信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

清水聡vs森武蔵!竹迫司登vs国本陸!フェニックスバトルとダイナミックグローブの観戦記!

※当ブログでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含みます。ご了承ください。

地方民もVODで観れるようになったフェニックスバトル。首都圏をはじめとした関東から少し遅れはしたものの、番組そのものを観れるというのは非常に嬉しい。

そして、同日にFujiBoxingがFOD、TVerで配信されたその日、日テレG+では5/19(水)に行われたダイナミックグローブの放送がありました。

今回のブログでは、そのフェニックスバトル、ダイナミックグローブの観戦記です。

 

↓プレビュー記事

boxingcafe.hatenablog.com

5/21(金)

OPBF東洋太平洋・WBOアジアパシフィック・フェザー級王座統一戦

清水聡(大橋)10戦9勝(9KO)1敗

vs

森武蔵(薬師寺)12戦全勝(7KO)無敗

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ダイヤモンドレフトと形容される清水の拳。スピードは感じず、目を見張るようなテクニックを持ち合わせているようには見えませんが、とにかく強い。それはパンチ力だけのものではなく、おそらく向かい合ってみないとわからない、非凡な何かを持っている選手だと思います。

対して森は、才能あふれる、若き王者。コロナ禍の中、シャクール・スティーブンソン(アメリカ)への挑戦話がチラリと出たような気がしますが、まずは国内最強決定戦に臨みます。

現在の日本同級王者は丸田陽七太(森岡)。清水、森両名からすれば、丸田は王者となって間もなく、実績についてやや劣る。(佐川をノックアウトした試合は本当に見事でしたが)

 

ということで、このアジアの王座統一戦は、間違いなく日本フェザー級最強を決める一戦。

清水は年齢的にも終わりに差し掛かっており、絶対に負けられません。そして森も、ここで負けてしまえば世界戦線からは大きく後退してしまう、負けられない一戦。

まずはこのリスキーな日本人同士の統一戦が決まったことに敬意を表したいと思います。

さて、ゴング。

初回、清水はいつも通り捉え所のないリズムの取り方。距離が遠く、相手の攻撃に対してほとんど反応もする必要がないため、これぐらいの運動量でも十分なのは大きな利点です。

対して森は体を動かし、大きなステップを踏み、鋭くパンチを振っていかなければ距離的に当たりません。

ただ、清水が好戦的ゆえにすぐに距離は詰まり、クリンチの場面も非常に多い。初回から近い距離でバチバチとパンチを交換し、共に一歩も退きません。

 

2R、ファーストヒットは森のボディジャブ。背の高い清水相手にこれは効果的、その後もボディで削る作戦です。しかし清水も上から覆い被さるようなクリンチから、森のボディを連打。

森はクリンチの距離になろうともあくまでも近づく作戦、中間距離での清水の打ち下ろしの左を食わないためだと思います。互いに近い距離ではボディ、左フックがよく当たります。

3R、スピードで優位に立つ森に、清水のワンツーは空を切ります。そしてやはり近づいてボディ、このラウンドは共に利き手の左フックを打ち合う展開。森はハンドスピードだけでなくボディムーブもすこぶる良いですが、一発の破壊力はやはり清水に見えます。

 

こういうタフな展開になると、プロキャリアでは森の方が修羅場を潜ってきていますので、この超接近戦が森陣営の描いた設計図なのかもしれません。

4R、展開は変わらず、少し離れると清水は左ストレートを打とうとジャブを投げますが、森の反応はまだ良い。クリンチの距離では清水は器用に腕を折りたたみ、また外から回して森の顔面にコツコツパンチを当てます。

がっちりとくっついたクリンチ際の攻防では、清水の方が手数が多く、森は止まってしまう場面も多いため、清水に分がありそうです。森はもっとスピードを活かしてかき回しても良いのではないか、とも思いますが、そうすると清水の左ストレートが飛んでくるのでしょうね。この清水というボクサーの攻略は、非常に難しい。

4R終了後の途中採点は、39−37(清水)、37−39(森)、38−38の三者三様のドロー。

 

