2021年のはじまり、現在日本人世界王者は7名。
その7名の世界王者たちの展望を、個人的な期待を含めて好き勝手に書いてみました。
↓記事はこちら
そして今回は私的展望の第二回目、OPBF東洋太平洋王者たちです。
OPBF東洋太平洋王座は、アジア・オセアニア圏のWBC傘下のタイトルであり、OPBF王者はWBCの世界ランキングに入る事が多いですね。
ただこのOPBFの本部は現在日本にあり、その分日本人が獲得しやすいタイトルとなっています。管理する国によってランキングの管理等も変わってきますので、世界的にはあまり日の目を見ない地域タイトルながら、日本人ボクサーにとってはありがたいですね。
そして、昔から東洋ボクシング連盟(OBF)として日本人に馴染みの深い王座でもありますので、日本国内での権威はまだまだ高い。
17階級中、10階級で日本人ボクサーが王座についているこのOPBF東洋太平洋王座のボクサーたちの、今年の展望を私的見解を含めて書いていきたいと思います。
↓JPBAのカレンダーより。渡部あきのりは引退。。。残念です。
日本人OPBF東洋太平洋王者
ライトフライ級王者 堀川謙一(三迫)
プロデビュー20年を超えた堀川は、昨年、40歳で若き冨田大樹(ミツキ)を圧倒し同王座を獲得。
これまでにも日本、WBOアジアパシフィックというタイトルを獲得してきた堀川の3本目のベルトは、いよいよ世界への切符となりそうな予感もします。
今年3月に41歳となる堀川ですが、まだまだ衰えは見せません。
今後、対戦を希望している矢吹正道(緑)との国内世界ランカー対決も楽しみですし、高山勝成(寝屋川石田)との超ベテラン対決も楽しみ。
次戦が世界タイトル戦でも驚きはしませんが、国内の世界王者たちはスケジュールがつまっているのでもう1戦以上は挟む必要がありそうです。
スーパーフライ級 福永亮次(角海老宝石)
昨年2月にフローイラン・サルダール(フィリピン)を降しWBOアジアパシフィック王座を初戴冠後、同12月に日本王者・中川健太(三迫)との統一戦(空位のOPBF王座もかけられた)を制し、3冠統一王者となった福永。
現地観戦したサルダール戦は技術では負けていながらの逆転KOで気持ちの強さを見せ、中川戦では気持ちの強さの他に技術も見せてくれました。
ディフェンス面で課題はあるものの、勝ち星のすべてがKOと非常におもしろいボクサーです。
3冠統一王者とはいえ、すぐに世界とはいかず、まだまだ国内で証明することも多いでしょう。
3冠の防衛戦は大変かもしれませんので、残すならば日本王座を保持し、スーパーフライ級の日本ランカーとの防衛戦を希望します。
世界王座挑戦経験者の石田匠(井岡)はじめ、先日サバイブした久高寛之(仲里)等の元王者たち、梶楓(帝拳)等のホープ、強い相手との防衛戦で更に腕を磨いてくれる事を期待しています。
バンタム級王者 栗原慶太(一力)
2018年にストロング小林佑樹(六島)との決定戦で戴冠した「スラッガー」。初防衛戦のワルリト・パレナス(フィリピン/森岡)戦では電光石火の1R35秒KO勝利。
その後は調整試合を1試合挟み、2021年1月14日には大一番、井上拓真(大橋)戦を迎えます。
私は拓真応援ですが、栗原が勝てばこのバンタム級は一気におもしろくなります。
ここに勝てば世界へのゴーサインが出ます。そして今、栗原はIBF4位という世界ランクを持っていますが、その他の団体でのランクインはなし。拓真に勝ば、WBC、WBOのランクにも入り、挑戦できる幅が広がる形になります。
そして井上尚弥に先立って、WBCやWBOの王座に挑戦し、獲得する事ができれば、井上尚弥vs栗原慶太も夢ではありません。
比嘉大吾とともに、井上尚弥戦に最も近い日本人ボクサーと言っても過言ではないでしょう。(それでも遠いですが)
とにかく1/14の結果次第、まずは無事に開催してもらいたいです。
スーパーバンタム級王者 勅使河原弘晶(三迫)
