信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

タレント揃いのウェルター級の行方。絶対王者に対抗できるのは誰だ。

※当ブログでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含みます。ご了承ください。

ウェルター級。

「Welt=強打」を語源とした階級であり(諸説はあるでしょうがこれが一番好み)、80年台の黄金の中量級という時代を経てその階級は大きな盛り上がりを見せ続けています。

欧米諸国のボクサーたちが多いこの階級は、ボクサーの数自体が多く、自然と盛り上がり、絶対的な王者が君臨する場合が多いです。

日本人にとっては鬼門の階級でありながらも、だからこそ我々日本人にとっても特別な階級であり続けるこのウェルター級は、先週末、全勝全KOのバージル・オルティスJrが元スーパーライト級の世界王者であるモーリス・フッカーにTKO勝利し、更なる盛り上がりを見せます。

 

今回のブログでは、現在のウェルター級トップ戦線を振り返っていきたいと思います。

↓オルティスvsフッカーの観戦記 

boxingcafe.hatenablog.com

↓日本人ボクサーの、ウェルター級挑戦の歴史

boxingcafe.hatenablog.com

 

WBAスーパー王者 ヨルデニス・ウガス(キューバ)30戦26勝(12KO)4敗

WBA正規王者 ジャマル・ジェームス(アメリカ)28戦27勝(12KO)1敗

WBA休養王者 マニー・パッキャオ(フィリピン)71戦62勝(39KO)7敗2分

WBC・IBF王者 エロール・スペンスJr(アメリカ)27戦全勝(21KO)

WBO王者 テレンス・クロフォード(アメリカ)37戦全勝(28KO)

WBAだけで3人の王者がいて、他の3団体の王者は2人。なんとも不思議な光景です。

 

この王者たちの中で、絶対的な評価を得るのはテレンス・クロフォード。

強打も巧さも兼ね備えたスイッチヒッターであり、PFPキングに推す声も多いです。スーパーライト級で4団体統一王者となり、ウェルター級に進出。33歳となった今も大きな衰えは見せず、このWBO王座は4度防衛。

マッチメイクが上手くいかず、やや試合枯れの懸念があります。

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次いで評価が高いのは、若いイメージですがもう31歳、エロール・スペンスJr。

何でも器用にこなすスイッチヒッターであるクロフォードに対して、スペンスはとても基本に忠実なサウスポー、という印象です。

こちらも穴という穴は見えず、勝つための最善の方法を知っています。
クリス・アルジェリ、ケル・ブルック、マイキー・ガルシア、ショーン・ポーター、ダニー・ガルシア。

このボクサーは、見たい試合を提供し続けているような雰囲気がします。

ポーター戦後、自身の運転するフェラーリで自尊事故を起こし、フェラーリは大破ながら自身はかすり傷、後遺症も心配されつつも前戦で難敵・ダニー・ガルシアにはしっかりと勝利。

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WBA王者、ウガスとジェームス。

2020年に誕生した2人の王者。

元々パッキャオがキース・サーマンとの戦いを制しスーパー王者となりましたが、現在は休養王者。

boxingcafe.hatenablog.com

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まあ、色々ありましたが現在はスーパー王者、正規王者がおり、パッキャオは休養王者です。

幸い暫定王者はおりませんが、時間の問題かもしれません。

密かに、オルティスvsフッカーが暫定王座戦になることを心配しておりました笑

スーパー王者であるウガスは、フィジカルモンスター・ショーン・ポーターを跳ね返すほどの強いフィジカルを誇りつつも、塩試合を得意とするTHEキューバンボクサー。

確かな実力を持ち、対戦するボクサーとしては非常にやりにくい相手であり、さらには支えてくれるバックボーンもないので、こちらはクロフォードよりもマッチメイクは多難。

ただ、判定はウガス不利に出る場合は多いので、ウガスとはある程度戦えれば判定勝利を手にできるかもしれません。

そしてジャマル・ジェイムスは、暫定王者となったと思ったらパッキャオが休養王者に格下げ、見事正規王者に繰り上がりました。

 

このジェイムスも直近の試合では、見るのが苦痛になるほどのジョギングボクシングを見せつけてくれました。強豪ひしめくウェルター級において、最もチーズな王者であることは誰の目にも明白です。

ウガスの場合は、王座につけない時期が長く、「世が世なら、確実に世界王者となっていたでしょう」と嘆いたものでしたが、このジェイムスについてはWBAがこんなんだから、王座を獲れたというボクサー。決して弱いというわけではありませんが、なんというか大いに心許ない。

つまりは、王者以外にも王者クラスがたくさんいる階級だからです。

 

ここで、リングマガジンのウェルター級のランキングを参照。

リングマガジン王者:不在

1位:エロール・スペンスJr

2位:テレンス・クロフォード

3位:マニー・パッキャオ

4位:キース・サーマン

5位:ショーン・ポーター

6位:ヨルデニス・ウガス

7位:ダニー・ガルシア

8位:クドラティーリョ・アブドカクロフ

9位:セルゲイ・リピネッツ

10位:マイキー・ガルシア

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スペンスがクロフォードの上に位置するのは不思議な面がありますが、これがリングマガジンのウェルター級での評価のようです。

3位、マニー・パッキャオはほぼ引退状態可と思いきや、10位のマイキー・ガルシアと試合が決まるかもしれません。あまり障壁はなさそうなイメージ。

ただ、仮にパッキャオがマイキーに勝ったとしても、クロフォード戦やスペンス戦が見たいか、と問われると否。

4位のサーマンもパッキャオに敗れて以来、試合の話は聞こえてきませんね。昨年には一度、パッキャオとの再戦を熱望していると話があった気もしますが、パッキャオにとってはそんなメリットのない試合は受けないでしょう。

ワンタイム・サーマン、ワンタイムの敗北で引退してしまうのか。。。?

