日本時間4/22(金)、4/23(土)、4/24(日)と、3日連続で世界タイトルマッチ。
4/22(金)のWBO世界ミニマム級タイトルマッチでは、挑戦者石澤開(M.T)が大幅の体重超過を犯し、開催が危ぶまれました。
しかし、ワタナベジム陣営が王者谷口将隆(ワタナベ)を説得して開催、谷口が素晴らしいパフォーマンスを見せて勝利したから良いものの、何とも形容し難い過程でした。
↓観戦記
そして翌日、日本時間4/23(土)、イギリスのリバプールで行われたWBO世界バンタム級タイトルマッチは、試合前にまたも波乱。
王者、ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)が英国内のボクシングマッチの承認団体であるBBBofCの禁止する、「試合直前のサウナ使用による減量」を行い、出場不可。
リザーバーとして控えていたジョナス・スルタン(フィリピン)が代役として、指名挑戦者のポール・バトラー(イギリス)とWBO世界暫定王座戦を争う事になりました。
↓観戦記
結果はポール・バトラーが見事なボクシングを披露し、判定勝利を収めました。
バトラーは試合後、「次は防衛戦か井上かドネア」と語っており、井上尚弥vsノニト・ドネアの勝者との対戦も示唆しています。
井上が勝つにせよ、ドネアが勝つにせよ、バンタム級4団体統一戦への道はまだ途切れていません。
井上尚弥のバンタム級での4団体統一を見たい、という私としては、例え対戦相手が勝負論のないポール・バトラーだったとしても、実現してほしいところです。
そして明けて日本時間4/24(日)、いよいよWBC世界ヘビー級団体内統一戦、タイソン・フューリーvsディリアン・ホワイト。今回は、このヘビー級戦の観戦記です。
↓プレビュー記事
ウェンブリー・スタジアムに94,000人を集めた大注目のヘビー級戦。
日本ではあまり話題になってはいないと思いますが、このチケットが即完売というのはイギリスでのボクシング人気は凄まじいし、タイソン・フューリー人気も凄まじい。
デオンテイ・ワイルダー、アンソニー・ジョシュア、タイソン・フューリー。この順番が、私がかつて応援していたボクサーの順番ではありますが、ワイルダーはフューリーに直接対決で敗北、ジョシュアはフューリー戦にたどり着く直前にアンディ・ルイスJr(メキシコ)に不覚を取り、更にはオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)にも完封されてしまいました。
現在の王者は、WBC王者フューリーと、その他の3団体を根こそぎかっさらったオレクサンドル・ウシクのみ。(本当はトレバー・ブライアンもいますが、誰も相手にしていない。。。)
この直接対決が如何ほど盛り上がるのかはよくわかりません。
フューリーにとっては、同じく人気者のジョシュアが負けてしまったことが非常に痛かったのではないか、と思っていましたが、フューリーほぼ単体でもこんなメガマッチが実現してしまうんですね。残念ながら、ウシク単体ではきっと無理でしょう。
今回の一戦でフューリーは引退、と言っていますが、信じたくありません。今回、ウェンブリー・スタジアムの動員記録を作ったというフューリー、まだまだ、もっともっと伝説は作れそうです。
4/23(日本時間4/24)イギリス・ロンドン
WBC世界ヘビー級タイトルマッチ
タイソン・フューリー(イギリス)31勝(22KO)無敗1分
vs
ディリアン・ホワイト(イギリス)28勝(19KO)2敗
WOWOWは数日前のファイナル・プレスカンファレンスの模様も映してくれます。これの前の記者会見は、確かホワイトは欠席した、とのことだったので、もっと険悪な雰囲気になるかと思っていましたが、非常に和やか。
そのあと、さほど間をおかずに現地映像となりますが、94,000人の観衆の映像はもう圧巻。
これは後ろの人たちは、モニターはちゃんと見えるのか。
リングアナウンサーはジミー・レノンJr。
ホワイトにとっては一生に一度の大舞台、雄叫びを上げて入場します。
流石に会場が広い。特に溜めて入場したわけではないはずですが、入場めちゃくちゃ時間がかかります。
続いてフューリーの入場ですが、モニターに映し出されているのはドン・マクリーンでしょうか。ドン・マクリーンが歌う「アメリカン・パイ」にあわせてPVが流れてからフューリーが入場。今回のコスチュームは紅白、イングランドの国旗の色です。
意外と普通か??と思いましたが、途中フューリーが玉座に座ると花火。羨ましいほど、派手ですね。そのあとTシャツに着替えてリングイン。
そしていよいよゴング。
入場まで非常に長かったですが、それに合わせてこのブログも長くなってしまいました笑。
リング中央で向かい合うと、やはり身長差はかなりあります。
初回のゴング、サウスポースタートのホワイト。これはいままであまり見たことがありませんが、ちょっとあまり慣れていなさそうな感じ。
フューリーは少し警戒しているか、ジャブを出してサークリング。ファーストヒットはフューリーのジャブだったと思います。