まあ、ここまで10−10とつけていいなら全て10−10となりそうな甲乙つけがたいラウンドです。

5R、森の、中に入り際の左オーバーハンドが清水にヒット。接近戦でも素早い動きと、この森はフィジカルも相当なもの、清水を押してやや下がらせます。

しかしクリンチの距離ではやはり清水が手数に勝り、ダイヤモンドのように硬質な拳はおそらくコツコツパンチでもダメージを与えられるのでしょう。

6R、少し距離が空いた攻防からスタート。やはり距離が空くと清水は左ストレートを打ちやすい。森はこれまでの接近戦で削られていたのか、ボディムーブがやや甘くなり、動きのキレが落ちてきたように感じます。

近づけば相変わらず清水は巧く、後半には真上に撃ち抜く右アッパーをヒット、このラウンドは明らかに清水のラウンドでした。

 

7R、このラウンドも清水の攻勢が続きます。またも右アッパーをヒットさせたかと思うと、中盤には森の左に合わせた左カウンター!タイミング的には倒れてしまっても仕方ないくらいのタイミングでしたが、やや浅かったのか、それとも森が驚異的なタフネスを持っているのか、森は諦めるそぶりなく打ち返します。

体制を低くして入ってこようとする森に対して、清水の右アッパーは効果的ですし、離れれば左ストレート、そしてくっつけば右フックを喰らい、こんなにも清水のパンチを喰らっても良いのか、と思うほど。

8R、このラウンドは至近距離での戦いからスタート、清水の左右のアッパー、そしてフック。クリンチの際、森の右手が下になっている状態から出すこの清水の左フックは、森からすると防ぎようもありません。

後半は清水のワンツーを起点に連打、清水は当て勘まで良い。

 

8R終わっての採点は、78−74が2者、77−75が1者。

こうなるともう森は出るしかない。最低でも残りのラウンドを全て取り、ダウンの一つも取らなければ勝ちはありません。

9R、しかしここにきてなんと清水がリズムに乗り始め、ステップを踏みつつ破壊力抜群のワンツーで攻めます。森はガードで堪えるも、清水のハードパンチに若干リターンが遅れているように思います。

それでも諦めない森は常に前進の姿勢をやめず、果敢なアタック。これぞ、魂のこもったボクシング。勝ち目は薄い。それでも最後まで勝利を信じるのが、ボクサーです。

10R、中間距離で見合う場面が多い。森は入り際を見極めようとしていますが、清水は若干休んでいるようにも見えます。清水のパンチの打ち終わりに入り、接近戦を仕掛けたい森の肩透かしをするかのような前半をすぎ、後半はそれでもやはり打撃戦に。

 

清水は余裕を持って、リラックスして戦っています。こうなるとなかなか清水を崩すのは難しそうです。

11R、リラックスしてリズムを刻む清水は、その強打をフェイントとして使い、それが機能するのでものすごく強い。この清水というボクサーは、劣勢においてではなく、優勢においてその真価を発揮するボクサーかもしれません。

そうすると、前半互角だったものの、中盤から突き放し、終盤を優位に進められるこの展開は清水にとっては理想的ではないでしょうか。

リズムに乗った清水は、巧く休みながら戦っているように見えます。フェイントを使い、軽いパンチを使い、稀に強いパンチを打って警戒させる。それだけで十分なボクサー。

コーナーに帰るとき、首を傾げている清水ですが、これは「良いパンチが入っているのに、何故倒れないのだろう」ということだと思います。

ラストラウンド、逆転を狙って森が接近戦を仕掛け、それを真っ向から受けて立つ清水!ここは清水は先ほどまでのように離れて戦っても良いと思いますが、森の特攻を受けて立つその侠気たるや、これこそ日本人対決の醍醐味と言えるものでしょう。

接近戦ではやはり清水のアッパー、フックが1枚上手、ヒットの精度が低い森に対して、次々とコンパクトなブローをヒットさせていく清水。

 

残り1分のところで清水は渾身の左ストレートをヒット!わずかにぐらついたかに見えた森でしたが、その後はすぐに持ち直し、プレス。残り30秒のところでもダイヤモンドレフトが炸裂しますが、それでも尚、森は前進を、手を出すことを止めません。しかもその両拳にはまだまだ力が入っており、なんというスタミナ、なんというタフネス。

両者の意地と意地がぶつかり合う12Rが終了し、勝負は判定へ。

116−112が1者、118−110が2者の3−0の判定で、清水が勝利!

