信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】重岡銀次朗vs川満俊輝のWBOAP戦、宇津木秀vs中井龍の無敗対決!

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今週末、アメリカではスーパーウェルター級の4団体統一戦が行われる予定ですが、この一戦はあまり話題となっていない気がします。

勿体無いですね。

さて、国内興行は注目試合が盛り沢山、7月は大注目のフューリーvsワイルダーがなくなったこともありやはり国内戦ですね。

今回のブログでは、7/14(水)に行われたWBOアジアパシフィック・ミニマム級タイトルマッチをメインに据えた、DANGAN&WATANABEの共同プロモート興行の観戦記です。

 

 

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7/14(水)DANGAN&WATANABE

セミファイナル ライト級8回戦

宇津木秀(ワタナベ)8勝(7KO)無敗

vs

中井龍(角海老宝石)2勝(1KO)1分

ワタナベジム期待の宇津木、プロ9戦目。そろそろタイトルを視野に入れて戦っていきたい宇津木としては、ここは完勝したいところ。

中井はフィジカルの強いファイタータイプ、この中井の前進を宇津木は止められるか。

初回、まずはサウスポー中井が大きくサークリング。もっとグイグイ行くかと思っていたら、意外な立ち上がり。リングを大きく使って、大きくかわし、大きく踏み込む中井は、宇津木を大きく警戒しているのでしょうか。

遠い距離でも的を絞らせず、ガードを高く掲げて頭を振る中井、宇津木はかなり闘いづらそう。時折宇津木は得意のキレイなワンツーを繰り出しますが、中井はサイドへまわりかわします。

ラスト10秒の拍子木が鳴ったところから、中井は突然のラッシュ。迎え撃った宇津木ですが、ここでなんと中井の左がカウンターでヒット!腰がくだけた宇津木に中井は追撃、ラウンド終了のゴングと同時にダウン!!

波乱の展開です。

 

2R、中井はヒットアンドアウェイの姿勢を崩さず。宇津木は先程のラウンドを挽回したい思いから、プレスを強めます。非常にスタンダードな、王道ボクシングの宇津木ですが、対して中井はやや変則。時折、中井のジャブが良いタイミングで入ります。

宇津木、決してサウスポーが苦手なようには見えませんが、中井は宇津木を翻弄しているように見えます。

3R、いよいよプレスを強める宇津木、ボディを攻撃の起点と考えているようです。中井のジャブは宇津木のジャブに引き際にあわせて、また左ストレートは数発連続で打ち、そのタイミングも独特。

4R、どこかで良い場面をつくりたい宇津木ですが、中井のジャブが当たります。しかしそれは序盤のみ、中盤以降は宇津木の重厚なプレスで中井が追い詰められ始めているように思います。接近戦でもコツコツとパンチを放つ宇津木、中井のは入際にボディへの右アッパーも有効。

 

ただ、中井のサイドステップへの対応はやや遅れ、追い足の少なさが少々目立ちます。

5R、やはりラウンド序盤、中井のジャブがヒット。やや距離が近くなったように感じるこのラウンドは、もみあいの展開も多くなります。遠い距離から左ストレートを打ち込みながら入ってくる中井ですが、これはもう宇津木に読まれています。

6R、宇津木のボディショットは効果的に見えますが、もっと強引に行ったほうが良いのではないでしょうか。接近戦でも中井は頭の位置が強かで、サイドステップも良く出来ています。

ただ、このラウンド後半、近い距離での宇津木の右がヒットし、中井はやや腰を落としたように見えました。

7R、宇津木、中井ともにかなり疲労が溜まってきているかもしれません。途中、宇津木は左フックを強振してそのまま膝をついてしまう、という場面が見られました。

こうなるとややガード面で雑になり、とりわけ打ち終わりはお互い気をつけたい。頭が近い分、バッティングの可能性もあります。

 

ラストラウンド、最後の気力を振り絞って前に出る宇津木、何とかそのハードパンチを受け流そし、自らのパンチを当てようとする中井。しかしここで、宇津木のボディでとうとう中井が腰を折ります。その後ラッシュ、ボディを中心に叩き続ける宇津木。頭を下げてでも追撃をかわし、何とかサバイブする中井!

