先週末はカネロvsソーンダース、今週末はフィゲロアvsネリ、来週末はラミレスvsテイラー、そして再来週末はヘイニーvsリナレス、ウーバーリvsドネア。
ボクシングファンにとって嬉しい悲鳴の続くビッグマッチの数々は、そのあと6月に入っても衰えません。
国内興行は残念ながら延期となった興行も多いですが、それでも次々と大注目の試合が決まり続けています。A-SIGNのYoutubeで7月、伊藤雅雪vs細川バレンタイン。鼻血が出そうです。
吉野は?三代は?ここは横浜光のマッチメイク力、そして強敵を恐れない角海老宝石というジム側と、同じく選手たちの心が一致した結果なのでしょう。伊藤も細川も、楽な試合を一切はさみません。
さて、そんな中、先日発売のボクシングマガジンで気になる記事が。
SNS等でも話題になっていますが、村田諒太(帝拳)の次戦についての記事でした。
村田諒太の次戦
ボクシングマガジンの記事によると、本来村田の次戦は、5/29(土)、両国国技館。
カルロス・モンロー(アメリカ)を相手に行われる予定だったとのことです。しかしそれは頓挫、同時に開催される予定だった中谷潤人(M.T)vsアンヘル・アコスタ(プエルトリコ)の指名戦も頓挫。
とにかく日本への入国とその後の条件は厳しく、はっきり言って外国人選手が来日し、試合当日までにコンディションを整えられるような環境はありません。
東京五輪予選とテスト大会を兼ねた水泳飛び込みのワールドカップに覇権された欧州選手団に対してホテルに缶詰、食事は弁当やカップラーメンを出したとか。アスリートに失礼だし、日本に住む者として恥ずかしい。
かつて京口紘人(ワタナベ)の対戦相手として来日したタノンサック・シムシー(タイ)もホテルに缶詰状態、狭いホテルの一室にサイクルマシンを入れていたことも不憫でなりません。
中谷潤人については、このボクシングマガジンで知る以前に海外記事が出ていて、そこで初めて5/29に指名戦が予定されていた(けれど頓挫したというニュースでした)ことを知りました。
中谷vsアコスタは大阪で5/29に行われる予定でしたが、伸びました。
— 信太 (@shintaboxing) 2021年5月7日
だそうです。。。
日本では規制が厳しすぎるので、キャリアのために海外で戦った方が良いかもしれませんね。 https://t.co/pLMjOiJc74
村田ももしかすると。。。と思っていましたが、やはりそうでしたね。
ボクシングマガジンの記事によると、2020年6月、9月、12月、2021年2月にも村田の防衛戦は計画され、そして流れてしまったとのことで、今回のことを含めると5度。
2021年12月にゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)戦を目論む陣営としては、その前にはさむであろう防衛戦は絶対に、絶対に負けられない闘いであり、開催地、試合相手には万全を期さなければならないこともうなずけます。
本来であれば、ロブ・ブラント(アメリカ)第一戦に勝利したあと、ビッグマッチが待っているはずだった村田は、そこで敗北。停滞を余儀なくされました。
陣営としても、本人としても、終わりが近いと思われる村田のキャリアに、最大のビッグマッチをという思いはわからないでもありませんが、ここまで試合が決まらないのであれば、やはり国内開催は諦めるべきではないかと思います。
活発なアメリカ・ボクシング
村田がWBAのスーパー王者となったことで空いたレギュラー王座は、エリスランディ・ララ(キューバ)が決定戦を制して戴冠。
WBC王者のジャモール・チャーロ(アメリカ)は2020年9月にセルゲイ・デレビヤンチェンコを退け、2021年6月にも防衛戦を控えています。
IBF王者のゴロフキンは、カミリ・シェルメタ(ポーランド)を2020年12月に力の差を見せつけてTKO、次戦の噂はまだ聞こえてこないものの、そのブランクは村田ほどではありません。
最も嫌われ者(やりづらい相手として)であろうWBO王者のデメトリアス・アンドラーデ(アメリカ)ですら、2020年1月、2021年4月に試合をこなし、先週末にもカネロの記者会見で元気な姿(?)を見せています。つまみだされていましたが。
それに比べて、村田の前戦は2019年12月。
Ryota Murata defends WBA middleweight title with TKO in Yokohama | The Japan Times
前戦が2020年12月、(同じ時期)暫定タイトルを獲得したWBA暫定王者、クリス・ユーバンクJr(アメリカ)も2021年5月1日にようやく試合に恵まれ、キャリアをリスタートさせました。
日本国内での試合を模索している中では、よほどの事がない限り試合を受けてくれるボクサーはいないでしょう。何せ、あまりにも日本側の対応がひどすぎます。
これは村田のせいでもなく、帝拳陣営も勿論最善を尽くしてはいるのでしょうが、もっと根本の問題。アスリートにカップラーメンを出すような国に、外国人アスリートを招聘しようと思っても無理なものです。勝つ気がなく、観光気分でくるかつてのかませ犬ボクサーであれば、ともすれば来てくれるのかもしれませんが、村田陣営が開催したのはタイトルマッチであり、しかもミドル級です。
WBAのスーパー王者である、村田諒太を抜きにして、アメリカのミドル級はどんどん動いていきます。この日本史上ふたり目のミドル級世界王者という偉業を成し遂げたオリンピックのゴールドメダリスト、村田諒太のキャリアをここで腐らせるのは非常にもったいない。
ワクチン接種で完全に出遅れ、いくつかの緊急事態宣言も効果なく、そして今後も効果は見込めない、この国の失策に苦しめられているとも言える村田。
きっと、5月29日にやるために、心を体を整えていたのでしょう。
であれば、おそらく臨戦態勢にもなっていると思います。
日本での開催にこだわらず、是非ともこんな狭い島国を飛び出し、アメリカ本土で「今度こそ」の防衛戦を成功させてもらいたい、と心から思います。
村田諒太はもはや
日本のスター、村田諒太は、このままではマヌエル・チャー(ドイツ)になってしまわないか。
マヌエル・チャーは、2017年11月に WBA世界ヘビー級王座を獲得し、その後防衛戦を行わず、ついには休養王者となってしまったボクサーです。
ここ数年、ボクシングを見始めたファンにとっては、このチャーは「誰?それ?」というのが普通の反応でしょう。3年半ぶりの試合(ノンタイトル戦)も全く話題に上らず。
日本人だからこそ、村田のことは誰でも知ってはいるものの、例えばアメリカのボクシングファン、ヨーロッパのボクシングファンからすれば、「Ryota Murata?」ではないでしょうか。
そんな海外ファンにとって、大人気階級ミドル級、誰がWBA王者という認識でいるのでしょう。このまま忘れ去られてしまうのでは、と不安です。
兎にも角にも、一つでも前に進んでもらいたい。
もうここまで来てしまったら、「村田諒太の試合を見たい!」ではなくて、「村田諒太に試合をしてもらいたい!」というのが正直な気持ち。
日本のスターには、我々の思いも及ばないところで様々あるとは思いますし、身動きも取れないのだと思いますが、どうかどうか、がんばってもらいたいですね。
【このブログを書いた後、村田vsGGGが基本合意というニュースが!】