週末は注目の国内興行!
WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ、寺地拳四朗vs久田哲也。
そしてもう一つ、同じくらいの時間に沖縄でも注目興行が。
大阪でのWBC世界ライトフライ級タイトルマッチは、「カンテレドーガ」さんで生配信ということですが、こちらの沖縄興行は残念ながら生配信はなさそうです。(沖縄では生放送)
TBSで翌々日の深夜に放送予定とのことですが、おそらく全国放送ではないでしょう。私の住んでいる地域では放映なし。チクショウ、テレビショッピング的なやつでした。。。
皆さんはテレビ番組表をチェックしてください。4/26(月)26:35〜です。(4/27火曜日AM2:35)
ということで、今回は4/24(土)に開催される、沖縄、LIFE TIME BOXING興行!
4/24(土) 沖縄コンベンションセンター
WBOアジア・パシフィック バンタム級タイトルマッチ
比嘉大吾(Ambition)19戦17勝(17KO)1敗1分
vs
西田凌佑(六島)3戦3勝(1KO)無敗
元WBC世界フライ級王者、だったのもいまは昔と呼べてしまう、比嘉大吾。2017年5月に獲得した王座は、2度の防衛の後、2018年4月に3度目の防衛戦で体重超過、秤の上で王座を失った上、リングに上がればかつてのパフォーマンスを披露できず、クリストファー・ロサレス(ニカラグア)に9RTKO負け。
体重超過のサスペンドを受け、リング復帰は2020年2月。気持ちも体もついてこない復帰戦は、その仕上がりだけでなく、勝者としてインタビューを受けた比嘉の言葉ひとつひとつを聞いて、非常に寂しくなったものです。
そこから古巣、白井・具志堅スポーツジムから移籍、信頼する野木トレーナーとのコンビ復活を経て本格再起。しかし、同年の10月の堤聖也(ワタナベ)戦では、アマ時代に敗北し、友人関係も築いている堤相手にドロー。倒しに行かない、行けなかったのか、このパフォーマンスもまだまだ気持ちがついてきていない感じがしました。
そして大晦日、井岡一翔vs田中恒成というその年のベストファイトのセミファイナルで、六島ジムのストロング小林佑樹に挑戦、WBOアジア・パシフィックのタイトルを獲得しました。
この小林戦では、アグレッシブな比嘉大吾が帰ってきました。
ただ、フライ級時代と比べるとそのパワーにはやや翳りが見られるのも事実。翳りが見られるというか、相手の耐久力が上がっていることも大きいかもしれません。
ただ、あの力いっぱいパンチを振るい、コンビネーションを出す姿は、かつての比嘉大吾と重なり合う勇姿。1戦1戦、自分を取り戻していく比嘉の次戦にも期待したいところです。
そんな元世界王者、比嘉の復帰ロードに立ちはだかるのが西田。
まだプロ4戦目という新鋭ながら、前戦では元日本王者であり、元世界挑戦者でもある大森将平(Woz)を相手に殊勲の勝利をあげたボクサーです。
2019年10月、B級デビューで外国人選手を相手に2連勝してA級に上がったところで大森戦を承諾、これを喰って一気に日本・アジアのランクを手に入れた西田は、2戦連続でアップセットを狙います。
デビューからここまでスーパーバンタムで戦っていた西田ですが、比嘉からのオファーで、なのか今回はバンタム級戦。
もし、デビュー4戦目での地域タイトル戴冠となると、辰吉丈一郎や井上尚弥と並び、さらに師匠でもある六島ジムの大先輩、名城信男の6戦目を超える殊勲。
とにかくこの六島ジムの恐れを知らないマッチメイクは、時に無謀とも思われるものもありますが、師匠の名城にしろ、この西田にしろ、実績を残してきているのもまた事実。
そして、大森戦でのアップセットの立役者となったのは、名伯楽とも言える武市トレーナーの存在が大きい。序盤、自分のボクシングを捨ててまで勝負を挑み、ペースを掴み取ったこの作戦は、トレーナーへの絶対的な信頼と、自分自身への信頼、そして絶対勝つという強い意志がミックスされなければできない作戦だったと思います。
その参謀・武市トレーナーは、西田の先輩に当たるストロング小林が大晦日、比嘉に倒された帰り、「西田なら勝てる」と伝えたということです。
これまでの実績は大きく違っても、自信があり、そして過去のアップセットの実績は非常に不気味。
比嘉としても褌を締め直してかかる必要がありそうです。
ただ、両者の置かれている状況は違います。
