信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

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【観戦記】比嘉大吾vs西田凌佑。そしてまた、比嘉大吾が立ち上がるのを私は待つ。

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Youtubeに上がった、という情報はあったものの、なかなか見る気がおきなかった一戦。

既にSNSで結果を知り、弊ブログを読んでくれている皆さんもご存知かとは思いますので、包み隠さず申し上げますと、本当に本当にショックです。

きっと勝ってくれるだろう、と思っていた比嘉の敗北のニュースに、呆然としました。

この観戦記も書くかどうかも迷いつつも、今の気持ちを綴っておきたいと思います。

 

4/24(土) 沖縄コンベンションセンター

WBOアジア・パシフィック バンタム級タイトルマッチ

比嘉大吾(Ambition)19戦17勝(17KO)1敗1分

vs

西田凌佑(六島)3戦3勝(1KO)無敗

プレビュー記事

boxingcafe.hatenablog.com

↓フルファイト動画

 

初回、頭から突っ込んでいく比嘉に対し、西田はバックステップとジャブで対応。比嘉は距離を詰めるも手が出ません。終盤、比嘉が入ってきたところに西田の左アッパーがヒット。

但し、比嘉の動きは思っていたよりも悪くない。身体はキレているように見えます。

2R。とかく、西田は右手の使い方が上手い。軽いジャブ、入らせないように、突っ張り棒のようにまっすぐ伸ばしたままにするジャブ(?)、ダメージを与えるジャブ。左を出しつつのバックステップも、全て体格を活かした闘い方。

3R、比嘉が強引に前に出ます。会場は盛り上がりますが、クリーンヒットは少ない。西田の右ジャブが邪魔で、比嘉の手は止まってしまいます。時折西田を捉えるパンチがあり、会場は盛り上がるものの単発、後続打が、いつもの連打は出ないまま。

逆に比嘉がガードで固まってしまい、西田が連打をする場面も。

 

4R、比嘉は西田を追いかけて、ロープに詰めてラッシュ。焦りからなのか、かなり力みが見えます。そして距離が空いたところで西田がポンポンと手を出すことで、比嘉はガードで固まってしまいます。頭も振らず、ガードで固まってしまうと相手からはサンドバッグを打つのと変わらず、手が出しやすくなります。

かつて、頭を振りながら前に出ていた比嘉は、攻防一体のボクサーでした。しかし今は、攻防完全分離、特に防御の時はかなり固まってしまいます。西田のボクシングがそうさせているのでしょうが、これはよくありません。

5R、比嘉は強引に強振。攻勢を強めます。比嘉の右ストレートが届き、沖縄の会場は盛り上がりますが、比嘉はコンビネーションが出ません。左のダブル、トリプル、もっと出せるはずですが相手がサウスポーだからなのか、なかなか出ません。

西田は左右のパンチを軽くながら出せて、伸ばした左で比嘉の突進をストップ。

 

6R、西田は下がりきらないところが上手いところです。中間距離ではプレスをかけ、比嘉が出ようとすれば右を突き出し、出てくればバックステップして左ストレート、左アッパー。距離を支配した、素晴らしい闘い方。

比嘉は中に入ろうと前にいきますが、前にでたところでクリンチの距離、これはバックステップで対応しきれないとみるや西田は少し前に出て、比嘉にとって良い距離でボクシングをさせないようにしているのだと思います。

7R、自分のボクシングを徹底する西田。比嘉は疲労なのか、明らかにプレスが弱くなってきています。完全に西田のペースの中で動いている比嘉、そしてクリンチの距離でも大きい西田に対してかなりのスタミナを使っています。

比嘉がガードで固まれば、容赦なくコンビネーションを出す西田。比嘉の攻めに対しては距離を潰し、身体で押し、比嘉を消耗させます。

8Rも展開は変わらず、西田はバックステップで距離をつくり、近づいてはクリンチ、そしてボディへのアッパー。比嘉はややコンビネーションも打てたラウンドでしたが、明らかに手数でも負けています。

 

9R、比嘉のチャージにも西田は冷静に対処、接近戦での頭の位置取りも非常に上手いですね。この西田は、勿論ステップワーク、パンチのセレクト、体格の利、押し負けないフィジカルの強さ等々あるものの、相手に「自分のボクシングをさせない」という能力が卓越しています。

10R、比嘉はダイナミックなパンチを放っていきます。逆転ノックアウトの勝利を目指し、湧き上がる会場。西田はある程度の打ち返す場面をつくり、比嘉の頭を抑え込み、攻撃を分断。これも長身の利を活かした巧さ。

11R、初のチャンピオンシップラウンドに入っても全く衰えることのない西田。そして、怯まない。やはり中間距離ではプレスをかけ、手数を出して攻めます。比嘉はその距離では手が出ず、やっと近づけたと思ったらクリンチの距離。八方塞がりの比嘉大吾、自分のやりたいことが完璧にできている西田。