清水聡、見事アジア統一王者に!!

序盤はまさに互角、という展開でしたが、清水は対応力に優れ、中盤以降は森に思い通りのボクシングをさせませんでしたね。

清水のボクシングのテクニックは非常にわかりづらいですが、やはりオリンピックの同メダリストだけあって引き出しの多さは相当なもののようです。

あそこまでくっつかれた接近戦でも、優位に試合を進められる清水は、自らプレスをかけなくとも、待ちのボクシングでも十分にやっていけそう。今回、清水はその硬質なパンチに加え、引き出しの多さと、ボクシングIQの高さ、そして初めて12Rを戦い抜き、スタミナも証明できたと思います。

 

さて、残念ながら敗れてしまった森武蔵、足りなかったのはキャリア、強かさ。序盤、近接戦闘でほぼ互角に戦えていましたが、その後の展開を考えるとジリ貧となってしまいました。

しかし、あのスタミナとタフネス、そして何よりハートの強さは特筆すべきものであり、まだまだ上を十分に狙えるボクサーだということが東京のボクシングファンにも伝わったのではないでしょうか。

森武蔵、「武蔵」という過去最強の剣豪に恥じない、素晴らしいボクサーだと思います。

今回の敗戦を糧として、10年ののち、後世まで語られる素晴らしいチャンピオンになってくれることを願っています。

アンダーカード!

中嶋一輝(大橋)vs千葉開(横浜光)という超好カードのOPBF東洋太平洋バンタム級王座決定戦!ですが、FujiBoxingさんでは一瞬しか放送がなく。。。

 

どうせ誰も見ないようなド深夜なら2時間の放送枠を取ってほしいですし、どうせTVerやらFODやらのVODで流すなら興味のある人しか見ないので、そっちのセミもフルラウンド流してもらいたいですよね。

どうせ録画もしていて、おそらく解説の人にも実況の人にも喋ってもらっているんだったら、折角なので、と思いますが。。。

尚、この一戦は中嶋一輝が千葉開を降し、新王者に。素晴らしい試合だったと聞いていますが、会場に行った人にしかわかりません。この映像は。。。お蔵入りなのか。。。もったいない。。。

もう1試合、一瞬でしたがミライモンスター、松本圭佑(大橋)vs室田拡夢(T&T)も映りました。こちらは松本が奪ったダウンシーンのみが流れたのですが、前戦よりもより力強さが増した印象を受け、ボクシング自体のバランスが非常にしっかりしているな、と感じました。

 

ということで、我々地方民もVODで観れるようになったFujiBoxingの観戦記でした。その点について、本当に本当に感謝していますが、本当はダイナミックグローブのように全試合流してもらいたい。地上波での放送は1時間枠でも、VODでは全試合とか。。。無理ですかね?

5/19(水)ダイナミックグローブ

ということで、5/19、ボクシングの日に行われたダイナミックグローブの観戦記についても書いておきます。

第1試合はこの日がデビュー戦の坂間叶夢(ワールドスポーツ)が、ここまで2戦2勝(1KO)の永里翔(レパード玉熊)を3Rでストップ。1R、見事な右ストレートでダウンを奪ったあと、永里の前進にやや手を焼きますが、巧くボディ、そしてアッパーをヒットして、最後は左ボディでダウンを奪ってのTKO勝利。

永里の心を折ったような勝ち方でした。

 

少し固い動きながら、コンビネーションがスムーズに出て、パンチのセレクトが良い。まだ18歳の若武者は、今年の新人王戦にエントリー済み。(一回戦は相手選手の棄権により不戦勝が決定しているようです。)今後、注目していきたいと思います。

第2試合はライトフライ級8回戦、内田勇気(KG大和)vs櫛部好充(新日本木村)。櫛部は7月にボクサー定年を迎えるということで、これが最後の試合と決まってしまっています。

櫛部の気持ちのノリは凄まじく、ここを判定勝利で飾りました。ナイスファイト。

セミファイナルはスーパーフライ級8回戦、バンタム級下位ランカーの宇津見義広(ワタナベ)vsフライ級10位の薮﨑賢人(セレス)。前半は宇津見のペースで試合が進み、後半は薮﨑の左が当たり始めたような感じです。宇津見が闘いたいように闘っている時間が長いような気がしましたが、この試合はドロー。

