ShowtimeのPPV興行。
アメリカの人々は、49.99$というお金を払って、かつてのPFPキング、フロイド・メイウェザーJr氏とYoutuber、ローガン・ポール氏の茶番劇を見るとか見ないとか。(以下、両者ともに敬称略)
日本ではWOWOWが放送してくれるので、WOWOWの視聴料はかかるものの、普通に見れてしまいます。
ボクシングを汚すな、とか言うつもりはありませんが、だったらチャーロ兄の興行を、井上と時間がかぶりそうだけれども流してくれた方が良い。とか考えるのはボクシングフリークのみで、やっぱり衰えたとはいえ、有名なメイウェザーを見たい、というのが一般層の意見なのかもしれません。
ともあれ、ボクシング興行に注目が集まってくれることはいいこと。
知り合いからも「メイウェザーが試合やるんだ」とLINE。試合ではないよ、エキシビジョンだよと返信する気力も起きず、スウェーバックでかわしたまんま。
とはいえ、興味がないわけではないのがボクシングファンのややこしいところで、49.99$を払って見るものではないと思いつつ、WOWOWでちゃっかり視聴。
私はね、セミとかセミセミとかの方が注目なんですよ、という言い訳を自分の中で語りつつ、今回の興行はメイウェザーが「合法的な銀行強盗」と語り、噂によるとこのエキシビジョンで1億$もの巨額を稼ぐとされる一戦の観戦記です。
※6/8(火)AM2:00~WOWOWで放送があるようです。結果を知りたくない方はご注意ください。
6/6(日本時間6/7)
ミドル級10回戦
ジャレット・ハード(アメリカ)24勝(16KO)1敗
vs
ルイス・アリアス(アメリカ)18勝(9KO)2敗1分1NC
WOWOW中継とともにいきなり開始笑
まずはアグレッシブに攻めるのはアリアス。ボディジャブを多用するアリアス、近づいてはフックの乱打となかなかの手数が出ます。ただ後半にはハードのプレスに気圧されているように見えるアリアス。
2R、会場は大雨、横から雨が降りこんでリング上で滑るようですね。結構な時間をかけてリングを拭き、再開。
アリアスは番狂わせを狙い、かなりアグレッシブに攻め続けます。オーバーペース気味に見えるアリアスですが、ハードはケロリとして左ボディを突き刺します。
アリアスは眉間から出血、しかし終盤にハードは少し効いたか。
3R、序盤、ハードが右ボディアッパーをヒットしてアリアスを下がらせますが、アリアスは右オーバーハンドとフックを中心に、ヒットを重ねていきます。
ハードは少し固まる時間が長くなってきて、やや苦しい展開か。ハード、右目尻から出血。
4R、前半、ハードがプレスをかけ、アリアスは下がる展開に。ハードのショートの右がヒット。後半はまた近い距離で強いパンチを振るっていくアリアスですが、ハードは打たれても下がりません。
5R、接近戦での打撃戦。近い距離ではアリアスのほうが強いパンチを打てている印象です。ハードはもう少し距離を置いて、津おいパンチを打ち込みたいところ。
アリアスのこの近い距離での右オーバーハンド、これは脅威。
6R、続く接近戦、オーバーペースだったアリアスはやや疲れてきたか。ハードも疲れはあるものの、やはりフィジカルが強く、アリアスを押していきます。
7R、このラウンド、ハードのローブローで2度、時間が止まります。アリアスは休む口実を得ているようにも見えます。
8R、ハードは動きは若干良くなってきていますが、ここでまたもアリアスの右オーバーを被弾。左ガード上げたほうが良いのではないでしょうか。
9R、またも滑っての中断。その再開後、ハードのかすったような右ストレートでアリアスがダウン。滑ったのも相まって、アリアスとしては不運なダウンではありましたが、環境を味方につけたハードが奪ったダウンではあります。
だづんからの再開後、猛烈な勢いで攻めるアリアス。このボクサーのハートはどうなっているのか。
ラストラウンド、もうスタミナもいっぱいいっぱいだと思いますが、アリアスは勝利を目指して果てしない前進。足を止めての打ち合いでは、アリアスの右オーバーハンドが有効。そこから右アッパーもクリーンヒット、ハードはかなりきつそうです。
それを見たアリアスはこうの最終盤に来ても元気、もしかすると金星なるかもしれません。
最終ラウンドのゴング後、思い切り打ったハードの右で膝をついたアリアスでしたが、これはゴング後という判断。
判定は、スプリットの判定でルイス・アリアス!!!!
