信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】ポール・バトラーvsジョナス・スルタンは井上尚弥への「Ticket to Ride」か。

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実況、解説のない現地映像、というものは良いものです。アマプラは設定によって、実況解説を消せるようですね。GGGvs村田は、そのバージョンでまだ見返していませんが、また見たいと思っています。

昨日のフェニックスバトルは、(いつもそうですが)あの実況アナウンサーが超苦手なので、パンチの打撃音や歓声が聞こえないのは残念ですが、音無しで視聴しました。毎度のことながら、細川バレンタイン氏には申し訳ない。

WOWOWの場合は、実況アナウンサーからも「ボクシング愛」が伝わってきて非常に素晴らしいですが、民放はキツい。

ともあれ、今回のブログはカシメロが離脱し、WBO世界バンタム級暫定王座決定戦となったポール・バトラーvsジョナス・スルタンをメインに据えたプロベラム興行。

 

↓プレビュー記事

boxingcafe.hatenablog.com

 

オープニングバウトに登場したリバプール出身のフランキー・ストリンジャーというボクサーはデビュー戦。有名なボクサーなのか??

なぜこのボクサーが放送枠にのってきたのかは謎ですが、対戦相手のリトアニアのシマス・ボロシナスというボクサーはなんと7勝102敗というものすごい戦績を誇る。これは、「誇る」という表現で合っているか。

試合は体格に勝るストリンジャーが攻め込みますが、102敗のうち8つしか(?)KO負けのないボロシナスは耐え、ストリンジャーの判定勝利。

続いて登場はピーター・マッグライル(イギリス)。現在3勝2KO無敗のプロスペクト、このボクサーはイギリスの元トップアマ。この興行のアンダーカードにもでた、ジョー・マッグライル(イギリス)の兄であり、マッグライル兄弟は揃ってプロベラム入りしています。

 

対戦相手はウリエル・ロペス(メキシコ)、大昔にアンダードッグとして日本のリングに立ち、松本亮(大橋)からアップセットを奪ったボクサー(その後、リベンジを許す)ですね。現在は15勝(7KO)17敗1分と負けが込み、現在9連敗中。

露骨なほどのアンダードッグを連れてきて盛り上がる英国人たち。ただ、ロペスは一筋縄ではいかない、噛み付くことのできるアンダードッグ。頑張れロペス。

ですが、さすがアマキャリア豊富なマッグライル。素早いステップから打って離れてまたすぐに打つ、それも上下の打ち分けにも優れています。小気味よく動くマッグライルはステップワーク、コンビネーションに優れたザ・英国ボクサーのイメージ。25歳のサウスポー、怪物性は見えませんが攻防に非常にまとまった、良いプロスペクトです。

何よりも非常にバランスがよく、様々なコンビネーション、多少体勢に無理のあるパンチを打っても乱れません。更に、アングルも良い。この非常にまとまったボクサーであるマッグライルは、攻撃性も有しており、強振タイプでリスクのあるロペス相手にも常に攻撃姿勢を緩めません。

 

4R、的確にパンチを浴びせ続けたマッグライルは、左フックでロペスからダウンを奪います。立ち上がったロペスでしたが、レフェリーは試合を止めました。一方的でしたから、仕方ありません。

スーパーバンタム級のプロスペクト、ピーター・マッグライル。4勝(3KO)無敗。

弟のジョー・マッグライルも同じ興行で初回KO勝利を収め、3勝(2KO)無敗としていますが、こちらもスーパーバンタムの19歳。

ちょっと注目しておきましょう。

 

そういえば、今の若い子たちはビートルズをどれくらい知っているのでしょうか。

私は子供の頃からずっとビートルズが好きで、リバプールと聴くとそれだけで胸が高まります。小学校の頃はビートルズのおかっぱヘアーを真似、タレ目だった(だった、ではない。現役のタレ目)ことから、ポール・マッカートニーに似ていると言われたこともありました。

「Ticket to Ride」、ビートルズのこの曲の邦題は「涙の乗車券」。

果たして、このWBO暫定タイトルは、日本への、いや井上尚弥への「涙の乗車券」となるのかもしれません。

WBO世界バンタム級暫定王座決定戦

ポール・バトラー(イギリス)33勝(15KO)2敗

vs

ジョナス・スルタン(フィリピン)18勝(11KO)5敗

ということで、いよいよメイン。

。。。メイン??

セミセミ、セミとアンダードッグ相手の試合を放映し、その前のプレリムス(前座試合)に元王者、ロッキー・フィールディング(この日3RTKO勝利)、元世界挑戦経験者ジェームズ・ディケンズ(この日5RTKO勝利)がでたわけですね。日本ではあまり考えられません。

ちなみに、このアンダーカードについてはYoutube放送があったようです。まあ、時間的に見れるものではないですが。

ともあれ、WBO世界暫定王座決定戦。

今回はバトラーは断りませんでした。おそらく、カシメロがこのまま王座剥奪、ここで勝てば正規王者に昇格できるはず、という目算でしょう。

 

そういえばカシメロは48時間以内に「王座剥奪に相当しない理由」つまりはサウナに入った言い訳をしなければいけなかったと思いますが、どうなったんでしょうね。

それは置いておいて、ゴング。

初回、やっぱりスルタンの上半身はでかい。バトラーもよく仕上げてきている雰囲気で、ここ数戦はちょっと頼りない体つきだと思いましたが、スルタン相手にも見劣りしません。

時折、急激に攻め入るスルタン。バトラーはステップを使って的を絞らせず、バックステップとジャブで上手く戦います。

一糸乱れぬハイガードスタイル、サイドへ回り込むステップワーク、お見合いの展開から隙をつくようなワンツーは、ややバトラーのペースであることを示しています。スルタンは、強引に攻め入りたいところ。

2R、スルタンはワイルドな攻撃からしつこく追っていきます。ここはなかなか良い攻めを見せますね。常に足を動かし続けるバトラーは、完全にカシメロ対策がそのままスルタンに嵌る、と判断したようで(多分誰でもわかる笑)かなりディフェンシブな戦い方。

3Rも同様の展開。前ラウンドから強い右ボディが効果的だったスルタンですが、中盤にローブローで注意を受けます。後のスロー映像を確認すると、これは確かに低い。というかピンポイントで急所に当たっているように見えます。バトラー大丈夫か?

