行ってきました、京都市立体育館!!
実は前々日くらいまで京都府立体育館と勘違いしていましたが、気づいて軌道修正。マジで危なかったです。
ABEMA TVで生配信されたこの一戦は、ご覧になった方も多いと思います。
ABEMAプレミアムに入れば、アーカイブでも見れるそうなので、見逃した方は是非見てください。
ということで、今回のブログでは、強行スケジュールで見に行かせてもらったTHE REAL FIGHT、矢吹正道vs寺地拳四朗の観戦記です。
現地観戦だったので、例によって途中のサービスエリアで書いています。余韻に浸りつつ、明日仕事だと思うと泣けてきます。
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第1試合、第2試合とKO決着。
第1試合に登場した京井拓真(Woz)は非常にパワフルで、富田勝太(BMB)から左フックでダウンを奪い、初回TKO勝利。
第2試合に登場した石井真紘(RST)は抜群の距離感を誇り、上下への打ち分けもまた秀逸。2Rにダウンを奪い、レフェリーは即刻ストップ。
素晴らしい金の卵が登場したアンダーカードにより、興行への期待感はどんどん高まります。
50.3kg契約8回戦
芝力人(真正)5勝(3KO)2敗
vs
川畑嗣穂(ワタナベ)2勝(2KO)3敗
日本タイトル戦からの再起戦となる芝と、3連敗中の川畑、2019年9月以来の再戦です。
初回、距離の探り合いから、芝の力強いジャブが印象的な展開。後半には芝は上下のコンビネーションを放ち、こちらもまた力強い。
2R、少し距離が近くなった、というか、芝が川畑の攻撃を受けてリターンを狙う展開になります。川畑はボディが良い感じで、芝が踏み込むと川畑はバックステップ。
川畑が上手く戦っている印象を受けましたが、終盤、芝が引っ掛けたような左フック?で川畑はリングに膝をつき、これがダウン宣告!これは川畑にとってちょっと不運だった気がします。その後、芝はラッシュをしかけました。
3R、ボディの叩き合いから芝の右カウンターがヒット!その後も芝のコンビネーションは力強く、カウンターも冴えています。さきほどのダウンで自信を持ったか。
4R、芝は狙っています。川畑の出てくるところに右ボディから左フック!ラッシュを見せる場面もあります。
対して川畑は、カウンターを狙われている分力強い攻撃ができずにいます。
5R、川畑がここでチャージ、出鼻にカウンターを合わせられないように軽いパンチから入り、強いパンチに繋げていきます。これは川畑にとって良い戦い方、ここから果たして挽回なるか。
6R、変わらず川畑ががんばります。芝が大きな左フックをヒットすれば、川畑も左アッパーを突き上げ、両者譲りません。
7R、細かいパンチを出し続ける川畑に、芝もこのラウンドはしっかりと仕掛けて打撃戦!芝もアグレッシブに攻め、一発の印象はやはり芝の方が上でしょうか。
ラストラウンド、早々に芝の強烈な左ボディが川畑に突き刺さります。これは効いたか、体をくの字に折って明らかにボディをかばう川畑!
