皆さんもそうだとは思いますが、今週は全く落ち着かないですね。
週末、「モンスター」のラスベガス初戦はボクシングファンならずとも楽しみにしていることかと思います。
↓週末のラスベガス興行のプレビュー
その日にあわせて気持ちも高まっていく中、今回のブログではその11/1前後(10/30〜11/6)に行われる日本ボクシング界の興行をプレビューしていきたいと思います。
モンスターの影に隠れてはいるものの、非常に興味深い試合がたくさんあります!
10/30(金)DANGAN興行
メインイベント
宇津木秀(ワタナベ)vs酒井孝之(花形)
アマ100戦以上のキャリアをひっさげB級デビュー、現在は6戦全勝(5KO)で日本、OPBFにランクインする宇津木。なかなかこのアマエリートには相手が見つからないのかもしれませんね。デビュー2戦目で同じくアマ経験豊富な齊藤陽二(角海老宝石)を降し、5戦目でベネズエラからの輸入ボクサー、ピッコロ・ヴォリバー(カシミ)を3RKOで倒し、ランキングをゲット。骨太なキャリアを築いていると言っていいでしょう。そこからコロナ禍もあり、1年ぶりとなる試合は、A級トーナメント。トーナメント参加であれば、相手に困ることもありません。
対する酒井は、ランキングこそ持っていないものの9勝(6KO)2敗2分という好戦績。ランカーとの対戦はこれで2度目、今度こそランキングを獲得したいという思いも強いでしょう。
協栄ジム閉鎖に伴い、花形ジムへ移籍し、初戦。
打ち合いたい酒井に対し、万能型の宇津木はボクシングを選択するのか、それともその打ち合いに応じるのか。共に気の強さが感じられるので、打撃戦になる可能性も否めません。そうなると酒井にもチャンスが出てきますが、試合展開を決めるのは宇津木の出方によりますね。
興味深い一戦です。
そして同興行では、他にも注目試合が。
セミファイナル
中井龍(角海老宝石)vs内藤未来(E&Jカシアス)
5R制の賞金マッチで登場するのは、昨年デビューの中井龍と、OPBF王者、内藤律樹を兄に持つ内藤未来。
中井はまだ3戦目(1勝1KO1敗)、B級を卒業できていません。デビュー戦ではダウンを挽回してのドロー、2戦目では敵地タイで3RTKO勝利を上げています。
プロでのキャリアは内藤がもちろん上回るものの、中井はアマで50戦近くのキャリアがあります。B級ボクサーである中井、A級ボクサーである内藤の一戦が実現したのは、5Rの賞金マッチだから、ということが大きいと思います。
内藤としては(ランキングだけ見ると)勝って当然の相手ではありますが、その分リスクの高い相手ではあります。
中井はこの一戦、失うものが何もない状態ではありますが、既にしっかりした技術を持っており、デビュー戦で気持ちの強さも見せていますので、展開次第ではアップセットも起こりうるのかもしれません。
内藤未来には、ここでつまずいて欲しくはないですね。油断せず、しっかりと技術で勝ってもらいたいです。
11/1(日)GREEN Dream
力石政法(緑)vsそれいけ太一(湘南山神)
現日本フライ級王者、矢吹正道(緑)の弟、力石政法が、8月の前戦以来早くも登場。このコロナの中、コンスタントに試合ができているのは大きいですね。
前戦では日本ライト級ランカー同士のサバイバルマッチで角海老宝石ジムの粕谷雄一郎と緊張感のある戦いを演じた力石。兄に追いつけ追い越せと日本タイトルを狙います。現在の戦績は8勝(4KO)1敗で、日本ランク2位につけています。
対するそれいけ太一は7勝(5KO)3敗という好戦績ですが、現在は2連敗中。スーパーフェザー級で日本タイトル挑戦権を有しない下位ランクですが、その変則的なボクシングには注意が必要です。
ただ、力石は粕谷戦で証明したものは大きいと思うのです。相手に攻め入らせない冷静な試合運びは、太一の変則的ボクシングでも崩せないように思います。
力石としては、1階級下の下位ランカーということも含め、スカッと倒して勝ちたいところですが、如何に。
11/3(火・祝)
WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ
京口紘人(ワタナベ)vsタノンサック・シムシー(タイ・グリーンツダ)
京口紘人の防衛戦は、コロナ禍で寺地拳四朗(BMB)との統一戦が期待されましたが、タイからシムシーを呼んでの防衛戦となりました。
京口は前戦、ベテラン久田哲也を相手にダウンを奪っての明確な判定勝ちを収め、2階級目のタイトルの2度目の防衛に成功した、非常に好戦的な王者です。
