↓矢吹正道を下した中谷潤人は、もうすぐ世界戦。
コロナ時代の興行
本日(7/19)、沖縄で興行再開後初の有観客試合も挙行されました。3500人収容の会場に、350人を動員したそうです。
日に日に増えていく感染者のニュースを見ていると、観客を入れての興行はこれからもまだまだ困難です。
無観客興行は、どうやっても赤字覚悟、とのことなので、これからもボクシングが続いていくためには、一刻も早い有観客興行の再開を目指していかなければなりません。
人の命に関わってくる問題でもありますので、非常に難しい問題ではありますが、一日も早く元の生活に戻れるように今できることをやっていきましょう。
個人的には、無観客興行、PPVでも何でもいいのでお金を払って見れる形式にしてくれれば、絶対見るのですが。。。
↓ライトフライ級は日本人王者が2人!矢吹はその戦線に食い込めるか??