WBC世界ライトフライ級王者、寺地拳四朗(BMB)のコロナ陽性反応により、延期となっていた一戦がはやくも日程決定。
9/10(金)から9/22(水)に日程を移し、場所、アンダーカードはそのままで行われます。
第一報の時から、すでに「9月中」という延期日程の予定だったそうなので、ある意味予想通りではあります。
コロナ罹患とはいえ、症状はなかったのでしょう、拳四朗は自宅での健康観察期間を経て9/6(月)から練習再開。日程が早急に決まったことはよかったですが、両者、そしてアンダーカードに出場する各ボクサーたちの調整具合が気になるところです。
さて、本日のブログでは、9/22(水)にリスケジュールされた、寺地拳四朗vs矢吹正道の、WBC世界ライトフライ級タイトルマッチをプレビューです。
9/22(水)
WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ
寺地拳四朗(BMB)18勝(10KO)
vs
矢吹正道(緑)12勝(11KO)3敗
2014年にプロデビュー、2015年にWBCのユース王座、日本タイトル、2016年にOPBF王座を獲得し、2017年にWBC世界ライトフライ級王座を獲得した寺地拳四朗。
このころは抜群の距離感こそ持っていたものの、攻撃力にはやや乏しいボクサーでした。しかし、アマ時代、どファイターだったという拳四朗は、このプロでのスタイルチェンジに成功し、今やインでもアウトでも力を発揮する穴の少ないボクサーに成長しています。
その素晴らしいボクシングが開花したのは、世界王者になってからのこと。
2-0、僅差の判定でガニガン・ロペス(メキシコ)を攻略し、WBC世界ライトフライ級王者となった拳四朗は、初防衛戦で元王者、ペドロ・ゲバラ(メキシコ)を迎えて2-0の判定で薄氷の勝利。
しかし圧巻なのはここからで、ヒルベルト・ペドロサ(パナマ)を4RTKOで沈めると、3度目の防衛戦では元世界王者ガニガン・ロペスとの再戦に臨み、2RKO勝利。その後も元王者ミラン・メリンド(フィリピン)を7RTKO勝利で退け、3連続KO防衛。
5度目の防衛戦ではタフなサウル・フアレス(メキシコ)を倒し損ねますがほぼフルマークの判定勝利、6度目、7度目の防衛線ではそれぞれジョナサン・タコニン、ランディ・ペタルコリンというフィリピン人挑戦者を4Rで一蹴。
圧倒的な強さをもって、具志堅用高の持つ日本人最多防衛記録、「13」を塗り替えると公言しています。
迎えた8度目の防衛戦の前に、泥酔して車を傷つけるという事件を起こし、様々な思いの中で初の日本人挑戦者、久田哲也(ハラダ)に3-0の判定勝ち。この一戦、決して拳四朗の出来はよくなかったものの、久田も京口戦ほどの仕上がりはなく、ダウンを奪っての判定勝利でした。序盤、かなり固さの見えた拳四朗を見て、やはり彼もヒトだと思ったものでしたが、終わってみれば圧巻の勝利。
そこから時がたち、SNS等もある程度更新している中で、この精神的なプレッシャーからは以前よりも開放されてきたようにも思います。
対して、矢吹正道。
2016年にプロデビュー、デビューから3戦はすべて1RKOという破竹の連勝で全日本新人王決定戦に臨みます。
東日本から上がってきたのは、現世界王者、中谷潤人(M.T)。この中谷に序盤は良い戦いを見せるも、後半追い上げられての判定負けを喫して初黒星を味わいました。
その後も3連続KO、早い回で倒すハードパンチャーぶりを見せつけますが、2018年、現日本フライ級王者、ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)とのハードパンチャー対決では逆に1RTKO負け。またも試練が訪れます。
その後も世界ランカーに挑戦したダニエル・マテヨン(のちのWBA世界暫定王者/キューバ)で判定負けを喫する等、挫折を経験し、待ち望んだ日本タイトル戦も待ちに待たされたものの、挑戦者決定戦を4RTKO、王座決定戦を初回KOで決めてタイトル初戴冠。
矢吹は、この未曾有のコロナショックがはじまる2019年12月に挑戦者決定戦に勝ち、あとは日本タイトルへの挑戦を待つ状態でした。しかし、春に始まったコロナショックで待たされた挙げ句、王者だった高橋悠斗が引退。その後2020年7月に王座決定戦を戦っています。
2020年12月の初防衛戦では指名挑戦者、大内淳雅(姫路木下)とフルラウンドを戦ってほぼフルマークの完勝。その後は挑戦者は現れず、その年の春頃、拳四朗vs久田哲也の後には拳四朗と交渉中、というニュースが出ていたと思います。
そして今回も、拳四朗のコロナ陽性反応により待たされた結果となりましたが、この待たされ続けた怒りを、ここでぶつけられるか。
