※ちょっと前置きが長くなりますが、今回のブログはラミレスvsテイラーです。
週末は国内ボクシング興行がなく、海外のみ。
注目試合は5/15(日本時間5/16)に行われるルイス・ネリvsブランドン・フィゲロアの工業ですね。ネリの負ける姿が見たいがために、勝手に日本期待の星となった(と思われる)フィゲロアの奮戦に期待したいです。
尚、アンダーカードには元王者、ダニエル・ローマンも登場です。
↓プレビュー記事
しかしこの一戦は日本で見る術がありません。ということは、多くの方にとって今週はボクシングなしで週末を過ごさなければならないのか。。。と、思っていたら、DAZNさんがやってくれました。
ライトヘビー級のプロスペクト、ジョシュア・ブアツィ(イギリス)のWBAインターナショナル・ライトヘビー級タイトルマッチが放映されるようです。
対戦相手はダニエル・ブレンダ・ドス・サントス(フランス)。
13戦全勝(11KO)のブアツィと、15戦全勝(8KO)のサントス、こちらも次期ライトヘビー級を占う上で注目の一戦となりそうです。
サントスの映像は見たことがないので控えますが、このブアツィはライトヘビーにあって非常にスピードのあるコンビネーションパンチャー。さらにアグレッシブさを持っており、見ていて非常に面白いファイターです。
重い階級をあまり見ない、というボクシングファンも、大いに楽しめるボクサーだと思います。
アンダーカードには、ヨーロッパ、イギリスのタイトルマッチが並んでいます。
こちらの興行は、DAZNで生配信。イギリス興行のため、日本時間では早朝です。
↓DAZN加入はこちら。
閑話休題。
本日のブログでは、週末を通り越して来週末、いよいよ拳を交えるスーパーライト級統一王座戦、ホセ・ラミレスvsジョシュ・テイラーについてです。
5/22(日本時間5/23)
【WBAスーパー・WBC・IBF・WBO世界スーパーライト級王座統一戦】
WBO・WBC王者ホセ・ラミレス(アメリカ)26戦全勝(17KO)
vs
WBAスーパー・IBF王者ジョシュ・テイラー(イギリス)17戦全勝(13KO)
開催地はアメリカ。テイラーは敵地に乗り込むことになります。共にトップランクに所属、以前から対戦が噂されてはいましたが、ここまですんなり決まったのは本当に素晴らしいことです。片方がゴネて、ファイトマネーを釣り上げようとする等の醜聞も聞こえてこなかったこの一戦は、本当に4団体統一戦に相応しく、王者同士の至高の一戦だと思います。
ホセ・カルロス・ラミレスについて
アマチュアボクシングにおいて、若くしていくつもの国内タイトルを獲得、世界選手権やロンドンオリンピックにも出場したアマエリートです。
20歳でプロ転向、2012年12月に1RTKO勝利でプロデビューしています。
その後は連戦して連勝、2015年12月にWBCの地域王座を獲得、その王座を防衛しながらチャンスを待ち、2018年3月にWBC世界スーパーライト級王座を獲得します。
この王座は、テレンス・クロフォード(アメリカ)が4団体を統一後、返上した王座で、一気にスーパーライト級が混戦模様となった頃でした。
アミール・イマム(アメリカ)との決定戦を制して初戴冠した世界王座を、アントニオ・オロズコ(メキシコ)、ホセ・セペダ(メキシコ)を相手に2度防衛。この間、WBSSがスーパーライト級で開催されるもラミレスは参戦せず。それについて逃げたと揶揄されたコメントも散見されたような気がします。
2度目の防衛戦となったセペダ戦は大いに苦戦しましたが、その後のセペダの活躍(ホセ・ペドラサを退け、イバン・バランチェクを大激闘の末KO勝利)を見るとセペダは世界王者クラス、いやそれ以上の地力を持ったボクサーであることが明白です。
