3月最終週、海外だけでなく国内でも注目試合があります。
コロナ禍において、外国人ボクサーを招聘できなくなったことにより、国内での好マッチメイクが増えているという事実。その事実は、何もトップ戦線だけではありません。
ある時はノーランカー同士の一戦として、ある時はランカーと、ランカーの力を有しているであろうノーランカーとの一戦として。
「どちらにも勝ってほしい」というのは叶わぬ願いであり、勝者も敗者も出れば、そのコントラストが非常に大きく出るのが国内の好マッチメイクというものです。
ということで、今回のブログでは、3月末に予定される注目ファイトをプレビューです。
3/27(日)沖縄から世界へ MUGEN挑
日本ミニマム級王座決定戦
仲島辰郎(平仲)11勝(7KO)2敗1分
vs
重岡銀次朗(ワタナベ)6勝(5KO)無敗
最盛期を迎えると言っても良い、日本のミニマム級。2022年1月、谷口将隆(ワタナベ)が返上した王座をめぐり、石澤開(M.T)と森且貴(大橋)が王座決定戦を争い、石澤が見事なボクシングで森を撃破、日本王者となりました。
しかしその石澤も世界挑戦が決まり、早々に王座を返上。
今年に入って早くも2度目となる日本ミニマム級王座決定戦がセットされることになりました。
仲島は2021年6月、谷口の日本王座の初防衛戦の相手として後楽園ホールのリングに立ち、谷口の強さを引き立てた上で5RTKO負け。これが2つ目の敗戦でしたが、その前は2018年4月に行われた石澤開との日本ユース・ミニマム級王座決定トーナメントの中の出来事で、こちらも5RTKO負け。ちなみに1分については、先日浅海勝太(ハラダ)と素晴らしい試合を見せてくれた井上夕雅(真正)とのものです。
この井上戦は新人王の西軍代表決定戦のときのもので、1-1のドローながらも西軍代表は井上となり、ユース王座決定トーナメントでは石澤に敗れ、日本王座挑戦は谷口に阻まれました。
今度こそ、の思いはきっと誰よりも強いでしょう。
しかし、その仲島の覚悟や決意というものを、蹂躙してしまいそうなのが未来の世界王者候補、重岡銀次朗。
早くから世界を期待されたホープは、すでにメジャー4団体で上位にランクインしている強豪です。
デビュー4戦目でWBOアジア・パシフィックタイトルを手中に納め、このタイトルは3度防衛。前戦では、川満俊輝(三迫)を2RTKOで屠り、強さを見せつけた後はこのタイトルを返上。
この川満戦は本当にびっくりしましたね。川満は重岡戦の前に安藤教祐(KG大和)を秒殺でTKO、非常に勢いのあるボクサーであり、ハートも強い「沖縄」感のあるファイター。その川満に対してあの勝ち方、というのは、「ミニマム級」ということを考えるともうこの次戦が世界戦でもおかしくなかった。
なので、重岡は世界戦へのウェイティングサークルに入っているものだと思いましたが、ここで選択したのは日本タイトル戦。
ちなみにこのタイトルは、兄・重岡優大(ワタナベ)に受け継がれています。
しかし、重岡は日本王座決定戦に出場することにしたようです。
もしも、2021年12月14日、谷口がウィルフレド・メンデス(プエルトリコ)からタイトルを奪えなければ、ワタナベジムが次に世界戦のチャンスをつくるはずだったのはこの重岡銀次朗。
世界ランクも堂々と上位につけ、ここで敗北はおろか苦戦もしたくないところ。
大手ジムであるワタナベジムに所属しながらも、仲島の地元に乗り込み、タイトル奪取の意欲を見せる重岡は余裕の表れかもしれません。
大方の予想はどうしても重岡優位は仕方なし、仲島はどれだけ意地を見せられるか。
3/27(日)GREEN Dream
56.5kg契約6回戦
溝越斗夢(緑)8勝(4KO)3敗1分
vs
二瓶竜弥(DANGAN郡山)6勝(1KO)2敗1分
元日本ユース・スーパーバンタム級王者、溝越の復帰戦となります。
2021年3月に獲得したタイトルは、その3ヶ月後、挑戦者石川春樹(RK蒲田)に2RTKO負けでタイトルを奪われてしまいました。その石川も、2022年3月に行われた防衛戦で津川龍也(ミツキ)を相手に敗戦。ユースタイトル戦は、「熱戦」というだけでなく、非常にハイレベルにもなってきています。
さて、溝越。ステップワークとカウンターを主武器としたボクサーであり、チャンスには思い切ってパンチを振るうことができるボクサーです。負けん気は非常に強そう。
前戦の石川戦では顎を骨折、手術を経験したようなので、そのあたりがどれほど影響するのか。
また、本人は今後スーパーフライ級で戦う事を臨んでおり、そう考えると今回の契約ウェイトはフェザー級ということでかなり重く設定されています。
対して二瓶は、ガードを高く掲げてプレスをかけるプレッシャーファイター。2020年12月の東日本新人王決勝戦に出場し敗れると、その後角海老ジムのホープ、池側純に敗れて2連敗。しかし2021年11月、対戦相手の地元神戸に乗り込んで判定勝利を収めて再起に成功しています。
