信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

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【観戦記】寺地拳四朗vs矢吹正道!!絶対王者vs中部のヒーローの一戦は年間最高試合間違いなし!

いよいよWBC世界ライトフライ級タイトルマッチ!アンダーカード2試合はYoutubeでライブ配信、メイン、セミファイナルの2試合はカンテレドーガのPPV。このPPVが2,200円と高額と言われますが、勿論出す価値のある試合だと思ったので即購入。

前回の拳四朗vs久田哲也は300円と安すぎましたね。

本来、セミファイナルだった日本ユース・フライ級王座決定戦、森青葉(泉北)vs井上夕雅(真正)は森のコロナ陽性反応を受け中止に。こちらも注目していただけに非常に残念。

幸い無症状のようですので、再マッチアップを期待します。

 

↓プレビュー記事

boxingcafe.hatenablog.com

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第1試合 スーパーフェザー級4回戦

西条葵(升田)vs山口楽人(陽光アダチ)

3勝(3KO)5敗の西条は、姫路木下ジムから移籍、そして2013年12月以来のリング復帰。所属する升田ボクシングジムは、元OPBF東洋太平洋ライトフライ級王者、升田貴久氏が運営するジムで、つい先日プロ加盟したばかり。今回初陣を迎えます。

対して山口は15歳でプロデビュー、日本デビュー第2戦です。珍しい左利きのオーソドックスだそうです。

開始から西条がラッシュ、山口がそれを迎え撃つ展開。その攻防はまもなく落ち着き、西条は身長差のある山口に対して攻めあぐねる展開ですが、ノーモーションの左ストレートを上手く出しています。

 

2Rに入ると落ち着いた雰囲気の山口が西条の左に対してバックステップ。今度は山口がノーモーションの右ストレート、強い利き手の左ジャブでクリーンヒットを奪います。

3Rは山口がストレートの距離で西条を釘付け。山口は西条が出てくる分ほんの少し下がり、そのリターンが速く、素晴らしい。最終盤も素晴らしい右ストレート。

ラストラウンド、ここでギアを上げた山口は、ステップを踏みながらカウンター。完全に見切っています。西条も諦めずに前進を続けますが、踏み込んだところで山口のカウンター、離れ際にアッパーやフックを浴びてしまいます。

西条の闘志は最後まで衰えることはありませんでしたが、終盤は疲労とダメージが重なり、フラフラ状態でゴング。

判定は、39-37が一人、40-36が二人で山口を支持。

 

倒せはしなかったものの、山口はあのボクシングでまだまだ上がっていけそうですね。少しパワーレスな雰囲気もありますが、「倒す」ことに固執しない方が良いかもしれません。カウンターを磨いていけば、自ずと素晴らしいKOが生まれていくことでしょう。

19歳という年齢で、あの落ち着き払った戦いぶり。目標は来年の新人王、これは優勝候補の一角となりそうですね。スーパーフェザー級のボクサーたちは戦慄でしょう。

第2試合 バンタム級8回戦

川口勝太(ディアマンテ)vs与那覇勇気(真正)

この試合の個人的注目は、与那覇勇気!前戦では青木勝(はじめの一歩/鴨川)もまっさおのよそ見パンチを繰り出していました。

とはいえ、イロモノボクサーではありません。変則かつアグレッシブ(そしてイケメン)な素晴らしいボクサー、今日はどんなボクシングを見せてくれるのか楽しみです。

 

川口は元WBOアジアパシフィック・スーパーフライ級暫定王者。キャリア32戦、かつ現在はノーランカーなので、3年5ヶ月のブランクはあるものの、再浮上のためには負けられません。

初回、上体を振ってプレス。やや与那覇が固いか?迎え撃つ川口もよく手数が出ますし、右オーバーハンドは驚異。後半、与那覇の左ボディがクリーンヒットし、川口は少し効いたか?

2R、低いダッキング、ウィービングからプレスをかける与那覇、少しほぐれてきました。ここでも左ボディを巧打、明らかに狙っています。

川口は目に見えてボディを警戒、そして足元がやや怪しいか。

徐々に縮こまっていく川口に対して、後半には顔面へ右ストレート。打ち返すにも力があまり入っていないように見えます。

3R、川口の足首?に異変があったのか、ドクターチェック。それでも川口は手数を出し、根性を見せています。

与那覇は川口に右ストレートを効かせた後、大きなアッパー、一回転する勢いの(空振りでしたが)フックを振るい、最後は得意の右アッパー!(与那ッパー!)をヒット、仰向けに倒れた川口をレフェリーはストップ。

与那覇勇気、3RTKO勝利!

