DAZNの放送が日本時間AM9:00からで、その前からDAZNのYoutubeチャンネルでプレリムスがやっていました。これは一体どれほど長いの興行なのか。Youtubeから全部見ると、6時間くらい?
私は仕事だったので、かえってからDAZNの本放送のみを視聴。ひとりディレイ視聴のため、待ち時間はなく(正確にいうと飛ばし)、視聴しても結構時間がかかりました。
ということで今回は、5/7(日本時間5/8)に行われたマッチルーム興行、WBAスーパー世界ライトヘビー級タイトルマッチ、ドミトリー・ビボルvsサウル・アルバレスの観戦記です。
↓プレビュー記事
5/7(日本時間5/8)ラスベガス
まず第1試合はアジア最強、ヘビー級ランカーのチャン・ツィーレイが登場です。
チャン・ツィーレイの対戦相手はいつの間にやら変更になっていました。
クロアチアの怪物、フィリップ・フルコビッチ戦がアナウンスされていましたが、デボン・アレキサンダーに変更。
アレキサンダーを相手に落ち着いてガードを固めてジャブを差しすチャン。
プレスをかけて、アレキサンダーをロープに詰めると、左ストレートをまっすぐに放ち攻め込みます。ほぼガードのみしかできないアレキサンダーが右を伸ばし、前手のストレートを出したところで、チャンの左ストレートがカウンターでヒット!
試合はなんと初回で終了、チャン・ツィーレイの初回TKO勝利!!
これは、今後を大いに期待させる内容ですね。
チャンが世界をとるようなことがあれば、アジア人初のヘビー級王者、となるのでしょうか?
世界の頂はまだまだ遠く、待つことも含めてまだ時間はかかると思いますが、期待ですね。
続いては6勝(5KO)無敗のプロスペクト、マーク・カストロが登場。ペドロ・ビセンテという7勝(2KO)4敗1分のボクサーと6回戦で対戦。カストロはまだキャリアの形成時期ですね。
この試合、カストロはフルマークの判定勝利を得たものの、ややキレに欠ける印象でした。前戦に続き判定勝利となり、これで7勝(5KO)無敗。体つきを見ても、ライト級ではちょっとパワーが目減りする感じですかね。
デビューから5戦はスーパーフェザーで戦っていますが、その時もちょっと余裕があるように見えました。適正はフェザーかスーパーフェザーくらいだと思いますが、今後のキャリアはいかに。
シャクラム・ギヤソフ(ウズベキスタン)vsクリスチャン・ゴメス(メキシコ)
左手をだらりと下げたスタイルのギヤソフ。長いジャブを使いますが、ゴメスのかっちりとしたファイティングポーズから放たれるジャブもなかなか良い。
2R、互いにジャブで相手を図りながら、カウンター狙い。ゴメスも非常に警戒心が強く、試合に山場は訪れません。
3R、ゴメスが少しアグレッシブに。そうなるとギヤソフのリターンが冴え、ゴメスの攻めに対して倍返しと言わんばかりにコンビネーション。差が見え始めたか、と思ったところでゴメスの左フックがヒット、クリーンヒットが少ない中でのこのパンチは大きい。
4R、ゴメスは明らかなプレス、ゴメスはなかなか頑丈で、ギヤソフの攻撃にも退きません。
プレスをかけるゴメス、攻め込んだところでギヤソフの左フックがヒット!尻餅をつくダウンを喫します。ダメージのあるゴメスに対して、ギヤソフはストップを狙ってチャージ。しかしゴメスは下がりながらも打ち返し、このラウンドを凌ぎます。
5Rもゴメスがプレスをかけていく展開、ギヤソフはボディを交えて寄せ付けません。やはり、上手い。その後も展開は変わらず。ギヤソフは打ち終わりのケアこそ素晴らしいですが、相打ちを狙っていけば当たらないでもない。ゴメスはそこを狙っていくべきだと思いますが、ちょっと愚直すぎるか。
7Rに右オーバーハンドをヒットしたギヤソフは、ゴメスが攻め込んだところに右アッパー。これでゴメスは2度目のダウン。これは大勢が決したか。
というところで、終盤に今度はゴメスが右をヒット!足がもつれるギヤソフ!眠くなっていたのが一気に覚めました笑スローで見ると右は当たっていませんでした。その前の左フックと、その後の左フックで効かされたようですね。
8R、警戒を強めたギヤソフは、ジャブを突いてのカウンター狙い。しかし後半、ゴメスはダブルジャブからの右アッパーをヒット!!これで効かされたギヤソフでしたが、このラウンドをステップを使ってサバイブ。ギヤソフは、回復が早い。
9R、序盤にギヤソフはゴメスの右を躱しての左フックをヒット。この試合、何度もこれをヒットしています。このラウンド、攻めたいゴメスですが、このギヤソフの左フックの効果か、攻めきれませんでした。
ラストラウンド、ギヤソフは序盤にゴメスのパンチを躱してからの左フックから右アッパー!!このパンチでゴメスは3度目のダウン!!
