6/12(日本時間6/13)、ここからトップランクの3週連続興行が始まります。
1週目にシャクール、2週目に井上、3週目にロマチェンコvs中谷と、個人的な見解を言うと週を追うごとに注目のマッチアップとなっていきますね。
セミセミにシャクール、セミに井上、メインはロマチェンコvs中谷。
日本のボクシングファンにとって、この上なく楽しみなこのトップランク興行、井上vsダスマリナス、ロマチェンコvs中谷はWOWOWが中継してくれますが、シャクールの放送はなし。
なのでESPN+を契約し、シャクールvsナカティラを視聴。仕事のため、リアルタイムでは見れなかったので、情報遮断の上帰宅してディレイ視聴。すぐに見れるあたりは本当にありがたい。時はRIZINが地上波で流れているその最中。。。私はESPNをディレイ視聴。(終わってから今日がRIZINだったと気づく)
ということで、今回のブログでは、トップランクの注目興行、シャクール・スティーブンソンvsジェレミア・ナカティラをメインに据えた興行の観戦記です。
↓プレビュー記事
アンダーカードもしっかり見れるESPN、ザンダー・ザヤス(プエルトリコ)vsラリー・フライイヤーズ(アイルランド)も視聴。
8勝(6KO)無敗のプロスペクト、ザヤスと、11勝(4KO)3敗というフライヤーズ。
ザヤスは大きく、パワフル。ボクレコを見るとザヤス178cm、フライヤーズ173cmとありますが、もっと大きく見えます。まだ成長せいているかもしれませんね。
ジャブもよく伸びて、打ち下ろす右も恐ろしいものです。2Rの終盤には、フライヤーズのワンツーの打ち終わりに左フックカウンターをヒット。巧さもあります。
ややラフに攻めてくるフライヤーズに対して、ディフェンス面はまだもう少しといったところですが、パワー、スピード、テクニックが高いレベルで融合しているボクサーですね。リーチがあり、背中周りも柔らかく、肩幅もあるためフックも非常に遠くに届きます。
この試合は、3RにパンチをまとめたザヤスがTKOで勝利。非常に楽しみなプロスペクトですね。最後に見せたコンビネーションは、素晴らしかったです。
セミファイナル スーパーライト級10回戦
ホセ・ペドラサ(プエルトリコ)28勝(13KO)3敗
vs
ジュリアン・ロドリゲス(アメリカ)21勝(14KO)無敗
元2階級制覇王者ペドラサに、プロスペクト、ジュリアン・ロドリゲスが挑む一戦!世界戦線に浮上するのはどちらか。
パワー溢れるロドリゲスを、ペドラサが完封してくれることに期待。
初回、積極的にパンチを放って前進してくるのはロドリゲス。ペドラサはステップと柔らかい上体の動きでロドリゲスとの距離をキープ、美しいジャブを差し込んでいきます。
もっと突進してくるかと思いましたが、ロドリゲスもやや慎重。距離が近くなればワイルドなパンチを振るっていきますが、初回はペドラサが中間距離でフェイント、ジャブ、そしてカウンターを狙う素振りを見せています。
2R、ペースを上げたロドリゲス。初回よりもスピーディで、アグレッシブ。しかしそこはペドラサも同じ。ペドラサが止まってしまった時のロドリゲスのフックは危険、ペドラサは常に動き続けたいところです。
ただ、ペドラサはディフェンスもよく、クリーンヒットはほぼなし。対してペドラサのジャブやストレートはロドリゲスに浅くながらヒットしているように見えます。
3R、ロドリゲスの、特にフック系のパンチは非常に脅威ではありますが、近い距離ではペドラサはしっかりとガード。ペドラサはリズムよくコンビネーションを放っていき、ロドリゲスはガードを固めてしまう場面も目立ちます。
特に手の届く距離でペドラサと見合ってしまう場面は、ロドリゲスにとってはいただけません。
4R、よりリズミカルになってきたペドラサ。打っては引き、ロドリゲスの攻撃は受け止めず、流す。まるで柳のようです。
