信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

福永亮次の勝ち筋はあるか。井岡一翔、大晦日決戦のアップセットの可能性を探る。

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今年もあと一週間。

後たったの一週間で、井岡一翔vs福永亮次の大晦日決戦。

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

井岡一翔には、勿論ジェルウィン・アンカハスとの統一戦に進んでもらいたい、と思っていますし、福永亮次という魅力的なボクサーには、世界王者になってほしい、と思っています。

なので個人的には、非常に楽しみにしつつも複雑な一戦となりますが、私のハラは決まりました。福永を全力で応援したいと思います。

ということで今回は、大晦日一週間前、福永によるアップセットの可能性について書いていきます。

↓福永のアップセットを応援したくなるかもしれない記事はこちら

 

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下馬評は間違いなく井岡

井岡一翔というボクサーは、ここまで素晴らしいキャリアを積み上げてきています。敗北の2つはアムナット・ルエンロン(タイ)、そしてドニー・ニエテス(フィリピン)。

ルエンロン戦で初黒星を喫した井岡はまだ若く、ルエンロンの老獪なボクシングに翻弄されたイメージであり、たらればですが今やればああいう結果にはならないでしょう。

そしてニエテス戦、こちらはどちらが勝っていてもおかしくはない、という内容。互角と言って良い内容に見えました。

井岡の前戦、フランシスコ・ロドリゲスJr(メキシコ)戦こそやや困ったそぶりを見せたものの、その前の田中恒成(畑中)戦は快勝。

ロドリゲスはしつこく前に出てくるファイタータイプであり、福永はこのボクサーは参考にしやすいかもしれません。ただ、井岡は当然ここをクリアしているので、参考になりこそすれ必勝の策にはなりえません。

 

田中戦の前はジェイビエール・シントロン(プエルトリコ)、技巧派の長身サウスポー、その前はニエテスと引き分けたアストン・パリクテ(フィリピン)戦。

この2戦は、序盤様子を見た井岡は、中盤から後半にかけて打ち合い、接近戦に転じたというボクシング。これこそが、ディフェンスから相手を切り崩す戦い方、だったと思います。

仮に、序盤、井岡と互角に戦えたとしても、それは井岡も様子見段階であるという場合が多く、中盤から後半にかけて井岡は対応してきます。

もともと非常に穴の少ない井岡は、対応力もずば抜けて高いです。果たして、このPFPランカーの王者相手に、アップセットの芽はあるのか。

 

福永亮次の可能性

福永は、まだ成長過程にあるボクサーだと思っています。フローイラン・サルダール(フィリピン)からWBOアジア・パシフィック王座を奪った時の福永は、素晴らしいハートの強さとハードパンチこそ持っていたものの、技術的にはサルダールの方が上に見えました。

そこから3戦、戦うたびに強くなっている、上手くなっている、ちょうど成長曲線にあるボクサーだと思います。

前戦、梶颯(帝拳)戦でははじめて12Rのフルラウンドを経験し、ギリギリの内容ながら勝利を拾ったのは非常に大きな経験だったでしょう。

福永は、15勝中14KOという、このスーパーフライ級において破格のKO率を誇るボクサーですが、いわゆるワンパンチフィニッシャーとは言えません。

ガツンガツンと思いパンチを繰り出し、少しずつ効かせて倒すタイプのボクサー。

こういうタイプのパンチャーは、どちらかというとブロッキングで対応するよりも外す、という方が妙手のような気がします。なので井岡とすれば、近い距離でブロッキングをしながら戦うよりは、距離で外し、要所でブロッキングしてカウンター、というのが定石に思います。

 

なので井岡は前に出るスタイルで戦うということはなさそう。

ということは逆に、福永としては井岡にあまり動き回らせず、ブロッキングの上からでもとにかくパンチを叩き込む、ということが重要となってくるはず。

それには、まずは井岡が福永のパンチを見切ってしまう前、前半に一度、大きな山場を作ることで井岡を守勢に回らせ、「下がらせる」ことが重要で、それによってそれ以後の戦いを有利に進めることができるかもしれません。

