信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

中谷潤人はフライ級の覇権を握れるか。他団体王者たちの動向をチェック。

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中谷潤人フィーバーが続いています(私の心の中では)。

軽量級離れした超絶強打を持つアンヘル・アコスタ(プエルトリコ)に怖さはあったものの、ほぼ完封という内容で勝利した中谷。

↓観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

狙いすました左ストレート、左オーバーハンド、左アッパーを的確に決めての負傷TKO勝利という内容でしたが、序盤に強いアコスタを序盤から圧倒した姿をみると、もし初回にアコスタの鼻骨骨折がなかったとしても、明確な勝利を得られたことでしょう。

接近戦ではややブロッキングがおろそかになる、という点こそ散見されたものの、アコスタの強打を恐れないあのハートの強さはそれを補って余りあるほど素晴らしいものです。接近戦になって、怯んでしまえば結局勝負がわからなくなりますから。

さて、中谷vsアコスタの前に、現在のフライ級の状況を書きました。

↓以下。

boxingcafe.hatenablog.com

 

今回のブログではその続き、中谷潤人はフライ級の覇権を握れるのか、について考えてみたいと思います。

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フライ級の中谷潤人

皆さんも御存知だと思いますが、中谷は「長身サウスポー」という括りです。フライ級において身長171cm(!)という身長は、誰よりも、飛び抜けて高い。

ちなみに、同じ興行でメインを張ったスーパーフェザー級のオスカル・バルデスは166cm、ロブソン・コンセイサンは179cm。ミゲル・ベルチェルトは170cm(但しリーチは182cm)です。

 

ただ、この高身長を思い切り活かしているか、というと実はそうでもなく、アコスタ戦でもかなりスタンスを広くとって低く構え、非常にアグレッシブなボクシングを見せました。

身長の高いボクサーが、それを徹底的に活かす場合は、かなりアップライトに構え、やや後ろ荷重にすれば良い。相手から見ると距離が遠い&打つ場所が高い、ということで自分のパンチが非常に当たりづらく感じるはずです。

中谷がそうしないのは、そこのアドバンテージよりも、相手の右ストレートを左にダックしてかわし、そこからストレートやアッパー等の攻撃につなげたい、という思いが強いからでしょう。このことは仮に、今後階級を上げていく中で身長というアドバンテージがなくなった時にも生きる戦法であり、もしかすると先を見据えているのかもしれませんね。

ちなみにこのフライ級、WBA王者のダラキアンが164cm、WBC王者のマルティネスは157cm、WBC暫定王者のアローヨは163cm、IBF王者のエドワーズは160cm。ダントツに中谷の身長が高い、ということがわかりますね。

 

まだ23歳、身体は今よりもずっと大きくなる状態にあり、フライ級まで落とすのはかなり厳しく、フライ級でいられる時間はそんなに長くない。下手すれば今年中か来年春、遅くとも来年中でフライ級とはおさらばしなければならないと思います。

そうなるとあと1~3戦。

スケジュール的に4団体統一というのは厳しいと思いますが、本人が言うように「フライ級王者」として名を馳せ、スーパーフライ級に乗り込んでいってほしいものですね。

 

フライ級で評価を高めるためには

フライ級で最も評価が高いのは、WBC王者のフリオ・セサール・マルティネス(メキシコ)で間違いないでしょう。次いでWBA王者のアルテム・ダラキアン(ウクライナ)か。

両者の違いは、その露出という部分にある気がしますね。ダラキアンはアゼルバイジャン出身で現在の国籍はウクライナ。ロマチェンコやウシクと同年代で、その多角的でスピーディなポジショニングは相通じる所があります。

しかし、アメリカ大陸にホームを持たないダラキアンは、強者ゆえにコロナショック突入後、試合ができていません。強豪ながら、このダラキアンを破ったとしてもアメリカではメジャーになれないのが頭の痛いところです。

それとは対照的に、チーム・レイノソに所属するメキシカン、マルティネスはマッチメイクに困らず、しっかりとしたファンベースを持っているが故にアメリカのリングでの評価が高い。

 

中谷もそうですが、ダラキアンもアメリカのリングでは過小評価されている、と言って良いでしょう。

マルティネスとダラキアン、どちらが攻略しづらいか、というとおそらくダラキアンですが、評価を高めるためにはマルティネスとやったほうが中谷にとって大きな利がある、と思われます。

マルティネスはエディ・レイノソ率いるカネロ・プロモーション所属。プラットフォームはDAZNです。

トップアラムのボブ・アラムがこのアコスタ戦で中谷に目をつけ、トップランクと契約してしまうと話がこじれる可能性がありますね。

 

ただ、アコスタ戦後のインタビューで、中谷は「マルティネスと統一戦をやりたい」と名指ししており、現在のところフリーの中谷との一戦はレイノソの陣営次第で締結に至る、とも思います。

どうか吉報を待ちたいものですね。

IBF王者、サニー・エドワーズ

エドワーズはフランク・ウォーレンのクイーンズベリープロモーションズに所属、こちらはトップランクと提携関係にあり、米国でのプラットフォームはトップランクと同じくESPN。

