信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】中谷潤人vsアンヘル・アコスタ!!ザンダー・ザヤスも登場、TR興行のアンダーカード!

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いくつもの注目試合がコロナで延期、中止となる中で、ドーピング違反が発覚したにも関わらず挙行されるトップランク興行。

メインイベントであるオスカル・バルデスvsロブソン・コンセイサンについては複雑な感情を抱いているものの、アンダーカードには関係ありません。

↓プレビュー記事

boxingcafe.hatenablog.com

 

中谷vsアコスタはWOWOWでみましたが、本場アメリカの中継先、ESPN+ではアンダーカードに組み込まれています。※ESPNは「アンダーカード」という放映枠と「メインカード」という放送枠に分かれて放映されます。今回、中谷vsアコスタは「アンダーカード」のメインカード、という枠組。「メインカード」という放送枠ではセミとメインの2組のみ。

その中谷の一試合前に9戦全勝7KOのザンダー・ザヤスが登場したので、折角なので視聴。今回のブログでは、ザヤスvsサンチェスと、中谷vsアコスタの観戦記です。

 

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9/10(日本時間9/11)

ザンダー・ザヤス(プエルトリコ)9勝(7KO)無敗

vs

ホセ・ルイス・サンチェス(アメリカ)11勝(4KO)1敗1分

プロスペクト、ザンダー・ザヤス。プエルトリコの覇権を取り戻す事ができると期待されるプロスペクトで、史上最年少、16歳でトップランクと契約。現在19歳、まだまだテスト段階ながら順調なキャリアを歩んでいます。

対してサンチェスは、前戦でアドリアン・グラナドス(先日コナー・ベンに敗北)とドロー。そこまでは9連勝でした。

 

初回からザヤスは非常に長いジャブを飛ばし、軽やかなステップから多彩なアングルでパンチを出します。

絞りきってはいないまだ瑞々しい肉体、恐れを知らないこの戦い方は、ほんの少し、日本のプロスペクト佐々木尽(八王子中屋)とかぶる部分がありますが、佐々木ほどの強引さはなく、洗練されたディフェンスとコンビネーションを持ち、ボクシングのテクニックの高さはザヤスに軍配が上がります。

3R序盤には上下のコンビネーションをヒット、ラッシュをかけてKO決着を予感させる展開。しかし粘るサンチェス、ハイペースで飛ばしたザヤスにもやや疲れが見えるか。

 

サンチェスは破れかぶれで大きなフックを振るって突進、ザヤスの左フックカウンターでサンチェスは転がりますが、ここはスリップ裁定。ダウンだと思いますが。。。

4R、やっぱり打ち疲れたザヤス、このラウンドはジャブと軽めのストレートを主体として中間距離でレスト。サンチェスも疲労とダメージは蓄積しているものの、強いパンチを振り回します。

5R、サンチェスの攻撃を躱しては強いジャブを打ち込み、顔を跳ね上げるザヤス。しかし序盤のような力強いコンビネーションは鳴りを潜めていますね。

 

ラストラウンド、左右のよく伸びるアッパーでサンチェスは鼻血を流血。ザヤスには序盤のようなパンチのキレこそ少なくなっているものの、このパンチのアングルたるや素晴らしい。

判定は3者ともにフルマークの判定で、ザンダー・ザヤス。

序盤は早い決着を期待させましたが、サンチェスの粘りにあい完勝ながら判定勝利。ザヤスがもう少しスタミナをつける、というよりもペース配分を学べば、もっと良いボクサーになりそうですね。

トップランクは結構大切に選手を育てていく傾向にあるので、世界戦線で見るのはもう少し先になりそうですが、きっと若いうちに世界戦線に食い込んでくるボクサーでしょう。

 

WBO世界フライ級タイトルマッチ

中谷潤人(M.T)21勝(16KO)無敗

vs

アンヘル・アコスタ(プエルトリコ)22勝(21KO)2敗

日本期待の中谷潤人、アメリカでの初防衛戦に臨みます。対戦相手は強豪の元ライトフライ級世界王者、アンヘル・アコスタ!

日本ユース王者、日本王者を経験している中谷ですが、このふたつのタイトルは防衛戦をせずに返上。この世界王座にして、「初めての」初防衛戦に臨みます。

 

しかも、アメリカで世界王座の初防衛戦をクリアした日本人ボクサーはまだいません。日本ボクシング史上初の快挙となるか、偉業達成をかけて中谷がアメリカのリングに上がります。

エキサイトマッチの中継と同時に中谷の入場。まだ、陽がある状態。

まだまだ空席が目立ち、席につかずにうろついている観客も多いですね。日本人vsプエルトリコ人では仕方ないかもしれません。ここはオスカル・バルデスの凱旋試合です。

中谷のコールで拍手をしている人たちは、ルディのジムのジムメイトでしょうか。

さて、ゴング。

幅広いスタンスから中谷が鋭いジャブを飛ばしてスタート。フェイントをかけあい、踏み込んだジャブから左ストレートを浅くヒットした中谷。

 