福永は序盤に倒すくらいの気持ちで初回から出て行った方が、井岡のコンピューターを狂わせることができる確率は上がる、と思います。

それでも尚、井岡のボクシングIQ、対応力は相当なものなので、それを乗り切られ、持ち直されれば苦しい展開が続くかもしれません。

 

ここで2の矢、3の矢がなければ悪戯に時間が過ぎていくだけになってしまうので、福永陣営としてはそこを想定して何かを用意しておく必要がありそうです。

人生をかけて、人生を変える。

福永が井岡に勝っている点があるとすれば、パンチ力とフィジカルか。井岡はスーパーフライ級にフィットしてきたとはいえ、この階級では身体つきは劣るように思います。それでも、最小限の動きで最大限のパワーを発揮できる体の使い方、ボクシングスキルの巧みさでこのスーパーフライ級でも頂点を極めたボクサー。

しかも井岡は打たれ強い、というかほとんどまともにもらったりしないため、余程のことがない限りは、相手が誰であろうとも井岡がストップ負けすることは想像できません。

それはアンカハスでも、ロマゴンでも、エストラーダでも。

たった一つ、今回の井岡一翔に付け入る隙があるとすれば、それはモチベーションの面でしょう。

やはり、熱望していたIBF王者、ジェルウィン・アンカハスとの統一戦が流れたのは大きい、と思います。

今回も明らかに「格下」と位置付けられる福永に対して、井岡の戦い方の選択はどうか。アンカハスとは、それぞれに防衛戦を戦い、来年春に相見える、ということで交渉は継続中だそうです。(アンカハスは2/5にアメリカで無敗のフェルナンド・マルティネスを相手に防衛戦を行う予定だそうです。)

 

そうなると、井岡としてはここは良いパフォーマンスを見せて勢いをつけたいところ。

そこで井岡が、一時のようにアグレッシブに攻めてくれば、これは福永にとってはありがたい。自分の土俵で戦ってくれるのです。

パンチ力に優っていようとも、接近戦でも井岡に分がある、というところも正直否めませんが、接近戦で戦った時の井岡は被弾もいつもよりあり、そこに福永のパンチがヒットすれば効かせられる可能性はあります。

井岡が序盤から打ち合うかどうか。この選択肢は可能性としては低いかもしれませんが、こうなったら面白い展開になるかもしれません。

対して、福永のモチベーションは高いでしょう。

10月、梶に勝利した後に出した「世界」の言葉。これまでアジア3冠を保持していたにも関わらず、ようやくでたこの「世界」には重みを感じます。

 

この時、本人の中で、世界へ挑む心が出来上がった、と見るべきでしょう。

なのできっと心の準備はしっかりとできており、この井岡戦のオファーに早々に食いついた。公開練習前の記者会見も見ましたが、準備期間が殆どない状況の中で、一切の言い訳もしないし、直前のオファーであったことを全く感じさせません。

福永にはパンチ力という武器がありますが、それよりももっと大きな武器になるのは、劣勢でも決して諦めない心、ハートの強さにあると思っています。おそらく、井岡にとっても最後まで気の抜けない戦いになるはずです。

何度もこのブログで言っていますが、別のボクサーの応援で駆けつけたフローイラン・サルダールvs福永亮次をメインとしたスラッグフェスト、あの逆転KOは本当に感動しました。

そしてその後の福永の技術面での成長は、目をみはるものがあります。

勿論、気持ちだけで勝てるほど井岡一翔という王者は甘くはありません。福永が勝てば、大きなアップセット、ともすればアップセット・オブ・ザ・イヤーにノミネートされる可能性もあるほどです。

人生をかけて、人生を変える。ただの記念挑戦ではないその意気込みを、端々から感じる35歳に期待したい。

 

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