信太のボクシングカフェ

信太のボクシングカフェ

ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】福永亮次vs梶颯の3冠戦と田村亮一vs久我勇作の第3戦、ダイナミックグローブを視聴!

※当ブログでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含みます。ご了承ください。

RIZIN、キングオブコント。

Twitterを見ていたら、このふたつが同時刻に開催されていたようですね。

しかし、ボクシングファンとしては今日のダイナミックグローブは外せません。そもそもRIZINは見ていませんが、キングオブコントはちょっと見たいという気持ちもありましたが、私が選択したのは勿論ダイナミックグローブ。

大好きなリトルパッキャオ、福永亮次が、全勝挑戦者、帝拳ジムのホープ、梶颯を迎え撃つという注目の一戦。

そしてセミファイナルも大注目の日本スーパーバンタム級挑戦者決定戦です。

本日のブログでは、10/2に行われたダイナミックグローブの観戦記です。

10/2(土)ダイナミックグローブ

f:id:boxingcafe:20210927195928j:plain

 

アンダーカードもKO続出で非常におもしろいですね。全4試合中3試合が1RKO決着というハイスピードっぷりは、4回戦のおもしろさが詰まっています。

2試合目に登場した古川光治(伴流)の右クロス、本当にキレイに決まりましたね。立ち上がった原口秀司(山木)でしたが、完全に脚にきていました。ジャブがハイスピード化している現代ボクシングにおいて、完全に腕がクロスするカウンターで倒れる、というのを久々に見た気がします。

しかし4回戦とはいえ、出場ボクサーたちの技術レベルの高さに驚きます。やはり今は全体的なレベルが昔(4半世紀前)と比べると大きく上がっています。

特に目を引いたのは第4試合に登場した高橋秀太(角海老宝石)。見事な右でダウンを奪取し、立ち上がった上原を追い込んで再度ダウンを奪取、試合を終わらせました。

まだまだ粗さは勿論ありますが、身長差のある相手に対して非常に鋭い踏み込みを見せたこの高橋というボクサーは要注目ですね。

 

セミファイナル

日本バンタム級挑戦者決定戦

田村亮一(JBスポーツ)14勝(7KO)5敗1分

vs

久我勇作(ワタナベ)19勝(13KO)5敗1分

3度目の対戦となる両者は、お互いに既に手の内がわかりあっています。「ゾンビ」田村はおそらく誰もやりたがらない相手ですが、久我としても一度目は日本王座の防衛戦、二度目は田村の持つタイトルへの挑戦、そして今回、三度目は日本タイトルへの挑戦者決定戦、とやらざるを得ない状況ですね。

初回、1戦目、2戦目と違ったのは田村の所作。ガンガン前に出るのではなく、ステップを使ってサークリング。久我は落ち着いた雰囲気であり、地に足をつけてプレスをかけているというイメージ。

2R、田村は出入りのボクシング。とりわけ左ボディは素晴らしいですね。久我も変わらず落ち着いており、ボディを打ち返します。

 

3Rは田村がペースを上げてステップワーク。変則的に上体を動かすボクシングをしつつサークリング、そして時に攻勢に転じます。

今回の田村の作戦は、このメリハリというところにありそうです。

対して久我は良くも悪くも変わらず、じっくりとしたボクシングを展開しています。

4R開始早々、田村がプレスをかけて、久我は下がります。田村はしつこい手数でプレスをかける時間と、ステップワークで翻弄する時間を使い分けて、上手く戦っています。

5R、田村は変則的な動きで距離をつくってのボクシング。久我はジャブは当たるもののなかなか手数が増えていきません。

 

田村がプレスをかけると久我は下がってしまいますが、ここは迎え撃ちたい。と思った所で久我が田村を迎え撃ち、近い距離でのパンチの交換。ここで田村は右瞼をカット、パンチによるカットです。

6R、久我はよく狙ってジャブ、左フック。田村は右目の影響なのか、ガンガン前に出ます。しかしそうなると久我にとってはやりやすいのかもしれません。

このラウンド、久我も右瞼をカット。これは偶然のバッティングのようです。

終盤に右と右のカウンター、久我のパンチがヒット。

7R、田村は距離をとって変則な動き、久我はゆったりとした構えのボクシング。膠着状態、ともいえます。

ともに単発のクリーンヒットを奪い合うものの決定打は出ません。

しかし最終盤、久我の右ストレートがクリーンヒット!田村はやや腰を落としたか、それでもゴングに救われます。

 

ラストラウンド、田村はグイグイとプレス。久我は田村の豊富な手数の合間を見つけては単発のパンチを返す、という展開。この展開は、1戦目、2戦目と同様の展開です。

久我は強いパンチでカウンターを狙い、田村は手数で久我を圧倒しようとします。

幾度となく久我の右カウンターが田村を襲いますが、「ゾンビ」田村亮一は倒れることはありません。

判定は76-76、78-74、79-73、2-0の判定で久我勇作の勝利!