残り時間は2分以上ですが、ゴメスのパンチはまだまだ生きており、倒しにはいかないギヤソフ。しっかりと距離をとり、サイドへまわり、時折カウンターを狙って試合が終了。
判定は、ギヤソフ。
ちょっと途中眠くなってしまいましたし、会場も静まり返っていましたが、おもしろい場面が訪れてよかった。ビッグマッチのアンダーがこれでは。。。と途中まではおもってしまいましたから。
モンタナ・ラブ(アメリカ)17勝(9KO)無敗1分
vs
ガブリエル・バレンズエラ(メキシコ)25勝(15KO)2敗1分
同郷カネロのアンダーカード、それもセミファイナル。これはバレンズエラにとって相当気合の入る一戦でしょう。しかし相手は無敗プロスペクトのモンタナ・ラブ。バレンズエラは、明らかにBサイドです。バレンズエラは「ゴラス」という愛称表記のようですね。
初回、バレンズエラのリーチの長さが目を引きます。攻めづらそうなラブですが、中盤には早速左ストレートカウンターを浅くヒット。
その後も奥手である左手を軸にしかけるラブ、バレンズエラは右を打つ時に顔面が直立してしまうところはよくありません。
終盤、右ボディストレートを放ったバレンズエラに、ラブは右フックを引っ掛け、ダウンを先取。これはラブがうまく、バレンズエラは不運。
2R、開始30秒、今度はラブが攻め込んだところでバレンズエラが引っ掛けるような左フック!バランスを崩したラブはダウン!これは見事にやり返しました。
その後、急激に攻め立てるバレンズエラ。打ち気に逸り、バランスを崩すこともしばしばですが、かわして攻め入るラブもちょっと無理な体勢を取る事が多い。まだまだダウンシーンはありそうです。
3R、間合いと前手のせめぎあいから、攻められればかわして打ち返す、を繰り返す両者のボクシング。
プレッシャーをかけているのはバレンズエラ。終盤、ラブがロープを背負うと緊張感は一気に高まります。
4R、バレンズエラのプレスが強くなっているのか、ラブの動きが大きくなっています。ラブは素早い動きですが、バレンズエラはこの動きにあわせようとしてはいけません。ともにピンポイントでフルスイング、これは緊張感がありますね。
5R、ちょっとラブの素早い動きに対して、反応しすぎな感じのあるバレンズエラ。6R、ふたりともいつの間にかバランスを崩すようなことはなくなり、非常に落ち着いた戦いになっています。12Rあると、中盤はダレる事がままありますね。
7Rも慎重に戦うラブ。後半にはしつこく攻め入ったバレンズエラが意地を見せますが、ラブは速く、なかなか捕まえられません。
8R、よりプレスを強めたバレンズエラ。長いストレートを放っていきますが、これを外されると拳の戻しが速くない分、危険。ラブは距離をキープ、やはり左を軸に攻め、打ってはサイドステップ、もしくはくっつくという打ち終わりのケア。
9R、せっかく良いプレスをかけているバレンズエラは、もっと手を出していきたいところ。しかし打てばカウンターが飛んでくる、というなかなか難しい戦いを強いられています。
10R、ポジション、前手、後ろ手の当て方。これらはラブの方が上回ると思います。バレンズエラは特にラブの左ボディストレートを警戒しており、やっぱりそこまで攻めきれない。横からまわす左フックは良い感じですが、もっと被弾覚悟でブンブン振り回しても良いくらい。
11R、ラブは、左ボディを警戒させておいて顔面への左ストレート。その後もバレンズエラのプレスを躱し続け、ラストラウンドへ突入。