 

川口はなにか足首?に故障があったのでしょうか。与那覇のボディが効いて力が入らないのだと思いましたが、そうではなかったのかもしれません。

さて、現在はノーランカーとはいえキャリアのある元王者のベテランを退け、更に飛躍した与那覇勇気。激動のバンタム級戦線に殴り込みです。

今日のボクシングはグイグイとプレスをかけ、ウィービングやダッキング等々、随所にらしさを見せて見事な勝利を見せた与那覇。今後も期待です。

 

第3試合 58.0kg契約8回戦

高林良幸(RK蒲田)9勝(4KO)11敗1分

vs

大沢宏晋(オール)36勝(21KO)5敗4分

元世界ランク1位、世界挑戦経験者の大沢は、2021年5月に試合を予定していたものの、対戦相手が減量失敗により棄権。実に2019年10月以来のリングとなりますが、その間に世界ランクは失ってしまいました。非常に残念。

高林はノーランカー、こちらも2019年10月以来のリング。2017年6月以来、勝ち星には恵まれていません。

オーソドックスの大沢、サウスポーの高林、初回開始直後は互いにジャブを放っての距離の測りあい。その後は大沢のノーモーションの左右、そしてプレスが印象的です。

2R、ここも中間距離での攻防、高林も左ストレートをヒットしますが、やはり目立つのは大沢のジャブとストレート。高林のジャブの打ち終わりに大沢はジャブを当て、突然のノーモーションの右をヒットしていきます。終盤は距離が詰まり、打ち合いになる場面も。

 

3R、高林が出入りからラッシュ。格上相手に気持ちの強さを見せています。近い距離になれば高林の手数はよく出ますね。

4R、やや疲れが見える気がする高林に対し、大沢は全く変わりません。非常に冷静に高林を見て、やはりノーモーションの左右ストレート、接近戦ではボディ。

大沢の見事な右のタイミング、接近戦での間のとり方、上下への打ち分け、そして何より冷静さ。

やはり役者が違いますね。。。ラウンド終了後、苦しい表情を隠せない高林。

5Rが開始して少々したところで、レフェリーが試合を中断。高林の右目の傷をドクターに見せ、ドクターはストップを提言、それを受けたレフェリーが試合をストップ。

バッティングによる負傷。。。だそうです。バッティングなんてあったか?とも思いましたが。

3-0(50-45、50-46×2)の判定で大沢宏晋、5R負傷判定勝利。

 

TKOかと思いましたが、負傷判定勝利。2年ぶりのリングとはいえ、大沢は安定した強さを見せましたね。勝利者インタビューも淡々としていて、こういうブレない強さをリングに持ち込むことが、大沢の強さなのでしょうね。

負傷判定というのが少々残念そうではありますが、やっぱりもう少し試合をこなしたいところですね。

対して高林は気持ちの強さを見せました。ビッグアップセットとはいきませんでしたが、よく頑張ったと思います。戦績としては負け越してはいるものの、まだまだこれからのボクサーだと思います。再起に期待です。

 

メインイベント

WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ

寺地拳四朗(BMB)18勝(10KO)無敗

vs

矢吹正道(緑)12勝(11KO)3敗

拳四朗のV9戦。あっという間にすでに8度の防衛戦をなした拳四朗。

しかもその内容も圧倒的であり、全くもって死角が見当たらない、という王者です。

そんな絶対王者の牙城を崩すことができる、という可能性を感じさせるのが、挑戦者の矢吹正道。その技術もさることながら、一発に秘めた破壊力、効かせた後に襲いかかり獲物を仕留める決定力を持ったボクサー。

まずは矢吹のリングイン。ボクサー然としていて、非常に絵になります。

続いて拳四朗はマスクで表情は見えにくいものの、余裕を感じさせる表情。客席にも手を振り、余計なプレッシャーはなさそうです。

 

選手コールの際も引き締まった、気合の表情の矢吹。非常に落ち着いています。そして会場と一緒にはって拍手する拳四朗もいつもよりやや表情が固く感じるものの、カメラにアピールする余裕を持っています。