ちなみに、この試合のアンダーカードでセペダも登場予定。
そして3度目の防衛戦は、WBO王座を保持していた、当時無敗のモーリス・フッカー(アメリカ)。
この一戦は、現在のところラミレスにとってのベストバウト。超がつくほどの攻撃力を保持するラミレスと、長いリーチとやりにくさを兼ね備えるフッカー。勝敗予想のしづらい両者の激突は、始まる前から非常に面白かったです。
そんなフッカーを相手に、「粉砕」という言葉通りにノックアウトしたラミレス。一戦一戦で評価が微妙に変わっていくこのボクシング界において、この勝利によりスーパーライト級最強の称号を手にしたかのように見えました。
そして、コロナによる1年ほどのブランクの後、元WBC王者のビクトル・ポストル(ウクライナ)を相手に2団体統一王座の防衛戦。このポストル戦も非常に重要な一戦でした。
というのも、このポストルは2018年6月、WBSS参戦直前のジョシュ・テイラーと戦い、判定負けを喫しています。このラミレスvsポストルこそが、ラミレスvsテイラーの一戦を占う上での大きな試金石となりそうだったからです。
画して、ラミレスとポストルは戦いますが、ラミレスはここでは良いパフォーマンスを見せられませんでした。ポストルの巧いジャブ、ラミレスのフィジカルに臆さない勇敢さにラミレスは大苦戦、それでも薄氷の勝利を得ます。
ほぼ同じ次期、ジョシュ・テイラーがIBFの指名挑戦者、アジア期待のアピヌン・コーンソーンを1RKOで屠った一戦とは、比べるべくもありません。(もちろん、対戦相手の質は違いますが)
ジョシュ・テイラーについて
テコンドーのジュニア選手だったテイラーは、15歳でボクシングに転向。国内大会を経て、こちらもロンドンオリンピックに出場した元アマエリートです。
2015年、24歳でのプロデビュー戦を2RTKOで勝利。
2016年10月、7戦目で英連邦のスーパーライト級王座を射止めると、2017年7月、WBCのシルバー王座を獲得します。
初防衛戦では元ライト級世界王者のミゲール・バスケス(メキシコ)、3度目の防衛戦ではビクトル・ポストル(ウクライナ)を迎えて防衛。この時のポストルは、クロフォードにしか負けていなかったボクサーでしたね。
そしてWBSSに出場、快進撃をまだまだ続けます。
初戦、当時無敗のプロスペクトだったライアン・マーティン(アメリカ)に7RTKO勝利、準々決勝で当時の無敗のIBF王者、イバン・バランチェク(ベラルーシ)に勝利して世界王座を初戴冠。
これは2019年5月18日(日本時間5/19)、グラスゴーで行われたメインイベントで、セミファイナルに井上尚弥vsエマニュエル・ロドリゲスという一戦が組まれていましたので、覚えている方、WOWOWでご覧になった方も多かったのではないでしょうか。
タータンチェックのトランクスで、地元の声援を受け、とても世界初挑戦とは思えない落ち着き払った軽快なフットワークでバランチェクを迎え撃ち、ダウンを奪っての判定勝利。
個人的には、ポイント差以上に差があった試合内容だったように思います。
そして、WBSS決勝ではこれまた当時無敗のレジス・プログレイス(アメリカ)に競り勝ち、WBSSを優勝するとともにWBAスーパー王座を吸収、統一王者となりました。
この一戦は、FOTY(ファイトオブザイヤー)にもノミネートされる大激戦。フィジカルに勝ると思われていたプログレイスに接近戦でも競り勝ち、持ち前のボクシングスキル、タータン・トルネードと言われる連打の他に、フィジカル・ハート両面の強さを大いに見せつけた試合でもありました。
この一戦で、テイラーの評価はより一層高まったとも言えます。
その後、こちらもコロナショックのために約1年(正確には11ヶ月)のブランクを経てIBF指名挑戦者であるアピヌン・コーンソーン(タイ)と対戦、見事これを1RKOで退けています。
