信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【プレビュー】6/7井上尚弥vsノニト・ドネア2。2人が2年半前の初戦で得たものと、それ以降の道程と。

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あっという間に、あともう少し。

タイトルに有る通り、井上尚弥vsノニト・ドネアのWBAスーパー・WBC・IBF世界バンタム級王座統一戦のことです。

我々日本人にとっては、いや、世界のボクシングファンにとってもそうかもしれませんが、「多くの説明を必要としない」このバンタム級戦は、非常に楽しみです。

私は会場で観戦させてもらいますが、Amazonプライムでも生配信があり、更には今回もアーカイブは残ると思いますので、多くの人目に触れる事でしょう。

ということで今回は、いよいよ目前に迫った、井上尚弥vsノニト・ドネアのプレビュー記事、というよりも、今回は二人のボクサー、そして二人が戦う事についての「独り言」です。

 

6/7(火)さいたまスーパーアリーナ

WBAスーパー・WBC・IBF世界バンタム級王座統一戦

井上尚弥(大橋)22勝(19KO)無敗

vs

ノニト・ドネア(フィリピン)42勝(28KO)6敗

日本ボクシング史上、最高のボクサーと言われて久しい、井上尚弥。

井上尚弥の次戦の相手は、2019年11月に行われた「ドラマ・イン・サイタマ」以来の再戦となるノニト・ドネア。

初戦は井上がダウンを奪っての判定勝利、歴史に残る一戦となりました。

あの日のさいたまスーパーアリーナは本当に素晴らしい空間でした。

再戦も、同じくさいたまスーパーアリーナ。とはいえ、前戦と異なる所も多い。両者にとって、約2年半前の初戦で得たもの、そしてそれ以降の道程とは、何なのか。

↓井上vsドネアの第一戦の記事はこちら

boxingcafe.hatenablog.com

 

井上尚弥

井上尚弥はあの日、「かつてフィリピーノフラッシュと呼ばれた」ノニト・ドネアとの戦いにおいて、世代交代を成し遂げるはずでした。

しかし、あの日のドネアはそれをさせませんでした。

井上は、明らかなスピード差と反応の差をもって、序盤でのKO決着を予感させる第一ラウンドを終えました。しかし、好事魔多し、とはこのことなのでしょう。第2R、ドネアの左フックが炸裂し、井上の右目はおびただしい出血とともに眼窩底骨折。

結局、この怪我とともに12Rを戦い終えた井上尚弥は、本物のモンスターだということを証明しました。

あの止められてもおかしくないほどの傷、あれをしっかりと止血した陣営も非常に素晴らしかったですし、眼窩底骨折を負いながらもその影響を感じさせない(当時の私は全く気づきませんでした。)動きを見せ、更には作戦変更も柔軟に対応した井上尚弥。私は、あの傷の出血がしっかり止まり大事に至らなかったのは、対ドネア戦でいつも以上にアドレナリンが出ていた事、佐久間トレーナーの処置が完璧だったこと、等々、様々な条件が重なり合った奇跡に近かった出来事ではないか、と思っています。

 

井上尚弥が、このドネア戦で証明できた事は非常に大きい。

一つは、ピンチを乗り切る精神力であり、一つは最も問題視されていたタフネス。

そしてフルラウンドにわたり集中力を維持できること、作戦変更を余儀なくされた場合にすぐさま対応できる引き出しの多さとリングIQ、そして冷静さです。

このうち、タフネスは以前から井上本人が「打たれ強い」と言っていたし、階級上のボクサーとスパーしている事であまり心配はしていませんでした。

それでも、この試合でそれを全世界に見せつけた一戦だったと思います。

これは非常に大きな事で、ドネアのベストパンチですらも井上を倒すことはできませんでした。このバンタム級において、井上を倒せるボクサーはこの時点でいなくなった、と言って良いでしょう。

 