好対照の両者ですね。

大注目の日本人同士の世界戦、いよいよゴングです。

初回、ともにリズムをとります。ワンツーで攻め込む矢吹、ポンポンとジャブを打つ拳四朗。矢吹は少し打ち気に逸っているようにも見えます。右が結構大きいですが、右から入るトレーニングをしてきたのかもしれません。

拳四朗の突き刺すようなジャブに対して矢吹の選択したディフェンスはガード。距離で外さない、下がらないというイメージです。後半には上体の動きも出てきました。

2R、静寂な時間が過ぎ、矢吹が大きいパンチと強引な前進で攻め込みます!この予測不能な攻撃方法は拳四朗にとっても怖いところ。このボクシングのセオリーを無視したような動きこそ、拳四朗攻略に必要なものなのかもしれません。

 

しかしその後も拳四朗は冷静にジャブを連打。このジャブをガードで受けてしまうのはあまり得策とはいえず、矢吹は相打ちのタイミングで出したい。しかし、矢吹がジャブを出せる時というのは攻め込んでいく時なので、それは拳四朗がバックステップで躱してしまいますね。

3R、拳四朗が距離を支配し始めたか、拳四朗のジャブがヒットし出します。そこで矢吹は強引に攻め、はっきりとペースは渡しません。

矢吹はいくつものフェイントを仕掛け、距離を詰めようと試みています。やっぱり崩れた体勢からでもパンチを出して押し込んでいく方が、矢吹にとってはよく見えます。

 

4R、拳四朗のステップが小刻みになり、スピードを上げたように見えます。ギリギリの距離からジャブを突きながらプレス。矢吹は待ちのボクシングで後手になり、やや手数が少ない。

しかし矢吹のパンチングパワーは侮れず、このギリギリの距離というのは拳四朗にとってもかなり危険な距離です。矢吹は今戦、かなり大きく踏み込んできます。

さて、このラウンド終了後は注目の公開採点!

38-38でひとりがドロー、40-36でふたりが矢吹!!これはちょっとまさかの展開。

拳四朗のジャブがあたっているように思いますが、矢吹の大きいパンチをガードの上からでも当てられた時の見栄えが、拳四朗としては良くありません。このあたりの見栄えの差なのかと思います。個人的には1〜4Rはどちらに転んでもおかしくないラウンドが続いています。

5R、この採点結果で、拳四朗は距離を詰めます。しかしそうすると、単発ながら矢吹のパンチを浴びてしまうという嫌な展開。

 

拳四朗も矢吹のパンチを上体をひねり、顔をひねり殺してはいるものの、見栄えは悪いか。やや焦りが見える気がします。

運動量の多い拳四朗、省エネとも言えるボクシングの矢吹、後半に入ればこれは本当にどっちに転ぶかわかりません。

6R、拳四朗はプレスをかけて非常にアグレッシブ。矢吹はリターンにかけ、カウンター。やはり矢吹のパンチは非常に見栄えがよく、なぎ倒される拳四朗の見栄えはあまりよくありませんが、クリーンヒットは拳四朗が上回っているように思います。

7R、かなりハイペースに見える拳四朗、ジャブジャブジャブで攻め込みます。ここで矢吹の飛び込んでの右がヒット!拳四朗はやや効いたか、と思いますが拳四朗は下がりません!

ジャブの差し合いではやはり拳四朗!強気でプレスをかけ、矢吹が下がります。

これはどっちも苦しい展開です。

 

8R、インターバル中、矢吹の顔がアップで映りますが右目がやや腫れています。

拳四朗はかなり距離をつめてプレスをかけますが、矢吹のカウンターセンスは本物、距離が詰まっている分野武器のリターンも当たります。

このラウンド、矢吹の右が幾度もヒット!しかし矢吹の詰めの鋭さをもってしても、拳四朗からダウンを奪うことはまだ、できません。終盤は逆に拳四朗の右で顎を跳ね上げられた矢吹が、またも右で逆襲します!!

なんじゃこのラウンドは。。。。!!もう手汗がすごいです。

このラウンドの公開採点、矢吹が3者ともにリード!

9R、倒すしかない拳四朗、4Rをしのげば良い矢吹。

拳四朗はしっかりと距離を詰めてボディを強打、ロープに詰めて右を見舞います。しかしそこから、矢吹が逆襲、拳四朗の右瞼から大出血!!!