みんな大好き、てっしーです。既に国内最強を証明済みのてっしー、今年中には是非世界に挑んでもらいたい。
WBCで4位、IBFで3位。IBFは1位と2位が空位なので最上位ではありますが、現在暫定王座に岩佐亮佑(セレス)、正規王座にムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)がおり、団体内統一戦が既定路線。
という事はWBCか?となりますが、WBCの世界王者はあのルイス・ネリ(メキシコ)。
ネリは日本に来れないので、もしネリに挑戦となると海外挑戦。てっしーならばやってくれるでしょう。
みんな大好き勅使河原“てっしー”弘晶vsみんな大嫌いルイス“メキシカンビーフ”ネリ。
これは非常に興味深い!!ただ、ネリが得意の薬物&体重超過で、てっしーが不可解な判定負けなんかを喫すると、私のダメージも大きい。。。
でも本当に見たいのは、WBAレギュラー王者のブランドン・フィゲロア(アメリカ)戦。
フェザー級王者 清水聡(大橋)
ロンドン五輪銅メダリストからプロデビュー4戦目で獲得した同王座。5度の防衛中ではありますが、2019年7月にジョー・ノイナイ(フィリピン)の持つWBOアジアパシフィック・スーパーフェザー級王座に挑戦しますが、TKOで敗れます。
その番狂わせの敗北から1年経った昨年7月、殿本恭平(勝輝)を相手に7RTKO勝利で防衛をしますが、被弾が目立ったのも事実。
次戦は今年5月13日に、WBOアジアパシフィック同級王者、森武蔵(薬師寺)との王座統一戦が決定しています。
年齢的にはベテランの清水か、若き王者、森か。森の方がボクシングの幅は広そうですが、これは勝敗予想が割れそうな楽しみなマッチアップです。
ここでの敗北は、世界を目指すのであれば大きな後退を余儀なくされます。若い森と違い、年齢的に後がなくなってきている清水にとっては、進退をかけた一戦となるかもしれません。
スーパーフェザー級王者 三代大訓(ワタナベ)
アマキャリアを経てプロデビュー、デビュー5戦目で獲得したタイトルは、これまで4度の防衛に成功。強豪ばかりと対戦していますが、昨年12月26日に行われたライト級10回戦では元世界王者の伊藤雅雪(横浜光)を破る大殊勲。
このスーパーフェザー級の王座はもう返上していいと思います。(この記事がアップされている頃に返上されていたりして)OPBF上位ランカーを見渡すと、既に決着のついているボクサーが目立ちます。
次戦は、ライト級の3冠王者、吉野修一郎(三迫)とのマッチアップを期待しています。石井一太郎横浜光ジム会長は、この試合をプロモートする気はないようなので(自分とこの選手じゃないから当たり前なんでしょうけど。。。)、ワタナベ陣営と三迫陣営の話合いに期待です。
実現して、ライト級国内トップを決めてもらいたいです。(中谷正義は別格)
ライト級王者 吉野修一郎(三迫)
豊富なアマキャリアを経て、プロデビューしてわずか6戦目で日本タイトルを獲得。これまで6度の王座防衛を成し、その道すがらOPBF、WBOアジアパシフィック王座を獲得し、3冠王者に(両地域タイトルは1度の防衛)。
吉野にはもう相手がいない。。。という状況でしたが、伊藤雅雪が企てた国内ライト級ウォーズにより状況は一変、現在は三代大訓との一戦が待たれます。
ただ、吉野としては元王者としてネームバリューのある伊藤雅雪を倒して、海外に出たかったでしょうね。三代戦を受けるかどうかは、吉野側の判断にかかっています。ライト級世界戦線に加わるにはメリットの薄い試合ではありますが、ファンとしては是非実現してもらいたい。
とはいえ、国内にも新しい勢力が台等してきているので、三代戦が実現しなければ国内で防衛していくのもアリかもしれません。力石政法(緑)、鈴木雅弘(角海老宝石)、宇津木秀(ワタナベ)等々、現時点で底を見せていないと思われるボクサーもランキングに名を連ねていますので、その対戦もなかなか興味をそそります。
スーパーライト級王者 内藤律樹(E&Jカシアス)