しかしそこから川畑はワンツーをヒットして盛り返し、芝も負けじと猛攻!素晴らしい打撃戦です。
終盤、川畑は左ストレートをヒット、その後ラッシュを見せて最後の希望にすがるも、ここでゴング。
判定は、77-74が2者に78-74が1者で芝力人を支持。
川畑もがんばりましたが、一歩及ばず。基礎技術の高いボクサーですが、これで4連敗、かなり厳しい戦績になってしまいました。
芝はやはり良いボクサーですね。ふたりの差は2019年当時よりも縮まってはいなかったし、広がってもいなかった、という印象を受けました。
フライ級8回戦
井上夕雅(真正)12勝(2KO)2敗1分
vs
浅海勝太(ハラダ)9勝(4KO)9敗
日本ユース・フライ級王者の井上夕雅。戦績こそ五分の星ながら、アップセットを起こせる力を持っている浅海。これは楽しみなマッチアップです。
初回はジャブの差し合いからスタート、浅海がプレスを掛けます。
浅海がコンビネーションで攻めれば、井上もコンビネーションで返しますが、手数はやや浅海が上回っている印象です。
2R、浅海のプレスを井上は受け止めます。そうなると必然的に打撃戦。井上はボディムーブが上手く、接近戦も得意の部類に入ると思いますが、浅海はコンビネーションを打ち終わったと思ってもまだ手を出してくるので、これはかなり厄介。近い距離でもジャブからしっかりと出し続ける、浅海の手数をとりたいところです。
3R、井上のパンチはKO率に似合わず非常に強烈。特にこの試合はボディが強烈。その他にも素晴らしいアングルのアッパーやフック、井上の方がこういう技術面では1枚上手に見えます。
浅海はそれを補うために手数勝負、テンポよく連打を繰り出していきますが、体のバランスが良いからこそできるわざですね。
4R、引き続き打撃戦の展開、ふたりとも本当によく手が出ます。このラウンドは井上が前ラウンドにも増してアッパーカットのアングルに磨きがかかり、浅海はやや手数が減ってきたような印象を受けます。
5R、浅海は疲労か、ダメージか、テンポの良い攻撃が少しずつ翳ってきているように感じます。井上はそれを好機としてカウンターをヒット!浅海の連続攻撃が少なくなれば少なくなるほど、井上としてはカウンターを取りやすくなりますね。
6R、このラウンドも引き続き打撃戦、両者互角の戦いを見せます。しかしその展開から抜け出したのはやはり井上の右アッパーと左ボディー!このビッグパンチを非常にテクニカルにヒットし、このラウンドも井上が優位か。
7R、前半のようなしつこいしつこい攻撃がなかなか出ない浅海、こうなるとやはり印象的なのは一発の威力に勝る井上。ラストラウンドも火の出るような打ち合いで、相打ちのパンチも非常に多かったですが、全ラウンドを通しての判定は井上を支持。
1人が76-76のドローとしていましたが、残り2人は77-75、78-74で井上。
今回の会場はモニターがなく、私の席からは顔面に負っているダメージは測れませんでしたが、動きを見るにやや浅海の方が被ったダメージは多そうな雰囲気。
浅海は特に前半、本当に素晴らしいボクシングを見せましたが、及びませんでしたね。
あの、「コンビネーションを打ち終わった」と思ったら「ここでまだくる」みたいな感覚、ああいうボクシングは地味ですが個人的には非常に好きなボクシング。
今後もがんばってもらいたい。
WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ
矢吹正道(緑)13勝(12KO)3敗
vs
寺地拳四朗(BMB)18勝(10KO)1敗
この一戦には、色々な感情がうずまきます。
正直、初戦においてもこの再戦においても、純粋にどちらかを応援する、という気持ちにはなれない一戦です。
今回は訳あって、ほんの少しだけ拳四朗を応援する立場を取りますが、どっちが勝っても嬉しいし、どっちが負けても悲しい。
誰かが「因縁の再戦」ではなくて「因縁をつけられた再戦」みたいなことをツイートしていましたが、正にそのとおり。ともかく、様々な外のことにとらわれず、両者ともに実力を出し切ってもらいたい、と思う次第。
両者の入場、選手コール。会場は「声出し禁止」にもかかわらず、大きな声援が飛びます。ホールではリングアナが注意を与えたりもするものですが、今回の会場はそういう事はなし。
矢吹に対して「バッティング」なんていう言葉が飛べば、はっきり言って悲しくなります。せめて会場に来るほどボクシングが好きな人であれば、誰かを貶めて楽しむのではなく、ボクシングの崇高さと、ボクサーへの敬意をもってボクシングという競技を楽しんでもらいたいものです。
さて、初回。