ロード・ウォリアーとも言うべき二瓶は、2度目の愛知入り(初回は武田テパオーシャンアリーナ)。このボクサーにとって、敵地というのはあまり意味をなさないでしょう。
二瓶は初回からガードを固めてプレスをかけてくることが予想され、溝越がそれに対して真向から受け止めるのか、それとも外しながらヒットアンドアウェイで戦うのか。戦略の選択肢は溝越にありそうです。
バンタム級6回戦
マンモス和則(中日)6勝(6KO)5敗1分
vs
美濃巧人(とよはし)4勝(1KO)1敗
※3/26(土)中止と発表。。。もう随分前に書いてしまっていたのでそのまま載せます。
セミファイナル、これはともに非常に勇気のあるマッチアップだと思います。
マンモス和則はパンチングパワーに定評のあるハードヒッターで、勝ち星はすべてノックアウト。しかし現在は3連敗中と勝ち星に恵まれていません。
敗戦の中でも、2021年4月の花田歩夢(神拳阪神)戦は非常に印象的で、ダウンを奪われての敗北を喫したにも関わらず、評価を上げたとも言える内容でした。
しかし次戦では長嶺竜久(平仲)に初のストップ負けを喫し、今回は正念場の一戦。
その正念場の一戦の相手が、これまた評価の高い美濃とは本当に恐れ入ります。
美濃は高い技術力を誇るオールラウンダーと思えるボクサーで、デビュー以来4連勝で2021年の西軍代表決定戦に出場。平井乃智(石田)との一戦は、どちらが勝ってもおかしくない大接戦でした。
一発のパンチングパワーに優れ、そのパワーで一点突破を狙うマンモスと、総合力の高い美濃。非常に楽しみな一戦ですが、これまでの戦いを見る限り、マンモスにとってほんの少し、分が悪そう見えます。
いずれにしろ、両者、両陣営の勇気あるマッチメイクには頭が下がる思いです。
本当に本当に残念。中止原因は美濃の体調不良によるものだそうです。ただ、マンモスも万全ではなかったようですね。
皆さんお疲れ様です。
— マンモス和則 (@k12221212) 2022年3月26日
明日の試合は
相手が病院に運ばれたらしく
試合が無くなりました。
自分は一昨日倒れて昨日朝7ハリ縫いました。
それでもやろうと覚悟を決めてました。
自分は仕事とか色々忙しくなったりするのでこの試合をラストファイトにしようと思ってました。 pic.twitter.com/IgfgKqN97K
どちらも万全の状態で、この一戦を仕切り直してほしいところですが、マンモスはこの試合をラストファイトにするつもりだったとの事。「一旦ボクシングから離れる」と名言していますが、マンモスは見る者を感動させる事ができる本物のプロボクサー。大変に無責任なことを言わせてもらうと、是非ともまたリングに戻ってきてもらいたいです。
3/28(月)OVER HEAT BOXERS NIGHT
62.0kg契約8回戦
ジロリアン陸(フラッシュ赤羽)13勝(12KO)3敗
vs
粕谷雄一郎(角海老宝石)14勝(4KO)4敗2分
13勝中12KOというハードヒッター、ジロリアン陸。ラーメン二郎をこよなく愛する云々というのは、ボクシングファンならずともご存知かと思いますので省きますが、ここ数戦のワンパンチ・フィニッシャーぶりには目をみはるものがあります。
非常に印象的な勝ち方を続け、現在5連勝中、3連続KO勝利を続け、それも序盤に文句なしの完全決着を続けています。
じわじわと上がったランキングは、日本5位。
そろそろ上位陣やランカーとの直接対決を見たいところではありますが、今回の相手もノーランカーです。
ただ、粕谷はただのノーランカーではなく、ここ数戦で戦った相手と比べると、一段、二段上のボクサーかもしれません。
2021年9月に行われた前戦では、石脇麻生(石田)に5RTKO負け、ランキングを奪われてしまったものの、その前は内藤未来(E&Jカシアス)に判定勝利。
その前は敗れはしたものの力石政法(緑)戦と、強敵と戦い続けてきています。
この粕谷の戦歴を見ると、ここ数戦のジロリアンの対戦相手は、(良い勝ち方を続けているとはいえ)やや物足りない、と言わざるを得ません。
ちなみに、ジロリアンは前戦、かなり慎重な立ち上がりから非常に手数が少なかった印象。ここ最近の、非常に素晴らしいノックアウト勝利の再現を狙い、ベストなパンチを当てる、ということに執着してしまっていたとするならば、ちょっと厳しい戦いになりはしないか、と心配しています。
なので、個人的には50-50の非常に予想が難しい試合なのではないか、と推測しています。
いずれにしろ非常に楽しみな試合が続きますね。
放送・配信
3/27(日)に行われる刈谷の興行及び、沖縄の興行については今のところ放送・配信の情報はありません。
これは非常に残念、現地に行ける方は行った方が良いですね。
28日(月)のジロリアンvs粕谷をメインに据えた興行は、BoxingRaiseで録画配信です。おそらく翌29日の朝にはアップされているというスピード感なので、情報遮断して見るべき試合ですね!