フェザー級は今月、非常に大きく動いています。
日本時間で3/13(日)、WBAレギュラー世界フェザー級タイトルマッチが行われ、やや優位と出ていた元オリンピックメダリスト、マイケル・コンラン(アイルランド)を退け、見事初防衛に成功したリー・ウッド(イギリス)。この試合は、ファイト・オブ・ザ・イヤー候補ともなりそうな一戦でしたね。
↓観戦記
そしてそこからたった2週間、またイギリスでフェザー級の世界タイトルマッチが行われます。
IBF世界フェザー級タイトルマッチ、王者キコ・マルティネス(スペイン)に挑むのは元王者のジョシュ・ウォーリントン(イギリス)。
前戦、「奇跡」と形容されてもおかしくない王座返り咲きを果たしたマルティネス。ウォーリントンはマウリシオ・ララ(メキシコ)にアップセットで敗れ、再戦では偶然のバッティングにより負傷ドローという結末で今戦を迎えます。
ウォーリントンがベストを作ってきた時、マルティネスの勝ち目は薄いように思いますが、前戦、前々戦と思い通りの戦いのできていないウォーリントンのコンディションは如何に。このあたりが勝敗を大きく左右しそうな気もします。
ということで、今回のブログでは、注目フェザー級戦、キコ・マルティネスvsジョシュ・ウォーリントンの観戦記です。
↓同日のアメリカ興行の観戦記はこちら①
↓同日のアメリカ興行の観戦記はこちら②
3/26(日本時間3/27)イギリス・リーズ
IBF世界フェザー級タイトルマッチ
キコ・マルティネス(スペイン)43勝(30KO)10敗2分
vs
ジョシュ・ウォーリントン(イギリス)30勝(7KO)1敗1分
↓プレビュー記事
入場前、当たり前のように「スウィート・キャロライン」の大合唱のリーズ会場。この満員の会場を見ると本当に羨ましい。
挑戦者、ウォーリントンに続いて王者、マルティネスが入場。やっぱりウォーリントンの地元、入場時や選手コールの時の声援には大きな大きな差があります。
頑張れ、マルティネス。
初回、ウォーリントンもマルティネスも、いつも通りの立ち上がり。ウォーリントンはステップワークを使いながらも鋭い踏み込みとコンビネーションで攻めます。ウォーリントンの動きは非常にスムーズで、調子が良さそうです。ララ戦と違い、恐れるそぶりも見せません。
ハーフタイム頃にはマルティネスをロープに詰めて連打を見舞い、会場は大盛り上がり。
マルティネスは頭を振って、器用とはいえないボクシングを展開しますが、やや攻められる場面が目立ち、後半にはバッティングによってダメージを受けた(?)あと、ウォーリントンの右フックカウンターによってダウンを奪われます!
立ち上がったマルティネスに、フィニッシュを狙って攻め入るウォーリントン!
終盤、ブレイクの声を無視してパンチを当ててしまったマルティネス、既に危ないか。それでもこのタイム中、少し休めたのはラッキーというかダーティというか。
ウォーリントンはやはり連打の回転力に優れ、今日はパンチのキレも非常に良いように思います。ダウンを奪ったパンチは素晴らしかった。
2R、完全に終わらせようとグイグイ攻めてくるウォーリントン!マルティネスは応戦、元々ガードの甘い選手なのでウォーリントンのコンパクトな連打を次々と食って後退します。
それでも諦めないマルティネスは時折パワーパンチでウォーリントンを脅かすのと、無類のタフネスでダウンを拒み続けます。ただ、かなり旗色は悪い。
マルティネスの一発に対して、3発も4発も返してくるウォーリントン、終盤にはまたもマルティネスをロープに釘付けにして連打。
3R、ちょっと打ち疲れたのか、ウォーリントンは序盤にサークリング主体、ディフェンシブな戦い。序盤に強いウォーリントンですが、もしかすると後半のことを考え始めたのかもしれませんね。マルティネスはジリジリと前進しますが、ウォーリントンのバックステップでなかなかパンチの当たる距離まで入れません。
とにかくジャブを外して攻め込みたいマルティネスですが、ヘッドムーブがウォーリントンの手数に追いつかないこともしばしばで、結局のところ右オーバーハンド頼りになってしまうところが難しい。
ただ、このラウンドはようやくマルティネスに振っても良いラウンドだったと思います。
4R、ガードを固めて、マルティネスの入り際にカウンター狙いのウォーリントン。力押しではマルティネスを倒しきれないと見たのか、それとも温存のためか、前ラウンドから少し戦い方を変えています。
中盤にはウォーリントンも前に出て打撃戦、やはり接近戦でもウォーリントンの回転力とフィジカル(というか体の使い方)が勝り、ここで後退するのはマルティネス。
マルティネスの出血はかなりのものですね。
5R、ウォーリントンはステップからジャブをつき、カウンターを狙います。いざという時にすっと連打が出るのがウォーリントンのすごいところで、一発パンチが当たれば非常にスムーズに攻め込むことができ、この連打がなかなか止まらないから非常に厄介。
中盤に右と右の相打ち、顔面から鮮血を滴らせながら追うマルティネスと、強いカウンター起点にしたいウォーリントン。初回には早期決着が予想されましたが、非常に白熱してきました。それでも、ウォーリントン優位はまだ変わりません。
6R、マルティネスはプレスを強めます。もしかすると、限界が近く、これを最後のラウンドにするつもりなのかもしれません。
序盤、足を使ったウォーリントンは、中盤に入ると打撃戦を選択。またもマルティネスをロープに押し込み、連打を放っていきます。一度その流れが中断すると、またサークリング主体。この戦い方は非常に巧いですね。
終盤、ウォーリントンは右アッパーを囮にして、右ストレートをヒット。これまた巧い。
7R、見るからにダメージが深そうなマルティネスは諦めずに前進、しかしここまでテクニカルな戦法で温存していたウォーリントンは動きが落ちません。
体力の消耗を抑えた時間を多めに過ごし、カウンター狙い。そのカウンターが成功すれば一気に詰め寄る、という戦いを遂行し続けています。
2分頃、左フックをヒットしてマルティネスが下がると、ここで一気呵成に連打!ロープまで後退、亀になったマルティネスをレフェリーが救い、ジョシュ・ウォーリントンのTKO勝利が決定しました。
ジョシュ・ウォーリントン、7RTKO勝利!
この日のジョシュ・ウォーリントンは、非常に素晴らしいパフォーマンスでした。マルティネスもよく頑張りましたが、残念ながら地力、そして戦略面で大きく違いがあったように思います。
それでも、最後の最後までマルティネスの一発は期待をさせるものだったと思います。
個人的には非常に残念。
マルティネスは歴戦のダメージも感じさせる内容だったように思いますし、続ければダメージを被ることも目に見えています。そろそろ引退期か、とも思いますが、本人はきっともっと長く戦いたいんでしょうね。
ウォーリントンも嫌いなボクサーでは勿論ないですが、私はやはりララにリベンジしてからこの一戦に進んでもらいたかった。
是非とも初防衛戦ではララとの一戦を組んでもらいたいと思うのですが、ウォーリントンはリー・ウッドとの統一戦や、レオ・サンタ・クルス(メキシコ)との統一戦を目指すという意向とのことです。その前にやることがあるだろう、と思うのは私だけではないはず。
尚、この試合でウォーリントンは顎と左手を骨折していた、とのこと。全然わかりませんでしたね。顎はララ戦でも骨折しており、今後も心配です。
↓どうなるフェザー級