大注目興行が続く、フェニックスバトル!
ひかりTVとのコンビで、前座試合から全試合生中継してくれるのは、7/21以来2度目。
ひかりTVに入っていない(物理的に入れない)私は、dTVチャンネルに加入しましたが、どうやらこのサービスはもうすぐ終わってしまうらしい。ちゃんと後釜だけ用意してくれれば良いですが。
ともあれ、今回のブログは、待ちに待った!フェニックスバトルの観戦記です。
↓プレビュー記事
10/19(土)フェニックスバトル
ライト級4回戦
谷原凌(REBOOT.IBA)vs西口享佑(E&Jカシアス)
デビュー戦の谷原、ここまで1敗1分という西口。ともに初勝利を目指す一戦は、ホールの第1試合に相応しい。そして、4回戦にも関わらず入場曲もあって中継もある。これはふたりのボクサーにとって非常に嬉しい事でしょう。なんとなくですが、西口を応援。
デビュー戦ながら落ち着いた谷原が、初回からジャブ、右ストレートをヒット。2Rに被弾覚悟で前に出た西口、未だ谷原のクリーンヒットが多い中で右と右のカウンター、ダメージを負ったのは谷原!その後はもみ合いの展開で谷原は回復を図ります。
パンチ力、フィジカル、パンチの当て勘に至るまで谷原の方が上ですが、西口は距離を潰してがんばります。見ている方も力の入る一戦は、ラストラウンドへ。
最終ラウンドは当然のように魂の勝負、ともに死力を尽くしての接近戦で終了ゴング。
判定は39-37がふたり、40-36がひとりのユナニマス判定で谷原の勝利。第1試合から、熱戦でしたね!
スーパーフライ級6回戦
豊嶋海優(大橋)vs堀井翔平(トコナメ)
東洋大学ボクシング部の元主将、アマキャリア豊富な豊嶋のデビュー戦。対して堀井は前戦、中垣龍汰朗(大橋)のデビュー戦を務めたボクサー。
初回から速いジャブを飛ばすサウスポー豊嶋ですが、早々に堀井の右がヒット。中盤以降は豊嶋が軽いコンビネーションとステップワーク、ディフェンスワークで上回ります。2Rには豊嶋はよりリラックスした状態から左ボディを効かせ、その後ラッシュ。緩急を自在に使い分けるボクシングを展開しています。そして素晴らしいディフェンス。
3Rにプレスを強める堀井、豊嶋はややそのプレスに下がらせられながらも、軽打をヒット。4Rも鋭い踏み込みから攻める堀井、しかし豊嶋は速く、なかなか当たりません。しかしこの堀井も素晴らしいボクサーですね。ホープたちのアンダードッグ、負け越しボクサーには全くもって思えません。
5R、変わらず緊迫した展開の中、幾度か豊嶋の左ストレートがヒット。6R、前半に豊嶋の左アッパーダブルは芸術的。3〜5R、ややリズムを落ち着かせた豊嶋は、このラストラウンドにまたリズムを速めます。終盤に左ボディカウンターもヒット、最終盤に堀井は気持ちを見せてラッシュ、それを豊嶋はしっかりとかわして試合が終了。
判定は59-55がひとり、60-54がふたりのユナニマス判定で豊嶋の勝利。
豊嶋は速く、上手いですね。堀井もまた、素晴らしい戦いをしたと思います。豊嶋は「悔しいデビュー戦になった」と語りましたが、そのストロングポイントは見せてくれたと思います。今後も楽しみですね。
そしてアンダードッグ上等で敵地に乗り込んできた堀井、このボクサーの次戦にも注目したいですね。
スーパーフェザー級8回戦
遠藤勝則(角海老宝石)vs高畑里望(ドリーム)
1年9ヶ月ぶりのリングとなる高畑は1979年生まれの42歳。私と同い年。応援するしかありません。頑張れ、高畑!!
身長差がかなりあります。ややオープンガードの高畑と、がっちりガードを固めて前進する遠藤。対照的ですね。初回は中盤に遠藤が右オーバーハンドを効かせましたが、キャリアのある高畑はそこをサバイブ、その後はジャブと右ボディストレートを巧く当てています。2Rも中で勝負したい遠藤。高畑は時に受けてたち、時にジャブをついて距離を取るというボクシング。
3Rもお互いにやりたいことが違うので、同じ展開。しかし遠藤の前進がやや弱くなってきたか、中間距離での高畑のコンビネーションが入ります。続くラウンドも序盤に高畑が巧く戦い、接近戦でもアッパーを効果的に使い優位に。
5Rも近い距離での打撃戦、高畑のアッパーを防ぐことができない遠藤は、パワーでは勝るもののやはり打ち勝てません。6R開始早々、高畑陣営はゴーサインを出したのかと思うほどの運動量。42歳、すげぇ。大きな身体と長いリーチを器用に折りたたみ、サイドステップを巧みにつかって様々なアングルから攻撃。決してパンチ力がある方ではありませんが、コンパクトなパンチをコツコツとコネクトし、このラウンドの最終盤、パンチをまとめたところでレフェリーガストップ。
高畑里望、6RTKO勝利!