ラストラウンドもラブは全く乱れず。序盤と違いバランスを崩すこともなく、軽やかなステップで左をコネクト。
しかし後半、バレンズエラは右を当てた事を契機に強引に攻め入ります。ラブにダメージを与えましたが、間もなく終了のゴング。
ラストラウンド終了のゴング、判定は3者ともに114-112、モンタナ・ラブ。序盤はバランスを崩したとはいえダウンの応酬、好試合を期待させましたが、その後は両者落ち着き、マスボクシングのような、ゲームのようなボクシング。
もう少し、バレンズエラが攻められれば面白い試合になったと思いますが、残念。
WBAスーパー世界ライトヘビー級タイトルマッチ
ドミトリー・ビボル(ロシア)19勝(11KO)無敗
vs
サウル・アルバレス(メキシコ)57勝(39KO)1敗2分
さて、期待のメインイベント。
シンコ・デ・マヨ興行のトリを務めるのは勿論サウル・アルバレス。
ライトヘビー級はセルゲイ・コバレフ(ロシア)戦以来のウェイトですが、ここ最近の充実のカネロにオッズは流れています。
但し、チャンピオンはドミトリー・ビボル。このライトヘビー級の王者は、アンダードッグではありません。
大注目の一戦、ゴング。
ビボルはまずは得意のジャブ。サークリングしながらのジャブに対して、カネロはガードを固めてこのジャブを受けて、力強く踏み込んでのパワーパンチ。ビボルはカネロの攻撃に対してバックステップで対応、後半にはコンビネーションを繰り出していきます。会場の雰囲気には呑まれておらず、ビボルにとって良いスタートですが、カネロも調子は悪くなさそうです。
2R、ビボルのジャブは止まらず。カネロはまだボディムーブこそ出ませんが、このジャブをがっちりとガード。下がりながらもコンビネーションが出るビボルも調子は良さそうです。
ただ、パワーはやはりカネロ!強烈なボラードを、ビボルのガードの上から叩きつけると、会場は大歓声です。このラウンド中盤以降、徐々に体の動きが出始めてきたカネロ。
3R、カネロがパワーパンチで攻めれば、ビボルは手数で対抗。パンチをまとめればカネロも下がり、ビボルはカネロに十分対抗できているように見えます。
しかしビボルがロープを背にすると、怖い。カネロのパワーパンチはできれば空振りさせたい。
後半に、今度はカネロがロープを背負いますがこれは誘っています。
4R、展開は目まぐるしい。カネロの強いパンチ、ビボルのコンビネーション。ビボルがコンビネーションで攻め込むタイミングは、ここ最近のビボルでは見られなかったほど良い。一度のコンビネーションで終わらず、何度も攻め込む姿は、これまでの防衛戦でももっと見たかった。
このラウンドも後半、カネロはロープを背に誘いますが、こうなると逆にビボルは行けません。いや、あえて行かないのか。
その後、強引に打って出たカネロのアッパーを浴びてしまうビボル。カネロは強さはもちろん、上手さもあります。
5R、カネロは本当にナチュラルなのか、と疑われても仕方ないほどのパワーを有しています。
しかしビボルがその後、コンビネーションで攻め込むと、悲鳴にも似た歓声が上がります。
カネロはビボルの速いコンビネーションに対応し切れていません。
6R、大きく脚を使ったビボル、ピンポイントで良いコンビネーションを見せます。このライトヘビーに対して、理不尽なパワーで押し返すウェルター上がりのカネロ。
後半、ロープ側で何かを狙うカネロ、警戒して攻め込まないビボル。
ビボルとしては、もっと自由に動けるところで、これまでのようにストレートの距離で戦いたいのでしょう。変に攻めてカネロのパワーカウンターをまともにもらえば、形勢が逆転してしまう可能性もあります。
