2月に入ってからは、国内外で多くのボクシング興行が開催されています。
日本バンタム級王座決定戦にはじまり、全日本新人王戦、海外でもキース・サーマンvsマリオ・バリオスの一戦や、ダニエル・ジェイコブスvsジョン・ライダーといった素晴らしいマッチアップがありました。
しかし、ここまで、最もインパクトを残し、最も今後楽しみになったボクサーは、と聞かれると、2/8(火)のダイヤモンドグローブで勝利した、宇津木秀(ワタナベ)の名前を上げます。
あの鈴木雅弘(角海老宝石)を相手にあの勝ち方、ここまでのプロキャリアでベストなパフォーマンスを披露した宇津木。
宇津木秀が9回TKO勝ちで日本ライト級王者に「もっと強くなって上にいく」/ボクシング(サンケイスポーツ) - Yahoo!ニュース
↓セミも素晴らしかった、ダイヤモンドグローブ
本日2/14(月)からは、FOD(プレミアムではなく、無料で見られる方)でFUJI BOXINGの配信も始まったので、ご覧になった方も多いかもしれません。
見てなかったら是非見てください。
↓FODのFUJI BOXING
https://fod.fujitv.co.jp/title/1201?division=home&shelf=new_arrival
さて、絶対王者、吉野修一郎(三迫)の跡を継いだ宇津木秀、こちらも既に難攻不落感がでてきています。そんな宇津木、これから日本ランカー相手の防衛戦では、どのような戦いを見せてくれるのでしょうか。
宇津木の今後の戦いを展望していきたいと思います。
まずは日本ランク(最新のものなので、王者としてまだ宇津木が入っていない)から。
日本ライト級ランキング
2位三代大訓(ワタナベ)
三代はおそらく、日本王座決定戦の声はかかったと思うのですが、ここは回避。理由は、「他に試合がある」ということなのか、「日本王座に魅力を感じない」なのか、はたまた「宇津木に譲った」なのかはわかりません。
仮に今回の王座決定戦で鈴木が勝利していれば、結局は指名挑戦者となったので、もしかすると「今回は譲った」というのが正しいのかもしれませんね。
ともあれ宇津木vs三代は同門なので、ありえないカードです。見てみたいですけれども。
3位伊藤雅雪(横浜光)
元世界王者の伊藤は、次戦で吉野修一郎(三迫)との一戦が決まっています。なので今回、王座決定戦に出場しないのは当たり前でした。
伊藤も日本ランキングにこそ入ってはいるものの、あまり「日本王座」へのこだわりはないでしょう。吉野に勝利することができれば海外で戦っていくかもしれませんし、敗北してまだ続けるのであれば、この日本王座を足がかりにする、ということも考えられます。
5位利川聖隆(横浜光)
元トップコンテンダー、鈴木雅弘との挑戦者決定戦は非常に良い勝負をしました。その後、引退を宣言しています。このランクに入っているのはタイミングの問題でしょうか。
6位柳達也(伴流)
27戦というキャリアを持つ柳。10年前の全日本新人王が、未だ現役で、未だ日本ランクに名を連ねています。古豪という言葉がふさわしいキャリアは武器ですが、若く、勢いのあるボクサー相手だとやはり分が悪い気もします。
7位向山大尊(ハッピーボックス)
まさに彗星の如く現れた、超新星。2018年にプロデビューはフェザー級で黒星発信、翌年にエントリーした新人王はスーパーバンタム級で、奈良井翼(RK蒲田)に初回TKO負け。
その敗戦からの再起戦をクリアしたのち、6回戦に進んでの2勝はともに牛島龍吾(八王子中屋)から勝ち星を得たものです。
そしてA級初戦でランカー挑戦、清田享(大橋)を2Rで粉砕、見事ランクイン。これは衝撃的でしたね。
まだ王座挑戦という段階ではないのでしょうが、底を見せていない非常に面白いボクサーです。ライト級ランカーでも最注目のひとり。
8位保田克也(大橋)
元アマエリート、B級デビューのボクサーで、ここまで順当に勝ち上がってきています。スピードがあり、カウンターを得意とするボクサータイプです。
次戦は2/28のフェニックスバトルで、仲里周麿(ナカザト)と対戦することが決まっています。これは非常に興味深い。
9位ジロリアン陸(フラッシュ赤羽)
ここ数戦、非常に強く、派手な倒し方をしているジロリアン。日本ランクもようやく一桁、日本王座への挑戦も見えてきました。
次戦の相手は、ノーランカーながらも強敵、粕谷雄一郎(角海老宝石)。
ともに好戦的なタイプ、熱戦間違いなしですね。
10位齋藤眞之助(石川)
2017年、そのジロリアンに新人王戦で敗れるも、3度目の挑戦で2019年の全日本新人王を獲得した齋藤。そのランキングを堅持し、徐々に順位を上げてきて挑戦圏内。
181cmを誇る、ライト級きっての長身ボクサーです。
11位富岡樹(角海老宝石)
前戦、一階級上の藤田裕崇(現・藤田炎村/三迫)に判定負けを喫した富岡は、強敵相手とはいえ、これで3連敗。素晴らしいセンスを持つ富岡は、前戦からファイタータイプに変身、この挑戦が吉とでるか凶とでるのか。
富岡の挑戦を見守りたいと思います。
12位仲里周麿(ナカザト)
90年代から2000年代初頭もボクシングファンであったならば、仲里繁の長男、周麿は応援してしまうでしょう。
前述のとおり、次戦は上位ランカーの保田戦。保田は非常にテクニカルで、アマ時代じも実績を残すアマエリートではありますが、ここは仲里に上位への返り咲きを見せてもらいたい。豪快なノックアウトを期待します。
15位湯川成美(駿河男児)
デビュー4連勝、現在3連続KO中の湯川。日本ランクに、「朝鮮資格を有しない」15位ながらも名を連ね、ここからが本当の闘いでしょう。
今年もあと1~2戦はあるでしょうから、その戦いで、上位ランカーを引き寄せられれば、思ったよりも早く上位に駆け上がっていくかもしれません。
宇津木の次戦は?
2022年2月末発表のランキングで、1位だった鈴木雅弘(角海老宝石)が、どこまでランクを落とすかはわかりません。当然、すぐに再挑戦とはいかないですが、おそらく上位にはとどまると思うので、今後の再起にも期待したいものです。
日本ランクを飛び越えて目を向ければ、ホルヘ・リナレスや中谷正義の帝拳コンビ、そして3冠王者、吉野修一郎。このあたりが、いきなり宇津木とかかわる可能性はほぼないでしょう。ただ、個人的には吉野vs宇津木は見てみたい気もします。
さて、順当にいけば、「王座決定戦で戴冠したものは、3か月以内に指名試合」というJBCルールが適用されます。
現在(2022.1末発表)のランキングでトップコンテンダーは鈴木ですが、その次は三代。その次が伊藤、その次が王者となった宇津木、引退した利川と続きます。
ということで、これが繰り上がり、次戦で宇津木への指名挑戦者となりそうなのは、現在6位の柳達也。
三代は同門、伊藤はこれを受けるわけはないと思うので、ほぼ確定か。
その柳の次に向山大尊が入っているのが興味深いですが、ちょっと時期尚早な気もします。
「強さを見せてタイトル初戴冠→初防衛戦で大苦戦!」は、本当によくあるパターンで、だからこそ初防衛戦は鬼門と言われます。
3か月以内に開催されるであろう日本ライト級タイトルマッチ、楽しみに待ちたいと思います。
↓バンタム級も始まる!