5位ポーター、7位ガルシアはこのブログのコメント欄で何度も名前が登場しているボクサーで、ともに戦った経験もあり、このウェルター級の門番的な存在でもあります。

ポーターは前戦セバスチャン・フォルメラに判定勝利、ガルシアはスペンスに挑戦して敗北しています。

6位にはWBAスーパー王者であるウガスがランクインしていますが、王者という肩書がついていても6位、このウェルター級の層の厚さを感じますね。

 

8位のアブドカクロフは全勝のプロスペクトで、9位のリピネッツとIBF世界ウェルター級挑戦者決定戦の話がありましたが、確かビザの関係で試合ができず、リピネッツは代役のカスティオ・クレイトンと対戦、無敗のカナダのオリンピアンを相手にドローを演じ、リピネッツは評価を落とし、クレイトンの評価が上がったというのが最新試合。

ここに、今回の勝利でバージル・オルティスJrは食い込めるのでしょうか。食い込めなかったとしても、WBAの世紀王座戦が決まればこの勢いのまま取ってしまいそうです。

それから、やっぱりプロスペクトで忘れていけないのはジャロン・エニス。26勝(24KO)1NCという驚異的なKO率を誇るプロスペクトは、おそらくフッカーをストップする前のオルティスよりも(対戦相手の質とその内容において)評価は高かったのではないでしょうか。

前戦は1Rでのバッティングによりノーコンテスト、まともにやっていればすぐにストップできたような内容でしたね。

そして、4/10に控えるエニスvsリピネッツにおいて、エニスが良い勝ち方をするようなら一気に評価を高めるでしょう。

 

そして、次に来ているのがコナー・ベン。偉大な王者を父にもつ2世ボクサーは、前戦でポーターとも戦ったセバスチャン・フォルメラにほぼフルマークの完勝、その実力を示しています。

それからまだまだ早いですが、ブランドン・リーにも期待したい。まだ世界戦線どうこうの選手ではありませんが、アジア系の選手であり、日本語表記の名前なんてブルース・リーの息子と同じ名前(アルファベットのスペルは確か違う)。そして超攻撃的。応援せずにはいられません。同じくまだ早いがゲイリー・アントワン・ラッセルもトップ争いに食い込んでくるであろうボクサー。ラッセル家で最もエキサイティングなボクサーの台頭は非常に楽しみにしています。

あとはアレクサンデル・ベスプーチンと、ラジャブ・ブタエフのロシア人コンビ。

このふたりは、2019年の11月にWBA世界ウェルター級王座決定戦を争い、ベスプーチンの判定勝利という結果でしたが、試合後ベスプーチンに薬物陽性反応が出て王座剥奪。試合はノーコンテストとなりました。

とにかくこの試合は良い試合だったので残念でしたが、ロマチェンコよろしく最近の東欧系のボクシングをするベスプーチン、フィジカルモンスターの豪腕怪物、ブタエフ。ともに王者クラスの力を持っていると思いますが、今は結局WBA王座しか狙い目がありません。

 

ベスプーチンはまだあの無効試合から復帰していないと思いますが、ブタエフは2020年12月に無敗のテリー・チャットウッドを相手に余裕の3RKOで復帰。今後が非常に楽しみです。

テレンス・クロフォードは未だ衰えを知らず、負ける姿が全く想像のつかないボクサーです。

とはいえ、ここから更に力が上がる事はないと思うので、まだまだこれからという若いボクサーたちの台頭を期待しています。

オルティスJrが勝利者インタビューで「クロフォードに挑戦したい」と語ったとのこと。

時期尚早、と思うのは私だけではないと思います。いや、ほとんどの人がそう思うかもしれません。

まずもって、クロフォードに良い形(盛り上がる形)で挑戦したいのならば、いずれかのタイトルを獲るべきでしょう。そしてそれは現状、WBAのタイトルしかほぼありません。

 

ただ、若きプロスペクトの中で、現在頭一つ抜けていると思われるジャロン・エニス、バージル・オルティスJrには、当たればクロフォードも倒れる(かもしれない)パワーパンチがあります。もしかすると、もしかするのかもしれません。

テオフィモ・ロペスが、なにかの間違いでロマチェンコに勝ってしまったように。

勿論、現在は当たらない可能性の方が高い。

ボクシングはめぐり逢い。誰が、どんな状態で、どのようなタイミングで、どんな想いで闘うのか、で時々の勝敗は決まってきます。このウェルター級の現状というのは、誰と誰がやっても何かが期待できる、そんな闘いが多いような気がしています。

今年、またこのウェルター級が盛り上がりそうな気配。そしてクロフォードvsスペンスが決まってくれる事を望み、もし決まらないならクロフォードに対してワクワクするような対戦相手を用意してもらいたい。試合枯れなんてさせないでほしいものです。

 

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