2018年1月に獲得した王座は、これまでに4度の防衛。防衛のペースは牛歩ともとれますが、この間、海外での防衛戦を成功させたりもしています。
前戦は2020年11月、今野裕介(角海老宝石)を相手に自分のペースで防衛。今野の不出来もあって、圧勝の内容でした。
2018年までは年間3試合のペースできた内藤でしたが、2019年、2020年は1試合のみ。コロナの影響もありましたが、この王座を防衛し続けても世界のチャンスはまわってきません。
コロナ収束後のアメリカ進出を期待しつつ、現在期待できるマッチアップは現日本王者の永田大士(三迫)のリベンジマッチを受けるか、その永田に惜敗した近藤明広(一力)の挑戦を受けるか。
もしくは、平岡アンディ(大橋)の挑戦を受けるか、ですが、平岡の先輩である井上浩樹氏と仲良しのようなので、この線は厳しいかも知れません。
いずれにしろ、調整試合でも良いので今年は2〜3戦はしてほしいですね。
ウェルター級王者 長濱陸(角海老宝石)
2015年に全日本新人王となり、昨年2月、下馬評不利と言われる中、クドゥラ金子(本多)に勝利して初戴冠を果たした長濱。
過去の2敗(2017年の井上岳志戦、2018年の永野祐樹戦)よりも大きく成長した長濱は、クドゥラの強打に怯むことなくクレバーに闘い、そして終盤にはフィジカル・ハートの強さも見せました。
SNS、Youtubeでもその高い分析力を披露している長濱は、「考える力」を武器に大いに進化した、と考えられます。
次戦は2016年の全日本新人王、豊嶋亮太(帝拳)戦が1/16(土)に決まっています。長濱は豊嶋を退ける事で、前戦の勝利がフロックでなかったことを証明できるでしょう。
そして、他のOPBFランカーは日本王者の小原佳太(三迫)、全日本王者の永野祐樹(帝拳)、チャールズ・ベラミー(横浜光)。小原との統一戦や、永野へのリベンジマッチ、そしてWBOアジアパシフィック王者の別府優樹(久留米櫛間&別府優樹)が候補でしょうか。
この中であれば、ハードヒッター、別府戦が見たいですね。そして勝者が永野祐樹へのリベンジマッチを経て、小原に挑戦。ウェルター級は上位がアツい!
ミドル級王者 竹迫司登(ワールドスポーツ)
2015年にB級デビューの竹迫は、デビュー以来7連続KOで2018年、当時の日本王者、西田光(川崎新田)へ挑み、驚愕の1RTKOで初戴冠。
2度目の防衛戦では加藤収二(中野サイトウ)を相手にまさかの引き分けでしたが、ダイレクトリマッチで8R終了TKO勝利で3度の防衛に成功。
その後、細川チャーリー忍(金子)からOPBF同級王座を奪い取り、現在OPBF・日本の統一王者としてミドル級に君臨しています。
2020年11月に無敗の挑戦者・国本陸(六島)との防衛戦を予定していましたが、竹迫の怪我により中止に。元々5月に行われる予定だったこの一戦は、コロナにより11月に延期、そして今回は中止という表記でした。
ただ、ミドル級の日本ランカーは少なく、落ち着いたら国本の挑戦は受けてもらいたいですね。これに勝てば他に戦うべきはWBOアジアパシフィック王者の野中悠樹(渥美)くらいでしょう。
そして野中を退けた後は、国内、アジア圏に用はなく、海外進出して「村田諒太のアマ最後の対戦相手」から「村田諒太の後継者」となってほしいボクサーです。
来年には世界進出を果たしてほしいボクサーですが、あとはコロナ次第。
コロナ禍の枷。
今年も海外からボクサーを招聘するのは厳しそうです。特にこの冬は興行自体も少なくなりそうです。
興行を打っても、お客さんを入れられなければプロモーターは選手のファイトマネーを用意できないという現状。皆が皆、A-SIGNのように収益化できるか、というとそうではありません。
今年もきっと、試合ができないボクサーはたくさんいるでしょう。それは、上に上げた王者たちですら例外ではありません。
半年後、夏くらいまでには何とかコロナが落ち着いている事を祈りつつ。。。