無表情な見た目通り、非常に冷静なビボル。
7R、ビボルは本当にここまで上手く戦っています。このラウンドもロープに詰まりそうになるとコンビネーションで押し返し、脱出。カネロ相手に、ロープ側で固まってしまっては絶対にいけません。
8Rもビボルのコンビネーションは素晴らしい。ダメージを与えるようなものではないかもしれませんが、普通ならポイントをピックアップできるもの。ただ、相手はカネロです。
9R、ここでいよいよカネロも全開か、プレスをかけて強いパンチ。ビボルも足が早く、バランスが良い分動きながらでもパンチを出すことができます。これはカネロも追いづらい。
それでも後半、ロープを背にしたビボルにカネロはパワーパンチで攻め込んで会場を沸かせます。
10R、ラウンドを経ても衰えないビボルのコンビネーション。対してカネロのパワーには翳りが見えます。やはり疲れています。
やはり大きな相手に対して、通常の12Rとは訳が違うのでしょう。
このラウンドのカネロは踏み込みも甘くなっており、ちょっと届きません。
11R、カネロは序盤からチャージ、力強いパンチを叩き込んでいきます。それをひとしきり凌いだビボルは、コンビネーションで反撃。
ビボルのが攻め込むと、カネロはダックしてビボルの脇に頭を挟み、ビボルを持ち上げたシーン。
カネロは思い通りにいかず、かなりイライラしていますね。自ら「窮地にいる」と示すような行為でもあります。カネロがここまでイライラしたことは、長らく記憶にありません。
これはいよいよ、カネロ政権の終わりが見えて来ました。
カネロのパワーパンチに対してビボルが押し返す場面も増えてきており、ビボルがカネロのパンチになれたのか、それともやはりカネロのパワーが目減りしているのか。
ラストラウンド、序盤にカネロが攻め込みますが、中盤はビボルのコンビネーション。ビボルの方がヒット数は随分上だと思います。
ラストラウンド終了、すぐさま勝利をアピールしたのはビボル。上手く戦い、完勝ともいえる内容だと思います。しかし、何度も言うが相手はカネロです。
判定は、3者ともに115-113でドミトリー・ビボルを支持。
ビボルが王座防衛に成功!!!
戦前、「ビボルはジャブでカネロを中に入らせないこと」が重要だと書き、そしてもう一つ「ステップをとめないこと」と書きました。
まさにその通りとなった一戦でしたが、ビボルがフルラウンドにわたりカネロのプレッシャーをいなし続ける事ができた、ということが今一戦最大の勝因だったと思います。その果てには、ビボルは近い距離でもコンビネーションでカネロを下がらせる事もできました。
「サイズ」というのは、思った以上にビボルのアドバンテージになった印象で、カネロのパワーパンチにビボルは全くビビっていませんでした。
ナチュラルなライトヘビーのビボルには、カネロのパワーパンチも通用しませんでした。「階級の壁」とはこの事なのでしょう。
ビボルのパンチもカネロを倒すには至りませんでしたが、カネロの顔面にはいくつもの被弾のあとが見て取れました。今やディフェンスマスターの一人となったカネロにとっては、非常に珍しい光景。
ともあれ、ビボルはこの大一番で過去イチのパフォーマンス。何せあのカネロを破ったのです。判定は思った以上に競っていた事は皆さんの思う所通りだと私も思いますが、今後の両雄の動きにも注目です。
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