元王者でおそらくAサイドだったハードにやや有利な判定に思いましたが、勝者はアリアスです。特に前半、ポイントをピックアップしたのが大きかったかもしれません。
コロナショックによるブランクの影響か、ハードは動きが緩慢に見えましたね。後半の盛り返しを期待しましたが、前半からパンチをもらいすぎたからかその追い上げも失速。自らのフィジカルを、タフネスを信頼しすぎたためなのか、期待外れの結果となってしまいましたね。この出来では再浮上は難しいかもしれません。
ハードは復活ならず。残念ですが、これがボクシング。ウィナー・テイクス・オール、アリアスの今後に期待です。
。。。一番最初に、一番注目の一戦が終わってしまった事実。
ライトヘビー級10回戦
バドゥ・ジャック(スウェーデン)23勝(13KO)3敗3分
vs
デルヴィン・コリナ(ベネズエラ)15勝(13KO)無敗
2階級制覇王者、バドゥ・ジャック「ザ・リッパー」!無敗のデルヴィン・コリナを迎えます。
初回、積極的に前にでるのはジャック。ジャブを突きながらススっと距離を詰め、コリナはステップを踏みながら時にコンビネーションで対抗。後半、ジャックの飛び込みざまの左フックがヒット。コリナは少し飲まれている感じもします。
2R、やはり先手はジャック。まっすぐな、美しいジャブを打ちます。コリナはカウンターを打ちますが下がりながら&後ろ荷重で、タイミングは合ってきているものの、あまり怖さがありません。
終盤、度重なるホールディングでコリナが減点。
3R、展開は変わらず、攻めるジャック。コリナは右カウンターを狙いますが、逆にジャックのカウンター。
またもホールディングでコリナは減点、セコンドにも注意が出ます。
終盤、コリナが攻勢に出る場面もありましたが、このラウンドもジャック。
4R、開始早々、ジャックのコンビネーションでコリナはダウン。ジャックはかなりやりやすく、立ち上がったコリナに今度はボディでダウンを奪います。
あとはジャックは仕留めるだけ、コリナはまたもクリンチに逃げます。
フラフラ、逃げの一手、そしてクリンチのコリナ、終盤に右カウンターをヒット。そして攻め込みますが、ジャックの右ボディを打たれ、またもダウン。
スリーノックダウンルールの適用により、バドゥ・ジャックの4RTKO勝利。
デルヴィン・コリナ。ちょっとやる気があったのかなかったのか、前試合に登場したルイス・アリアスがアップセットを起こす気満々で臨んでいたのに対し、何をしにきたのかわからない感じでしたね。
急遽の代役、階級も普段より1階級上で戦わざるを得なかったとのことですが、いずれにしろ大チャンス。もう少し、気合の入ったところを見せてもらいたかったです。
ジャックにとっては少々フラストレーションがたまった一戦だったとは思いますが、2017年8月ぶりのTKO勝利。反則勝ちとかにならなくてよかったですね。
スペシャルマッチ8R
フロイド・メイウェザーJr(アメリカ)
ex
ローガン・ポール(アメリカ)
この一戦の最も注目されるべきところは、その体格差。現役時代、決してミドル級に足を踏み入れなかったメイウェザー(以下、敬称略)は、この体重制競技のもつ「大きい方が強い」という当たり前の図式を、誰よりも分かっていたのではないでしょうか。
自身も、スーパーフェザー級から世界王座をスタートし、階級を上げていくことでスタイルチェンジを余儀なくされた過去があり、ウェイトの大切さを知っているはずです。
しかし、今回の相手、ローガン・ポールは大きく、身長で15cm、計量時の体重差でなんと15kg以上。メイウェザーはリバウンドはないと思うので、当日の体重差は果てしない。
真剣なボクシングファンからは「お遊び」と揶揄され、様々な妬みもあるのでしょうが、こういうリスクを背負って、注目を上げるやり方はメイウェザーならではであり、その偉業が為せる業。自分自身のプロモート、という点において、やはりメイウェザーは格が違うと思わせられます。
