バンタム級周辺の階級はいつもアツい。
昔からバンタム級という階級は名ボクサーが多く、「黄金のバンタム」と呼ばれたエデル・ジョフレを破ったファイティング原田にはじまり、素晴らしい王者たち、そして素晴らしい名勝負を産んできました。
↓黄金のバンタムについて書いた記事
しかし今、日本のバンタム級は呪われている、と言われています。詳細は過去に幾度となく書いているので割愛しますが、最新では2021年7月に王座決定戦が開催されるも、2Rのバッティングにより続行不可能となり、負傷ドロー。
またも王者が決まらないまま、試合が終わってしまいました。
その後、両者の再戦が決まりましたが、そこから3ヶ月半。この少ない時間で、バッティングによる傷を治し、試合へ向けての準備をする。両陣営にとっては非常に大変だったと思いますが、ともあれ11/12(金)に試合はセット。
そしてこの日、ダブルメインとしてWBOアジアパシフィック・ミニマム級王座決定戦として、小浦翼(E&Jカシアス)vs重岡優大(ワタナベ)という大注目試合もセットされています。
その前日には井上拓真vs和氣慎吾という超大注目のフェニックスバトルもあるので、ボクシングファンは毎日忙しい。
↓井上拓真vs和氣慎吾のプレビュー
そして11/12(金)に日本バンタム級王座決定戦、WBOアジアパシフィック・ミニマム級王座決定戦を擁するDANGAN興行が終われば、11/13(土)には大阪で日本ユース・フェザー級タイトルマッチ、亀田京之介vs英洸貴、そしてその翌日11/14(日)には新人王西軍代表決定戦。
来週は週中から週末までアツいですね!
今回のブログでは、11/12〜11/14の興行のプレビューです。
11/12(金)DANGAN
日本バンタム級王座決定戦
澤田京介(JBスポーツ)14勝(6KO)2敗2分
vs
定常育郎(T&T)11勝(4KO)4敗4敗
今回、この試合の予想をしろと言われれば、間違いなく澤田が大きく優位と出るでしょう。それは、前戦で澤田は初回にダウンを奪取、サウスポー、定常に対して右ストレートが的確に当たっており、精神的にも有利な状況で再戦を迎えられるはずです。
澤田が早々に距離感を掴んだ、という事実は、きっと2戦目にも生きるはずです。
↓澤田vs定常の初戦の観戦記
一方の定常は、というと、あの時点でいかほどの余力があったのか。落ち着いているようには見えましたし、ダメージがあるようには見えませんでしたが、それを見せまいとするのがボクサーであり、本当のところはどうなのかはわかりません。
その中で、たとえ1Rでもあっても相手の状況を見れたのはプラスになるのかどうなのか。
前戦の1Rを見たように、澤田の方がボクサーとしての地力が上、という風にも思いますが、澤田がもし、前回のダウン奪取により、心のどこかに余裕を持ってこの3ヶ月半を過ごしていたようなら、逆に定常にチャンスがありそうです。
結局前回の1Rで学びの多い方が勝つのでしょう。
本来この試合は5月に開催される予定でしたが、当時緊急事態宣言発令により会場の墨田区総合体育館が使えなくなり、延期に。
そして7月の試合ではバッティングにより2Rで負傷ドロー。
そこからいよいよこの11月。この一戦で、いよいよ王者が決まるはずです。どちらが勝つにせよ、決まってもらいたい。
WBOアジアパシフィック・ミニマム級王座決定戦
小浦翼(E&Jカシアス)15勝(10KO)1敗
vs
重岡優大(ワタナベ)3勝(2KO)無敗
セミファイナルは、世界王者を嘱望されるふたりのボクサーが登場です。
小浦は2014年にプロデビュー、翌年の全日本新人王に輝きます。10連勝で当時空位だったOPBF東洋太平洋ミニマム級王座決定戦に出場し、ジェイセバー・アブシード(フィリピン)に4RTKO勝利でこれを戴冠しました。
その後は谷口将隆(ワタナベ)、田中教仁(三迫)、冨田大樹(ミツキ)を相手に防衛。
小気味よい正統派のボクシングで谷口戦では超接戦を制し、田中戦では序盤の劣勢をひっくりかえし、冨田戦では完勝。
しかし2019年3月、世界は目の前か、と思われた4度目の防衛戦で、伏兵リト・ダンテに12RTKO負け。世界戦線への参戦は、停滞を余儀なくされます。
その後2020年2月に再起戦で勝利を飾り、コロナショックに突入してからはブランクを作っています。今回は1年10ヶ月ぶりのリングで、地域王座ヘの返り咲きを目指します。
対して重岡優大は、前WBOアジアパシフィック・ミニマム級王者、重岡銀次朗の実兄。
弟銀次朗は、前戦で川満俊樹(三迫)を2Rでストップ、現在は世界ランキングで上位となり、世界タイトル戦へのウェイティングサークルに入ったことからか王座を返上。
その返上した王座を巡って決定戦に出るのが、兄の優大です。
兄の優大は、アマでは82勝10敗という好戦績を残しているものの、まだプロで3戦。しかし、弟同様、完成度は非常に高いボクサーです。
デビュー2戦目で、小浦を破って王座についたリト・ダンテを6回戦で破っています。そして3戦目では、三迫のホープ、堀川龍と日本ユース・ライトフライ級王座を争い、5RTKO勝利でこれを獲得。
ダンテ戦から堀川戦までの間隔は1年以上空いていましたが、堀川戦から今回までは約7ヶ月。