コロナ禍の中、現役ボクサーの中ではいち早くYoutubeに挑戦。様々な格闘家や他のYoutuberとのコラボを経て、すっかり人気者になりましたね。京口の目論見通り、これまでボクシングを見なかった人たちをボクシングの土俵につれてきてくれようです。
この試合は、日本ではwithコロナ時代において初めて海外から選手を招聘しての世界タイトルマッチであり、そして「自身の持つYoutubeチャンネル」で生配信という試みも初めて。
テレビマネーに頼らず、自主興行のような形で世界タイトルマッチを開催するという、この新しい形にチャレンジすることについて称賛の拍手を贈りたいです。
そして相手のシムシーは、まだまだ荒削りな20歳。
14戦全勝12KOという怪物的なレコードではありますが、強豪との対戦経験はなく、これまで戦った最長ラウンドは8R。10回戦の経験すらありません。昨年12月の来日時の映像を見ましたが、スピードは京口とは比べるべくもなく、パワーもそこまで感じません。
戦績が示す通りのハードパンチャーであれば、一発当たれば。。というのはありますが、京口はガードも固く、あのスピードでは当てるのも難しい気もします。
シムシーは防御勘は割りと良いのかな、とも思うので、京口がそのシムシー相手にしっかりと詰めきれるか、というのが鍵になりそうです。
京口自身は、「はじめてボクシングを見る人」に、「わかりやすい形で決着をつける」ということを見せたいとインタビューで語っていました。
それが力みとならず、いつも通り闘い、KOしてくれれば初めて見る人にもわかりやすいでしょう。
ここで掴んだファンを是非、ボクシングに引き入れてもらいたいですね。そしてそれぞれの人気が高まっていけば、自ずと統一戦の機運が本人的にも上がっていくことでしょう。
この試合は、京口のYoutubeチャンネル(京口紘人 Hiroto Kyoguchi【WBA世界王者】 - YouTube)で生配信!!ありがたいです!!!
11/6(金)ダイナミックグローブ
中谷潤人(M.T)vsジーメル・マグラモ(フィリピン)
正式発表時にも書きましたが、いよいよ日本のプロ叩き上げ・スーパーホープ、中谷潤人が世界王者になる日がきました!
マグラモは24勝(20KO)1敗という戦績が示す通り、この階級においてはかなりのKO率を誇っています。
好戦的であり、手数も良く出るファイターです。
しかし、マグラモが接近してきたところにアッパーをあわせ、そして接近戦でも長身から腕を折りたたんでコンパクトに打つショートアッパーを駆使し、きっと打撃戦でも負けないはずです。
長い距離、中間距離では勿論中谷優位、そして接近したところでも打ち勝つ。そんな完璧な中谷のパフォーマンスが出ることを期待したいですね。
ちなみに、個人的に唯一の懸念事項としては、中谷はこのフライ級において非常に大きいぶん、華奢に見えます。こういうボクサーが打たれ強い、ということは過去の例を見てもありません。
不用意な一発にだけは注意してもらいたいです。フィリピン人がアップセットを起こす時、それは必ずといってもスイング系の大きな、力のこもった一発ですから。
辰吉寿以輝(大阪帝拳)vs今村和寛(本田フィットネス)
「タツヨシ」という名は、私たち中年以上のボクシングファンにとっては特別中の特別。私も何度かこの寿以輝の試合を観に行ったことがあります。
父はセンスの塊でした。しかし寿以輝は父ほどのセンスは感じられません。
しかしだからこそ、父とは全く違ったボクシング道を歩めるのだと思います。
彼の人気はデビュー当時から本当に大したものです。いつも、ジョーはしっかりリングサイドで見守っています。
4回戦でプロデビューし、ここまで13戦全勝(9KO)。前戦では日本ランカー対決を制し、今回はアマキャリア50戦以上のエリート、今村を迎えます。
今村は現在2勝(1KO)無敗、6回戦デビューで2連勝、今回初の8回戦を迎えます。
これまで順当に勝ち進んできた辰吉も、そろそろ冒険的なマッチメイクをしていかなければ上に上がっていけないところまできました。
頑張ってもらいたいですね。
このダイナミックグローブは、もちろん日テレG+で前座から生中継です。その他、BS日テレ、地上波でも放送予定とのことです。
ということで、今週末〜来週中までの注目試合をピックアップしていきました。
井上尚弥→京口紘人→中谷潤人と、着実にバトンをつないで、日本に「ボクシングの素晴らしさ」を伝えてくれると思います!こんなに世界タイトルマッチが集中してくれると、見るのに忙しく、練習する時間の確保が難しいですね笑
では!ボクシングウィークの始まりです!皆さん楽しんでいきましょう!!