WOWOWの解説を聞くと、ローガン・ポールはレスリングで輝かしい成績を残しているようですね。確かに、素人には作れない体つきをしています。そして、ボクサーとしては何者でもないこのポールが、メイウェザーと同じリングに立つ、というのはまさに快挙。別に応援はしませんが。
初回、やっぱりとんでもない体格差。メイは大きく距離をとって様子見、基本的には距離でパンチを外していきます。終盤、雑に攻めたポール、メイウェザーはガードでしのぎます。
2R、この体格差なので、メイはガードをあまり使わないほうが得策ではないかと思います。ガードの上からでもかなり危険な感じがしますね。ただ、距離と上体の動きでポールの攻撃のほとんどをさばいて見せます。
3R、近い距離になり、もみ合いの展開。これは体格差がありすぎてしまいますが、メイは私の予想に反してガードを高く掲げてプレス。ポールのパワーは大したことがない、と分かったのかもしれません。ただ、ポールは身長が高いため顔面が遠く、リーチがあるので距離が遠い。
それでもメイは右アッパーのカウンター、左フックのカウンター等のクリーンヒットを奪います。
4R、ポールを見切ったのか、メイはしっかりとプレスをかけていきます。大きく体格で勝るポールですが、じりじりと下がります。中間距離でもポールのパンチは空を切ります。メイは距離感をつかんだのか、次々とカウンター。
どうでも良いですが、このローガン・ポールもなかなか反応は良いですね。
ただ、随分と疲れてきているポール。
5R、やっぱりメイウェザーの現役時代とは比べるべくもありませんが、随所にメイらしさが詰まっています。このラウンドはノーガードですたすたと歩いて距離をつめ、相手が打ってきたらひょいひょいとかわす。そしてカウンター。エンターテイメントの中にらしさを見せる、さすがです。
6R、近づいたらひたすらクリンチのポール。メイは左ボディを中心に少ない手数ながらパンチを振るいます。完全な省エネボクシング。
7R、ポールはもう両腕が下がり、息も絶え絶えですが懸命に手を出します。しかしやはり疲れているポールは、またもクリンチ。
ラストラウンド、だけに少々元気になったポール、勢いよく攻める場面もありますが、体ごと突進してやっぱりクリンチ。メイの両腕を抱えて、ロープに押さえつける場面も。これはお粗末。
何も起こらない8ラウンズ。これで100億円以上を稼いだメイウェザー。
何かを期待したわけではありませんが、49.99$も払ってこの試合を見なくてよかったですね。それでも気になっていたとは思うので、WOWOWさんありがとう。
メイのインタビュー
「ポールはタフだった。見に来てくれた皆さん、PPVを買ってくれた皆さん、ありがとう。自身も楽しかったし、見てくれたファンが楽しんでくれたなら良かった」
優等生か。
ポールのインタビュー
「世界最高のボクサー相手にここまでやった。やればできる。光栄でした。ありがとう。人生における最高の瞬間だ。メイウェザーはすごい人だ。メイウェザーはまだ年を取っていない。」
ブーイング浴びていましたがハイテンション。
とりあえず、メイはただの金稼ぎであり、ポールは8R立っていることが目標だったと。あくまでもエキシビジョン、それで良いとは思いますが、こういうエキシビジョンがボクシングの主流にさえならなければ、たまには良いのかもしれません。
マイク・タイソンexロイ・ジョーンズJrの時にも思いましたが、往年の動きを少し見せてくれるだけでも価値はあります。
なんだかんだで注目を集めるメイウェザーはさすがですし、ボクシングにも注目が集まってよかった。
まあ、この日のMVPはジャレット・ハードを番狂わせで破ったルイス・アリアスですが。