7月も本当に注目試合だらけ。
国内戦は毎週のように素晴らしいマッチアップが続きますし、海外戦も楽しみな試合だらけです。しかし、最も楽しみにしていたタイソン・フューリーvsデオンテイ・ワイルダーのラバーマッチは延期。
楽しみが減ったというよりは伸びた。
テオフィモ・ロペスvsジョージ・カンボソスJrの一戦は、結局10月開催と噂されていますが、オーストラリア開催が検討され、それにロペスが難色を示しているのだとか。
マニー・パッキャオvsジェフ・ホーンの例があるからかもしれませんね。日本人的にはファイティング原田vsジョニー・ファメンションというのもあります。(古すぎ)
話がそれましたが、フューリーvsワイルダーがなくなっても、今月はもう一つのビッグマッチ、ジャーメル・チャーロvsブライアン・カスターノの一戦があります!
今回のブログでは、意外と話題になっていないような気がするこのスーパーウェルター級の4団体統一戦について書いていきます。
↓7/20までの国内戦の注目試合!
7/17(日本時間7/18)
WBAスーパー・WBC・IBF・WBO世界スーパーウェルター級タイトルマッチ
ジャーメル・チャーロ(アメリカ)34勝(18KO)1敗
vs
ブライアン・カルロス・カスターノ(アルゼンチン)17勝(12KO)1分
チャーロ兄弟の弟、ジャーメル・チャーロが4団体統一戦に臨みます。このチャーロ弟、デビュー当初は技巧派というイメージが強く、それは最近までそうだったと思うのですが、ここ最近はパワーもついてきている印象です。
2007年プロデビューしたチャーロは、連勝街道をまっしぐら、2016年にWBC世界ウェルター級王者、ジョン・ジャクソン(アメリカ)に挑戦し、8RKOで世界タイトルを奪取しました。
初防衛戦でチャールズ・ハトレイ(アメリカ)を6RKOで退けたチャーロは、2度目の防衛戦で当時無敗の大型プロスペクト、エリクソン・ルビンを迎えました。
圧巻だったのはこのルビン戦。
評価の高いルビンを、なんと1RでKO。
新鋭をあっという間に切って落としたチャーロの3度目の防衛戦は、ベテラン、オースティン・トラウト(アメリカ)。このトラウト相手に2度のダウンを奪うも倒し切ることはできず、判定勝利。ただ、評価の落ちるような内容ではなかったと思います。
そして4度目の防衛戦、トニー・ハリソン(アメリカ)を迎えたチャーロでしたが、ここでまさかの初黒星。充実のチャーロ、圧倒的優位かと思いましたが、ジャッジは3-0でハリソンを支持。ただ、この判定は多くの人が疑念を抱く判定であり、翌年、再戦が組まれます。
調整試合でホルヘ・コタ(メキシコ)をノックアウトして再起したチャーロは、このハリソンとの再戦を11RKOでリベンジ。見事王座に返り咲きます。
そして前戦で2団体統一王者のジェイソン・ロサリオ(ドミニカ共和国)との3団体統一戦に臨み、3R、ロサリオにボディジャブを突き刺してKO、3団体統一王者となりました。
チャーロvsロサリオ観戦記
ジャブに秀でるストレートパンチャーよりのボクサーで、ジャブを当てる技術があり、フィジカルも強い。今は結構穴の少ないボクサーになってきています。
ハリソン第一戦をなかったことにすると(私の見た感じでも普通にチャーロの勝利でした)、チャーロは世界タイトル戴冠以来、ここまで情けない試合はしていないように思います。
そして前戦、前々戦と良いパフォーマンスを披露したチャーロは、死角もないように思います。
そしてチャーロが保持していない、WBO王座を保持しているブライアン・カルロス・カスターノ。
元トップアマのカスターノは、2012年にプロデビュー。2016年にWBA暫定王座決定戦を闘い、6RTKO勝利で見事初戴冠。この暫定王座は、のちに正規王座に昇格、通算3度の防衛に成功しています。
3度目の防衛戦がエリスランディ・ララ(キューバ)との一戦で、そこで引き分け。ただ、この一戦はカスターノの勝利を支持する声も多かったようです。
その後、興行のゴタゴタでこの王座を返上したカスターノは、パトリック・ティシエイラ(ブラジル)の持つWBO王座へ挑戦。
カスターノvsティシエイラ観戦記
身長171cmとこの階級で小柄なカスターノは、接近戦でティシエイラを飲み込んでいき、豊富な手数と無尽蔵なスタミナ、そして強固なフィジカルと強靭なハートを武器に12Rずっと手を出し続け、ほぼフルマークの判定勝利。
