8/23(日)は、海外で多くの注目試合が行われました!まずはイギリスでディリアン・ホワイトvsアレクサンデル・ポヴェトキン。
そしてアメリカでは、ショーン・ポーターvsセバスチャン・フォルメラ。そして、エレイデル・アルバレスvsジョー・スミスJr。それぞれが世界のトップオブトップを決める試合か、というとそうではないのですが、トップのすぐ下のグループの試合が相次いで行われたというイメージです。
この勝者は、間違いなく世界のトップ戦線にからんでくる、そんなプレマッチ。今後の各階級の動きも楽しみにしつつ、観戦記を書いていきたいと思います。
↓プレビューはこちら
ディリアン・ホワイト(イギリス)vsアレクサンデル・ポヴェトキン(ロシア)
↓公式のハイライト動画
興行再開後ここまで、DAZNはなかなかカードに恵まれていませんでしたが、ようやくWBC世界ヘビー級の暫定王座戦ながら注目のマッチメイクが。今後DAZNでは、大注目のライアン・ガルシアvsルーク・キャンベル等も放映するそうなので、ここからの巻き返しに期待したいですね。
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さて、ホワイトvsポヴェトキン。
両者ともにドーピング疑惑があり、なかなか複雑な心境になる試合でもあります。どっちも応援できない。しかし40歳のポヴェトキンにとっては厳しい闘いになるでしょう。
1R目から距離は近く、双方パンチが当たる距離で闘います。ポヴェトキンはヘビー級としては小さい部類ですが、ホワイトも大きくはない。2m超えの現王者たちからすると、体格的には見劣りします。
2R、初回よりも押したり引いたりのボクシング。ホワイトがポヴェトキンをよく見て上手くパンチを合わせている印象です。特にホワイトのジャブが良く、ポヴェトキンは近づいてのフックが強烈です。
3R、ポヴェトキンの方が手数は多いですが、クリーンヒットはホワイトでしょうか。ホワイトはパンチの反応、それに対するガードもいいですね。
4R、開始30秒でホワイトの左フックでポヴェトキンがダウン!その前にも右を決めていました。ポヴェトキンそんなにダメージはなく、立ち上がった後は足取りもしっかりしていて、パワーパンチを繰り出していきます。ホワイトは狙いすぎなのか、やや手数が少ない印象。
しかしポヴェトキンが踏み込んだところでホワイトの左アッパー!またもポヴェトキンがダウン。立ち上がったところで、ゴング。
結構コロコロ倒れるポヴェトキン。これはもう決まるか?と思った5R。
なんと開始30秒、ホワイトの右をかいくぐったポヴェトキンが、キレイな左アッパーを垂直に入れ、ホワイトが痛烈なノックダウン!レフェリーはすぐさま試合をストップ!
ポヴェトキンの5RTKO勝利!
この試合、WBCのダイアモンド王座もかけられていたみたいですね。いつもどおり謎です。ダイアモンド王座はレギュラー王座よりも権威があるのかないのか。
ともあれ、ポヴェトキンの大逆転KO劇は、まるでかつてのマイク・タイソンのようでした。この絵に描いたようなノックアウト、スローでみるとホワイトの左フックのカウンターになって当たっています。素晴らしい左アッパー。
さて、この暫定王座を獲得したことで、タイソン・フューリー戦かと思いきや、再戦条項があるらしく。ポヴェトキンvsホワイト2という試合が組まれるようです。ホワイトがもし暫定王座を防衛していたら、フューリーをフランチャイズ王者に格上げ、なんてことも起こりそうだった今回の1戦。(勝手な思い込みかもしれませんが)
今回はどちらも応援という気持ちになれませんでしたが、次回はここまできたらポヴェトキンを応援します。この勝利がフロックでなかったことを証明してもらいたいですね。次戦もポヴェトキンにとっては分が悪いでしょうが。。。
ちなみに2戦目、ホワイトが警戒して超塩試合になる可能性も大いにあります。
ショーン・ポーター(アメリカ)vsセバスチャン・フォルメラ(ドイツ)
↓公式のハイライト動画
DAZNと違って注目試合だらけのPBC興行。今回は個人的に大好きなショーン・ポーターの再起戦。その再起戦で無敗のフォルメラを選ぶあたりがポーターの素晴らしさ。
映像を観るとIBFウェルター級のエリミネーターとあります。WBCのシルバー王座決定戦という話でしたが、IBFの挑戦者決定戦でもあるようです。
1R、ポーターは様子を見ながらも時折鋭い攻めを見せます。フォルメラは足を使って捌こうとしますが、ポーターの踏み込みの鋭さに対応しきれていない感じです。
2Rもポーターはジャブを放ちながら身体ごとつっこみ、フックを振り回すいつものスタイル。上体の動きもかなり出てきました。
3Rもポーターは攻めます。このラウンド、途中ステップを踏む余裕を見せます。と、ここでポーターの足元を気にしてみるとリングシューズがアシックス!後楽園ホールではよく見かけますが、海外選手としては珍しいような気がします。
↓アシックスのシューズ。シューレースは白ですね。
ただ猪突猛進ではないところがポーターの良いところです。4Rも相手の出方を伺ったり、非常にリラックスした闘い方。もうかなり余裕です。