ノニト・ドネア

一方、ドネアがこの井上戦で証明したことは、ドネアは未だ偉大なボクサーだった、ということ。

以前ほどのスピード感こそ感じなかったものの、その当て勘は健在、いままでほとんどのボクサーがクリーンヒットを奪えなかったPFPファイター、井上尚弥に対して眼窩底骨折を負わせるほどの左フックをヒットし、更に9Rには右ストレートをヒット、井上はダウン寸前のピンチに陥り、クリンチに逃げようとするほど追い詰められました。

先に「かつてフィリピーノ・フラッシュと呼ばれた」と書きましたが、この一瞬のスピードはやはりフラッシュ。ドネアはどんなに追い詰められようともその怖さは健在で、5Rには明らかに効かされた後も鋭い左フックを狙う等、一筋縄ではいきません。

このドネアのフラッシュは最大の武器であり、今や左フックだけでなく、その右ストレートも大きな武器となっています。

ドネアについて刮目すべきはその後で、「井上戦は出色の出来だった」という懸念を払拭していくかのように、続くウバーリ戦、ガバリョ戦でも素晴らしいパフォーマンスを披露しています。

往年の素晴らしい左カウンターを炸裂させたノルディーヌ・ウバーリ(フランス)戦。戦慄のノックアウトでした。

明らかなドネア対策をして、巧く戦っていたようにみえたレイマート・ガバリョ(フィリピン)相手には今度はボディカウンターでノックアウト。

 

このガバリョ戦については、「ガバリョ相手に苦戦した」と見る向きも多いようですが、あの日のガバリョは疑惑の判定でエマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)を降した時とはまるで別人のよう。「別人のよう」というか、別人でした。

初回を見て強敵と感じたガバリョでしたが、ドネアには早々にタイミングを掴まれた上でのカウンターを被弾。序盤、ガバリョにポイントが流れていた、という意見ですらも、カウンターパンチャーであるドネアがタイミングを図っていたのだとすれば、手のひらの上、ということになります。

ともあれ、ドネアは井上戦で自信を取り戻し、続くウバーリ戦、ガバリョ戦でそれを確信にまで持っていきました。ドネアは、井上戦後の戦いで、「もう一度井上と雌雄を決する」必要のあるボクサーの位置まで、自力で上がってきました。

当然この試合も負けるつもりは一切ないでしょうから、怖いボクサーです。

↓ウバーリvsドネアの観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

↓ドネアvsガバリョの観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

 

いよいよ激突

予想をするとしたならば、井上尚弥優位は揺るがない。これは間違いありません。

個人的にも、「どちらが勝つのか」と問われた時には、さほど悩む事はなく「井上尚弥」と答えます。

前戦での1R目を見た限りでも、やはり目に見える部分は井上に分があり、この差は開きこそすれ埋まっている事はないでしょう。

ただ、ノニト・ドネアは未だに「ノニト・ドネア」です。

一発で試合をひっくり返すことのできる切れ味鋭いパンチャーであり、ボクシングへの愛情に溢れ、対戦相手をリスペクトし、タフネスを保持し、現在においては試合巧者ぶりも発揮するレジェンド。

この長いキャリアの末に、まだ辿り着かない達人の領域を模索する、「求道者」であるとも言えます。

ドネアはここ2戦、非常に落ち着いた試合運びを見せており、相手のスピードや機動力、パンチ力も関係なく、現在の自分のボクシングを貫いた、というイメージ。今回も勿論このボクシングを基盤として、井上対策をしてくることが予想されます。

まさに居合のようなフラッシュを、またどこかで炸裂させる可能性は大いにあります。

井上尚弥は完成されてはいるものの、まだまだ上昇過程にあるボクサーであり、未知の領域までの完成度を求める非常に純度の高い「ボクサー」。

 

アラン・ディパエン(タイ)戦では倒す事に時間がかかった、というイメージではあるものの、あれはディパエンがディフェンシブ過ぎたのと、タフすぎたことが要因であり、あの場合、井上が多少粗くなろうともさほど問題とは感じません。(幾度か指摘されている右ストレートの戻しが遅い、という件についても同様です。)