 

矢吹は大チャンス、しかし拳四朗もボディで逆襲!!両者とも意地と意地のぶつかりあう打ち合い!!大激戦!!拳四朗が効かせて矢吹を下がらせますが、矢吹も打ち返して反撃!!これは何というラウンド!!

矢吹はボディが効いたか、パンチに力が入らなくなっているように見えます!拳四朗にとっては逆転KOのチャンス、終盤もしっかりと攻め込みます!

しかし矢吹も諦めることなく、単発ながらパンチを返してゴング。

拳四朗のカットは打撃によるもの、拳四朗の血を止めてもらいたいが、どうか!

10R、このラウンドはどちらにとっても勝負、拳四朗にもカットのせいで余り時間はありません。矢吹は先程のラウンドのダメージを引きずりながらも、まだカウンターを狙っています。

 

ロープ際に追い詰められる矢吹にあまり力はありません。しかし拳四朗の出血もひどい。

レフェリーはもう止めそうです。

拳四朗はここにきてもリズムが止まりません。

意地で経ち続ける矢吹、意地で攻め続ける拳四朗。

最終盤、矢吹がワンツーから攻め込み、最後の力を振り絞ってのラッシュ!!!

何発打ったのか、わからないぐらいの連打、連打、連打!!

拳四朗にパンチを出す隙を与えないパンチの雨あられ、最後の力、全てを振り絞ったラッシュで、亀のようにガードを固めた拳四朗をみて、レフェリーがとうとうストップ!!!

 

いや〜、もうタブレットで見ているだけですがこれは大汗をかきました。。。

矢吹正道、10RTKO勝利で見事、WBC世界ライトフライ級チャンピオンに!!!

どちらかというと、序盤から気持ちよく戦えていたのは拳四朗だったと思います。しかし、やはりそれを覆したのはやはり矢吹の一発のパンチングパワー。

一発で拳四朗が丁寧につくったボクシングをひっくりかえし、ポイントを奪っていきました。

そしてもう一つ、矢吹の持ち味の一つである詰めの鋭さ、これが最後の最後に活きました。

 

矢吹ジョーは世界王者になれませんでしたが、燃え尽きて「真っ白な灰」になりました。

矢吹正道は、「引退覚悟」でこの試合に臨み、ここで下剋上を果たして燃え尽きてしまってもおかしくはありません。

勝利者インタビューでは考えます、と言っていた矢吹でしたが、当然、ファンとしてはもっともっと続けてもらいたい。

名王者、拳四朗を破ったこのボクシングをまだまだ見たい。あとはモチベーションの問題、新たな目標、世界タイトルの統一という目標になると思うのですが、それを掲げてもらいたいものですね。

さて、敗れた拳四朗。ポイントでは矢吹に奪われていたものの、9R、10Rの猛攻は記憶に残るものでした。矢吹の強打を浴びても怯まず、怪物的なメンタルを見せつけ、おそらく矢吹が「諦めかけた」と言ったのもこのラウンド。

素晴らしい距離感と化け物じみたメンタル、スタミナを持つ拳四朗は、スタイル的にまだまだ戦えるボクサーだと思います。

 

かねてからそのモチベーションを心配していましたが、ここで引退は早すぎる。彼はきっと、その打たれないスタイルを貫けば、30代の後半まで世界のトップで続けられるはず。

誰が何と言おうと、今回の差は本当にわずか。

もし、あの10Rを拳四朗がしのぎきっていれば、結果は逆だったかもしれないのです。

それでもほんのわずか、今日は矢吹が上回りました。

拳四朗の再起にも、期待したいです。

↓今後はどうなるライトフライ級!

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最後に、このボクシングの醍醐味のつまった素晴らしい一戦を、地上波で放送しない(もしくはできない)ボクシング業界。WOWOWで9/27(月)に放送というのは「海外のボクシングを日本にお届け」と言っているWOWOWの英断です。これは素晴らしい。

カンテレドーガもアーカイブは10/6(水)までとのことで、これは残した方が良い。そこに至る両者の経緯も含めて、後世に語り継がれるべき試合です。

結果を知ってから見ても勿論おもしろい試合ですが、当然リアルタイムの興奮には敵いません。なんとかしてほしい。。。

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