5Rもフォルメラのジャブをはずし、ステップインして強烈なフックを振るうポーター。とにかく踏み込みが鋭く、ウェルター級のボクサーとしては小型ですがそのハンデを全く感じさせません。このラウンドは後半、ラッシュを仕掛ける場面もありました。
6Rも展開は変わらず。フォルメラはガードをすると打ち込まれてしまうので、回りたい。しかしポーターのステップインは速すぎます。
7R、正攻法ではかなり勝ち目野薄くなってきたフォルメラは何とか打開したいですね。しかし自ら攻めてもポーターの左フック、左アッパーで後退。最後まで立っていられるか。
8R、ここまで上下にポーターのパンチを浴び続けているフォルメラですが、なかなかタフです。ガードを固めて耐えた後、しっかり打ち返しています。ポーターはそのボクシングスタイルから、全くもらわない訳ではないので、フォルメラのパンチも当たってはいます。しかし、それ以上にもらってしまいます。
画面左端にあるコンピューター集計のヒット数も差は開くばかり。フォルメラの倍以上のパンチをポーターが当てているようです。
終盤になってもペースは相変わらず。ポーターは攻めても攻めても動きはまったく落ちず、10RにはKOを狙ってか怒涛のラッシュをしかけます。ここを凌いだフォルメラですが、流れは変えられません。もう逆転KOしか残されていないフォルメラですが、「倒されない」ということを選択したのか、いい風にいうと自分のボクシングを貫きます。
最終ラウンド、ここまでくるとポーターは倒せるか、それともフォルメラはフルラウンド生き残れるか。ポーターの左フックのダブル、左アッパー、フックと多くのヒットを奪いますが、フォルメラは倒れず。
試合はユナニマスの判定でショーン・ポーターの勝利!
アメリカデビューというフォルメラでしたが、もう少し意地を見せてもらいたかったですね。仮にドイツから来た観客がいれば、もっとがんばったかもしれません。
エレイデル・アルバレス(コロンビア)vsジョー・スミスJr(アメリカ)
↓フルファイト動画
WBOランキングで3位のアルバレスと、4位のスミスJrの1戦。この試合の勝者と、1位ユマー・サラモフvs2位マキシム・ウラソフのロシア人対決の勝者がWBO王座決定戦で相まみえるようです。トーナメントみたいになっていていいですね。空位になったらこんな感じでトーナメントで決めれば、(時間はかかりますが)王者として認められやすいと思います。
スミスJrが1R開始のゴングと同時に前に出ます。なかなか力強い攻めです。アルバレスはジャブ主体、スピードがあります。アルバレスがっちりガードしていますが、スミスJrの思い切り叩きつけるようなフックはそら恐ろしい。
2Rも同様に攻めるスミスJr。両者ともにキビキビと動き、パンチには迫力もスピードもあり、やっぱりライトヘビー級の試合は面白いです。これだけスミスJrが思い切りよく振っているので、アルバレスガード主体だとそのうち効いてしまいそう。。。
3R、スミスJrは手数が多いです。アルバレスは折を見てコンビネーションを打ちますが、どちらかというとカウンターを狙っているのでしょうか。終盤、アルバレスはボディも攻めます。
4Rも先に攻めるのはスミスJr、アルバレスも上手さを発揮する場面もあります。ただ、引き続き見栄えはスミスJrで、アルバレスは鼻血。
5R、徐々にアルバレスは厳しくなってきました。スミスJrのハードパンチが結構な確率でヒットしはじめます。
6R、スミスJrはもう自信満々で闘っています。対するアルバレスはやはりガード主体というディフェンスが良くなかったのか、徐々に効き始めているのか、ジリジリと後退していて見栄えが良くない。スミスJrもパンチはもらいますが、気にせず前進。
7R、スミスJr、強いボディを何発もヒット、そこから上にアッパーを入れます。アルバレスも負けじと右クロスをヒット!しかし終盤はスミスJrが盛り返し、連打したところでゴング。
8R、若干攻撃のペースを緩めたスミスJr。ややうち疲れがあるのでしょうか。少しステップを踏み、休む場面も見受けられます。
9R、スミスJR決めにいったか、右を強振!その右がアルバレスの左のカウンターとなって、アルバレスに深くヒット!左のフォローでアルバレスはダウン!あわやリング外に、というダウンでレフェリーはストップ!
ジョー・スミスJrの9RTKO勝利!
スミスJr、素晴らしい試合運びの試合でした。おそらくアルバレス優位の予想だったのだと思いますが、終わってみればスミスJrの方が地力に勝る印象を受けましたね。
彼の闘いはまだ続いていくので、次戦勝利して、「ホプキンスに勝った」という肩書だけでなく、「世界王者」という肩書を手に入れてもらいたいものですね。
先週は海外戦だけでなく、国内戦もアツかった!
↓激闘ばかりの神興行、はじめの一歩TMと、意外に良かったマルティネス復帰戦
↓国内注目興行、SLUGFESTの観戦記!
さて、次回のトップランク興行はいよいよホセ・ラミレスとビクトル・ポストル戦。思い返せばもともと中国で開催予定だったこの試合が延期されたのが最初のコロナショックでした。
今週も、楽しみです!!!