ともにベースとなるのは距離感を大切にしたボクシング。
リズミカルに、また豊富な運動量で動き回る拳四朗(久田戦は割とどっしり構えていましたが)は、普段の構えからグローブの位置は柔軟に、リラックスした状態からパンチを放ちます。
矢吹は比較的どっしりと構え、キレ味鋭いジャブを得意としています。
まずはこの空中戦、ジャブの差し合いをどちらが先に制するのか。
ハンドスピード自体に差はないように思いますが、動き回る拳四朗のほうが多角的に攻撃できそうな感じもします。
そしてともにカウンターが得意であり、特に矢吹のカウンター、そしてそこからの詰めという部分においては非常に定評があります。
絶対にチャンスを逃さない、そんな獰猛さも持ち合わせている矢吹の一発が当たれば、そのまま試合を決めてしまっても何らおかしくはありません。
逆に拳四朗は、チャンスにも冷静で、おそらく相手が弱り切ったところでしかラッシュをしかける場面はありません。このあたりの考え方、性格の違いも、この一戦に反映されるのかもしれませんね。
未知数な部分は拳四朗のタフネスの部分ですが、拳四朗のキャリアの中でも、矢吹ほどのハードパンチャーとの対戦経験がない、というのも事実。
個人的には、どちらも応援しているボクサーで甲乙つけがたい部分があり、非常に困っています。拳四朗の世界王座防衛記録の樹立に期待したい気持ちもありますし、とはいえこの昭和の香りを残す矢吹正道に、強い王者を倒したうえで世界王者になってほしい、という願望もあります。
どっちつかず。。。。
普通に考えれば、拳四朗優位は動かない気がします。
ただ、拳四朗のコロナ陽性→健康観察期間を経ての練習再開、から約2週間での試合、というのはコンディション面において何かしらデメリットが発生しているかもしれません。もともと捉えどころがないので、本人のコンディショニングは外からではわかりませんが。陣営、本人もこの日程でOKを出したということは、自信があるということなのでしょうが。
普段の体重は結構ありそうなので、この自宅での健康観察期間、身体を動かせていないとウェイトは結構きつくなってくるのではないでしょうか。
矢吹は、というと、減量は大変なのでしょうが、もともと絞った体つきをしており、SNSでの反応を見る限り、さほど動じていないようにも見えます。どちらかというと日程が変更したことによる、チケットの払い戻しやチケット返送というのが大変そうで、ここは矢吹からチケットを買ったファンも迅速な対応で協力してもらいたいところですね。
拳四朗のコロナ陽性反応を受け、両者にあった少しの「差」がまた少し、縮まったようにも思います。コンディショニング、運も含めてボクシング。
2度目の防衛戦以降、安定的な強さを見せる拳四朗は、コロナの不確定要素とともに、過去最強の挑戦者を迎えるといっても良いと思います。
好試合に期待したいです。
ところで、試合の中継はどうなっているのでしょうか。また一週間前くらいにサラっと発表があるんですかね。前回はカンテレドーガ、おそらく今回も。。。と思ったら、拳四朗のドキュメンタリーはMBS(毎日放送)が放映とのこと(9/7火曜日深夜)。どうなるんでしょうか。
ちなみにこのドキュメンタリーは、放送後7日間、TVerで見逃し配信があるそうです。
アンダーカードは、真正ジムのYoutubeチャンネル、「BOXING REAL」で生配信。
セミファイナル 日本ユース・フライ級王座決定戦
森青葉(泉北)vs井上夕雅(真正)
A級初戦となる森(21歳・7勝1KO2敗1分)と、2017年の全日本ミニマム級新人王、井上(22歳・11勝2KO2敗1分)のユース王座戦。
若くして10戦以上を経験している両者、ともに初タイトルを目指しますが、キャリアは強豪と戦い続ける井上に分がありそうです。
名試合が多いユース戦、今回も熱戦を期待しています。
セミセミには世界挑戦経験者、大沢宏晋(オール)が登場。RK鎌田の高林良幸との58.0kg契約8回戦。
2021年5月に試合を予定していた大沢ですが、対戦相手のウェイトオーバーにより試合が流れ、今回2019年10月以来のリングに上がります。当時WBA1位にランクされていましたが、試合枯れが続きランクを落とし、今やランク外。上手くいかないものです。
そのほかにも、第一試合では15歳でプロデビュー(JBC外)した山口楽人(陽光アダチ)がJBC2戦目。
第二試合では前戦で青木勝も真っ青の「よそ見パンチ」を披露したイケメン、与那覇勇気(真正)も登場です。
アンダーカードも注目ですね。
メイン開始が18:00頃ということなので、仕事終わりで間に合わなそうですね。。。ほんの少し、情報遮断してみることになるか。。。