5R、ゴング開始と同時にロドリゲスが攻めます。が、やはりいなされます。スピード、パワーともにロドリゲスの方がありそうですが、ペドラサはタイミング、そしてスムーズさとモーションの少なさ、パンチのアングルで対抗。
このラウンドは鋭い踏み込みを見せるロドリゲスのパンチのいくつかがペドラサにヒット。ペドラサとしては、余裕を持ちすぎず集中したいところです。
6R、サウスポーでスタートしたペドラサ。先程のラウンドからですが、こちらの方が闘い易いのでしょうか。ロドリゲスを見ると、左目の下付近が腫れてきており、ここにジャブを当てていこうという作戦かもしれません。
これまでのように足でかわさず、ガードでしっかり受け止めて打ち返す姿を見ると、ペドラサはロドリゲスのパワーを見切ったのかもしれません。
7R、サウスポースタンスからの右ジャブも良いペドラサ。しかしロドリゲスもこのラウンドはがんばります。前に出て左右のフック、やはり回転は速い。しかしなかなか攻めきれないのは、ペドラサの巧さでしょう。
8R、このラウンドは開始早々、ペドラサがプレス。サウスポースタンスからジャブを当て、ストレートをボディへ。ロドリゲスは下がることが多くなっていきます。
ロドリゲスのガードを割ってペドラサのパワージャブが入ることもあり、ロドリゲスはかなり苦しいかもしれません。
9R、、、と思いましたが、8R終了後にロドリゲスが棄権。左目の腫れにより、戦意喪失でしょうか、それとも何か問題が起こったのでしょうか。
ホセ・ペドラサ、8R終了TKO勝利!
全く!危なげないボクシングを展開しました、ホセ・ペドラサ。コツコツと与えたダメージにより、無敗のプロスペクトを棄権に追い込んだペドラサ、やはり素晴らしいボクシング。
若きボクサーに、まさに「ボクシング・レッスン」を施したともいえる一戦でしたね。
ペドラサのボクシングは、ダーティなところもなく正統派、そしてインテリジェンスも非常に高く、本当に参考になるボクシングです。試合終了後のペドラサの顔を見てもきれいなもの、ハードパンチャーのロドリゲス相手にもほとんどダメージを受けていませんね。
いや〜、これはペドラサファンの私にとっては気持ちの良い勝利!(ちなみに、私がペドラサを強く好きになったのは、飯田覚士さんのジム、「ボックスファイ」でビジターとして練習させてもらった時に、飯田さんから「ペドラサのようだ」と言われたことに端を発しています。人間というのは単純です。)
WBO世界スーパーフェザー級暫定王座決定戦
シャクール・スティーブンソン(アメリカ)15勝(8KO)無敗
vs
ジェレミア・ナカティラ(ナミビア)21勝(17KO)1敗
未来のPFP候補、第二のメイウェザーとも言われ、非常に評価の高いシャクール・スティーブンソン。「試合ぶりはつまらない」とも言われがちではあるものの、今回の計量時の身体つきを見るとみるみるスーパーフェザー級にフィットしてきており、「今回はなにか違うのでは?」と思わせてくれました。
さて、このシャクールが、アンダードッグでもあるナカティラにどのような闘いを見せるのか。
初回、双方ジャブをつきつつ様子見のラウンドです。シャクールは中盤、鋭い踏み込みの左ストレートを見せます。ナカティラは手足の長いオーソドックス、身体能力は高そうで、強振してくる場面もあり、この鋭い右フックはシャクールも気をつけたい。
このラウンド終了後のインターバル、ナカティラがイスに上手く座れず、ちょっとコケる。これがわざわざスロー映像で流されるという。。。ちょっと可愛そう。
2R、互いになにかを狙っているのか、アクションの少ないラウンド。これはなかなか噛み合わない。。。ともにスピードがあり、両者が交錯する一瞬はスリリングですが、その数はあまり多くはありません。
3R、ナカティラがこの状況を打破しようとしているのか、積極的にジャブを突きます。しかし当たるのはリーチに劣るシャクールのジャブであり、危険なのはシャクールの左オーバーハンド。
