思えばコロナショックを切り開き、最初にボクシング興行を再開したのは、トップランクでした。しかしその後、ラインナップでPBCに水を開けられていたように感じたこの頃。
しかし9/9(水)、トップランクは所属するビッグネームの試合を正式決定と発表!そしてとうとう井上尚弥(大橋)vsジェイソン・マロニー(オーストラリア)の一戦も正式決定と報じられました。
↓「モロニー」の表記ですが、今回から他メディアにあわせてマロニーに変更します。
6月からコンスタントに興行を打ってきてくれていたトップランク、無観客興行の運営にも慣れたところで、いよいよスター選手たちにスポットを当ててくれました。
この状況下、コンスタントに試合を見せてくれるだけでも有り難い。
本当に無観客なんてもったいマッチアップばかりですが、試合枯れには変えられません。たとえ井上の試合を見に行けなくても、彼のキャリアが停滞するよりは良い。
しかも注目のビッグマッチの数々は、我らがWOWOWさんが生中継してくれます。
10月、いやPBC興行を含めると9月の終わりからはじまるビッグマッチ月間をまずは総ざらえしていきます。
9/26(日本時間9/27)
ジャモール・チャーロ(アメリカ)vsセルゲイ・デレフヤンチェンコ(ウクライナ)
WBC世界ミドル級王者、チャーロ兄に挑むのは、あのデレフヤンチェンコ!
チャーロ兄弟は個人的にものすごく好きなんですが、なかなかメジャーになれません。
デレフヤンチェンコという地味ながらものすごく強い挑戦者を迎えるという勇気ある選択に、私は拍手を贈りたい。
そしてダニエル・ジェイコブス(アメリカ)、ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)に挑み、いずれも惜敗したデレフヤンチェンコは3度目の正直なるか。
大変に興味深い一戦ですね!
ジャーメル・チャーロ(アメリカ)vsジェイソン・ロサリオ(ドミニカ)
チャーロ弟はWBA・WBC・IBF世界スーパーウェルター級の3冠統一戦!前戦でトニー・ハリソン(アメリカ)へのリベンジを果たし、タイトルを奪還したチャーロ弟。ロサリオは前戦でジュリアン・ウィリアムス(アメリカ)を番狂わせで破り、一気に2冠王者に。
これまでの実績からいけばチャーロ弟の勝利は揺るぎないと思いますが、ロサリオは2戦連続でアップセットを起こせるか??
どちらが勝つにせよ、3冠統一戦のあとは、もう4冠目を目指すしかないですね。
この興行ではアンダーカードも超豪華、前WBA・IBF世界スーパーバンタム級統一王者、ダニエル・ローマン(アメリカ)が元WBA世界バンタム級スーパー王者、ファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)との1戦を迎えます。WBC世界スーパーバンタム級の挑戦者決定戦で行われるこの試合。。。。ん?パヤノってスーパーバンタムで闘った事あるんでしょうか?
当初、ローマンの相手はエマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)という噂もありましたが、パヤノに落ち着いてしまいました。不遇のロドリゲス。
そしてもう一つ、大変興味深い一戦がこの日にあります。
WBC世界スーパーバンタム級王座決定戦、ルイス・ネリ(メキシコ)vsアーロン・アラメダ(メキシコ)。当初はこちらが挑戦者決定戦だったはずですが、同級王者のレイ・バルガス(メキシコ)が休養王者となり、王座決定戦に繰り上がり。
どうやってネリがスーパーバンタムの世界ランク(しかも1位)を手にしたかは不明ですが、アラメダは6位の選手、上が断らなければ王座決定戦には出れないはずです。普通に考えると。
しかしそこは普通ではないメキシカン、我々は文句を色々言わずにこの試合を楽しむべきでしょう。30勝24KOのネリ、25勝13KOのアラメダ、ともに無敗。ネリが体重をしっかりつくってきて試合を開催されさえすれば、どちらかに土がつく試合。アラメダ、よく知らないけれども頑張れと思ってしまう一戦です。
この試合は、WOWOW様が生中継!!!9/27(日)8:00からです!!
しかもこの興行、WBO世界バンタム級王者、ジョンリエル・カシメロと無敗挑戦者、デューク・マイカーとの防衛戦の他、WBA世界スーパーバンタム級王者、ブランドン・フィゲロアも登場。一体どこまで放映してくれるのかは気になりますが、とんでもなく濃い一日になりそうです。
↓こちらも併せてどうぞ。
トップランク興行!!!
10/3(日本時間10/4)
ホセ・セペダ(アメリカ)vsイバン・バランチェク(ベラルーシ)
こちらは既に発表済みのカードで、本来であれば7月開催のはずでしたが、バランチェクの負傷により延期となり、10/3にリスケジュール。
楽しみが多いスーパーライト級のランカー対決で、ホセ・ラミレス(アメリカ)に敗北したものの、ホセ・ペドラサ(プエルトリコ)に勝利したセペダ、ジョシュ・テイラー(イギリス)に敗れたバランチェクのサバイバルマッチ。
バランチェクはIBF同級王座を獲得したことはありますが、セペダは未だ無冠。ここはセペダに勝利してもらい、3度目の正直につなげてもらいたいですね。
テイラーvsラミレスの4冠統一戦が進めば、結果的にタイトルはバラける可能性が大いにあり、現在の世界ランカーたちにはチャンスがまわってきそう。それはまたおもしろいスーパーライト級。
↓先日行われたラミレスvsポストルの観戦記。
10/9(日本時間10/10)
エマニュエル・ナバレッテ(メキシコ)vsルーベン・ビラ(アメリカ)
WBO世界フェザー級王座決定戦として行われるこの試合。ひとつ下の階級の王者が返上して転級する場合、上の階級の1位になるというWBOルールは明確ですね。全員に適用されます。
ということで1位になったナバレッテと、3位の18勝(5KO)無敗のビラで決定戦。(2位のジェシー・マグダレノは王座決定戦を断った?)
