今日はみんな大好き、ジャーボンタ・デービス。
「みんな大好き」かどうかはわかりませんが、非常に気になるボクサーですね。
そんなタンク・デービスの次戦の相手が、あのイサック・クルスだというからもう大変です。元々決まっていたロランド・ロメロ戦も非常に楽しみな一戦でしたが、それがロメロのおイタで流れ、すぐさま発表されたのがこのクルス戦。ロメロ離脱に落ち込む暇もありませんでしたね。
クルスになって楽しみが増えた!という方も多いのではないでしょうか。
今回のブログでは、ガーボンタ・デービス、ジェルボンテ・デービス、ジャーボンテイ・デービス、等々、ここまでメジャーになっても一向に呼び方が到着しない、「タンク」デービスvs 捨てパンチを一切打たないMrフルスイング、イサック・クルスのプレビュー記事です。
12/5(日本時間12/6)カリフォルニア
WBA世界ライト級タイトルマッチ
ジャーボンタ・デービス(アメリカ)25勝(24KO)無敗
vs
イサック・クルス(メキシコ)22勝(15KO)1敗
「タンク」=戦車というニックネームのデービスと、「ピットブル」=世界最強の闘犬というニックネームのクルス。
ともに言い得て妙、という素晴らしいニックネームですね。
タンク・デービスのキャリアについてはいちいち触れませんが、なんだかんだあって現在はWBAのスーパーライト級とライト級、いずれにレギュラー王座を保持しています。
スーパーフェザー級の王座は、WBAの王座削減(というか正常化)路線が出された際に返上しましたが、このスーパーライト級とライト級の「レギュラー」「同時保持」問題についてはその難を逃れていますね。
WBA、デービスのことを愛してやまない説。
166cmというライト級では小柄な部類ですが、その身体能力に優れたボクシングと、破格のパンチングパワー。このパワーはスーパーライト級では若干の翳りも見えましたが、スーパーフェザー級や、ともすればライト級では無双できるほどでしょうね。
タンク・デービスの人気は、そのやんちゃなスタイルもそうなんでしょうが、きっとその倒しっぷりにあるのだと思います。
25勝中24KOという破格のKO率を誇るデービスですが、本当に見事なノックアウトが多い。ここ最近ではやっぱり2020年10月に行われたレオ・サンタ・クルス戦、ほぼ互角とも言える展開の中から結局は一発でKO、あれは印象強いKOが多いデービスの勝利の中でも、最も素晴らしいKOだったと思います。
↓デービスvsサンタ・クルスの観戦記。アンダーカードにイサック・クルスも登場。
ただ、そのパフォーマンスはおよそ安定しているとは言い難いことも事実。テオフィモ・ロペスもムラのあるボクサーだと思っていますが、このデービスも結構ムラのあるボクサーだと感じます。
まあ、状態が悪くても倒してきてしまっている、という事実はありますが。
この「ムラ」というものに関してはまた別の記事で書きたいと思っていますが、ともあれ安定的に力を発揮する、勤勉なタイプのボクサーではない、ということは事実。
なので相性次第で、格下にころりと負けてしまうことも考えられないではありません。
では、相手のイサック・クルスはタンクに勝てるか。
イサック・クルスは前段で書いた通り、本当に全弾フルスイング、という攻撃力偏重のボクサーです。
基本的には前にでて、近い距離になったらフックを思い切り打ち、アッパーを思い切り打つというボクシングというか昭和の拳闘スタイルで、彼を有名にしたのは2020年10月、タンクvsサンタ・クルスのアンダーカードで2度世界に挑んだディエゴ・マグダレノ(アメリカ)を初回で秒殺。
ゴングと同時に走っていってコーナーに詰め、とにかく強いフックを打ちまくってKOしてしまったという恐ろしい内容。
その一戦後、当時無敗のホセ・マティアス・ロメロ(アルゼンチン)、元王者、フランシスコ・バルガス(メキシコ)を撃破。フルラウンドを戦えるスタミナも、そのためのスタミナ配分も、意外と考えて戦っているボクサーだということがわかります。
↓クルスvsバルガスの観戦記。アイザック表記はお気になさらずに。
このタンク・デービスとピットブル・クルスのステータスを考えると、ディフェンス、スピード、ボクシングスキル、おそらくほとんど全てにおいてタンクが上回っているでしょう。
一発のパンチングパワー、というか破壊力においてもおそらくタンクが上。
ではクルスに全く勝ち目はないか、と言われれば、少々薄いながらもある、と考えます。
それは、やはりクルスの思い切りの良い攻撃にあると思います。
デービスは度々集中力が途切れる瞬間がありますし、「嫌がっている」ことをあまり隠さないボクサーでもあります。
クルスがもししつこくしつこく、タンクが辟易するまでしつこくパワフルに、そしてノンストップで攻め込み続ければ、タンクの「心のスタミナ」に穴を空けられるのではないでしょうか。
それには1に先手、2に先手、常に先手を取って、タンクが嫌がることをやり続けるというスタミナと、最終ラウンドまでに決着をつける、という振り切った勇気が必要なように思います。
但し、これは本当に容易なことではなく、攻め続けることで怖いのはタンク・デービスの破壊的なカウンター。特に、クルスのフックに合わせてくるであろうアッパーカット。
タンクのパワーパンチのアングルは非常に多彩で、左でも右でも、フックでもアッパーでもカウンターを打てることと、その全てが破格のパワーを誇っている、というところが非常に怖い。
なので、順当にいけばタンク・デービスの勝利は固く、このクルスを果たして倒すことができるか、というのが焦点。ただ、クルスがデービスの集中力を切らせ、イライラさせ、雑になったところでパンチをまとめることができれば勝機はあると思います。
これはどちらも応援せず、クルスの健闘を肴に観るのが一番良いと思います。超楽しみな、ハードパンチャー対決は、大激戦間違いなし!!!
