ボクシングイベント目白押しだった5/30。
皆さんはどの試合が最も印象に残りましたか?
本日のブログでは、5/29(日本時間5/30)、デビン・ヘイニーvsホルヘ・リナレスをメインに据えた、マッチルーム興行の観戦記です。
DAZNの配信が開始し、まず登場したのは元トップアマ、ライトヘビー級のプロスペクト、カリル・コー(アメリカ)のデビュー戦。相手はナサニエル・タッド(アメリカ)というボクサーです。
前手を下げたスタイルから速いジャブ。近づいては左右のボディを叩き込み、1Rからボディでダウンを奪います。諦めないタッドはガードを固めて何とかサバイバル。しかし終盤、またもボディでダウン。
勝負が決するのも間もなく、と思われた2R、コーは期待通りここでタッドをストップ。またもボディ。鬼ですね。とはいえこのコー、ボディだけを打つファイターという訳ではありません。ジャブが非常に良かったですね。
やっぱりライトヘビー級というこの階級は、スピードもパワーもあっておもしろい。
IBF世界スーパーフェザー級挑戦者決定戦
マーティン・ジョセフ・ウォード(イギリス)24勝(11KO)1敗2分
vs
アジンガ・フジレ(南アフリカ)14勝(8KO)1敗
↓プレビュー記事
7月、ドバイで予定されるIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦、シャフカッツ・ラキモフvs尾川堅一。その勝者に挑戦する挑戦者の決定戦です。
初回、ウォードがフェイントを使いつつプレスをかけ、フジレは後傾でカウンターを狙います。
2R、様子見で手数の少なかった初回から打って変わって、ともにスピードがあり、カウンターもあり、ハイレベルな中間距離での攻防が繰り広げられます。
3R、フジレのディフェンス勘が良く、なかなか当てられないウォードは手数で押し込んでいく場面も。ウォードもディフェンスが上手く、フジレもあまりクリーンヒットは奪えません。
4R、開始1分、フジレのカウンターでウォードがダウン!速すぎて何があたったのか見えませんでした。。。ただ、ウォードはダメージはなさそうです。
スロー再生、ダウンを取ったカウンターは、フジレのジャブにあわせたウォードの踏み込み、に合わせた左フックのカウンターでしたね。この辺のカウンター取り合い合戦というのは見ていておもしろく、どっちの何があたったのかわからないことが多いです。
5R、ダウンポイントを挽回しようと、ウォードは手数を増やします。フジレは先程ダウンを奪ったことにより安心してしまったのか、それとも集中力が切れてきたのか、カウンター狙いだけのボクシングに。ちょっとこれでは攻勢点をウォードに持っていかれてしまいます。
しかし終盤はカウンター合戦でフジレが打ち勝ち、優勢をアピールします。これまで、4R以外はジャッジの採点は割れそうです。
6R、1分過ぎでまたもフジレのカウンター!ここはウォードは効いてしまったか、クリンチ。このフジレは本当にカウンターが巧い。余裕が出てきたフジレは、ジリジリとプレス。しかし攻め込むことはせず、ウォードは徐々に回復していきました。
7R、ウォードの右をガード、もしくはかわしてのフジレの左カウンターは超危険。このラウンドも同様のカウンターで優位にたつフジレ。そして残り30秒、今度はウォードの右に合わせて右フックのカウンター!
ウォードはダウン!立ち上がりはしたものの、レフェリーはストップ。
7RTKO勝利でアジンガ・フジレがIBF世界スーパーフェザー級挑戦権を獲得!
これは強い。フジレは優れたカウンターパンチャーであり、ウォードとのカウンター対決も制して見せました。
ただ、フジレは後半、集中力が切れるところもあり、ウォードとしては本当は勝負はここから、と思っていたかもしれません。その勝負に入る前にダウンを奪われ、効かされ、そしてフィニッシュされてしまいましたが、フジレに対しては前半我慢しての後半勝負が正しそうです。
セミセミ、セミの2試合はあまり興味が湧かないので。。。ボクシングの試合、集中してみるのは疲れますからね。小休止です。
そしていよいよメインイベント!!!