 

7Rは特に藪﨑のチャンスでしたが、キャリアのある宇津見のごまかし方は見事でしたね。薮﨑のパンチはしっかりと打つ分見栄えがよく、宇津見にとっては少しもったいなかったかもしれません。

メインイベント

日本ミドル級タイトルマッチ

竹迫司登(ワールドスポーツ)13戦12勝(11KO)1分

vs

国本陸(六島)4戦全勝(2KO)

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ミドル級の絶対王者、竹迫司登。アップセットを続けている六島ジムの国本を迎えての防衛戦。この国本のメイントレーナーには、数々の番狂わせを起こしてきた武市トレーナー。

武市トレーナーの教え子である西田凌佑(六島)が大森将平(Woz)、比嘉大吾(Ambition)を連続で撃破したことは記憶に新しく、絶対王者竹迫としても油断ならない一戦となると予想されます。

世界王者である村田諒太(帝拳)を除けば、間違いなく日本で一番のミドル級、竹迫の牙城にどこまで迫れるか。六島陣営としては、大いに自信があるとのことです。

やっぱり入場から見れるのは良い。これがダイナミックグローブの良いところです。ボクシングレイズの生配信もフルで視聴はできますが、入場曲は著作権の関係で切られてしまうので、雰囲気が分かりづらい。このダイナミックグローブは、うたい文句通り「後楽園ホールの興奮そのままに」放送してくれます。

さて、ゴング。

 

両者しっかりとガードを上げ、いきなり手の届く距離で強いジャブを打ち合うところからスタート。ファーストヒットは国本の右ボディ。

しかしその後、竹迫が右フックから左フック。ガードの上から当たったように見えたこのパンチで、国本はダウン!!

再開後、竹迫は襲いかかります。

国本もがっちりとガードを固め、打ち返します。ともに手を出せば届くような距離での打ち合い、国本が竹迫のチャージを分断したように見えました。が、打ち勝ったのは竹迫!

少し距離を置いたところで、竹迫のワンツーで効かされた国本!後退した国本に対し、竹迫は追撃!国本ダウン!

立ち上がった国本でしたが、レフェリーは続行を許さず。

 

竹迫司登、1RTKO勝利で4度目の防衛に成功!

竹迫の強さが全開の一戦でした。見事としか言いようがありません。

国本は、地力で勝る竹迫に対し、前半勝負としていきなりの猛攻。最初にこのニュースを聞いた時は、もっと圧倒的に負けたのかとも思いましたが、接近戦では身体の使い方、パンチのアングルという部分で竹迫を下がらせる場面もありましたね。

短い一戦ではありましたが、その戦績以上のものは示せたと思います。

そして、竹迫。

この試合の10日前に、コロナの重症患者だった父が亡くなった、と勝利者インタビューで報告。5ヶ月の闘病生活だったということです。

この素晴らしい勝利を、きっとお父さんも天国で喜んでくれている事でしょう。

併せて、今年、父となることを報告した竹迫、もう戦う相手は日本にはいません。これ以上、日本で証明することはありませんが、この日本の閉鎖的なボクシング環境においては、海外から呼ばれることもなさそうです。

是非、自らを売り込んで、もしくは力のあるジムに強力してもらって、海外でのキャリア形成を成し遂げ、村田諒太の評価を超えるような王者になってもらいたいですね。

 

かつて、村田諒太の「アマ最後の相手」として有名だった竹迫司登はもういません。今は、ミドル級で、村田に続いて世界を期待されるボクサー、竹迫司登です。

白井義男が日本人で初めて世界選手権を手に入れた5/19、この日を持って竹迫は世界へ飛び立ってもらいたいですね。

↓そしてこの竹迫vs国本と清水vs森の興行の間に行われた、ダイナミックグローブの観戦記

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先週の興行を觀ていたら、もうすぐ今週末の興行がやってきます。ボクシング三昧で嬉しい日々が、まだしばらくは続きますね。 

↓今週末の海外興行は大注目!!

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