To the greatest fans and the greatest sport in the world, thank you! Thank you for all the wonderful memories. This is the hardest decision I’ve ever made, but I’m at peace with it. Chase your dreams, work hard, and watch what happens. Good bye boxing. https://t.co/Bde4wO82sA
— Manny Pacquiao (@MannyPacquiao) 2021年9月29日
8階級を制覇した、マニー・パッキャオ(フィリピン)が正式に引退表明。
ヨルデニス・ウガス(キューバ)に敗北を喫し、その後大統領選への出馬を表明。そして今回の引退声明。
「Good bye boxing」非常にエモーショナルなことばを残して、グローブを吊るすパッキャオ。これが本当の引退なのかは誰にも(おそらくパッキャオ本人にも)今のところわかりませんが、これで伝説に終止符が打たれたことになります。
個人的には、寂しくもありますがやはり、ほっとした気持ちのほうが大きいです。
パッキャオを通じて、ボクシングの素晴らしさ、倒れても立ち上がることの尊さ、挑戦することの大切さ、数え上げればキリがないほどいろいろなものを教わった気がします。
既に始まっている第二の人生の幸運を心からお祈りいたします。
そしてこのパッキャオが正式な引退表明をしたこの日、偶然この記事を上げることになりました。以前から書いてはいたものの、出すタイミングが遅れてしまいました。
↓色々あったからなんですが。
パッキャオが引退してしまって寂しい。。。そう思っている人も、そうでない人も、角海老宝石ジムのリトル・パッキャオ、福永亮次に注目してほしい。
日本、アジアの3冠王者にして、世界を伺う35歳が、帝拳ジム期待の若きホープ、梶颯を迎え撃つという一戦。
今回のブログでは、10/2(土)17:45開始予定のダイナミックグローブのプレビューです。
10/2(土)ダイナミックグローブ
メインイベント
日本・OPBF東洋太平洋・WBOアジアパシフィック・スーパーフライ級タイトルマッチ
福永亮次(角海老宝石)14勝(14KO)4敗
vs
梶颯(帝拳)15勝(9KO)無敗
和製パッキャオ、またはリトルパッキャオと呼ばれる福永亮次というボクサーは、魅力に溢れています。
勝利の全てをノックアウトで飾ってきている福永の魅力は、多くを語らないその無骨なイメージとぴったりくるボクシングスタイルにある、と思っています。
2013年プロデビューの福永を最初に見たのは2016年の全日本新人王の時。このトーナメントを全てKOで勝ち上がってきた宮田ジムの福永というボクサーは、全日本新人王決定戦でも5RTKO勝利を上げ、見事全日本新人王に。
ちなみにこの年の全日本新人王決定戦、ひとつ下のフライ級では中谷潤人(M.T)と矢吹正道(当時薬師寺)というのちの世界王者対決が行われていた、ということも興味深いですね。
このとき、技能賞を受け取った福永でしたが、2013年、26歳でデビューした福永はすでに30歳、既に年齢的にはボクサーとしては「若い」とは言えない選手でした。
その後、ユータ松尾、コンファー・CPフレッシュマートに連敗を喫したのち、角海老宝石ジムに移籍。
角海老宝石ジムに移籍して初戦は2019年5月なので、1986年8月生まれの福永は33歳(あと3ヶ月で34歳)という年齢。
しかしこの角海老宝石ジムは本気のボクサーたちが集まり、切磋琢磨している環境。
おそらく非常に練習熱心で、やりきる力のある福永が成長をしないはずがありません。
移籍2戦目で世界挑戦経験者、フローイラン・サルダール(フィリピン)の持つWBOアジアパシフィック・スーパーフライ級タイトルへの挑戦。
この下馬評圧倒不利の一戦を、見事TKOで勝利、地域タイトルを初戴冠。前半効かされ、それを歯を食いしばって耐えたあとにチャンスをものにする、という非常に劇的なTKO勝利。たまたま別のボクサーの応援で後楽園ホールに行っていた私は、この一戦でこの福永の虜になりました。
続くコロナ渦中の一戦では、日本王者、中川健太(三迫)との統一戦。ここに空位のOPBF王座の決定戦もくっついて、3冠統一戦となりました。
これは非常に予想が難しく、そして中川もドラマのあるボクサーであり、本当にどちらを応援するかも悩むような至高の一戦。
「死闘」という言葉がふさわしいこの大激闘は、ともに相手を倒し切るパンチを持つ者同士のスリリングな一戦であるとともに、ハートの強さを競い合うかのようなハードパンチの応戦でもありました。
ポイントは前半から福永が優位に進めたものの、福永にもポイント差ほどの余裕はありませんでした。この死闘を、10RTKOで乗り切った福永は、サルダール戦よりも強い福永を見せてもくれました。