そしてこの王座の初防衛戦で、4団体統一戦を迎えます。
このブライアン・カスターノ、幼い頃から「食うや食わず」という生活を強いられ、底から這い上がって拳ひとつで今の地位をつくりあげたとも言えるボクサーだそうです。
現代において、稀にみるハングリーそのもののボクサーの一人であり、こういうドラマティックなボクサーは応援もしたくなりますね。
しかし、相手があのチャーロ。これはカスターノにとってかなり厳しい闘いとなると思います。
順当にいけば、おそらくチャーロが有利なのでしょうが、カスターノの持ち味はやはりその攻撃にあります。身長にして10cm以上違う両者だけに、逆にカスターノが中に入ってしまえば闘いやすく、そしてストレートパンチャーのチャーロにとっては中に入られれば闘いづらいと思います。
なので、ジャブやストレートで突き放しにかかるチャーロ、中に入ってノンストップ連打を繰り出したいカスターノ、というわかりやすい構図。そして中に入ったところで、チャーロがクリンチワークをするか、アッパー等のコンパクトなパンチで迎え撃つのか、というところ。
チャーロとしてはストレートの距離で釘付けにできるのが一番良いと思うのですが、カスターノの突進力は侮れず、あとはどれくらい近い距離での時間ができるか、というところです。
よくある構図といえばそれまでですが、それが世界のスーパーウェルター級最高峰の戦いで見れる、というのはこんなに楽しみなことはありませんね。
カスターノには勝ってもらいたい。チャーロには負けてほしくない。ただ、ドローは嫌だ。どちらも頑張れ。こういう純粋にボクシングだけを楽しめる試合が、一番楽しみなのかもしれません。
セミファイナル
WBA世界ライト級暫定タイトルマッチ
ロランド・ロメロ(アメリカ)13勝(11KO)無敗
vs
オースティン・デュレイ(アメリカ)14勝(10KO)2敗
ライト級プロスペクト、ロランド・ロメロの初防衛戦。とはいっても暫定王座であり、2020年8月の戴冠戦はジャクソン・マリネス(ドミニカ共和国)を相手に判定勝利、ただ明白に圧勝という内容ではありませんでした。
そこから調整試合(7RTKO勝利)を挟み、今回の一戦に臨みます。
私のロメロ評としては、パワーや身体能力は素晴らしいものがありますが、やや単調で技巧派というボクサーを相手にするとやや相性が悪そうに感じます。
このオースティン・デュレイというボクサーが如何ほどかはわかりませんが、KO率を見るとパンチはあるのかな、という感じでしょうか。ロメロにとっては、相手が前に出てきてくれるのであればやりやすいでしょう。(但し、超接近戦となった時にはまだ未知数だと思います)
ともあれ、未来のために、こんなところで足踏みはしていられないロメロ。ここは快勝し、是非ライト級トップ戦線に食い込んでいってもらいたいボクサーです。
セミセミ
アミルカール・ビダル(ウルグアイ)12勝(11KO)無敗
vs
イマヌウェル・アリーム(アメリカ)18勝(11KO)2敗2分
放送はこの試合からのようですが、アミルカール・ビダルの登場です。ウルグアイのミドル級ボクサーは非常に珍しい(BoxRecには一人だけ)ですが、このビダルは非常に素晴らしいパンチャーです。
早い回でのノックアウトが非常に多く、11KOのうち1Rか2Rの決着が10回。詰めの連打がスムーズで、ガードを固める相手に対して的確なパンチを振るっていきます。
自ら攻めて試合を終わらせることができるボクサーで、直近の3戦は無敗の相手を1R→1R→2Rと早い回で仕留めています。
今回も早い回でのノックアウトが期待できますね。
ということで、チャーロ弟vsカスターノのスーパーウェルター級4団体統一戦をメインに据えた、PBC興行のプレビュー記事でした。この興行は、WOWOWで生中継。
最近知ったのですが、今は衛星放送を受信できる環境(又はケーブルテレビを引いていなくても)WOWOWとの契約が可能なんですね。オンデマンドのみでの契約も可能だそうです。
この楽しみな興行、WOWOWでみましょう。
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