WBC世界ライト級タイトルマッチ
デビン・ヘイニー(アメリカ)25勝(15KO)無敗
vs
ホルヘ・リナレス(ベネズエラ/帝拳)47勝(29KO)5敗
↓プレビュー記事
我らがホルヘが、初めて世界王者となったのは2007年。そこから14年に渡り、数多くの素晴らしい名勝負と興奮を届けてくれました。
当時21歳(その一月後に22歳)だったリナレスも、今は35歳。そしてラリオスを破ったその思い出の場所、マンダレイ・ベイ・カジノ&リゾートで、22歳のとびきり活きの良い王者へと挑戦するという、何かに手繰り寄せられたような一戦。
デビン・ヘイニーというボクサーは、かなりやりづらく負けにくい、今後も大注目のトップボクサーです。オッズもヘイニーにかなり優位に出ているとのこと。
しかし、私たち日本人は、ラストサムライ、ホルヘ・リナレスに期待せずにはおれません。
ホルヘ、ガンバレ。
また「ヤッター」を聞きたい。
初回、これまでの宣言通り、リナレスはプレス。ヘイニーはいつもどおり、下がりながらのジャブ。ヘイニーはやはり速く、巧い。リナレスの手数はやや少ないですが、ヘイニーの右に合わせて左フックを振るう等、プレッシャーをかけていきます。
このラウンド中盤〜後半にかけてはヘイニーのジャブが良く当たった印象です。
2R、リナレスとしては、速いヘイニーを待っていてはいけない。ヘイニーは反応もよく、なかなかヘイニーにパンチを当てるのはやはり至難。リナレスも速いが、ヘイニーはもっと速い。
ヘイニーのジャブで固まるリナレスに、ヘイニーはボディフックを好打。リナレスはどこかで流れを変えたいところです。
3R、ガードしてからのリターン、リナレスは速い!ですが、ヘイニーにはそれすら当たりません。ヘイニーはかなり余裕が出てきたか、様々なアングルのパンチ、様々な攻め方を試しているように見えます。
ここまでのところ、ヘイニーはやりたいようにやれているような展開です。
4R、リナレス、ヘイニーのスピードに慣れてきたのか、ガードが上手く機能しています。終盤には攻め込む場面も作りますが、ヘイニーのカウンターを浴びてしまう場面も。ともにクリーンヒットを奪い合いますが、地の利もありここもポイントはヘイニーに流れていそう。
中盤盛り返さなければ、後半はおそらくヘイニーは逃げに徹します。逃げに徹したヘイニーにパンチを当てるのは今よりも更に困難。リナレスはここから踏ん張りどころです。
5R、ヘイニーは本当に巧い。スピードあふれるジャブを打ち、打ち終わりも鮮やかでカウンターをもらわず、必要最小限の足の動きで相手のパンチをかわします。
祈るような思いでリナレスを応援しています。終盤、リナレスの左フックがかろうじてクリーンヒット。しかしそこまでのこのラウンドの流れは勿論ヘイニー。
6R、このラウンドはヘイニーがプレス、美しいアッパーカットを決めて攻め込みます。前に出てきてくれるならと打ち合いに応じるリナレスですが、ヘイニーの連打は非情に回転が速く、そしてボディムーブも良い。
とにかくヘイニーの左右のアッパーに気をつけたいリナレス!5Rまでよりは得意な距離!最終盤、リナレスは左フックをヒット、ヘイニーは右ストレートをヒット!