そして2021年6月、藤井貴博(金子)を8RTKOで退けた試合は、曲者・藤井に対してほとんど何もさせず、パンチングパワー、フィジカルの強さだけでなくテクニックも十分に披露。
サルダール戦後の福永の充実ぶりは見ていて恐ろしいくらいであり、35歳にして非常にフレッシュで、どんどんとボクシングを吸収しているように見えます。
対して梶は2015年、17歳でプロデビュー。もともとキックボクシングをはじめて16歳でボクシングに転向。アマチュアで数戦のキャリアがありますが、ほぼ叩き上げです。
2015年度の全日本新人王を獲得した梶は、その後はなかなか日本人の対戦相手に恵まれません。外国人選手を相手にキャリアを積み、A級に上がってから既に11戦も経験しています。
もっとポンポンとチャレンジさせるのかと思っていましたが、意外と慎重に育てられた感のある梶は、既に24歳となりました。
ここで3冠を獲得することで雌伏のときを飛び出し、大きく飛躍するきっかけとしたいのでしょう。
思慮深い帝拳陣営が送り出す、梶颯は、福永にとっても危険な相手であり、福永は「梶くんに勝てば胸を張って世界へ、といえる」とまでコメントしています。
梶は、国内でなかなか対戦相手が見つからないまでも、ジムの力を借りてコンスタントに試合を消化。初期の頃は豪快な倒し方が目立った梶ですが、徐々に上がっていく対戦相手のレベルにあわせて、ここ4戦はすべて判定勝利。
この判定勝利を、フルラウンド(8回戦)の経験を4度も得た、とするのか、それとも倒し屋としての本能を忘れてしまったのか。
ここ数戦の結果が、こと「タイトルマッチ」に際してさほど意味をなさない、というのは、ここ数戦の世界タイトルマッチで嫌というほど見てきたことです。
この3冠戦、梶にとっても大チャンス、名を売る絶好の機会であり、勝てば大きく飛躍できる一戦に際しては、きっと今までの何倍も強くなってリングに立つのでしょう。
その評価の高い、最強の挑戦者を退けることができれば、きっと福永はもう世界に挑んでも良いのだと思います。
ただし、スーパーフライ級は現在大激戦区。
先日も、田中恒成(畑中)vs石田匠(井岡)という素晴らしいサバイバルマッチが発表されたばかり。
3冠王者とはいえ、一筋縄ではいかないこの階級、日本、アジアの覇権を握るのはどちらのボクサーか。私は、リトルパッキャオを全身全霊を込めて応援したいと思います。
セミファイナル
日本バンタム級挑戦者決定戦
田村亮一(JBスポーツ)14勝(7KO)5敗1分
vs
久我勇作(ワタナベ)19勝(13KO)5敗1分
さて、そんなメインを彩るセミファイナルは、これで3度目の対戦となる田村亮一vs久我勇作。過去2度は久我が勝利しているため、久我サイドとしてこの試合自体にやる意味はないでしょうが、しかし日本タイトル再戴冠を目指す久我にとっては、この挑戦者決定戦は近道です。そして田村も同様に、日本タイトル再戴冠を目指し、リベンジ戦に臨みます。
1度目は久我が日本王者の時、2017年7月29日。2度目は決定戦で王者となった田村に、久我が挑んだ2019年5月18日。
いずれも大激闘、両試合ともにおそらく下馬評では久我が優位だったかと思いますが、試合自体はほぼ互角の展開であり、超打撃戦。
差は大きくはありませんが、僅かな部分で総合的に上回った久我が勝利を手にした、という印象です。
とりわけ、一発の破壊力という点において、久我の方が勝っており、ファイターっ気の強い田村にとってはまずこのパンチの芯を外し、逆に攻め込まなければいけませんが、近い距離になるとクリーンヒットは免れません。
両者は既に後楽園ホールのリングで、合計20ラウンズも本気の殴り合いを敢行しており、今回もタフさを競うような打撃戦となることが必至。
田村にとっては3度目の正直なるか、久我にとっては2度あることは3度ある、となるか。
ここで問題になってくることは、久我勇作のタフネス。
2019年の大晦日、ステップアップを目指して挑んだWBOアジアパシフィックタイトル戦、ジョンリエル・ラモナル(フィリピン)に1RKO負けを喫してしまった久我は、続く2021年1月の防衛戦で古橋岳也(川崎新田)に9RTKO負け。
2戦連続のストップ負けという事実は、結果だけ見れば久我の耐久力が以前ほどではない、ということを示しているのかもしれません。
久我は激闘が多く、ここ最近は負けっぷりも派手。見ていて非常に面白いボクサーではありますが、やや心配にもなります。
田村vs久我、ともに30代となり、もしかするとどちらかの最後の試合、となるのかもしれません。
そして勝てば王者に挑戦できますが、負ければかなり大きい後退を余儀なくされます。
現王者の古橋には、田村は挑戦者決定戦で、久我は日本タイトルマッチで敗北し、それぞれがリベンジを目指し、それぞれがベルト奪還を目指します。
ベテランたちのサバイバルマッチ、このセミファイナルも必見ですね。
その他には4回戦を4試合予定。全6試合です。
コロナに負けず、この全6試合が挙行されてくれることを切に願います。ちなみに、生中継されませんでしたが前回のダイナミックグローブは結局たった2試合になってしまいましたから。。。