12/11(土)
— 信太 (@shintaboxing) 2021年12月11日
16:10
田中恒成vs石田匠
Paravi
12/12(日)
2:00
エドワーズvsママ
バトラーvsアグベコ
WOWOW
4:00
ベンvsアルジェリ
DAZN
11:00
ロマチェンコvsコミー
WOWOW
12:00
ドネアvsガバリョ
勅使河原vsタパレス
WOWOW
15:00
亀田vsパレホ
YouTube
さくせんは「命だいじに」
とにかく忙しい週末ですね。この全ての試合が(あと文字数の都合で載せませんでしたが、ビボルvsサラモフも)それぞれの現地時間で12/11(土)に行われます。その一発目は田中恒成vs石田匠!好試合間違いなしの一戦です。
CBCで中部ローカルで生放送、そしてその他の地域はParaviで生配信。これはありがたい。
さて、今回のブログでは、12/11に行われた田中恒成vs石田匠、Paraviでの観戦記です。
↓プレビュー記事
12/11(土)SOUL FIGHTING
田中恒成(畑中)15勝(9KO)1敗
vs
石田匠(井岡)29勝(15KO)2敗
しばらくお待ち下さい画面から、突如始まったParaviの生配信。
入場も流してくれません。かろうじてリングコールは流してくれました。
初回、ファーストヒットは石田のジャブ。田中はやや慎重な立ち上がり、石田のまっすぐのジャブが届きます。じっくりとした動きの田中、石田は下がりながら得意のジャブを放ち、これはわかっていた事ですが非常に厄介。リズムを取ろうとすると石田の鋭いジャブが来ます。立ち上がりは明らかに石田。田中はまだ様子見か。
2R、田中がプレスを強めて距離を詰めていきますが、石田はアッパーを好打。田中は左ボディをヒット、しかし微妙な距離では石田のジャブがよくヒット。
後半に入るとリズムに乗ってきた田中、ヘッドムーブも出て様々なアングルからパンチを出します。ふたりの距離は思ったよりも近い。
3R、ガードを固めてプレスする田中。石田のジャブは相変わらず良く、右ストレートも非常にキレています。
中盤に田中の右がヒット!しかしここまでは石田のジャブで田中の顔が揺らされる場面が目立っている気がします。田中としては、ようやく調子が出てきたここからでしょうか。
石田は鼻から出血。
4R、田中が攻勢を強めます。ボディから削り、右ストレートをヒット!速いコンビネーションも出始めます。
田中はフィジカル、パンチングパワーで石田を上回っているように見えます。石田はワンツーで突き放しにかかりますが、田中のガードは固く、退きません。
この、ガードをしっかりして打ち返す、これが前戦でディフェンスの大切さを学んだ田中の真骨頂なのかもしれません。
5R、序盤は石田のジャブ、ストレートが有効。クリーンヒットはないまでも、田中の踏み込みを止めています。中盤には石田はコンビネーションで田中を止め、手数も出てきました。
田中はこのラウンドはなかなか石田に届きません。強引に行くと下がりながらのジャブに顔を跳ね上げられ、見栄えとしては悪い。
6R、石田はジャブ、ジャブ、ジャブ、ジャブ。本当にジャブがよく出ます。田中はそのジャブになかなか距離を詰められませんが、距離を詰めさえすれば強烈なボディブロー。
田中が左を打れば、ガードが空いたところに右ストレートをヒットする石田。
後半は距離が詰める場面が増え、近くなれば当然田中のペース、ボディを叩きまくります。
7R、石田はボディがキツいか。石田のジャブに慣れてきた田中、ジャブの連打が出なくなってきた石田。
このラウンドは序盤から距離が詰まり気味、田中は本当にしつこくボディを叩きます。
石田は近い距離でも諦めずに打ち返しますが、パワー差が明らか、少し力もなくなってきたか。ただ、中間距離でのストレートはまだ生きています。
8R、セコンドの指示か、ジャブの連打がまた出始めた石田は、軽いパンチながらコンビネーション。この中で特に石田のアッパーが効果的です。
田中はそれでも距離を詰め、ボディ。少々の被弾は気にせず、プレスをかけ続ける田中、ガードの時間が長くなってしまうこともあります。
9R、石田は徹底したジャブ、田中は距離を詰めてのボディ打ち。石田も一時よりも力が戻ってきた気がします。
後半、激しい打ち合いとなったこのラウンド、これは非常に難しいラウンドだらけです。石田はパンチ力では敵わないと見ますが、それでも意地を見せています。
ラストラウンド、このラウンドもプレスをかける田中。石田も負けじと手数で田中を押し返し、譲りません。
ともすればこのラウンドを取った方が勝つんじゃないか、という接戦、この最終ラウンドは大切です。
細かなコンビネーションを打つ石田の方が手数は多いですが、パワーパンチとそのインパクトは田中か。このラウンド終盤は石田が上手くステップを使ってストレート系のパンチを田中のガードに届かせ、素晴らしい空間把握能力を披露して終了。
あっという間の10ラウンズ。これは、これこそがボクシング。
ポイントは、96-94で田中。96-94で石田。そしてもうひとりが96-95で、田中恒成の勝利!
