信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】WBOミニマム級TM、谷口将隆vs石澤開!セミファイナルに武居由樹!

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世界戦をメインに、アンダーカードにも非常に豪華なカードが踊った4/22のフェニックスバトル、本当に楽しみな興行でした。

しかし、試合数日前に松本圭佑(大橋)と対戦予定だった伊集盛尚(琉豊)が体調不良のため救急搬送され、試合中止に。これもおそらく減量失敗によるものかと思います。

そして試合前日の計量では、メインに出場する世界タイトル挑戦者、石澤開(M.T)が大幅な計量オーバー。1度目の計量で2.5kg、2時間の猶予を与えられたのちの再計量でも2.3kgオーバーで、計量失格。

更に問題なのは、元々最初の計量時の体重を目の当たりにした谷口が、「最初の計量から1kgは落としてほしい。落とさないなら試合はやらない」と語ったものの、石澤が2時間で落とせた体重は200g。しかし、ワタナベジムからの説得により、ミニマム級リミットからの3kg戻し、50.6kg以内であれば試合を行うことになった、ということ。

 

体重をつくれなかった石澤は、当然勝ってもベルトを手にする事はできません。しかし、しっかりと仕上げた谷口も、WBOルールにより、負ければ王座剥奪。

谷口はウェイトオーバーした、2階級上のハードパンチャーと戦わなければならず、しかも本人が「試合はやらない」という気持ちをひっくり返された事から、気持ちの面でも非常に危険。

特に、ワタナベジム側が谷口を闘う方向で説得した、というのは、およそボクシングファン、ボクサーの支持を得られるものではないように思います。以前からキナ臭かったワタナベジム、というかもう個人名指しで渡辺会長の悪評はとどまる事を知りません。これは今後、間違いなく新人ボクサー獲得に影響があるのではないでしょうか。

 

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4/22(金)フェニックスバトル

スーパーミドル級4回戦

ダン・ディ・デリンジャー(大橋)vs上村周平(名古屋大橋)

初回から非常にアグレッシブにパンチを振り回す両者。スーパーミドル級は本当に迫力がありますね。デリンジャーの左ボディ、当たりどころは良くないですがこの長い距離での左ボディはガードが空いてしまうので怖いですが、勇気がありますね。対して上村はストレートが良い。

デリンジャーはよく動きますが、2R以降、後半に行くに従って上村の方が追いかけ、デリンジャーは動かされている、という雰囲気になっていきます。3Rには上村のプレスがかなり効いてきた、と思いましたが、終盤、デリンジャーが相打ちの右で効かせ、その後も攻勢。

そして迎えたラストラウンド、デリンジャーのワンツーで上村は糸がきれたようにダウン!レフェリーは試合をストップしました。

ダン・ディ・デリンジャー、4RTKO勝利。

「リベリアの怪物」デリンジャーはトランクスに「リベリアの怪人」と書いていますが、どっちなんでしょうか。まあ、どちらでも良いですが、迫力十分の開幕戦でしたね。

 

フライ級6回戦

横手太嵐(石川)vs川崎智輝(サンライズ)

川崎は良いリズムから回転力のあるコンビネーション。横手はややスイング系のパンチ、回転力には劣る分、一発を強く当てたいところ。川崎はやや上体が立ち気味、横手はちょっと頭が低い。

川崎は徐々にカウンターも良くなってきました。カウンターから様々なアングルのパンチ。2Rの前半に右ストレートをねじ込み、横手はぐらつきます。終盤にもコンビネーションをヒットしますが、横手はなかなかタフ。3Rも川崎のコンビネーション、特に打ち下ろすような右がかなり入っていますが、横手は粘ります。

4Rに川崎は一度ダウン宣告を受けますが、これはバッティングだったようでダウンなしに。しかしこの後、このバッティングで川崎のダメージは明らかで、足が少し効かなくなってしまいます。これは不運。5Rのもダメージを引きずっているように見える川崎ですが、このラウンドは良く動きます。