7R、前に出ることは早々に諦めて、やはり足を使うヘイニー。もしかすると先程のラウンドは、ヘイニーがリナレスを倒しに出てきた千載一遇のチャンスのラウンドだったのかもしれません。
中間距離での攻防は、ヘイニーのジャブがかなりやっかい。しかし、ヘイニーのハンドスピードも、初回と比べると落ちているはず、リナレスのここからの巻き返しに期待をしたいです。
8R、序盤にヘイニーの左フックがヒット。リナレスのパンチをかわしてのビッグパンチは、会場も大きくどよめきます。リナレスはかなりジリ貧、残り4Rをどう戦うのでしょう。
9R、ヘイニーの左は多彩です。ジャブもよく、左フックから左アッパーへのつなぎも滑らかで、角度、軌道も良い。おまけに手数もよく出て、回転力もあります。こんなに強いボクサーだと思っていませんでした。
終盤、リナレスもいくつかのクリーンヒットを奪いますが、ダメージを負わせることができているかは微妙。身体の柔らかいヘイニーは、ダメージを逃せているかもしれません。
10R、ここまで圧倒されると、ヘイニーがリナレスを倒せるか、というのが焦点になっているのかもしれません。そして、ヘイニーには逆転を狙えるほどの隙もないように思えました。
しかし!!!最終盤の攻防の中のリナレスの連打で、リナレスの左フックがヒット!終了ゴングが鳴ったものの、ヘイニーはふらつく素振り!リナレス!次のラウンドが勝負です!!
11R、明らかに効いている!ヘイニー!リナレスは大きなチャンス!!ヘイニーは時間を稼ぎます。なりふり構わずクリンチに逃げ、後半はやや回復したように見えましたが足元はふらつきます。ここは。。。残念ながらリナレス詰められず。見過ぎました。
ラストラウンド、回復したのかヘイニーは速く、強いパンチを振るってきます。リナレスは応戦し、そして右ストレートを当ててヘイニーを効かせます!しかしヘイニーは露骨なクリンチに逃げ、どうにかサバイブ。
ここでもリナレスはヘイニーを詰めきれず、終了のゴングを聞きました。
判定は、デビン・ヘイニーを3-0(116-112×2、115-113)の判定で支持。
判定は仕方ないでしょう。前半から中盤にかけて、試合を支配していたのはヘイニーでした。思ったより、ヘイニー寄りにはなっていませんでしたね。公正な採点でした。ただ、ホルヘ、本当に本当に惜しかった。
あの10Rがもし、もう少し時間があれば、とか、11R、12Rにもっと詰めきれていれば、ヘイニーにあんなサバイブ技術がなければ、とか、タラレバが止まりません。
ただ、この結果を持ってホルヘ・リナレスが、未だ力を残していることは明確です。
リナレスにはまだ、終わってほしくありません。何だったら、ヘイニーとの再戦も見てみたい。次は、もっと上手く戦えるはずです。もっともっと、あのスピーディな数多く打てるコンビネーションが出れば結果は変わったはず。
ヘイニー相手に3発以内のコンビネーションを当てるのは至難。5発6発と打っていけば、ダメージを与えられるパンチをいつか当てることができると思います。
後半、リナレスの逆転KO勝利を期待した私は、めちゃくちゃ身体に力が入ってしまって疲れました。リナレス、残念でしたが素晴らしい戦いでした。夢と希望をありがとうございました。
さて、勝利したヘイニーにはテオフィモ・ロペス(アメリカ)戦が待っているとか何とか。ヘイニーはほとんどもらわないですが、今回のように一発で効かされてしまうという弱点を露呈したことは、かなりのマイナスになるのではないでしょうか。
テオフィモの強打から逃げまくることしか勝機はないかもしれません。
ヘイニーは、前戦のガンボア戦でも評価を落とし、今回のリナレス戦でも最後の2ラウンド、情けない姿を見せて評価を落としたと思います。
今回のように露骨なクリンチを繰り返せば、ファンから見放されることも明白ですし、とにかく格好は悪かった。勝利への執念という意味で、それを否定するものではありませんが。
そのボクシング自体は見事ですし、1発2発どころか3発4発でもかわせるのかもしれませんが、一発でももらったら終わりというと、なかなか勝ち目は薄い。ここは、テオフィモ・ロペスの真の4団体統一に期待したいところです。