いやー、お見事な戦いぶりです。「ピークはまだまだ」と勝利者インタビューで語った高畑、是非タイトル戦までたどりついてもらいたいです。これは応援案件ですね。同い年なんで。
私もがんばります。
OPBF東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ
中嶋一輝(大橋)10勝(8KO)1分
vs
栗原慶太(一力)15勝(13KO)6敗
セミファイナルはもともと、メインと同等の楽しみな試合でした。
そして今、試合としてはメインよりもこちらの方が楽しみになってしまいました。それが、ウェイトオーバーの弊害というものでしょうね。階級制のボクシング競技においては、体重超過というものはその根幹に関わってしまいます。
このパンチャー対決に、多くの言葉はきっといらないでしょう。高度な技術戦の上での「当てたもん勝ち」。私は今回は、栗原の王座返り咲きに期待しています。
初回、リードを積極的についていくのは栗原。いつもどおりどっしりとした構えの中嶋。中嶋はボディジャブと得意の左を浅いながらもヒット。かなり緊迫の展開。
2R、序盤に栗原の左フックがヒット、やや守勢にまわる中嶋。その後は中嶋がボディを当て、栗原もボディ。回線の状況が悪く、このラウンド残り1分ほどは見れず。。。
3R、開始30秒!栗原がワンツー!まっすぐではなく、ほんの少し、弧を描いて伸びた右ストレートがクリーンヒット!!!中嶋はダウン!立ち上がるも虚ろ、栗原が詰めてまたも右ストレートをヒットし、ダウンを奪ったところでレフェリーがストップ!!!
栗原慶太、3RTKO勝利!!OPBF東洋太平洋バンタム級王座に返り咲き!!!
やや中嶋の土俵で戦っている感があった栗原でしたが、値千金、いや万金の右ストレートを「先に」ヒット。やはりこの右ストレートは本物。結果的に言えばあの一発で試合は決まりました。ただ、きっと紙一重だったのだと思います。
そして勝利者インタビューも素晴らしい。神様なのか。。。?
敗れた中嶋を気遣う、慰めるというよりも激励する栗原は、これまでの敗戦を糧に何度も何度も這い上がってきたボクサー。中嶋も後でいいのでぜひこのインタビューを噛み締めて、リングに戻ってくることを期待したいです。
しかし栗原のボクシングは素晴らしかった。前戦、井上拓真にアウトボックスされた時は、とにかく一発を当てるためにガンガン攻めていた、という感じでしたが、そこでテクニックの大切さを学び、今回の試合に際してはテクニックを身に着けてきた、と。
同じ一力ジムの近藤明広に学んだ、という記事もあったかと思いますが、あの左ジャブの使い方というのはサウスポー相手に本当に邪魔になるもので、素晴らしかったと思います。逆にいうと、本来は中嶋が右ジャブでもっと弾幕を張るべきだったような気もしますが。
運動量の多い拓真よりも、どっしりと構える中嶋は、栗原にとって相性が良かったかもしれません。それでもやはり、本当に二人の「真剣での切り合い」のような一瞬の交錯は、見ていて本当にすごかったです(語彙力。。。)。
たった3R、いや3Rもの間、素晴らしい空気感を味わえた事に感謝です。
日本・WBOアジアパシフィック・スーパーライト級王座決定戦
平岡アンディ(大橋)17勝(12KO)無敗
vs
佐々木尽(八王子中屋)11勝(10KO)無敗
日本中のボクシングファンが注目を集める一戦で、佐々木がまさかのウェイトオーバー。非常に華のあるボクサーだけに本当に残念ですね。平岡がここで負ければ目も当てられない、しかし平岡は勝ってくれると信じています。
佐々木尽は雄叫びを上げて入場。試合が行われるのならば、勝利を目指すのは当然のことでしょう。がんばれ、アンディ。
初回、佐々木がプレスをかけて強気に行きます。1分過ぎ、距離を詰めて佐々木がラッシュ、パワーが有る分これは危ない。フィジカルが強い分ガードも固く、アンディは佐々木のガードの間隙を突けるか。来い来い、と挑発する佐々木。これもいつも通り、メンタルも強い。
アンディも挑発には乗りません。
2R、ガンガンとくる佐々木!左フック、右ストレートをヒット!序盤に驚いたアンディですが、そこからはしっかりとした距離、ポジショニング。アンディがラッシュしている時も気を抜けないのは佐々木の怖さ。
非常に緊張感のある、素晴らしい戦いです。できればルール厳守の上で、やっぱり至高の戦いとしてみたかった。