2度あることは3度ありましたね。過去2回同様に、激闘ではありましたが、久我の今回の出来はあまり良くなかったような気がしますね。

勝利者インタビューでは、「マウスピースを忘れてしまい、消極的になってしまった」と反省した久我ですが、確かに今回は非常に落ち着いた戦いぶりだったと思います。

 

一方の田村は前2戦と違う戦い方を見せ、上手く戦えているようには見えましたが、ポイントには結びつきませんでしたね。

これで来年のチャンピオンカーニバルで、日本スーパーバンタム級王者、古橋岳也(川崎新田)に挑むのは久我勇作。

古橋はまだ、「絶対王者」と呼べる存在ではありませんが、古橋の初戴冠試合、前回の久我戦は非常に気持ちのこもった素晴らしいファイトでした。

久我がこのまま挑み、古橋があの時の出来であれば、返り討ちにあってしまうのではないでしょうか。モチベーション、集中力が違いそうです。

それでも、古橋へのリベンジにどれくらい燃えることができるか、というところで久我の3度目の王座奪取も期待ができます。

勝敗予想の非常に難しい日本スーパーバンタム級タイトルマッチになりそうです。

 

メインイベント

日本・OPBF東洋太平洋・WBOアジアパシフィック・スーパーフライ級タイトルマッチ

福永亮次(角海老宝石)14勝(14KO)4敗

vs

梶颯(帝拳)15勝(9KO)無敗

梶颯というボクサーは、非常に基本技術が高く、「帝拳のホープ」っぽいホープだと思っています。間違いなく強敵であり、福永がこれに勝てば「世界と言っていい」と認めるボクサー。

福永は遅咲きながらもここ最近の充実ぶりは目を見張ります。

「入場曲は何でも良い」と言い切る福永は、時間をたっぷり使った梶と違いさっさと入場。折角の「Eye of the tiger」はほぼイントロのみ。

 

初回。梶はかなりビルドアップされた肉体で、非常にフィジカルが強そうです。福永はまえてを細かく使い、梶のプレスをかわします。

非常に静かな立ち上がりながら、両者ともにKOパンチを持っており、緊張感が漂います。

プレスをかけるのは梶、クリーンヒットは福永が多い、という印象の初回が終了。

2R、ともにゆったりとしたリズムながら、片方が踏み込んでパンチを打てば一気にヒートアップするという展開です。

福永の方から攻め込むという場面が増え、梶はプレスをかけるものの手数がやや少なく見えます。

3R、梶は再度へのステップ、ボディムーブが巧い。そして見るからに強いフィジカルを活かしてガードでしっかりとしのぎ、そこから強い連打で福永を下がらせます。

非常にバランスが良く、乱れないボクシングはやはり帝拳のホープ。

チャンス時の連打は非常にテンポがよく、回転力があって素晴らしいボクサーです。

 

4R、梶はかなりリラックスして戦うことができており、福永のパンチもよく見えています。福永は梶の速い上体の動きに反応してしまう場面が多く、梶のペースになりつつある感じ。

これはボクシングをさせれば梶ほ方が上手か。

5R、福永が良いボディを打ちましたが、攻め込んだところで梶のカウンターがヒット!このパンチが効いてしまった福永!梶はここでラッシュ!

このラッシュをなんとかしのいだ福永ですが、ややダメージが残るままこのラウンドを過ごします。

後半でも同様に福永の左ボディのあとに右カウンター!これも効いてしまった福永!

このパンチを梶は完全に練習して我がものにしています。左ボディをガードしたあと、そのガードした右を振るい、そこからの連打。これは素晴らしい攻めです。

 

途中採点は2-1で福永が優勢。

(ここで日テレの実況は梶が優勢、と伝えていますが??気のせい?)