ホワイトはボディへのジャブを多用しますが、フューリーはあまり動き回ることなく一定の距離をおいて対応しています。
2R、ホワイトがオーソドックスに戻しますが、今度はフューリーがサウスポースタンスに。
こうなるとホワイトの右は非常に思い切りがよく、先程のサウスポーはやはり奇策、フューリーの頭の中に「?」を一つつくることを目的としたものだったと思われます。
ホワイトはジャブもよく出るようになりましたが、フューリーもオーソドックスに戻してサイドにステップ、いつものように少し上体をずらすというリズムのとり方も、いつもどおりになってきました。
ここからは両者本領を発揮してくるところ、ホワイトの右は非常に強烈で、スイングは怖さがあります。
3R、この体格差、何とか中に入りたいホワイト。ホワイトはこれでもかというほど右ガードを上げ、フューリーのジャブを警戒、そこから右スイングにつなげていこうというところです。
WOWOW解説者の西岡利晃氏が言うように、今日のホワイトは非常に動きが良いように思います。パンチにはキレがあり、何よりも集中力が素晴らしい。フューリーのジャブにもしっかりと反応しています。
それでもなお、フューリーは長い距離のジャブを使い、遠くからの左ボディ、ワンツーと盤石のディフェンスとオフェンスを見せています。
4R、開始早々ダブルジャブで攻め込むホワイト、この攻撃は結構フューリーは嫌がっているように見えます。
開始20秒ほどでバッティング、両者がもみ合ってモメます。レフェリーは強めに両者に注意をしますが、この巨人に挟まれたレフェリーの勇気もまた称賛されるべきものかもしれません。
このラウンドもやっぱりフューリーは上手い。ジャブから左フック、リードは非常に多彩。ジャブ、ワンツーで攻め込んで反撃を受けそうになれば逆に距離を潰してクリンチ。
打ってはホワイトのパンチが当たらないところにステップ、くっついてはホワイトを押し付けて、コーナーに磔。コーナーに押し込まれたホワイトは乱暴なフックをふるいますが、これはちょっとラビット気味。
ここでもレフェリーは双方に注意、口論かってくらい強く注意するレフェリー、本当に素晴らしい。
5R、ホワイトはもう一歩、詰めたい。フューリーはホワイトのジャブを距離、スウェーで外し、自身のジャブを当てます。ロープやコーナーに詰めたいホワイトはジリジリと追っていきますが、いつの間にやらリング中央に戻されてしまいます。
後半、フューリーの高速ワンツーがホワイトにヒット、少しぐらついたホワイト!
6R、ホワイトのダメージはあるように見えません。細かく体を振り、フューリーのジャブにはよく反応しています。しかし攻撃面は、なかなかフューリーに届かず、力強く打った右は空振り。
しかしがんばるホワイト、ガードを交互に上げながら、歩くようにプレス。フューリーの行動を制限することはできませんが、中間距離では埒が明かない事から、これをやるしか道はありません。
終盤、近づいて近づいて、そこから強いパンチを振るおうというホワイトでしたが、近づいたところでフューリーの右アッパー!!!
仰向けにダウンしたホワイト!!!
立ち上がったホワイトでしたが、グラつき、レフェリーはストップ!!
タイソン・フューリー、衝撃の6RTKO勝利!!
これは狙っていたのか、自然に出たのか。。。
これまで主にワンツーで攻め込んだフューリー、まさかあそこでいきなりアッパーを出すなんていう事は考えもしませんでした。ホワイトのガードがワンツー対策で高くなり、そこでボディががら空きになるほど上への注意をさせた上、顎への右アッパー一閃。
このアッパーはクリーンヒットではなく、顎をかすめたパンチでしたが、それでもこの威力。ホワイトは全く見えていなかったのでしょう。
ホワイトはアンソニー・ジョシュア、オレクサンドル・ポベトキンに続き3度目のKO負け、その全てがアッパーでのKO負け。ホワイトは縦のパンチに弱いのか??
フューリーはやっぱり強い。
強すぎて怖い。
インタビューでも非常に素晴らしいインタビュー。エンターテイナーであり、強さがあり、頭も良い。
改めて、「この試合が最後」と語ったタイソン・フューリー。
そして歌いました。
So bye bye Ms. American Pie(サヨナラ、ミス・アメリカン・パイ)と。
This'll be the day that die(この日は私が死ぬ日になるだろう)と。
それでも尚、期待してはいます。またタイソン・フューリーがリングに戻ってきてくれる事を。
フロイド・メイウェザーのような総合格闘家やYoutuberとのエキシビジョンで戻ってくるのではなく、王座統一戦のために戻ってきてくれるのを。
もしかすると、ウシクvsジョシュアの勝者がアンソニー・ジョシュアとなった場合にこそ、フューリーは戻ってくるのかもしれません。そうすれば、このウェンブリー・スタジアムの記録をまた更新することになるのではないでしょうか。
英国人同士のヘビー級統一戦、こんなにも盛り上がる事柄はこの世にないはずです。
だからこそ、ジョシュアは頑張り時。まあ、個人的にはウシクを応援するんですけど。。。