西田は下がるときも右手を前に出し、下がりつつもプレスを与えています。

最終ラウンド、西田はここが勝負とばかりにプレスをかけ、手を出し続けます。しかし比嘉はなかなか手が出ず、西田に押されていきます。時折手がでるも単発、手数、クリーンヒットともに西田に軍配が上がったところで、終了のゴング。

判定は3-0で西田を支持。

 

西田凌佑、WBOアジア・パシフィック・バンタム級タイトルを獲得。

西田は、今後も非常に楽しみなボクサー。わずか4戦で元世界王者の比嘉大吾を完封、その前には元日本王者の大森将平に完勝。2戦連続でビッグアップセットを起した西田は、師匠の名城信男を超える早期の世界奪取を狙う、とのこと。

ただ、現在バンタム級、スーパーバンタム級の挑戦界隈は行列ができています。

過去の例を考えれば、ここまでの実績で「世界挑戦」というのは、陣営から見ても、ファンから見ても「可」だとは思いますが、現在のバンタム級、スーパーバンタム級のトップ戦線を考えれば、期待されているのは西田の戴冠だけではないことは明白。

WBOアジア・パシフィックのタイトルを獲得した西田は、世界ランクを手にすることとなるでしょうが、そうなると最も近い王者はジョンリエル・カシメロ。

果たしてこの大物食い、西田の挑戦は実るのでしょうか。楽しみにしておきたいと思います。

 

この試合、西田は捌いた、というよりも中間距離(西田の距離)でプレスをかけて比嘉を下がらせ、そして接近戦(比嘉の距離)になりそうになると超接近戦(西田の距離)に持っていった、攻撃的なボクシングをしたように思います。

そしてその超接近戦で、下から突き上げるボディアッパー、フィジカルの強さ、長身を活かした上から覆いかぶさるようなクリンチ、比嘉は思うようにボクシングをさせてもらえませんでした。

 

プレビュー記事でも書いたように、「自分を取り戻すための練習をしているであろう比嘉大吾」と、「比嘉を倒すためのボクシングを練習している西田凌佑」の差というものが大きく出たのかもしれません。

西田の作戦勝ちではあるものの、元々能力がなければできない作戦でもあったと思います。非常に素晴らしいボクシングを見せてもらいました。

今後に大きな期待を抱かせるボクサーです。

そして、比嘉大吾。

結果を聞き、SNSでの感想を見ていたほど、比嘉の出来は悪くなかったように思いました。

気持ちも、序盤はノッているようにも思いました。

しかし、自分のボクシングをさせてもらえず、どんどん強引になっていった比嘉。

見事に空転させられ、まさに八方塞がりになった終盤には、残念ながら私の期待した比嘉の姿はありませんでした。

比嘉の敗因は、何でしょうか。

まずはスーパーバンタムから落としてきた西田相手に、比嘉のパンチが思ったより通用しなかったということが一つ。

これまでの相手であれば、一発強いパンチが当たればガードしてくれたので、そこからコンビネーションを繰り出せました。しかし西田はガードで固まらず、距離をとるなり詰めるなりして対応、そして打ち返してきました。それも旺盛な手数で。

 

西田がサウスポーで、比嘉が左のダブル、トリプルを打ちづらかったというのもこうなった要因の一つに挙げられるかもしれません。

おそらく比嘉は、サウスポーを得意としていない。苦手な部類なのかもしれません。

そして、やはり西田とのサイズ差、そしてそのサイズ差を活かした西田の戦い方は、非常に優れたものがあったと思います。あれが西田本来のボクシングなのでしょうが、それがそのまま比嘉の対策にあてはまった、そんなイメージです。

西田としては、「比嘉対策」というのが自身のボクシングを高めるという結果となり、逆に言うと自分のボクシングを突き詰めていけば自然と「比嘉対策」というものになったイメージ。西田にとって、比嘉は非常に戦い易い相手だったように思います。

この敗戦を機として、比嘉大吾のこれからはどのように動いていくのでしょうか。

本人は、「今後のことは相談しながら考える」としています。

元世界王者とはいえ、まだ25歳。フライ級時代に見せていた、あのエキサイティングなボクシングはもう戻ってこないのかもしれません。

 

少なくとも、バンタム級ではパワー、フィジカルともに突出しているわけではなく、対戦相手の耐久力というものがこれまでと違う、というのがここまでの3戦で十分にわかりました。

それでも尚、私は比嘉大吾のボクシングに期待したい。

比嘉自身の気持ちを全く考えずに言うと、ここで辞めるのはもったいなさすぎる。

まだまだ期待しています。

バンタム級では、比嘉大吾とKOはセットでなくて良い。倒せなくとも、その攻撃的なボクシングで、また世界王座へ返り咲いてもらいたい。

これまで積み上げてきたものだけで勝負するのでなく、積み上げてきたものを超えるような方向性で鍛錬し、攻防一体のボクシングをまた見せてもらいたい。

かつて私たちを熱狂させてくれた比嘉大吾のボクシングは取り戻す事はできなくても、あの溌剌としたボクシングを、明るい勝利者インタビューを、比嘉大吾がまた立ち上がってくれるのを、私は待っています。

↓試合後の会見

 

 

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