アコスタの攻めも鋭く、怖さがあります。

中谷は左のオーバーハンドを使い始めます。残り40秒ほどのところで中谷の左がクリーンヒット!ぐらついたアコスタでしたがすぐに持ち直し、反撃に転じます。

しかし、近い距離になっても中谷は上手く、強い。

中谷の左ストレートでアコスタは鼻から流血。中谷は素晴らしい立ち上がりとなりました。

2R、鼻血が止まらない状態でスタートするアコスタ。距離を詰めてグイグイとくるアコスタ、やはりこのボクサーも只者ではありません。

1分が経過したところで中谷は左のオーバーハンドをヒット、そしてその直後にはまっすぐの左ストレートをヒット!これでまたもアコスタは腰を落とします。

 

このラウンド、鼻血で試合が中断、ドクターのチェックが入ります。全く鼻血が止まらないアコスタ。。。結構長い時間の中断でしたが、再開。

中谷は強い左ストレートを打ち込んで攻めます。アコスタも上下のコンビネーションはパワーがあり、両者のパンチが交錯する瞬間は非常に怖い。

終盤にはアコスタもアッパー、フックを中谷にヒット、中谷も後退!近い距離でのパンチの交換は、アコスタも回転力があり、強いパンチを連打出来るので怖さがあります。

3R、アコスタはガードを固め、上体を振って身体で押し込んできます。中谷もう鋭いパンチを飛ばし、近い距離での打撃戦です。

 

このラウンド、またもアコスタの鼻血に対してドクターのチェックが入ります。

上体を振って、下から入ってくるアコスタに左アッパーをヒットした中谷、これは非常に効果的。その後も左フックをヒット、アコスタはやや戦意が削がれてきたのか、後退が目立つようになっていきます。

ラウンド終了のゴングが鳴ってコーナーに帰るアコスタのダメージを観察するように視線を投げる中谷、非常に冷静ですね。

 

4R、アコスタは勝負をかけてかガードを固めてプレスを強め、前に出てきます。中谷は多彩なアングルのパンチをガードの上からヒット、距離を詰められればステップも入れて対応。

そしてこのラウンド、唐突に、ではありますがレフェリーがストップ。

この4R開始前、棄権しそうにも見えたアコスタ側でしたが、レフェリーのストップ宣告後は不満のジェスチャー。

中谷潤人、4RTKO勝利!!!

いや〜、強かったですね!

 

「中谷潤人が強いというのは知っていますが、今回はあのアコスタ、さすがに苦戦するんじゃないか。。。。ともすれば、あのハードパンチを当てられてしまえば、まさかもあり得る」というのは、「井上尚弥が強いというのは知っていますが、今回はレジェンド、オマール・ナルバエス。今回はさすがに苦戦するんじゃないか。」という感情に似ていました。

まあまさか、こんなに圧倒するなんて誰が思ったか。

想像を超えたパフォーマンスを披露する、こんな日本人ボクサーが同じ時代に2人もいるなんて、なんて幸運なんでしょうか。

 

中谷は、ややガードが甘かったという点もありましたが、それを補って余りあるパフォーマンスを見せてくれました。

アコスタが調子悪かったか、というと全くそんなこともなく、接近戦において非常に強いパンチを振るってきました。それを被弾する場面もありましたが、しっかりと見えていたのでしょう、アコスタのパンチを受けてもぐらつく場面はありませんでした。

中谷潤人は、非常に遠くから踏み込んで打つ右ストレートのような突き刺すジャブと、遠い遠い距離からも狙いをつけて着弾させるライフルのような左ストレートを持っています。しかもその左ストレートは、まっすぐも出すし、弧を描いて発射されることもあり、対戦相手としてはわけがわからないでしょう。

中谷の左ストレートは、「大砲」というイメージではなく、スナイパーのライフル。まさに狙いすました弾丸であり、しかもそれは誘導弾のように標的を追尾していくかのようです。

 

そしてそれをかいくぐったとしても、中谷にはショートの左ストレートもあれば右フック、そして左右のアッパーカットがあり、そのパンチの全てを強く打ってきます。

このボクサーを攻略するには容易ではないでしょう。

何にしろ、中谷潤人は難敵相手の素晴らしい勝利を上げ、アメリカデビューを飾りました。

初回、アコスタの鼻骨を折ったというあの左ストレート、アコスタは見えておらず、まっすぐもらってしまったのでしょう。結果的には、あの一発で勝敗は決しました。

最高でしたね!

この中谷の圧倒的勝利に、ボブ・アラムも注目、早ければ12月にもアメリカ再上陸。リップサービスの多い狸爺の話なので、話半分で聞いておいた方が良いのはわかっていますが、明日、明後日には帝拳プロモーションの本田会長と話をする、とのこと。期待したいですね。

ということで、今回のブログはここまで、気持ちの良いところまでにしておきます!笑

 

ちなみにWOWOWで日本の歴代世界フライ級王者、と一覧が出ていますが、江藤光喜も入れてもらいたい。暫定王座とはいえ、タイでの世界奪取は偉業中の偉業。

なので個人的には、日本の誇るフライ級王者は現在21人です。

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