ラストラウンドも川崎は本当にヒット率が高い。横手も意地を見せてプレスを緩めず、フルラウンドにわたり前進し続けて試合が終了。

ジャッジは川崎を支持。

 

スーパーバンタム級6回戦

竹田梓(高崎)vs木村元祐(JM加古川)

サウスオースタンスに構える木村に対して、やや攻めづらそうな竹田。ちょっと距離を把握しづらいか、なかなか手が出ない竹田。2Rも長い距離で戦う木村、竹田は木村をコーナーに詰めて連打を放ちますが、この形をもっと作りたい。

3Rも木村のボクシング、竹田は木村の攻撃をガードで受け止めて反撃しなければいけません。一緒になってステップを踏んでいると、このまま逃げ切られてしまいます。

4R、竹田は被弾覚悟でもっとグイグイ行きたい。右アッパー等、良いパンチも当てますが、その後が続かず。5R竹田が木村の変則的な攻撃に慣れてきたか、木村の攻撃に対して下がる事は少なくなってきました。

ラストラウンド、とにかくいかなければいけない竹田、早々に強引に詰めて左フックでダウンを奪取。その後も木村の左をガードして右を返すという良いカウンター。

竹田は待ってはいけない。。。と思ったところで、木村が右アッパーで攻め入ろうとしたタイミングで、竹田の左フック!!!木村はダウン!レフェリーはストップ!

竹田梓、6RTKO勝利。

これはギリギリの勝利、ダウンを奪ってさえ負け試合にも見えました。そこからのこのパンチングパワーありきの大逆転劇は、非常に劇的でした。

木村は、非常に惜しかった。

 

ウェルター級8回戦

佐々木尽(八王子中屋)11勝(10KO)1敗

vs

マーカス・スミス(平仲)7勝(7KO)1敗1分

初回、プレスから強振するのは勿論佐々木。スミスはステップを踏み、距離をつくって対応をしています。スミスは思ったよりもブロッキングもしっかりしています。

2R、スミスはステップワークとブロッキングは素晴らしいですが、オフェンシブではありません。出すパンチのほとんどは撫でるようなジャブ。佐々木もガードを高く上げて誘いますが、なかなかエキサイティングな展開にはなりません。

3R、プレスを強めた佐々木はガードポジションから前進、飛び込み左フック。その後もお得意の変な動きのフェイント、様々な攻め方を試すものの、意外と攻めきれません。後半、少々の打ち合いも。

4Rに入ると、序盤からスミスが接近戦を仕掛けます。ひとしきり、スミスの攻撃をブロッキングで耐えた佐々木は反撃。強烈な左ボディを交えた連打は素晴らしい。

その後も頭をつけての距離での打ち合い、これは佐々木にとっても望むところ。佐々木は強振する左フック、体を使って思い切り打つ左ボディ、これによりスミスはダメージを被っているようにみえます。

押す力はスミスの方が強いですが、パンチングパワーは佐々木か。

5R、スミスはちょっと佐々木のプレスに押されているように見えます。佐々木は手数はそこまでではないものの、ボディが非常に効果的だと思います。終盤、スミスが不用意に出した左に佐々木はカウンターの左フックをヒット、これにたたらを踏んだスミスに襲いかかる佐々木!スミスが後退したところで、レフェリーがゆっくりと割って入り、試合はストップ。

佐々木尽、5RTKO勝利。

 

なんだかレフェリーの止め方が、「試合をストップする」というように見えませんでした。近寄ってきたレフェリーにスミスが先に気づきましたが、佐々木は気づいていませんでした。最後に左フックをミスした佐々木でしたが、あれが当たっていれば非常に怖い強振のパンチ。

