今週末のエキシビジョンマッチ。エキシビジョンというにはしっかりとし過ぎている感じがしますし、お金も動きすぎています。
マイク・タイソンとロイ・ジョーンズJrという2人のレジェンドが拳を交えるのならば、当然とも言っていいでしょう。
我々のようにともに時代を生きた者だけでなく、今の若いボクシングファンたちにもおそらく認知されているであろう素晴らしいボクサーの競演は、彼らの年齢を考慮したとしても見る価値は十分にあると考えます。
およそこのエキシビジョンは、通常のボクシング興行とは違ったものになるでしょうし、またそうなるべきかと思いますので、注目試合の記事からは外しておきました。
↓今週末の注目試合はこちら
マイク・タイソン。
誰もが知るボクサーであり、私も子供の頃、ボクシングというスポーツに巡り合う前からその名前を知っていました。今も尚、ボクシング界最大のアイコンともいえるアイアン・マイク。そのスピード、そのパワーは時を経て映像を見ても、全く色あせません。
↓以前にタイソンの軌跡を振り返った記事を書きました。
ロイ・ジョーンズJr。
私のアマチュア・ボクシングの現役生活は、たった4年と非常に短いものではありましたが、その間ずっとPFPキングとして君臨していたジョーンズJr。参考にできないほどの天才的なボクシングは、とても憧れていました。
↓1990年代の私的MVPに選んだジョーンズ。
無謀なマッチアップ
このふたりがエキシビジョンマッチとはいえ拳を交えるのは、11/28(日本時間11/29)。
この一報を聞いた時、何かの冗談かと思ったのが正直なところです。どうせやらないだろう、ただの話題作りだろう、と思っていましたが、日に日に現実味を帯び、当初は9/23という日付にセット。
この試合が話題になった時、私は完全に「反対」の立場にいました。
伝説的な王者を引っ張り出してきて、見世物のようにするのはいかがなものか、と。
しかし、この一戦がエキシビジョンであること、チャリティーマッチであること、そしてタイソンやジョーンズJrの近況を知るに従って、自身もこの一戦の意義をよく考えてみました。
少し時間が経ったあと、54歳のタイソンと51歳のジョーンズが戦うのを心配しつつ、歓迎しない気持ちもありながら、楽しみな気持ちになってきたこの頃。
この一戦は、WOWOWで生中継。12:00〜16
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その意義は、何か。
ルールは、2分8ラウンドのエキシビジョンマッチであること、ヘッドギアなし、12オンスのグローブを使用すること、KOなし(←KOありに変更可能性あり)とのこと。
公式戦としてのジャッジはいませんが、特別なベルトを贈呈する用意のあるWBCが元世界王者3名にリモートでジャッジを依頼、判定は出るようです。
KOなしというのがどういう意味かわかりませんが、危険だったらすぐさまストップしてほしいです。54歳、51歳という年齢は、ボクサーにとって年老いており、人生を鑑みるとまだ若い。事故のないことを願い、アマチュアボクシング並のスタンディングカウント、そして早めのストップをしてもらいたいと思います。
あくまでもエキシビジョンマッチであり、人集め、チャリティーのためのお金集めの域を出ない一戦。あっという間に頂点まで駆け上がり、その後ボクサーとして一気に下降線を辿ったマイク・タイソン、そして無類の強さを誇ったジョーンズも、ある時を境に一気に凋落してしまいました。
この激戦を潜り抜けてきた2人のボクサーが、この年齢でリングに立つ、というのは、世界中が疲弊している今のこの状況の中でどのような意義があるのでしょうか。
今、世界中で人々の行動が制限され、娯楽がなく、経済が回っていないために仕事も上手くいかない。(私のこと。)そんな状況の中で、世界の人達は、リングに上がる2人のボクサーをリスペクトを持って迎えようとしています。
それは老兵同士を戦わせるという娯楽の極みともいえるものでもあり、別の観点でいえば「不可能」というものを吹っ飛ばす意味合いのものでもあると思います。
54歳と51歳の元ボクサーが、リングで相まみえる。
これほど滑稽であり、また信じられないことはありません。
人生には不可能は存在しない、そう教えられているような気もします。
では、二人のボクサーがリングに上がるのは何故か。
もちろん、お金になるから、というのも一つの理由としてあるでしょう。しかし、リングに上がることは怖いこと。歳を経れば尚更、しかもタイソンは引退してもう15年。自身の大麻農園は順調だそうで、普通に考えればリングに上がる理由はありません。
対するジョーンズは、引退してまだ2年半ほど。試合勘というものは、明らかにジョーンズの方に分があるでしょう。ただ現役生活が長かった分、蓄積されたダメージも抜けきれていないかもしれません。
改めて、あまりにも危険に思えるこのマッチメイク。
私個人の思いとしては、マスボクシングに毛が生えた程度のものでいいです。
本来であれば8Rは長すぎるように感じますが、2分には賛成します。
ともかく、頂点も、そして彼らにとっての底辺も経験した2人のレジェンドボクサーが、またリングに上がることは私にとっては非常に感慨深いものがあります。世界中で猛威を振るうコロナウィルスにより、元気を無くした人々に、また立ち上がる勇気を与えてくれるのだと思っています。
ともにキャリアの終盤は、格下の相手に痛めつけられ、ボロボロになって辞めていったボクサー。しかしまた立ち上がり、我々に闘う姿を見せてくれます。
そう、おそらく人生で最も大切なこと、「倒れない、負けない事」ではなく、「倒れたら立ち上がる事」を身を以て教えてくれようとしていると思うのです。
結局の所、楽しみになりました。
2人がなぜ闘うのか、その意義は本当のところは分かりません。しかし、少なくとも私にとっては、ボクシングという競技の素晴らしさを教えてくれた先生たちは、きっとまた何かを伝えてくれると思っています。
2分8ラウンドのエキシビジョンのボクシングマッチ、「ただそれだけのもの」ではないはずです。たくさんのことを感じられることを、期待しつつ。
ちなみにこの興行では、他にもYoutuberとNBAの選手のマッチアップあり、元世界王者のバドゥ・ジャックやハシム・ラクマンJr(レノックス・ルイスを番狂わせで破ったラクマンの息子)等が登場予定とのこと。(タイソンvsジョーンズ戦を含めて全7試合)
公式のボクシングの試合もあるようですね。お祭り的な雰囲気になるとは思いますが、こういう公式戦を戦うボクサーたちはしっかりと気持ちをつくって出場してもらいたいものです。
ちょっと取り留めもなく書きなぐったような文章になってしまいました。
まあ、色々不安もありますが、折角の機会ですから楽しんで見たいと思います。
こういうお祭り興行の前座とかに、もっと本格的なプロスペクトを登場させれば良いんですけどね。