2-1、スプリットデシジョン。ハッキリ言ってどっちが勝ってもおかしくはありませんでした。ジャブ、軽めのクリーンヒットでは石田が上回った印象を受けましたが、田中のパワーパンチ、特にボディは非常に印象的。7Rあたりは石田もボディが効いている感じがして、もしかすると田中のストップ勝ちもあり得るのか、とも思いました。
しかしそこから見事に盛り返した石田の素晴らしいファイティングスピリッツ。「ジャブ」と「ストレート」、そして長身という自らのストロングポイントを充分にわかったボクシング、とりわけジャブは素晴らしかった。
これは本当にジャッジによっては、石田の中差くらいの判定勝ちもあり得たでしょう。というかもしこれが大阪だったら、とか思ってしまいます。
ともあれ、勝ったのは田中恒成。石田匠、井岡ジム、そして石田を応援していたファンの方々にとってはかなり辛い結果だったと思います。しかし、この試合で石田はその強さを存分に発揮し、3階級制覇王者を相手に堂々と渡り合ってみせました。きっと石田を応援している人たちは、判定が出るまで石田の勝利を疑わなかったでしょう。
石田は、その強さとは裏腹に、その名前がまだ関西圏を出ていない、とも思います。今回のこの一戦は、敗北を喫したものの石田のキャリアにとって糧となる一戦だったと思います。
私の感覚としては、田中恒成は2020年末、井岡に挑戦し、試合そのものとその過程においてファンを増やしたのではないか、と思っています。
今回のこの試合は、好試合間違いなしにもかかわらずプロモーションは全然足りずに残念でしたが、この3階級制覇王者と互角に渡り合った事で石田はファンを増やしたのではないか、と思います。そして勿論、力のあるところもアピールできました。
田中恒成については、確かにガードは上げていました。しかしガードを上げて、「見ていた」としても石田のジャブはよくヒットしていましたね。
あと個人的な感想としては、強引さはいつもに比べてやや少なかった。これは大人になったというか、ボクシングを組み立てようとしているのか、というところで、さほど悪いこととは考えません。
被弾はたしかにありましたが、以前のように勢いに任せて突っ込んで、相手のビッグパンチを浴びるということはありませんでした。過去、田中は幾度かダウンを喫していますが、今回は効いたパンチはなかったように見えました。
田中恒成は、井岡戦以後、「ディフェンス」を反省点として掲げていましたが、そのディフェンス面は及第点ではないか、と思います。もちろん細かいパンチの被弾、そして今回は特にジャブで顔を跳ね上げられる場面が目立ち、見栄えが悪かったところが反省点。ただ、石田のジャブに対して、時折見せる細かなバックステップ、身体の芯をずらすボディムーブ、このあたりは良かったんではないでしょうか。
やっぱり田中恒成は、これからも楽しみなボクサーです。
Paraviって。。。
さて、Paravi。これまでにもTBS系列のボクシング番組、確か昨年末は一部地域しかテレビで放映されなかった比嘉大吾の試合(井岡vs田中のアンダーカード)を配信してくれたりしましたね。あれはPPVではなく、月額のプランに申し込まなければいけなかったような気がします。
そして前回もそうでしたが、今回のPPVも、明らかにCBCの中部ローカルの番組をそのまま配信で流しただけ、という内容。テレビだと入場も流れたんでしょうか?
999円、決して高い金額ではありませんし、別にこの金額を払って見られるなら、当然見ます。
ただ、こう思っているのは田中恒成や石田匠のファン、そしてディープなボクシングファンであり、もし、ライト層のボクシングファンがこの配信を購入した場合、とてもがっかりするのではないでしょうか。
料理の世界では、前味、中味、後味といいます。
ざっくり言うと前味というのはサービスやお店の雰囲気、中味というのは料理そのもの(味や見た目も含めて)、後味というのは食べ終わった後に感じること、で、また来たい、と思うかどうか、ということ。
そのどれか一つがかけると、ファンを獲得できないといいます。
Paraviのボクシング配信のファンではない、ボクシングファンである我々は、ただただ「中味」を追い求めていれば良いのですが、まだライト層のファンはそうはいきません。
今回のParaviのの配信は、中味は二人のボクサーのおかげで成功したものの、前味、後味で大きく失敗。というか、勝利者インタビュー途中で切って終わらせるってどういうことだ。テレビか。だったら全国放送の地上波でやってくれ。
話は違うんですが、12/14のフェニックスバトルは煽りVを次々とYoutubeにアップ、中でも私は武居由樹の煽りVに感動しました。
決して相手を貶めるわけでもなく、それぞれのボクサーが思いを語ったVTRは、ちょっと鳥肌がたつくらい試合が楽しみになります。互いに罵るVTRは正直いらないですし、昔よくあった強くないチャレンジャーを「最強」と言い切るようなVTRもいらないんですが、リングで戦うふたりのことを簡潔に、誰にでもわかるようにまとめてもらいたい。
今回の田中恒成も、石田匠も、背負っているもの、この試合にかける思い、きっと相当なものがあって、我々ボクシングファンにすら届いていないものが確実にあったはずです。
ボクシングのヲタクたちは、とりあえず生放送と言っておけば買うだろう、というテレビ業界の思惑が透けて見えます。買いますけどね。
ただ、これからABEMA、アマゾンプライムが本格参入してくるのであれば、このテレビ業界が片手間でやっている配信に先はありません。というかもう撤退して、さっさと他の配信サービスに明け渡してほしい。
グチグチと言ってしまいましたが、きっとこういう意見は多いのではないでしょうか。ともあれ田中恒成vs石田匠は、稀に見る名勝負。「好試合になるだろう」と思っていた試合が好試合だった時の喜びといったら、何と形容して良いか分かりません。
Paraviの文句で終わってしまって大変失礼しましたが、引き続き田中恒成、石田匠、両ボクサーを応援していきたいと思います。
↓この後も期待の試合が目白押し!