白熱の試合展開、そして会場の声援が拍手となって会場を包んでいます。

鳴り止まない拍手は、いったいどれくらいの時間、続いたのでしょうか。。。

最後の最後まで死力をつくした二人のボクサーは、拍手に包まれて規定の8Rを終了。終了ゴングと同時に中井が足を滑らせ、膝をつきますがこれはスリップ。

 

判定は、76-75×2、77-74で宇津木。個人的には僅差で中井かと思いましたが、中井のジャブはあまり評価されず、宇津木のボディと攻勢点にポイントが振り分けられた感じなのでしょうか。

宇津木は「内山高志の後継者」と目されており、個人的には応援しているボクサーです。今回、薄氷の勝利ながら戦績に傷がつかずほっとしてはいるものの、これはちょっと中井が気の毒な結果にも思います。

何にせよ、両者の今後に期待。特に宇津木は、今回勝っても悔しい思いをしたと思うので、是非、ここから奮起してもらいたいですね。

 

WBOアジアパシフィック・ミニマム級タイトルマッチ

重岡銀次朗(ワタナべ)5勝(4KO)無敗

vs

川満俊輝(三迫)6勝(3KO)無敗

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世界王者を嘱望される、重岡ブラザーズ。先にプロ入りした弟・銀次朗は既に世界主要4団体で世界ランク入り(10位前後)を果たしています。

対して川満はB級デビュー、前戦では階級上の安藤教祐(KG大和)を1Rで倒し、存在感をアピール。最軽量級において、最も旬なファイターの一人だと思います。

ミニマム級という階級において、破格のパンチャー同士の一戦は、KO決着必至の好試合を予想させるものですね。

果たして、ゴング。

先に仕掛けるのはオーソドックスの川満。頭を振って距離を詰め、フックを打ち込んでいこうという展開。サウスポー、重岡はステップでかわし、サークリング。ジャブから強烈な左ストレートをボディへ、前手はフック、アッパー等多彩。

近い距離での攻防では体制を低く構え、遠い距離ではややアップセットに構える重岡は、かなりオールマイティーなボクサーです。

 

対して川満は、とにかく近づいてからが勝負。強引にプレスをかけていく様は、オキナワン・ファイターを体現しています。

ともにパワーパンチを打ち込み続ける、目の離せない初回が終了。

2R、重岡はステップを踏み、迎撃の構え。鋭いジャブを突き、距離で外すというボクシングに切り替え。近い距離では力いっぱい打つというよりも素早いコンビネーション、「1」という呼吸でワンツースリーまで返します。この選手は本当に何でもできるし、いくらでも闘い方を変えられます。

ここで、重岡の相手を止めるような左ストレートから右フックが川満の顎を捉え、川満はダウン!ダメージがありそうな川満ですが、ガードをかためて前進、気持ちは折れません。

しかし、ダメージから出足の鈍くなってしまった川満に対して、重岡はスピードのあるパンチで襲いかかります。

ここで重岡は右フックでカウンターを取り、ぐらついた川満に左フックをフォロー。そのパンチを被弾した川満に対して、レフェリーが割って入ってストップ!!!

 

重岡銀次朗、2RTKO勝利!

素晴らしい隙のないボクシング。初回、川満に付き合って接近戦を受けてたったことを、セコンドからたしなめられたのか、2Rには闘い方を変更。

それでも重岡のボクシングは非常にまとまっており、離れてよし、近づいてよしというボクシングの幅と、作戦実行能力というボクシングIQを感じさせるものでした。

とにかく、このミニマム級でこのパンチングパワーは異常。

ダウンを奪った右フック、サウスポースタンスから左で誘って右フックをまわすというコンビネーションは、かつて長谷川穂積氏が得意だったコンビネーションですね。重岡の場合、左で誘うというよりも左で相手に狙いをつけて、右フックを回した感じでしたが。

 

あのダウンで終わってもおかしくなかったですが、川満は立ち上がり、その根性を示しました。俗に言う「あららがま魂」というものは、この試合でもしっかりと見せられたのだと思います。

「実力差があった」と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、現状、重岡銀次朗の相手になるボクサーは日本にはほとんどいませんし、だからこそ1年半、相手が見つからなかったのかもしれません。重岡は、ここでようやく初めて、日本人選手との対戦でした。

日本王者、谷口将隆(ワタナベ)は同門であり、OPBF王座は空位。

あとはもう、世界へ打って出るだけなのではないでしょうか。小浦翼(E&Jカシアス)、田中教仁(三迫)、そして銀次朗の兄、優大(ワタナベ)。

 

世界を見据える面々は、今日のこの試合をどう見たのでしょうか。

日本のお家芸ともいえる、このミニマム級の世界王座は、地域タイトルを手にすればもう目と鼻の先。そこに大きな壁があって、跳ね返されてしまうのかもしれませんが、この重岡はきっとやってくれるはず。個人的には世界へはゴーサイン、そして山中竜也以来のミニマム級王者誕生は、すぐそこだと思っています。

 

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