試合勘という意味でいうと、重岡の方にアドバンテージがありそうです。重岡は世界挑戦を控える谷口と同じ階級、同じジム。谷口が挑むウィルフレド・メンデスはサウスポーであり、重岡もサウスポー、おそらくスパーリングを重ねている事でしょう。
そう考えると、世界戦を間近に控えたボクサーとのトレーニングは、きっと重岡に更に良い環境を与えているのではないか、と思います。
しかし、プロとしての実績、強敵と戦ってきたキャリア、それは当然小浦の方が上。最長で6Rの経験しかない重岡に対して、小浦は戦略面で上回る事ができる可能性が大きいので、基本的には後半勝負というのが基本でしょう。
この試合は、勝敗予想の非常に難しい、素晴らしいマッチアップですね。
小浦は間違いなく国内トップクラス。重岡はそれを喰えば一気に国内トップに躍り出る事ができ、このミニマム級という最軽量級においてはそれが一気に世界への道として開けることになります。
個人的には、この重岡兄弟には、タイの王者に、タイで勝ってもらいたい、そう希望を持っているボクサーです。小浦翼という強豪ボクサーを攻略することができれば、世界への挑戦資格も充分であり、国内最短での世界戦も見えてくるし、兄弟同時世界王者だって見えてきます。
ともかく、この試合は非常に楽しみです。
放送・配信
この興行は、DANGAN興行なので、BoxingRaiseで生配信を期待していました。しかし、Raiseのサイトを見ると、現在のところ生配信の記載はなし。
残念ながら録画配信のようですね。
早ければ当日の夜(深夜)、おそくとも翌日にはBoxintRaiseにアップされるので、情報遮断して見たいと思います。
そしてその翌日には大阪で注目試合!
11/13(土)Fighting Beat Boxint
亀田京之介(ハラダ)7勝(6KO)2敗1分
vs
英洸貴(カシミ)8勝(3KO)2敗3分
日本ユース王者、亀田京之介。前戦の決定戦では、非常に評価の高い新人王、奈良井翼を2RでTKOした素晴らしい一戦でした。これで2019年の全日本新人王決定戦での敗戦以来、2連続KOと勢いに乗り、非常に伸びている感じがしますね。
対するは2018年のスーパーバンタム級全日本新人王、北陸のホープ、英(はなぶさ)。全日本新人王決定戦ではドローながら、優勢点で見事全日本新人王を勝ち取りました。
2020年8月に下町俊貴(グリーンツダ)と日本ユース・スーパーバンタム級タイトルを争い5RTKO負けで初黒星。再起を期した2021年3月の復帰戦でも、帝拳ジムの福井勝也に判定負けを喫し、2連敗。今回はスーパーバンタム級から1階級上げての挑戦となります。
正直、勢いは亀田にあり、亀田はここ最近の試合内容もすこぶる良いので自信もつけていることでしょう。
英を応援していますが、これはかなり厳しい戦いになりそうですね。
この大注目の一戦の配信も、BoxingRaiseがやってくれます。録画配信ですので、やはり遅くとも翌日にはアップされるでしょう。これも楽しみな試合です。
11/14(日)西軍代表決定戦
2021年の新人王戦は、2020年と同じで全日本新人王決定戦が2022年の2月頃という予定です。
東日本新人王の決勝は12月なので、一足早く西軍代表が決まります。
この西軍代表決定戦は、地区対抗戦で勝利したボクサー(「西部日本(九州・沖縄)新人王」と「中部日本新人王」が闘う大会を地区対抗戦といいます)が、西日本新人王と雌雄を決し、西軍代表を決めるという一戦です。
その西軍代表が、東日本新人王と決定戦に臨み、その勝者が全日本新人王となります。
実はいつも、私はこの西軍代表決定戦から見ています。それまでは、興行のアンダーカードで登場したボクサーは必然的に見ていますが、積極的には見ていません。単に、時間の問題です。
ということで、この西軍代表決定戦を視聴し、気になるボクサーがいればより過去の動画を調べてみる、というやり方で、東日本に関してもそれは同様。東日本新人王の決勝から見るようにしています。
なのですみません、プレビューらしい記事は書けないのですが、一人だけ紹介したいボクサーがいます。
スーパーフライ級西日本新人王
山下陸(六島)5勝(2KO)1分
なぜこのボクサーか、というと、この山下は出身が香川県の小豆島。
そう、私の生まれ故郷。同郷だというだけです!
この事実をボクシング選手名鑑の検索から知り、そこから応援を決めてBoxingRaiseで試合を視聴。ゴリゴリのファイターです。もちろんまだまだ荒削りですが、ハートの強さを持ったボクサーです。そしてあのアップセットでお馴染みの強豪、六島ジム所属ということで、期待しかありません。
おそらく小豆島出身のボクサーが、西日本新人王になったのは初めてのはず。
そして全日本新人王になってくれれば、島の人たちも黙ってはいないでしょう。
島という閉鎖的なコミュニティで生まれ育った人たちは、「同郷」という思いがおそらく半端ではありません。
ということで、この試合が私的メインイベントな11月14日。土日なのでもちろん仕事で行けませんが、遠方より応援しています。
この興行は、11/30(火)19:00〜日テレG+で録画放送。さすがに情報遮断は無理なので、そこは諦めて、勝利を祈ることにします。皆さんも応援してくれたら嬉しいです。