大激闘必至、制するのはどっちだ。
ラミレスの武器は、強いフィジカルと強靭なタフネス。そしてチャンスの時のラッシュ力。もちろんパワー、スタミナ共に申し分なく、生物的な強さを持っています。
対してテイラーは、リードとステップワーク、そして接近戦での巧さ。ただ、そのフィジカルはプログレイスよりも優っているところが凄まじいところ。イギリスのボクサーは、連打型のファイターが多く、その分KO率は低い傾向にあるような気がしますが、このテイラーはそこにパンチ力、身体能力が備わっている印象です。
これはもう、始まる前からFOTY候補が確定しているような、素晴らしいマッチアップ。
予想はややテイラー優位とのこと。
これはおそらく、ややディフェンスに難のあるラミレス相手に、接近戦も得意なテイラーの細かい手数が当たるという予想が立つからでしょう。両者が戦ったビクトル・ポストルを介しての評価としても、テイラーに分がありそうにも思います。
さらに、テイラーはステップワーク、リードも巧く、ラミレスはおそらくそこに苦労させられるのではないでしょうか。
ただ、テイラーがアウトボックスに徹するか、というとその可能性は少ない。ラミレスほどのプレッシャーを12Rにわたりかわし続ける事は生粋のアウトボクサーでも難しい上、おそらくこのボクサーは打撃戦が大好き。クリンチの距離になった時のスキルもあり、打ち合いも辞さない強い心を持つテイラーは、打撃戦においてもラミレスを上回ろうと試みるでしょう。
考えていくと、テイラーの方が引き出しが多く、戦法を選べるのはテイラー。
テイラーが、ヒットアンドアウェイを基本として、打ち合うべきところは打ち合って行けば勝利は固いのかもしれません。
しかし、ラミレスのプレスがそれをさせないような展開になれば、微差のポイントをピックアップしていき、最終的にラミレスの勝利という展開もあり得ます。
兎にも角にも、ボクサーとしての技量、パワー、フィジカル、そして何よりも強く折れないハートを持った両者の一戦は、間違いのない大激闘となるでしょうし、この試合の後は十分な満足感と、それと共に大きな虚無感が訪れると思います。そして今年の年末、一年を振り返ったときに、この試合は間違いなくもう一度(ファイトオブザイヤーのノミネートによって)思い出される一戦となること間違いありません。
(ここまで言って万が一、両者が警戒の上、塩試合になったら誠に申し訳ない)
こんなにも予想が拮抗してどちらが勝つかわからず、誰しもが認める王者同士の無敗対決で、更に4団体統一戦というシチュエーションはなかなかありません。
これを見ずしてボクシングファンは語れません。
この一戦は、WOWOWオンデマンドで生配信!
今後、6/20に井上尚弥vsマイケル・ダスマリナス、6/27に中谷正義vsワシル・ロマチェンコもWOWOWが生中継してくれます!さすが、WOWOW!!
WOWOWはこちらから
ちなみに、WOWOWに加入していない(できない)方は、FITE.TVでも見れます。こちらは単体のPPV、1,600円です。
アンダーカード(エルビス・ロドリゲスvsケネス・シムス、ホセ・セペダvsペドロ・キャンパ)も観れるようですね。
↓FITE.TVのPPVはこちらから。
もし、WOWOWに加入していないようであれば、今回のこのラミレスvsテイラーをFITE.TVで購入、来月に入ってWOWOWに加入すれば、WOWOWは初月無料なので無償で見れますね。
ともかく、このラミレスvsテイラーはきっと見たほうが良い一戦だと思います!
あと、最後に言っておくと、私は無骨なイメージでかっこいいラミレスを応援しますが、テイラーが勝っても喜べます。今回に限っては、節操は、ありません。