ちなみに、強豪揃いのライト級では先日大波乱。なんとメジャー3団体統一王者、テオフィモ・ロペスが敗北を喫してしまいました。タンクとの対戦を楽しみにしていたファンも多いと思いますが、残念です。
アンダーカード!
WBC世界スーパーウェルター級挑戦者決定戦
セバスチャン・フンドラ(アメリカ)17勝(12KO)無敗1分
vs
セルジオ・ガルシア(スペイン)33勝(14KO)無敗
セミファイナルは米国プロスペクト、フンドラと、無敗のスペイン人、ガルシアの一戦。
「タワーリング・インフェルノ」フンドラはスーパーウェルター級におい197cmの身長、203cmのリーチという大型ヘビー級並の体格を誇ります。
しかしそのボクシングは、打ち合い大好きの拳闘家。
長身サウスポーらしからぬボクシングですが、長身から放たれるアッパーは対戦相手にとって非常に脅威。本当は隙が大きいパンチですが、フンドラのアッパーはさほど突き上げなくても相手の顔面に届いてしまいます。23歳、大注目の個性派プロスペクトですね。
対戦相手のセルジオ・ガルシアは、イギリスで大人気の激闘男、テッド・チーズマン(イギリス)に初黒星をつけたボクサーですね。
戦績は非常に立派ではありますが、今回はアメリカに乗り込んでのBサイド。アンダードッグです。
しかしここ最近のスペイン人は、サンドール・マーティン(vsマイキー・ガルシア)、キコ・マルティネス(vsキッド・ガラハッド)と非常に良い流れ。このビッグアップセットの数々は、きっとこのガルシアにも勇気を与えているはずです。次は自分の番だと。
こういう大きな流れは意外と侮れません。フンドラにとって試練となるか。
そしてその他のアンダーカードも要注目。
セルゲイ・デレビヤンチェンコ(ウクライナ)vsカルロス・アダムス(ドミニカ共和国)
13勝(10KO)3敗というデレビヤンチェンコですが、敗れた相手はダニエル・ジェイコブス(アメリカ)、ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)、ジャモール・チャーロ(アメリカ)という錚々たる顔ぶれ。現在ゴロフキン、チャーロと連敗中ながら、すべての敗戦で大いに善戦、実力者であることは間違いありません。
対してアダムスは20勝(16KO)1敗という好戦績、唯一の敗戦はWBO世界スーパーウェルター級暫定王座戦でパトリック・ティシエイラ(ブラジル)に喫したもの。
アダムスにとっては今回が初のミドル級戦ということもあり、デレビヤンチェンコが激闘によりダメージを溜めてさえいなければ、再起に成功すると思いますが。。。
エドゥアルド・ラミレス(メキシコ)vsミゲル・マリアガ(コロンビア)
この試合がShowtimeで放送するPPVファイトのキックオフ。
元WBA世界フェザー級暫定王者、エドゥアルド・ラミレスと、世界に3度挑んだミゲル・マリアガがサバイバル戦。
ラミレスは2021年5月にWBAの暫定王座を獲得しましたが、いつの間にやら世界ランクからいなくなって、WBA暫定王座はマイケル・コンランが決定戦で獲得、そしてすぐさまWBAの王座削減政策により剥奪。
ラミレスの暫定王座はどこへ消えたのかはよく分かりませんが、このマリアガをクリアすれば世界を狙える位置に戻ってこれるのでしょう。
生き残るのはどちらか。興味深い一戦です。
放送・配信
この興行は、アメリカではShowtimeのPPV、74.99$です。
日本ではWOWOWオンデマンドで生配信(12:00〜)、同日の21:00〜WOWOWライブでタイムリーオンエアとなっています。これは超お得ですね。
注意しないといけないのは、アメリカでは日曜日なので、日本では12/6、月曜日の興行だということですね。くれぐれもお間違えのないように。
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