 

スルタンはこれはちょっとボディを打ちづらくなるか。

と、思ったけれどそんなことで萎れるスルタンではなく、ボディから右オーバーハンド、力強い攻撃を見せます。ここをしっかりと受けてたったバトラー、今日は本当に力強い。

バトラーはダメージングブローをあまり打とうとはせず、非常にディフェンシブな戦い方。ここは、クリーンヒットはほぼないものの、スルタンの攻勢を取ってもらいたいところ。

4R、強引に攻め入るスルタン、下がりながらカウンターを狙うバトラー。スルタンの攻めはやや単調で単発気味。スルタンはどこかでバーストしたいですが、バトラーは超絶嫌なタイミングでコンビネーションを放ってきます。

5Rこれは仕方のないことですが、当たっていないバトラーのコンビネーションに会場は沸き返り、その後押しを受けてバトラーは調子づきます。

完全にリズムに乗ったバトラーは、やや単調なスルタンの攻めにカウンター。スルタンのプレスをずっとかわしきれない、と思っていましたが、全然そんなことはなさそうです。

6R、直線的なスルタンの攻めでは、バトラーを追い詰めることができません。もう少し角度をつけるか、体で押し込んでいくか、何か工夫が必要です。

 

前半、右オーバーを当ててラッシュを仕掛けたスルタンですが、後半はバトラーがコンビネーションで盛り返します。

7R、少し戦い方を変えたスルタン、ジリジリとプレスをかけてバトラーを誘います。プレスをかけられた方が焦って手を出してきてくれれば良いですが、バトラーにはさほどプレスがかかっていなさそうです。あまり誘いに乗らないバトラー。

ちょっとスタミナに難のあるスルタンとしては、この戦い方は悪くありませんが、おそらくポイントは失ってしまいます。

8R、この中盤戦、スルタンにとっては良くない展開で、前進してはいるもののプレッシャーは与えられていません。攻撃も、前半のように何度も踏み込むワイルドな攻撃は出ず、バトラーに楽に回られてしまっています。

後半、少し気の抜けたように見えたバトラーにスルタンのワンツーがヒット、しかしそれ以上攻め込めません。

9R、少し余裕を持ったバトラー、今までよりもほんの少し近い距離でボクシング。しかしここはスルタンの距離、スルタンのパワーパンチがバトラーを襲います。

コンビネーションで対抗するバトラーですが、ここは自身がダメージを追ってしまうリスクもあることから、中盤以降は足を使って回避する場面が増えます。

スルタンはちょっと疲れている。パンチが単発気味です。

10Rには大きく足を使ったバトラー、このラウンドは捨てたか。しかしこのバトラーに対してスルタンのプレスは上手く機能していないです。11Rも同じく大きくサークリングしてリスクを回避するバトラー、完全に勝利を確信しています。まあ、そうでしょうが。スルタンは疲れてパンチが前半以上に雑、ポール・バトラーは完全に「これしかない」という勝ちパターンを実践しています。

 

ラストラウンドも前半からリングを最大限に使うバトラー、これが最後と追いかけるスルタン。スルタンは気持ちを見せて追い込みますが、攻め時もバランスが崩れてしまい、見栄えは良くありません。終盤はかなりの疲れを見せたスルタンでしたが、バトラーは決して無理をせず、フルラウンドを戦い抜きました。

判定は、116-112、117-111、118-110の3−0でポール・バトラー。

バトラーが暫定王座ながら、王座返り咲きに成功しました。

バトラーはしっかりと作戦を遂行しましたね。決して面白いボクシングではありませんでしたが、ちゃんと仕上げ、カシメロ→スルタンという対戦相手変更にもめげず、よくやりました。

想像以上のパフォーマンスだったバトラーですが、意外性はほぼゼロで、もしこのままWBOの正規王者になったとしても、果たして井上尚弥の対戦相手としてふさわしいか、というと超微妙。

バトラーは、試合後の取材で次は「防衛戦か、井上か、ドネアか」と答えたそうです。一応、対戦相手候補には入っているようですね。

 

そうか、ドネアもプロベラム。バトラーもプロベラム。リチャード・シェーファーは非常に柔軟です。プロベラムの選手を他の興行に出す事も厭わないし、招き入れる事も厭わない。もしスルタンが勝っていればMPプロモーションなので、もれなくみんな大嫌いショーン・ギボンズもついてきたってことですね。だったら、これで良かったのかも。

「バトラーは、井上尚弥へのチケットを手に入れてしまいました。人の気も知らずに。」

まあ、とにもかくにも、結局カシメロが剥奪されず、WBOの王座統一戦となる事態だけは避けてもらいたいですね。

さて、私の希望は、「日本人初の4団体制覇王者となるのは井上尚弥」が良くて、「日本人ボクサーが初めて4団体を制覇する階級はバンタム級が良い」と言い続けているので、ここはつまり、井上がドネアに勝つ事を条件に、井上vsバトラーを望む、ということです。

全くもって胸踊らないマッチメイクながらも、もう後には引けません笑

井上の4団体制覇をこの目でみたい、というのもありますが、こうなったら敵地、リバプールに乗り込んで、ビートルズの生まれた地で衝撃を与えてほしいです。

 

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