9月はメキシコの独立記念日があり、毎年結構ビッグマッチに恵まれる月なんですが、その独立記念日にあわせて開催予定だったカネロvsプラントはまとまらず、そしてフルトンvsフィゲロアはフィゲロアのコロナ罹患により延期に。
カネロvsプラントにしろ、フルトンvsフィゲロアにしろ11月に延期ということで、11月の興行がとんでもないことになっていますね。
そして昨日のブログでも書きましたが、ティム・チューの次戦も決定、相手はなんと日本の井上岳志。11月は追いきれないかもしれません。。。
↓突然発表された、チューvs井上!
個人的にも後楽園ホールでの現地観戦を予定している月でもありますので、これはなかなか大変そうです。
さて、本来であればたくさんあった9月の海外興行、フルトンvsフィゲロアのほかに、サニー・エドワーズも登場予定でしたがこちらは負傷で延期。
結局9月の注目の海外戦は、超微妙な結末になってしまったララvsウォーリントン、こちらも超微妙な結末になってしまったバルデスvsコンセイサンがメインの2興行と、来週末に控えるジョシュアvsウシクのみ。
以前のブログでジョシュアvsウシクには触れました。
そして今回のブログでは、そのジョシュアvsウシクという一大イベントに華を添える、こちらも大注目のアンダーカードについてです。
9/25(日本時間9/26)
メインはアンソニー・ジョシュアvsオレクサンドル・ウシクのWBAスーパー・IBF・WBO統一世界ヘビー級タイトルマッチです。
そしてセミファイナルはこちら!!
WBO世界クルーザー級タイトルマッチ
ローレンス・オコリー(イギリス)16勝(13KO)無敗
vs
ディラン・プラソビッチ(モンテネグロ)15勝(12KO)無敗
オコリーは身体能力が高く、身長196cmリーチ210cmというサイズを活かし、鋭いパンチを遠くからでも振り回すパンチャーです。
ややディフェンスに甘い所があるものの、ワイルドに繰り出すパンチはすべてが必殺。
現在6連続KO中、前戦では元王者の強豪、クリストフ・グロワキ(ポーランド)を相手にも無類の強さを発揮、最終的にはワンパンチ・ノックアウトを決めてみせました。
この王者は、ただのパワーパンチャーではなく、パンチを当てる技術も持っています。グロワキに対してもほとんど左一本でコントロールし、最後は右を決めてしまうというまさに横綱相撲。
このKOパンチャーは、非常にスペクタクルなノックアウトを演出することができるので、さながらクルーザー級のデオンテイ・ワイルダー。
しかし、先にも述べた通りディフェンス、特にブロッキングに甘さがあり、もし中に入られて乱打された場合がどうなるのか、というのは未知数。そして、身長が高い分、その身体は線が細いように思え、実際そのタフネスは試されていませんが、打たれて強くはなさそうです。
28歳、これから油が乗ってくるであろうこの王者は、クルーザー級最注目ボクサーです。
今回の挑戦者はディラン・プラソビッチ。モンテネグロ、バルカン半島に位置する人口62万人程度の小国で、旧ユーゴスラビアのようです。
15戦して12KO勝利、無敗と素晴らしい戦績を誇りますが、未だ世界的な強豪との対戦はありません。クルーザー級という階級がゆえに、アジアまで聞こえてきていないだけかもしれませんが。
26歳という年齢でここまで登ってきたことを思えば、きっと母国、もしくはヨーロッパのあの辺りでは期待のホープなのかもしれませんね。
Youtubeのいくつかの映像を見ましたが、左フックにかなりの威力があるボクサーに見えます。思い切りパンチを打ち込むタイプのパンチャーで、なるほどKO率80%も大いに納得できます。
サイズ的には、BoxRecに載っていないのでわかりませんが、かなりのガッチリ体型のため、身長はあまり高くなさそうです。
モンテネグロ、広義では東欧に部類されるようですが、なるほどあのあたりのボクサーの特徴であるフィジカルの強さは持ち合わせています。踏み込みも鋭く、連打の際のガードはこちらも甘いものの、強烈なブローを続けざまに打つことのできるボクサーですね。