レフェリーはもっとしっかりと、止めるべき時は素早い動きで止めなければいけません。

ともあれ、佐々木は5RTKO勝利で復帰。スミスはまだできたとは思いますが、ダメージはかなりアッたようにも見えました。

スーパーバンタム級10回戦

武居由樹(大橋)3勝(3KO)無敗

vs

河村真吾(堺春木)15勝(8KO)8敗4分

初回、プレスをかけるのは河村。武居はやはり距離感が良いですね。

武居は距離感が良く、平時でパンチをもらわない距離にいる上に、相手にとって非常に嫌なタイミングで攻め込む事ができています。

 

2R、序盤に河村がコンビネーション。数秒であろうともディフェンスに徹する、というこれまでにない姿を見せた武居。

そしてその抜群の距離感を活かしたボクシングを展開する中、遠い、遠い距離から飛び込みの右フックを放った武居、これが非常に鋭く、また強い。

このフックを食らった河村は、仰向けにダウン!レフェリーは即刻、試合をストップ!!

武居由樹、2RTKO勝利!!

いやー、これはまた強い勝ち方。

やはり、パンチの強さはえげつない。そして距離感が非常によく、相手がふっと気を抜いたタイミングで鋭く攻撃できる、という素晴らしいタイミングを持っているボクサーでもあります。

とかく、最後の右フックはかなり遠い距離からの踏み込みであり、河村は突然向かってくる武居に対してジャブを「出してしまった」感じがありますが、それすらも躱して右フックを当てました。素晴らしい距離感を持っているからこそ、前に向かいながら横からのフックを、しかもあのスピードで当てる事ができる当て勘もあるのでしょう。

まだまだ、底は見えそうにありません。

 

WBO世界ミニマム級タイトルマッチ

谷口将隆(ワタナベ)15勝(10KO)3敗

vs

石澤開(M.T)10勝(9KO)1敗

いよいよメインイベント。このメインイベントの開催には是非があるでしょう。

私も本当はやらない方が良いのではないか、と思います。しかし、どういう結果になろうとも、谷口がその名の通り命をかけて闘うのならば、見届けないわけにもいきません。

石澤の身体的コンディションについては、減量自体の影響は少ないように思います。「水抜きができなかった」だけなので、体への負担は少ない。前日に体調を崩した、とありますが、それが如何ほどなのか。計量から再計量までも、体を動かさなかったということなので。

両者のコンディション、とりわけメンタル面が非常に心配です。

谷口は一度「やりたくない」と言った試合であり、石澤は思い切っていけるかどうか。

初回、まずは中間距離でのジャブの差し合い。この距離では谷口が右ジャブから左へのつなぎがスムーズ、左をジャブのようにも使い、ポンポンとテンポよく手を出します。

 

石澤はもう半歩近寄りたいところですが、谷口の手数と微妙なステップに阻まれているイメージ。

2R、谷口の距離感が素晴らしい事、そして密かにレフェリー、染谷氏のポジショニングが素晴らしい。オーソドックスvsサウスポーの場合は、時により両者の背中側に回ってしまいますが、染谷氏はステップが非常に軽やかで、常に両者の顔が見える位置をキープしています。特にどちらかがサイドにサイドに回り込むボクサーの場合、これは実は難しい。

谷口は非常に余裕を持って戦っているイメージ、軽めのパンチを放っていき、時折強いパンチを放つ、非常に完璧なボクシングだと思います。

3R、開始早々石澤が攻めます。現在の谷口ペースをここで打開しに来ました。谷口は右手を伸ばしてうまくしのぐと、左アッパー。この左アッパーはメンデス戦でも非常に有効なパンチ、谷口の得意パンチと言って良い。

谷口は上体の動きを上手く使い、また前手を上手く伸ばし、危険な距離ながらストレートの距離でのボクシング。いやー、巧い。

4R、石澤にとっても戦い辛い距離ではないはずですが、谷口のコツコツと打つパンチによって手数を封じられているイメージ。ダメージはさほどなくとも、時折飛んでくる強いパンチを警戒する必要もあるでしょう。ディフェンスの非常に良い谷口に対して、不用意にパンチを放つと空振りしてしまい、その後カウンターを浴びてしまう心配もあるでしょう。

