本日、3/21(日)は朝から注目試合が目白押しの一日でしたね。
ボクシングの他にもK-1やRIZINといった格闘技イベントもあったんですね。私はボクシングしか見ないからまだマシですが、格闘技ファンは本当に忙しい一日でしたね。
本当にお疲れ様でした。
さて、今回のブログは週末、個人的に最も注目していたバージル・オルティスJr.vsモーリス・フッカーのWBOインターナショナル・ウェルター級タイトルマッチの一戦の観戦記!
↓プレビュー記事
バージル・オルティスJr(アメリカ)16戦全勝全KO
vs
モーリス・フッカー(アメリカ)31戦27勝(18KO)1敗3分
パーフェクトレコードを持つ22歳のプロスペクト、バージル・オルティスJrが、元世界王者のモーリス・フッカーを迎える一戦。
フッカーはスーパーライト級、1階級下の元王者ですが、その長身から繰り出されるハードパンチは威力も十分。
オルティスはパンチングパワー、フィジカルに優れ、パワーパンチを連打できるという超攻撃的なボクサーながら、やや被弾もします。未だ耐久力、スタミナ両面で試されておらず、そこにフッカーのパンチがヒットしたところでどうなるか、というところに興味が湧きます。
ただ、オルティスのプレッシャーは相当強く、下の階級から上がってきたフッカーにとっては驚異的。
オルティスは、強豪フッカーからノックアウト勝利を奪う事ができるのか、それともフッカーがオルティスのプレスをかわし続け、どこかでチャンスを掴むのか。
興味深い一戦の、ゴング。
初回、オルティスはガードを固めて早くもやる気満々、様子見もほどほどに身体を振ってプレスをかけます。
ジャブが当たるやいなや鋭い踏み込みで右ストレートを出し、そこから連打につなげるスタイルはいつも通り、超アグレッシブ。
フッカーは下がりながらも距離を測るジャブ、速いジャブを飛ばし、自分の得意な距離で戦おうとしています。
ともに動きはキレており、調子は良さそう。ただ、オルティスのジャブもよく届き、フッカーはガードごとふっ飛ばされる場面もあります。逆にフッカーのパンチではオルティスは止まりません。
終盤には近い距離での打撃戦も展開、これはオルティスのペース。
2R、オルティスのジャブは思った以上に良い。ジャブだけでなく、左フック、突き刺すようにロングレンジから放つ左ボディも素晴らしい。
ボディムーブもなかなかのもので、ガードをガッチリ固めたところからのヘッドスリップでフッカーのジャブを外し、そのままパンチを打ち込みます。全くバランスが崩れない様を見ていると、やはりその体幹、フィジカルの強さは異様にすら思います。
フッカーの数打つジャブでオルティスはびくともしませんが、オルティスのジャブはフッカーのガードを砕き、顔を跳ね上げます。
3R、序盤、前2Rよりもフッカーにリズムが出てきたように見えます。手を動かしつつリズムを取り、遠い距離からストレートを放っていくことでやや戦いやすそうにみえます。
しかし、中盤、オルティスのボディが少し効いたか、サークリングというより下がらされている雰囲気のフッカー。変わらずジャブはよく出ますし、距離で外せる場面も増えてきたので決して悪くはないですが、やはオルティスのプレスはかなりキツそう。
終盤、下がりながらカウンターの左フックをヒットしたフッカー、リズムを取り戻しつつあるのは間違いありません。
4R、序盤、フッカーをリズムに乗らせないためか、オルティスのプレスが更に強くなります。ボディへのジャブ、左ボディがかなりエグい。そこからねじ込むように放っていく右ストレートにも威力があり、あとはオルティスにスタミナ面での不安冴えない限り、フッカー最後まで持ちそうにありませんね。
中盤、フック、アッパー等多彩なパンチで連打をまとめたフッカー。
オルティスはやや攻めあぐねているのか、この試合ほとんど初めてバックステップを踏みます。そうするとフッカーは前進、このラウンドはやや攻勢を印象づけました。
5R、オルティスのバランスの良さは凄まじい。ボディワークもよく、フッカーのジャブを外して自分のジャブを当てます。その後右もヒット、フッカーも逃げ回るようなことはせずに、もらったら打ち返す気の強さを持っています。
中盤以降、足が止まりかけるフッカー。その機を逃さず、オルティスはロープに押し込んで強いパンチを振るっていきます。