前戦で見事なアウトボクシングでモルティ・ムザラネ(南アフリカ)を捌き切ったエドワーズはその一戦で大きく評価を上げたものの、この評価はイギリス、日本にとどまるものだと思います。

おそらくアメリカではまだメジャーな王者ではなく、現に9月にセットされていたジェイソン・ママ(フィリピン)との防衛戦はアメリカでの放映予定すらありませんでした。

 

なので今のところ、エドワーズがイギリスから出ることは考えづらく、もし中谷がトップランクと契約、ともなると最も組みやすいカードとなるかもしれませんが、イギリスに乗り込まざるを得ない、ということになります。

そしてエドワーズとしても、今現在の中谷の知名度を考えると、さほど旨味がないようにも思いますね。

WBC暫定王者は無視か

苦労の末、WBC暫定王者を獲得したマックウィリアムズ・アローヨ(プエルトリコ)は現在宙ぶらりん。

本来はフリオ・セサール・マルティネスの防衛戦の相手としてピックアップされたアローよでしたが、試合の2日前にマルティネスが怪我を理由に延期。

 

マルティネス陣営はこれで2戦連続でアローヨとの防衛戦を回避したこととなり、そのことがあってかWBCは代役アブラハム・ロドリゲス(メキシコ)との一戦を暫定王座決定戦として認可し、これに勝利したアローヨが暫定王座を獲得しました。

この「暫定王座」措置は、待たされ続けるアローヨにとっては有難い措置だったと思いますが、本来、その後にマルティネスvsアローヨという団体内王座統一戦がセットされてしかるべき。

ただその報はなかなか聞こえてこず、アローヨの暫定王座獲得から半年が過ぎた8月、ようやく第一報ともいえる報せが届きました。

日程は10/16、エストラーダvsロマゴンのラバーマッチのアンダーカード。

この日の興行は、ロマゴンがコロナ罹患により延期、代わってマイキー・ガルシア(アメリカ)がメインを務める、ということが発表されています。

 

アンダーカードの中身まではわかりませんが、この10/16にWBC王座統一戦が行われるということであれば、年内にもう1戦、マルティネス(又はアローヨ)が戦うことは難しいでしょうね。

翻って、JCマルティネス

マルティネスは攻撃偏重、エネルギッシュでパワフルな強い王者ですが、過去にはドーピング疑惑、そして試合直前のキャンセルも多い王者、というイメージがあります。

更に、アローヨとの王座統一戦をクリアすれば、スーパーフライ級への転級を考えている、とのこと。

ということは中谷としては、このアローヨ戦に割り込むか、アローヨ戦後にもう1戦、最後のフライ級戦として戦ってもらうか、という選択肢で、期限はどんなに遅くとも来年春頃まで。

果たしてマルティネスは受けてくれるのか。

 

そして受けたとして、クリーンに、そしてしっかりとウェイトをつくり、怪我に気を付けて試合当日を迎えてくれるのか。

なんだか決まった後も心配事が尽きなさそうですね。。。

中谷潤人の今後

中谷は、フライ級であと数戦、そしてスーパーフライ級へ上げていくのだと思います。

その前に統一戦は見てみたいですね。その統一戦は、ダラキアンよりも、エドワーズよりも、フリオ・セサール・マルティネスと戦うことが最もメリットが大きいと思います。そしてその後転級することについては、きっとひとつの文句も出ないでしょう。

転級の場合、WBOの規定が非常に奏功しますね。

WBOは、王座を返上して階級を転級する場合、自動的に新たな階級のランキングで1位、つまりは指名挑戦権を得ることができる、という規定があります。

つまり、中谷が仮に今、スーパーフライ級に転級すれば、WBOスーパーフライ級のトップコンテンダーに躍り出るわけです。

 

複数階級制覇をしようとすれば、WBOというのは非常に良い団体です。

もちろん、1位になったとしてもすぐに世界タイトルにアタックする、というボクサーは少ない(数戦の調整試合を挟む場合が多い)ですが、もし今、中谷がスーパーフライ級1位となれば、その指名挑戦権を行使する相手はあの井岡一翔(志成)。

こうなってしまえば、またも極上のマッチアップになってしまいます。

井岡にはもちろん、統一戦への道のりを進んでもらいたいとは思っていますが、もし次戦、IBF王者のジェルウィン・アンカハス(フィリピン)との統一戦が締結し、それに勝つことができれば、WBO・IBFふたつのタイトルをかけてWBO指名挑戦者である中谷潤人の挑戦を受ける、という流れもあり得ます。

 

そこに田中恒成(畑中)が絡んでくる。。。となると、これはもう国内だけでもウルトラスーパーフライ級戦線です。

とまあ、中谷潤人がアコスタをあのような倒し方をするものだから、妄想が止まりません。本人は日本に帰国、そして2週間隔離という大変な状況だとは思いますが、さほどダメージを受けていないこともあり、すぐにもともとのストイックな生活に戻るのでしょう。

次戦が早々に決まってくれることを願います。

願わくば、万難を排し、次は統一戦を見たいですね。

 

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