ナカティラはラッシュを見せる場面もありますが、その打ち終わりにシャクールの右フックがヒット、それでもナカティラは行くしかありません。
4R、ナカティラを待ち構えるシャクール、ナカティラのは入り際に左ストレートをヒット。ナカティラはこの左をこそ外し、攻め込みたいところではありますが、シャクールはリングの使い方が非常に上手い。後半には自ら攻める場面もつくり、シャクールは攻勢をアピール。終盤にはナカティラの入り際に今度は右フックをひっかけ、ダウンを演出します。
ここはすんなり立ち上がり、ダメージはなさそうですが、ポイントはどんどん開いていく印象です。
5Rも展開は変わらず、慌てず騒がず下がりながら戦うシャクール。そのシャクールを崩せないナカティラ。試合はシャクールのペースで進み、ナカティラは打開策を見いだせません。
6R、シャクールは左ボディストレートを多用。サウスポーの左ボディというのはオーソドックの選手に非常に有効で、上手く入ればしっかりとみぞおちに強いパンチを入れられます。そこを意識させておいて上、というのが定石。
前の足と足がぶつかるくらいの距離の中での攻防は、やはりシャクールの方が秀でています。
7R、このラウンドもシャクールがほぼ完璧にナカティラを支配。ナカティラは強引に踏み込んで右を浅くヒットしますが、それ以外はほとんど何もできず。
8R、当てて避ける、シャクール。序盤、前に出てラッシュをしかけ、ナカティラを下がらせます。しかしナカティラも意地を見せ、終盤にはチャージ。
9R、もうここまで来ると、感想は一つ。「眠くなってきた」です。シャクールらしいとも言うべきか、シャクールが支配しつつも果たしてノックアウトを狙っているか、というとそうではない、この一戦は、このまま終盤を迎えることになるのでしょうか。
10R、ナカティラ、強引に攻めれば右ストレートが当たります。しかしそれだけ。そしてボクシング大好きな私ですが、ナカティラやシャクールよりも強敵の睡魔との闘いに敗れ、1分ほど寝落ち。オンデマンドってありがたい、少し巻き戻して見ました。
11Rも特に変わりなく、淡々と時間が過ぎていきます。私も目を開けているのに必死です。
ラストラウンド、お客さんは入っているのに盛り上がってはいない会場、ナカティラはバンザイアタックしか残されていないと思われますが、行かない。行きたくても行けないのか、それとも行く気がなく、12R終わるまで立っているということが目標となっているのか。
もしナカティラを応援していたら、非常に口惜しい展開が続く規定の12Rを終了し、決着は判定に。
スコアは3者ともに120-108フルマークで、シャクール・スティーブンソンを支持。
正直力の差がありましたし、点差には納得ですが、それにしても物足りない。これがシャクールだ、という安全運転なボクシングは、今回は際立って「おもしろくなかった」です。
う〜ん、これでいいのか、シャクール。「つまらないボクシング」なんてない、と思っているのですが、これを見てしまうと意見を覆したくもなります。
見習うべきところはありますし、打ち合いやノックアウトがすべてではありませんが、地力の違いすぎるこのアンダードッグをして、あの安全運転はさすがにないな、と。
サイズはナカティラの方が大きく、意外とシャクールもやりにくかったのかもしれません。そう考えると、vsヘリングだと、どうなるのでしょうか。
ヘリングが前戦、フランプトン戦のようなパフォーマンスをシャクール相手にも発揮できるのであれば、今日のような消極的なシャクールには勝利できるのではないか、とすら思います。
シャクール・スティーブンソン。世界が認める才能は、もっともっと高みへ登るべきだと思います。もしかすると、そのためには何か試練が必要なのかもしれません。