その後も終始攻勢に出て、フッカーはボディも効いてしまってかなり苦しそう。少しずつ、身体がくの字に折れ曲がっていき、ラウンド終了後にはボディをストレッチする場面も。これはかなり効いています。フィジッシュは近いかもしれません。
6R、しかしオルティスのこの躊躇なく踏み込んで打つジャブや左ボディ、果ては右ストレートは反則級に強い。何度も何度もフッカーの顔面を跳ね上げる左ジャブ。身体全体で踏み込むこの左ジャブは、もう左ストレートといった方が良い。
フッカーも接近戦で回転力のある連打を披露し、オルティスをガードに回らせますが、オルティスのパワーパンチ一発で身体が泳ぐ展開。とにかく二人の間には、どうにもできないパワー差が見受けられます。
そしてこの試合幾度目かの、ジャブで顔を跳ね上げられたフッカーに、オルティスが襲いかかる。左ボディを効かせ、後退したフッカーに対して連打をまとめ、とうとうフッカーがダウン。
なんとか立ち上がり、残り時間はあと15秒。フッカーも防御一辺倒にならず、打ち返す様はさすが元王者。素晴らしい試合です。
7Rは頭をつけての打撃戦カラースタート、フッカーはもう足が動かないか。そしてここで、フィジッシュは突然に。
両者の右ストレートが交錯したかと思った瞬間、フッカーがその場を離れ、ダウン。
ここでレフェリーはこの試合をストップし、バージル・オルティスJrが見事にTKO勝利を収めました。
フッカーは一瞬の間を置いて倒れたので、ボディが効いたのかな、と思いましたが、スローで流れる映像の最後の右はフッカーの顔面へ。その前にボディジャブがフッカーにヒットしていたので、こちらのボディでしょうか。
【追記】
と、思ってたんですが、フッカーの腕の負傷だったようですね。
とにかく、ここまでフッカーに何度もこのボディジャブや左ボディをヒットしていたオルティス、やはりそのパワーは破格であり、そのアグレッシブネスは素晴らしい。
非常にエキサイティングで、ディフェンスにやや穴がありつつも、強豪フッカーに対して結果的に圧勝、本当に素晴らしい試合を見せてくれました。
そして自身のパーフェクトレコードをデビュー以来17連続KOに更新。
この日、最も楽しみな一戦は、期待通り、いや期待以上の最もエキサイティングな一戦となりました。
バージル・オルティスJr.で夢を見たい
オルティスの凄さを目の当たりにして、改めて、本当に今後楽しみなボクサーだなと感じます。最大の特徴は、そのアグレッシブネスにあり、強固な肉体を盾として前進し、思いっきりパンチを放っていく様は、比嘉大吾(Ambition)と似たものを感じます。
このボクシングで、世界のトップ・オブ・トップ、PFPキングの一人とも称されるテレンス・クロフォードの牙城を崩してくれるのを見てみたい。
クロフォードを相手にするには、まだまだ足りないものは多いとは思うのですが、このオルティスのボクシングにはロマンを感じます。カウンター主体、ディフェンス主体というのが主流である現代ボクシングにおいて、「超攻撃的拳闘」とも言えるスタイルで上り詰めて行ってほしい、そういう夢を見てみたい。
そして、今日のオルティスは、ジャブへの対応が非常によく、フッカーの左をよく外し、よくガードしていたと思います。
まだまだ、伸びるボクサーだと思いますので、これからにも期待です。
そして敗れはしましたがフッカー、オルティスの試合後の顔を見るとしっかりとダメージを与えていたようです。しっかりガードしつつも、これだけのダメージを与えられるフッカーも、やはりハードパンチを持っています。
ただ、長身の分、線が細く見えてしまって力負けしてしまうことは、ウェルターでも多いとは思いますので、本当はスーパーライトで戦ってもらいたいとも思います。
フッカーは、ここで凋落していくボクサーではないと思っています。今後はともすれば若手たちの踏み台としてのマッチメイクを強要されるのかもしれませんが、そこをサバイブして、また世界のトップ戦線に帰ってきてくれることを願っています。
とにかく、素晴らしい試合を見せてくれた両雄に最大の賛辞を送りたいですね!
やっぱりボクシングは素晴らしい。
ちなみに、DAZNではしばらくアーカイブが残ります。まだ見ていない方は是非。
↓加入はこちらから