復帰ロード真っ最中の比嘉ですが、まだ世界へのゴーサインは出ていません。2020年10月、12月、そして2021年4月とハイペースで試合をこなす様(しかも2月にエキシビジョンに出場)は、まるで新人選手のようですし、その頃の気持ちを取り戻すためのものであろうかと思います。
実際、勢いのある頃の比嘉は、とにかくワクワクさせてくれるボクサーでした。
今は、少しの心配を伴って見てしまいます。
比嘉はまだ25歳とはいえ、一度世界の頂点を極めたボクサーを見る目は、ファンとしても違います。「若手」としては見られません。
比嘉としては、世界王者となるためにボクシングに戻ってきたわけであり、国内レベルで躓くわけにはいきません。
どちらかというと、ここまでの練習内容は、自分の力の底上げ、そして階級へのフィット、というのが大きな課題でしょう。
しかし、西田はこの比嘉に勝つための、比嘉対策の練習をしているはずです。
「比嘉大吾を研究し、比嘉に勝つための対策を練習している」西田と、「自分自身を取り戻すために練習をしている」比嘉であれば、その練習内容においてのみいえば、この試合は西田に分があります。
そして、西田としては、陣営や本人は自信があっても、周りからはある種「負けて当然」と見るのが通常の心理でしょう。
大相撲で言うと、比嘉はいわゆる「横綱相撲」を見せねばならず、西田はいくらでも「変化」が許されます。
それを全て乗り越えて、個人的には比嘉大吾の圧倒的ノックアウトが見たい、という心理。絶対不利の予想を覆し、アップセットを狙って奇襲を使ってくるかもしれない西田に対して、相応の対処をし、後半にかけてどんどんノッてくる比嘉のノックアウト勝利に期待しています。
生で見れないのは辛いですが、ネットに上がるのを楽しみにしています。
ちなみに西田は非常に面白いボクサーで、武市トレーナーのブログに衝撃の出来事が載っています。以前書いたブログにリンクを貼ってあるので、見ていない方は是非。
そしてこの興行は、セミファイナルも大注目。
56.5kg契約6回戦
大湾硫斗(Ambition)7戦6勝(4KO)1敗
vs
岩屋卓史(寝屋川石田)8戦4勝4敗
比嘉とともに白井・具志堅スポーツジムからAmbitionジムへ移籍した沖縄出身の大湾、移籍第二戦目であり初黒星からの復帰第二戦。
長身から繰り出される右ストレートに威力のあるこのボクサーは、比嘉とともに野木トレーナーの指導を仰ぎ、非常に成長著しいとの噂。
前戦、2年ぶりの試合となりましたが粘る岸根知也(ミツキ)を相手にストップ勝ちを収めています。
対する岩屋は、前戦で王者候補、木村蓮太郎(駿河男児)の相手を務めたボクサー。初の6回戦の相手として、スーパーホープ・木村の相手を務めたというだけでも称賛に値しますが、そのがんばりには胸を打たれるものがありました。
技術的に劣っていたとしても、こういった気持ちの強いボクサーは脅威です。
大湾は、比嘉とともに沖縄凱旋となるこの一戦で、このハートの強いボクサーを倒せるか。
大湾のボクシングも楽しみですが、岩屋の粘りも非常に楽しみな一戦です。
そしてセミセミにあたる、52.5kg契約6回戦も楽しみです。
52.5kg契約6回戦
東大河(平仲ボクシングスクール)10戦6勝(2KO)4敗
vs
峯佑輔(六島)3戦3勝(1KO)無敗
沖縄のジム所属の東は、熊本出身ながらホーム戦。しかし相手の峯はメインイベントに登場する西田と同じく、名城信男を師に持つ、元トップアマ。
この峯が名城2世、そして西田が名城3世。峯は勝って西田に良いバトンを繋げられるのでしょうか。
ちなみにこの東は、大橋ジムの王者候補、中嶋一輝との一戦で、ダウンを奪いながらも惜敗した経験を持ちます。
あえて言うなら、「無名の強豪」同士の一戦、こちらも非常に楽しみですね!
ただ、試合はおそらく流れないのでしょうけど。。。
ということで、テレビ放映というのは1時間の枠に収められる分しか放映されない、というのが非常にもったいないと思う興行。
メインだけでなく、前座と言われる試合にもたくさんの名勝負となりうる試合はどの興行にも散りばめられています。
テレビ放映はテレビ放映として放映権料が入り、ボクシング興行を行いやすくするという意味でいえばいいのでしょうが、現在は民放各局も見逃し配信なる措置をとっていると思うので、ネットには全試合アップしてほしいものです。