6R、梶は自分のペースで戦っているようにみえますが、このラウンドの中盤にようやく福永の左ストレートが顔面にヒット。ようやく調子が出てきたのか、まっすぐの左ストレートが出るようになってきました。

しかし、この左の打ち終わりを梶が狙っている分、非常に危険ではあります。

7R、福永が首をまわす仕草、どこかを痛めたのかやや不安。梶が攻めたところで福永もパンチを返し、こちらも狙っています。

このラウンド中盤、梶がせきを切ったようにラッシュ!福永はなかなか手が出ず下がりますが、クリーンヒットはさほどありません。しかしこの回転力はものすごく、福永が打ち返す暇はありません。

福永は梶のガードの上からでも左を打ち込んでいった方が良いように思います。

しかし毎ラウンドのようにリングアナから「歓声禁止」の注意。気持ちはわかりますが、観客の皆さんもなんとか控えてもらいたいものです。特に北側の皆さん。

 

8R、福永のボディはいくつもヒットしていますが、梶はびくともしません。強いプレスにジリジリと下がる福永、そしてここぞというタイミングで梶が右ストレートをねじ込みます。

福永の右ジャブはよく出ますが、これは様子見のジャブの域を出ず、効果的なパンチには成りえません。

9R、梶にとって未知のラウンドに来てもこの集中力は素晴らしい。ステップインしたかと思えば急ブレーキして相手の反撃をかわし、上手く左右を当てます。

福永のパンチはしっかりとブロック、ガードも高く福永は完全に攻めあぐねています。

この終盤も梶が良いパンチを当て、福永もクリーンヒットを返すもののダメージがあるのは福永の方でしょうか。

10R、梶は攻め込んでもすぐにバックステップ、打ち終わりのケアも完璧です。福永は打ち終わりがやや雑なところがあり、そこを狙われてしまいます。

 

このラウンドは梶が自信を持って戦い、ジャブもガンガンと当たるようになっています。

同時に出したパンチでも梶のパンチのみが当たるという、福永にとって非常に、非常に苦しい展開です。これは苦しいか。。。

11R、後がない福永、手数を増やして攻め込みます。良い右フックを当て、ガードの上からも攻め込んでいきますが梶の固いガード、カウンターに阻まれて下がってしまいます。

固いガードを避けて、福永の左ボディストレートはこの試合を通じて幾度となくヒットしていますが、このボディは少々効いているのかもしれません。

やや梶の動きが止まったようにも見えました。

 

ラストラウンド、いくしかない福永!序盤に左ストレートをヒット!

しかしやはりカウンター狙いの梶に対して、なかなか攻められない福永でしたが、残り1分のところで左をヒット、梶はロープに後退。

それでも詰めきれず、最終盤は梶の右がヒットしたところで試合は終了。

判定は114-114、115-113×2、福永の勝利。

おっとっと。。。日テレG+の解説、飯田覚士氏とセレス小林氏の解説にひっぱられてしまったのか、梶の勝利かと思いました。

会場で見るのとは違う、というのはあるのでしょうし、私はジャッジでも何でもないので判定に文句はありません。(結局応援していた選手が勝ったから、かもしれませんけど。)

ラウンドごとに優劣をつける10ポイントマストシステムにおいては、こういった感覚との齟齬は起こりうるもの、だとも思います。

 

個人的には、そもそも実況が5R終了後の途中採点で「梶が優勢」と伝えていたのでそれに引っ張られた感もあります。(実際は福永が優勢、つまりは前半は福永のボクシングが評価されていた、ということ)

最終ラウンド、11Rと12Rはおそらく福永がとったラウンドだと思うのですが、結果的にはそこが勝負をわけた、とも言えます。

しかし、12Rを通してどちらがダメージがあったのか、というと福永の方だと思います。

福永にとっても12Rを経験できたことは大きいでしょうし、梶颯というボクサーは本当に強かった。

敗れた梶、もしかすると判定には不満かもしれません。おそらくそんな声は上げないとも思いますが。

この梶、以前見た時よりも非常にパワフルであり、弛緩するようなタイミングもなく、完璧に仕上げ、素晴らしい集中力を持続した12Rを見せてくれました。今後も楽しみなボクサーですね。

今回、アジア3冠王者として圧倒的な強さを見せることはできなかった福永ですが、梶は前評判通り、というか前評判以上に強かった。

しかし、梶が挑戦者として、福永に攻め込みきれなかったことも事実。福永のパンチが強く、思い切って行けなかったのか、又は余裕を持ちすぎてしまったのか。手数は全ラウンド通じて多くはなく、攻め時に連打で攻めていた印象はあるものの、やはりクリーンヒットはそう多くはありませんでした。

 

ともあれ、まぎれもなく好試合であり、初タイトルに気合を入れて臨んだ梶を退けた福永は、この試合に勝ち、生き残ったことで世界が見えてきました。

スーパーフライ級は国内だけでなく、海外も激戦区。今後、世界のスーパーフライ級に殴り込みをかけるこのリトルパッキャオを、今後も応援していきたいと思います。

 

プライバシーポリシー お問い合わせ