シンコ・デ・マヨ(Cinco de Mayo)。
その名の通り5月5日を意味するこの日は、1862年、メキシコ軍が当時無敵を誇っていたフランス軍を奇跡的に撃退した日だということです。
これ以降、アメリカ大陸への侵攻がないとの事なので、アメリカ全土でメキシコを称える日でもあるようです。
それはメキシコ国内よりも、アメリカや他の国で顕著であり、メキシコでは祝日ではありませんが、ことアメリカでは「ビバメヒコ」らしいです。
。。。雑ですみません。
何が言いたいかというと、このシンコ・デ・マヨこそ、ボクシング界にとっては非常に重要な日。厳密にいうと5/5そのものが大切なのではなく、大事なのはその週末でしょうが。
ボクシング大国、アメリカでは、1990年代後半からPPVというシステムが一般化され、普段見ているケーブルテレビにプラスしてそのPPVファイトを購入して、見るというのが主流になっていきました。主流と言っても、ビッグファイトに限りますが。
そんな時、このシンコ・デ・マヨのある週末、お祭り騒ぎをするアメリカ国民、とりわけボクシング大好きなメキシコ系アメリカ人に向かって、このPPVファイトを購入してもらおうという目論見でこの日にビッグマッチが行われる事が慣例となっていったように感じます。
オスカー・デ・ラ・ホーヤvsフロイド・メイウェザーJr.というのも2007年の5/5、フロイド・メイウェザーJr.vsマニー・パッキャオというのも2015年5/2。
数え上げればキリがないほど、この5月上旬のウィークエンドには、ビッグマッチが重なっています。
特にデラホーヤの登場率は高かったような気がします。
個人的には、その頃からこの5月の上旬のビッグマッチというのは意識していましたが、最近では現役トップスター、サウル・アルバレス=カネロが頻繁に登場するようになり、知った方も多いかもしれません。
デラホーヤ引退後、その意志を受け継ぐような形でメキシコのスターとなり、度々このシンコ・デ・マヨの日程に登場したカネロ。
↑この頃は蜜月。
カネロがこのシンコ・デ・マヨ興行に登場したのは以下の通り。
2010.5.1
ホセ・ミゲール・コット(プエルトリコ)9RTKO勝利
(あのコットではありません。メインはメイウェザーvsモズリーでした。)
2012.5.5
WBC世界スーパーウェルター級タイトルマッチ
シェーン・モズリー(アメリカ)12R判定勝利
2015.5.9
ジェームズ・カークランド(アメリカ)3RKO勝利
2016.5.7
WBC世界ミドル級タイトルマッチ
アミール・カーン(イギリス)6RKO勝利
2017.5.6
フリオ・セサール・チャベスJr(メキシコ)12R判定勝利
2019.5.4
WBAスーパー・WBC・IBF世界ミドル級王座統一戦
ダニエル・ジェイコブス(アメリカ)12R判定勝利
ほぼ毎年ですね。(抜けていたらご容赦ください。)
先にも述べましたが、このシンコ・デ・マヨはアメリカに住む人々や、メキシコ近隣に住む人々が「ビバメヒコ!」と叫ぶ日であって、メキシコの祝日ではありません。
メキシコ人が、自身の尊厳を確立した日、つまりは独立記念日は9/16です。こちらは1810年のことなので、シンコ・デ・マヨよりも古い。
本当にメキシコ人がお祭り騒ぎになり、「ビバメヒコ!」と叫ぶ日は9/16。こちらもやはりボクシングのビッグマッチは非常に多い。ここでもやはり、ボクシング好きのメキシコ国民たちはボクシングを楽しむようです。
やっぱり9月もビッグマッチが多い。
またデ・ラ・ホーヤの名前を出すと、フリオ・セサール・チャベス(シニアのほう)と新旧対決をしたのが1998年の9/18、翌1999年の9/18にはフェリックス・トリニダードと戦っています。2002年のフェルナンド・バルガス戦も9/14、2003年のシェーン・モズリー戦も9/13、更に2004年にはバーナード・ホプキンスと9/18に戦っています。
この記念日に、かませ的なボクサーを選ばないあたり、ゴールデンボーイの矜持を改めて感じますね。このオスカー・デ・ラ・ホーヤというボクサーは、本当に強敵を恐れないボクサーでした。
メキシコ独立記念日の興行に登場した、カネロ。
2010.9.18
WBC世界スーパーウェルター級シルバータイトルマッチ
カルロス・バルドミール(アルゼンチン)6RKO勝利
2011.9.17
WBC世界スーパーウェルター級タイトルマッチ
アルフォンソ・ゴメス(メキシコ)6RTKO勝利
2012.9.15
WBC世界スーパーウェルター級タイトルマッチ
ホセシト・ロペス(アメリカ)5RTKO勝利
2013.9.14
WBA/WBC世界スーパーウェルター級王座統一戦
フロイド・メイウェザーJr.(アメリカ)12R判定負け
2016.9.17
WBO世界スーパーウェルター級タイトルマッチ
リアム・スミス(イギリス)9RKO勝利
2017.9.16
WBAスーパー・WBC・IBF統一世界ミドル級タイトルマッチ
ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)12R引き分け
2018.9.15
WBAスーパー・WBC統一世界ミドル級タイトルマッチ
ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)12R判定勝利
こちらもほぼ毎年出場ですね。(抜けていたらご容赦ください。)
カネロが5/8(日本時間5/9)に控える、ビリー・ジョー・サンダース戦をクリアすれば、おそらく次戦の登場は9月中旬かと思います。その9月の興行で、IBF王者のカレブ・プラント(アメリカ)との統一戦を迎えるのであれば、早くも4団体統一を成し遂げるという計画になります。
井上尚弥(大橋)の試合はなかなか決まらず、4団体統一にかなりの時間を有している事を考えると、カネロのキャリアは順調そのもの。井上尚弥に大きな期待を寄せている我々としては、羨ましい限りです。
何にせよ、稀代のスター、カネロは恵まれており、更にこれまでの記事を見ると鉄のメンタル、鋼の肉体を保有しています。そんな死角の見えないカネロに、BJSがどのように挑むのか見ものです。
ただ、BJSの前には、殆どのボクサーが正義に見えます。
今回ばかりは、カネロの痛快なノックアウト勝利を期待しつつ、「ビバメヒコ!」と叫びつつ、明日のランチ(日本時間5/6=メキシコ時間5/5)はタコスを食べたいと思います。
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