3R、サークリングしながらの素晴らしいジャブと、速いコンビネーション。アンディはかなり調子が出てきたように見えます。
佐々木のヒットはこのラウンド、極端に少ない。
しかし絶えず集中が必要。これを12Rというのは、全力で向かっていく佐々木も、集中力を切らしてはいけない、足を止めてはいけないアンディも、ともに後半はきついのではないでしょうか。
4Rも展開は変わらず。5Rは佐々木が更にプレスを強めます。その分アンディの運動量も多くなるという展開。近い距離での佐々木のハンドスピードも速いですが、アンディは上体の動きでかわします。しかし本当に危険なパンチ。
アンディに攻めさせて、ガードを固めて待つ佐々木。このパターンの中で、左フックだけでなく右ストレートも使う佐々木は、やはり引き出しは増えていますね。
途中採点は、49-46✗2、48-47でアンディ。
6R、ノーガードになるアンディ。佐々木を相手にノーガードは、見てる方が怖い。が、そろそろボクシングの引き出しの部分で差がついてきたか、これまで多くの時間をロープ際で過ごしてきたアンディがリング中央に陣取り、佐々木はなかなか手が出ません。佐々木の一発にはまだまだ注意が必要ですが、アンディは集中も素晴らしい、そして観客を煽ります。
7R、この勝負どころのラウンドで、チャージできる佐々木はやっぱり素晴らしいボクサーです。しかし、アンディの右フックでダウン!そして立ち上がるもまたダウン。
その後、無防備に詰められないのはまだ佐々木のパンチが活きているからです。
ダメージのある佐々木は、なりふり構わずクリンチ。というかタックル。
その後も攻め続けるアンディですが、佐々木の必殺の左フックがまだ怖い。
8R、佐々木の回復力はまたすごい。このラウンドも開始早々チャージ。しかしアンディのアッパーの反撃。少し落ち着いた両者、そして会場には静謐が訪れます。
ラウンド後半、佐々木の手数は少なくなり、終盤にはアンディがラッシュ。少ないながらも強いパンチを振ってくる佐々木。
9R、パンチスタッツとしては多分アンディのヒット数、ヒット率はすごいことになっていると思いますが、佐々木のこのスイングは身の毛がよだちます。
接近戦でも勿論アンディが打ち勝っていますが、とにかく佐々木のパンチは怖く、そしてまだ威力に衰えは見えません。
10R、アンディはKOを狙っているのか、自ら距離を詰めて接近戦。しかし危険な距離。
中盤以降は中間距離に戻り、ワンツーをヒット。その後も左アッパーで佐々木の顔を跳ね上げ、攻め続けるアンディ。終盤も左カウンター、平岡アンディ、巧すぎる。
11R、逆転を狙って攻める佐々木、そしてアンディは常に冷静でいながらも、やはり力の差を見せつけようとしています。
あとは2R、サークリングしていれば良いという状況でしたが、佐々木の挑発にしっかりとパンチを出してあげています。
接近戦となり、最後はアンディのアッパーで佐々木は力尽き、レフェリーがストップを宣告。
平岡アンディ、11RTKO。日本・WBOアジアパシフィック王座を初戴冠。
見事、見事なアンディのTKO!いやはや、本当に素晴らしい戦いでしたね。
佐々木尽の体調も心配されましたが、最後の水抜き以外はずっと順調に調整できていた、とのことなので、コンディションは全く問題なかったのでしょう。むしろ無理して落とさなかった分、間違いなく過去最強のパワー、過去最強のフィジカルとタフネスを持つ佐々木だったと思います。
その佐々木を、結果的にはほとんど寄せ付けることなく、完勝した平岡アンディ。
佐々木の強い一撃に怯むことなく、完全に見切り、そして接近戦を挑んだ上でのTKO勝利。
アメリカナイズドされたボクシングに、倒し切るという拳闘魂が乗っかった平岡アンディには、今後も期待ですね。日本のベルトも、WBOアジアパシフィックのベルトも、アンディにはまだまだ小さい。国内で取れるタイトルよりも、もっと上のタイトル、もしくは世界に直結するようなタイトルを取りに行ってもらいたいですね。
さて、佐々木尽はやはり魅力的なボクサーです。このウェイトオーバー、しかも2度目ともなると風当たりも強いのでしょうが、やはりこのボクサーは今の日本のボクシング界に必要です。この大注目興行でのウェイトオーバーは、今後のキャリアに大きな汚点を残す事になるのでしょうが、この汚名を、そのパフォーマンスで返上してもらいたいものですね。
最後にラウンドガールはいらん。。。