もし、オコリーのジャブを突破し、自分の距離に持ち込むことができれば、まさかの一発を当てられる展開になるのかもしれません。
ただ、もしその距離を突破できないとすれば、オコリーとしては、中間距離、自分のパンチだけが当たる距離で戦い、今回も横綱相撲的ボクシングを見せられるかもしれません。
私にとっては、このプラソビッチは、読み方もよくわからない未知の強豪です。(スペルはDilan Prasovic)この未知のボクサーというのはワクワクしますね。
オコリーがまた強さを見せてくれることに期待しています。
カラム・スミス(イギリス)27勝(19KO)1敗
vs
レニン・カスティーリョ(ドミニカ共和国)21勝(16KO)3敗1分
カラム・スミスはそういえばWBSSファースト・シーズン、スパーミドル級の覇者です。
191cmという長身、198cmというリーチに恵まれたボクサーは、初戦でWBCダイアモンド王座(謎)を、決勝でジョージ・グローブス(イギリス)を破りWBAスーパー王座を獲得、統一王者となりました。
WBSSの1stシーズンといえば、オレクサンドル・ウシクがクルーザー級で優勝、4団体を統一し大いに盛り上がったトーナメントでしたね。
スミスはというと4冠統一とはいかず、WBAスーパー、WBCダイアモンドという2つのタイトルを獲得、初防衛戦の相手がアッサン・エンダム(フランス)というのは非常に微妙ですが3RTKO勝利で難なく勝利、そしてその後の防衛戦では、ジョン・ライダーに大苦戦。
これで一気に評価を落としたスミスでしたが、ここにカネロが目をつけます。
身長175cmのライダーに大苦戦した様を見て、与しやすしと思ったのか身長173cmのカネロはスミスとの統一戦に臨みます。ここで謎のWBCダイアモンド王座は消滅、WBAスーパー王座とWBCの正規王座の決定戦という形でこの一戦が挙行(カネロは当時、WBAレギュラー王者)され、とにかく為す術なくカネロに敗退。
さて、スミスはそのカネロ戦からの復帰戦、1年9ヶ月ぶりのリングとなりますね。
対戦相手のレニン・カスティーリョは、かつてドミトリー・ビボルの持つWBA世界ライトヘビー級王座に挑戦経験(ほぼフルマークの判定負け)のあるボクサーです。
パワーはなかなかに感じられるボクサーで、サイズも身長188cm、リーチ193cmとスミスと比べても遜色はありません。
しかし、どちらかというとスピードや回転力に乏しく、とりわけアウトボクサーとは相性がよくないイメージです。
おそらくスミスにとっては戦いやすく、苦手(?)な低身長なボクサーでもないため、安牌の相手として選んだボクサーなのかもしれません。
このカスティーリョはもしかするとスーパーミドル級初戦となるのではないでしょうか。ライトヘビー級で戦っていたパワーを、この階級に持ち込むことができ、そして更にスミスにそのパワーパンチが当たれば番狂わせを起こす可能性はあります。
しかし、スミスとしては大切な復帰戦、ホームといえる英国での試合、あのカネロに(精神的に)壊されていなければ勝利は固いでしょう。
この他、IBFインターナショナル・ウェルター級タイトルマッチで、マキシム・プロダン(ルーマニア)vsフロリアン・マルク(アルバニア)のウェルター級無敗対決が行われ、かつてロブ・ブラント(アメリカ)に挑んだカサン・バイサングロフ(ロシア)が無敗のクリストファー・オスリー(アメリカ)とWBAインターコンチネンタル・ミドル級王座決定戦に臨みます。
そして、リッキー・ハットン2世、キャンベル・ハットンはプロ4戦目。
ということでアンダーカードも注目試合だらけで超豪華、特にセミファイナルのオコリーは非常に注目です。
そしてこのたった2週間後、フューリーvsワイルダー3というヘビー級ビッグマッチが開催されます。果たして勝者同士の対戦はあるのでしょうか。楽しみですね!