井上尚弥の勝負所

私が井上尚弥の勝負所としてみている所は、ドネアが距離感やタイミングを掴む前、序盤の5Rほどまでが一つ、と見ています。

なので、この序盤のラウンドで井上がノックアウト勝利をおさめることもあり得ると思います。その場合、ドネアは「何もできなかった」となることが予想されます。ので、そうなってほしくはありません。

前戦、2Rに食らった左フックは、1Rに「圧倒できそうだ」と感じてしまった井上のある種の気の緩み、油断がもたらした物だと感じています。今回、それを避けるためには、なるべく集中力を保持し続ける事、丁寧に戦う事が要求されるのだと思います。

 

例え後半に入ったとしても、井上は粘り強く戦う事も出来るため、12Rに渡ってどこかでチャンスを掴むはずです。

こう考えると、初回〜12Rに渡って試合を終わらせるチャンスを持っているのは井上尚弥であり、ドネアの頑張り次第で判定にもつれ込む、とイメージすることができます。

ノニト・ドネアの勝負所

では、ドネアに全く勝ち目がないのか、というとそうは思いません。

結局のところ、ドネアは一発で試合を終わらせる事のできるノックアウトアーティストであり、このパンチングパワーを純粋に比べれば井上よりも上ではないか、と思っています。

なので、今のドネアにとって鬼門と思われる序盤(それが1Rなのか、2Rなのか、5Rなのか、もっとかかるのかはわかりませんが)をクリアすることができれば、中盤〜後半あたりにドネアのチャンスは来ると思います。

そこで鍵となるのは、井上がいかに集中力を切らさずに戦う事ができるかどうか、ということ。3分間、まるまる集中するというのはおそらくできる人間はいないので、集中が途切れるコンマ数秒をドネアに悟られない事。その時間を安全圏にいる時に持ってくること。つまり、ドネアの勝負所はこの一瞬を見極めてカウンターをヒットすることにあると思います。

当然、これは至難の業。

 

つまりは、「井上がドネアに勝つためのミッション」よりも、「ドネアが井上に勝つためのミッション」の方が圧倒的に困難であり、だからこそ井上優位は揺るぎません。

いくら言葉を並べても

と、いくら言葉を並べたところで、ふたりのボクサーがリングで戦うという行為をしなければ結果はわかりません。

井上尚弥は、この試合に勝利することができれば、WBO世界バンタム級王者であるポール・バトラー(イギリス)との統一戦に臨む事が濃厚です。それは、バトラーと同じくプロベラムに所属するドネアにとっても、良い選択でしょう。

そしてこの試合の勝者こそが、よほどのことがない限りバンタム級での4団体統一を成功させることが濃厚(バトラー相手に負けはないはず)。名実ともに、バンタム級の頂上決戦です。

ついでに言うと、日本人で3団体を統一した王者は未だおらず、井上がここに勝てば、日本人初の3団体統一王者となるわけですが、これはすでにただのおまけに過ぎません。

たとえタイトルがかっていなくても、注目試合間違いなしの井上尚弥vsノニト・ドネアの対決。私はまたも名勝負となることを期待していますし、ドラマのような試合になることを期待しています。

是非とも皆さん、会場で、そしてアマプラで。

 

放送・配信

この一戦は、セミセミの井上拓真vs古橋岳也、セミの平岡アンディvs赤岩俊とともに、アマゾンプライムで生配信。生配信後、アーカイブも残ると思います。

日時は日本時間で6/7(火)18:30〜であり、井上尚弥vsノニト・ドネアは21:00開始とのことなので、かなり余裕をもったタイムスケジュールになっていますね。(会場ではアンダーカードの進行状況によって結構な待ち時間が発生しそう。)

この興行は、アメリカでもESPNが生配信。

アメリカではEDT(東部標準時=ニューヨークとか)で6/7(火)5:30の開始、PDT(太平洋標準時=ロサンゼルスとか)で同日2:30の開始。平日開催ということもあり、視聴数には恵まれなさそうですね。これが日曜日であれば、頑張って見る人もいそうですが。

ともあれ、日本ではアマプラ様々。ご登録はこちらから。

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