5R、このラウンドも谷口が巧い。谷口が先に攻められるといいようにされてしまうし、石澤が先に攻めればカウンターを取られてしまいます。

石澤のパンチは非常に危険ですが、谷口はテンポの良い攻撃で石澤の勢いを封じているように見えます。これは、危険とも思える距離で闘う事が、もしかすると谷口にとってディフェンスしやすい状態になっている、ということでしょうか。距離が空くと、逆に石澤の鋭いステップインが怖いということ。

6R、徐々に追い詰められていく石澤は、このラウンド序盤、手数を出してチャージ。これは良い攻撃、手数には手数で対抗するべきでしょう。しかしそれもサイドステップとボディムーブに優れる谷口に通じず、後半にかけてやはり手が出なくなっていきます。

 

7R、谷口は尋常じゃないほど低いダッキング、攻められそうになれば体をくっつけて追撃打を遮断。サイドに回ってコンビネーション。石澤はちょっとブロッキングで固まる癖があるか。

8R、いつの間にかかなり距離が近づいています。これは、石澤のパンチを見切ったと谷口が近づけているのか。本当に変幻自在の谷口は、石澤が不用意に伸ばした右の引き際に左カウンター。集中力も素晴らしい。

その後も石澤をロープに詰め、ガードの真ん中を割る左ストレート、同じく左右のアッパーをヒットし、もう完全なワンサイドゲーム。

9R、谷口劇場は終わりません。石澤はもう思い切って振り回したほうが、まだ可能性はありそうですが、それができません。

後半、ワンツーで後退させた谷口は、その後も右アッパーで石澤の顔を跳ね上げます。ここで動きが止まった石澤、染谷レフェリーも駆け寄ります!が、それでも力強いパンチを打ち返してストップを免れた石澤もまだ頑張ります。

ただ、谷口のコンパクトながら非常に的確なブローで、ダメージはかなり溜まっていそう。

10R、軽いパンチで攻める石澤。ここにきて上体の動きもでてきていますが、本来このボクシングを初回からしたかった。時折強振するパンチ、コンパクトなパンチと大きなパンチを組み合わせていけば、ディフェンスの良い谷口にも当たりそうなものです。

中盤にまたも右アッパーで顎を跳ね上げられた石澤は、そのすぐ後に力強い攻撃!ストップを図られている、というのが分かっているのでしょう。しかし谷口はここで左ストレートをヒット、大きくたたらを踏んだ石澤!染谷レフェリーは何度もストップを考えていると思いますが、石澤はそれをさせません。

 

終盤にも谷口は左アッパー、今日の谷口はもう完璧と言って良い。

11R、石澤はもう、力があまり残っていないかもしれません。谷口の軽めのアッパーでも思い切り顔が跳ね上がります。

中盤にも谷口の素晴らしい左ストレートがヒット、左アッパー、左ボディアッパーがそれぞれのタイミングでヒットしますが、石澤は倒れません。しかし残り30秒、谷口の左フックでぐらついた石澤!ここでとうとうレフェリーがストップ!!!

谷口将隆、11RTKO勝利で初防衛!!

見事、見事、本当にお見事な初防衛でした。

完勝というか、横綱相撲というか。

自らが色々なインタビューで言っているように、「防衛の方が性に合っている」というのは本当でしょうね。これまで「今一歩」足りなかった谷口は、ここにきて大覚醒。

今後、井岡一翔のような盤石ぶりを見せてくれるかもしれません。

谷口将隆は、自らのベストバウトを更新したと思います。

このボクシングは、今後、ミニマム級の王座統一を期待させてくれる強さ。

様々ある苦労人だからこそ、これからに期待したいものです。

 

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