スーパーバンタムでは有利な体格だったナバレッテ、そのボクシングはフェザーでも通用するのでしょうか??前戦のウリエル・ロペス(メキシコ)戦では何とも言い難いですね。
そしてこのビラはサウスポー。KO率は低いですが元トップアマ、アマ時代は前WBO同級王者であるシャクール・スティーブンソン(アメリカ)に勝ち越しています。
しかもサウスポー。メキシコにはサウスポーが極端に少なく、ナバレッテはテクニカルなサウスポー相手に大丈夫なのか、という心配があります。
なので、もしかするとナバレッテの2階級制覇は阻止されるのかもしれないな、という見解。
ビラは強敵、ナバレッテがそのボクシングで粉砕するのか、それともビラがテクニックでマタドールのようにかわすのか。ボクシングスタイルの対決は非常に楽しみです。
10/17(日本時間10/18)
ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)vsテオフィモ・ロペス(アメリカ)
これもまだ決定じゃななくて内定の段階だったのか。。。井上尚弥vsジェイソン・マロニー決定の報と併せて報じられたコロナショックからの再開後、最もビッグな試合。
ロマチェンコは言わずとしれたPFPキング。カネロについて報じられる疑惑を考えると、おそらく日本人の多くは彼をNo.1と認識しているのではないかと思います。WBAスーパー、WBCフランチャイズ、WBOの3冠を手にしています。
そして、その絶対王者に挑むのがテオフィモ・ロペス。リチャード・コミー(ガーナ)からタイトルを奪った衝撃の右カウンターは、当たればどんなボクサーでもノックアウトできてしまうであろうKOパンチャーです。
ライト級に上がってからは、スーパーフェザー時代とは違い無敵感はなくなってきていると思われるロマチェンコ、そして一発で試合をひっくりかえす力を持つロペス。順当にいけばロマチェンコの勝利でしょうが、ロペスは「もしかしたら」を感じさせるボクサー。
↓この試合もWOWOW様が生中継!
「事実上の」4冠統一戦となるこの一戦、ロマチェンコが勝てば階級をスーパーフェザーに戻すという話が以前から出ています。いずれにしろ、4冠を防衛し続ける事はスケジュール的に非常に困難だと思いますので、統一後、タイトルはバラけるとみていいでしょう。
そうすると、ライト級の壁が一気に低くなります。つまりは、日本人ボクサーにもチャンスが来る。
↓勝ち上がるのは誰だ。吉野vs細川の観戦記。
10/23
アルツール・ベテルビエフ(ロシア)vsアダム・デインズ(ドイツ)
IBF・WBC世界ライトヘビー級王者、ベテルビエフ。15戦全勝全KOという怪物。そのベテルビエフのボクシングは、ワンパンチでKOショーを見せる時もあれば、理詰めの時もある、という非常に魅力的な王者です。
この試合のセミには、WBO世界ライトヘビー級の挑戦者決定戦が組まれており、ユマー・サラモフとマキシム・ウラソフというロシア人対決がセットされています。この勝者が先日同挑戦者決定戦を勝ち抜いたジョー・スミスJrと対戦、新王者が決まるそうです。
素晴らしいトーナメントですね。そしてその勝者が、3冠をかけてベテルビエフ(が勝つ前提で書いています)と対戦する。。。かもしれません。
↓ジョー・スミスJrの挑戦者決定戦!
10/31(日本時間11/1)
井上尚弥(大橋)vsジェイソン・マロニー(オーストラリア)
そしていよいよ、井上尚弥のラスベガスデビュー。相手は既報のとおり、ジェイソン・マロニー。
とにかくマロニーは総合力の高いボクサー。しかしそれをものともしない程、井上の総合力はより高いです。
赤穂亮(横浜光)のYoutubeチャンネルで、京口紘人(ワタナベ)が「自分がマロニー陣営だったらどうするか」という事を語っています。
↓赤穂亮のルーTUBE。
https://www.youtube.com/watch?v=nQPkKMkgANM
京口のこたえは、「ダーティーファイト」。
なるほど一理あるな、と思います。井上尚弥がクリンチが上手くなかったのは、ドネア戦で露呈した弱点の一つでしょう。練習はしているとしても、本番でクリンチしたことがなかった井上は、クリンチに行きましたが上手く出来ませんでした。
そこをつく、というのは発想としては悪くはありません。それでペースをくずし、中盤から終盤にかけてマロニーが自分のボクシングで上回れば、勝機はなくはない。かもしれません。
とはいえ、井上優位の予想は崩せません。
無観客とはいえラスベガス、そのボクシングの聖地で、胸のすくKO劇を再び見せてもらいたいですね。
この試合も、WOWOW様が生中継!!
このように、9月〜10月にかけては海外戦で楽しみな試合が続々と決まっています。
そして、日本でも今後を占うビッグマッチや、コロナショック後初となる世界タイトルマッチが決定しています。次回は9/9に発表された国内の楽しみな試合を中心に、ピックアップしていきたいと思います。