ゴングが鳴ると、明らかに拳四朗がいつもの構えではありません。
いつもはアップライト、そしてガードもややルーズ目に構える拳四朗が、この日はがっちりとしたガードとクラウチングスタイル。
飛び跳ねるようなステップワークは使わず、どっしりと構えてプレスをかけます。
そうなると矢吹はサークリング、そしてかねてから「相手が出てきた方がやりやすい」と語っていましたし、実際私も矢吹はカウンターパンチャーだと見ているため、そのように思いました。これは、果たして矢吹に対しての戦略として正解なのか、否か。
拳四朗は強い、強いプレス。こんなにも力強くプレスをかける拳四朗を、少なくともプロ入り後は見たことがありません。
その強いプレスで矢吹を追い立て、矢吹はジャブでのカウンター。
拳四朗の入り際、矢吹は右アッパーを振るいますが、このタイミングは非常に怖い。ただ、拳四朗はプレスを緩めてバックステップをする術を知っており、間一髪でこの右を空振りさせます。
2Rも引き続き拳四朗は強いプレス。しかもハイテンポ。明らかに、これは12Rを戦わない、という意思表示に思えます。
このラウンドは早々に拳四朗がワンツーの右をヒット!矢吹は顔を跳ね上げられます。
拳四朗の右ストレートは、やや外側からまわってくるような右ストレートで、少し左ガードが低いのか、矢吹はこのパンチを幾度かもらってしまいます。
矢吹の右アッパーのカウンターのタイミングは依然として驚異、そしてそこから突っ込んでくるダッシュ力も前戦に引き続き驚異ではありますが、拳四朗はプレスをかけつつも従来のバックステップも使うというハイブリッド戦法。
終盤にも右で矢吹の顔を跳ね上げた拳四朗のラウンドで間違いないでしょう。
3Rも拳四朗はプレス!そしてこのラウンド、拳四朗はここまでもキーパンチとなっている右のストレートをジャストミート!!
【追記】会場では全く分かりませんでしたが、最後の右は「拳四朗の右フェイント→矢吹がスリッピングアウェーをしようとする→拳四朗は左ボディフェイント→矢吹がブロッキングをしようとして全体的にガードが下がる→拳四朗がドンピシャの右をヒット」という流れだったようですね。
一瞬の攻防。。。スローで見ないとわかりません。
なので矢吹のガードが低いというよりは、拳四朗が矢吹のガードをあけた、というのが正しいかも。【追記は以上】
矢吹はダウン!
立ち上がろうとする矢吹でしたが、10カウントを数え上げられました!
寺地拳四朗、3RKO勝利!!今日の拳四朗は強すぎました。。。引くくらい。
なんとなんと、「まさか」の勝ち方。右でダウンを奪った拳四朗は、勝利を確信したのかニュートラルコーナーに行ったあと、すでに喜びを表現していました。そこまで、手応えありの右だったのかもしれません。
試合前のインタビューでは、「普通にやれば勝てる」みたいなことを言っていたので、スタイルを変更することすら想像していませんでしたし、まさかこんなにも強いプレス、全くのファイタースタイルまでに変貌するとは思っていませんでした。
想像できたのは、前回よりもアグレッシブにいく、ということぐらいでしたから。。。
そんな予想を見事なまでに裏切り、そう、前戦の後半のラウンド以上に矢吹を攻め立てた拳四朗。前戦の後半ラウンドよりも、重心がしっかりと落ち、ベタ足で、完璧なファイタースタイル、これは元々持っていた基礎技術力があってこそ、この短期間で成功したスタイルチェンジと言えるでしょう。
そしてやはり、このスタイルチェンジは加藤トレーナーの指示だったということで、やはりこれも天晴。最強コンビの復活です。
勝利者インタビューで、矢吹に対して「僕をここまで強くしてくれた」とかたった拳四朗、これは本音でしょう。矢吹正道というライバルがいてこそ、また一つ輝いた拳四朗のキャリア、そしてそのボクシング。
今後は統一戦、もしくは階級アップ、という事になるのでしょうが、今後のキャリアは非常に楽しみですね。
そして敗れた矢吹、今回は拳四朗の方が強かった。
今回の前情報での仕上がりを見る限り、矢吹も万全だったと思います。しかし、拳四朗のあの振り切ったスタイルチェンジは、正直予想の範疇を超えていたのではないでしょうか。
矢吹にとっては、非常に残念な敗戦とはなりましたが、一度はこの名王者に勝利したボクサー。無責任なことを言わせてもらえば、まだまだ中部のボクシング界を率いていってもらいたいし、もっともっと心の底から応援できる相手とのビッグマッチを見たいのです。
勝利は強さの証明かもしれませんが、敗北は弱さの証明とは思いません。敗北は、人生の中でたくさんある試練の一つ。矢吹はまた立ち上がるのでしょうが、それがボクシングのステージである事を望みます。